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2 0 2 4 年 5 月
九州電力株式会社
経営概況説明会(5/10 開催)における質疑応答内容
1.日 時:2024 年5月 10 日(金) 14 時 00 分〜15 時 10 分
2.回答者:代表取締役 社長執行役員 池辺和弘(以下、池辺)
取締役 常務執行役員 ビジネスソリューション統括本部
業務本部長 中野隆(以下、中野)
常務執行役員 コーポレート戦略部門長 木戸啓人(以下、木戸)
3.質疑内容:
Q 証券アナリストA
・ 九州の電力需要がここ数年で数十億 kWh 程度増加していく見通しとしている。送配
電部門の見通しはこれより少し慎重な見通しだが、今後この想定も伸びていくこと
が予想される。需要増加に対して、従来は 2030 年代前半までは既存の供給力で対応
可能とのことだったが、改めて既存の供給力で対応可能なのか確認したい。
・ また、電力需要の増加が収益を押し上げるのか伺いたい。需要の増加に対して、九
電は発電所の稼働率を上げて総販売電力量を拡大させていくことになると思うが、
九電は既に原子力を高稼働させているため、基本的にはLNG等の比較的マージナ
ルコストの高い電源で対応することになると考えている。九州エリア全体の市場価
格が上がれば利益を確保できるということだろうが、小売部門の料金戦略も重要だ
と思う。需要の増加をどのように利益の成長に繋げるのか。
・ 足元の収益について。
先ほど 2025 年度目標の達成が視野に入ってきたと説明があっ
たが、2024 年度の経常利益は期ずれ影響除きで 1,000 億円弱であり、少しギャップ
があるように思う。今期は何か特殊要因があるのか。また、実力利益はどの程度だ
と認識しているのか。
A 木戸
・ 1点目について。まず、送配電部門の想定と当方の想定で乖離があるが、送配電部
門では個別の申し込みが確認されたものを想定に含めている。一方、私共は、半導
体関連工場の立地状況や新聞記事の情報など、
様々な情報を踏まえて想定している。
・ この需要増加に対して、2025 年度にひびきLNG火力、響灘洋上ウィンドファーム
が運開する予定であるため、これまでご説明してきたとおり、2030 年代前半までは
エリアとしては必要な電源が確保できていると考えている。
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A 中野
・ 3点目について。従前から 1,000 億円程度が期ずれ除きの実力利益と申し上げてい
る。今期の見通しにおいて、燃料費の動向に関しては、今後の中東情勢等の不透明
性を含めて想定している。また、2023 年度と比較すると原子力の稼働率が少し低下
することを考慮している。他には、九電送配における需給調整市場の交付金単価が
低下する等といった特殊要因も踏まえ、
期ずれ含みで 1,100 億円、
期ずれ除きで 970
億円程度とみている。この数字は従来の 1,000 億円程度という実力利益の水準と大
きく変わらないと考えている。
A 木戸
・ 今のご説明の補足だが、私共は 2025 年度の経常利益目標として 1,250 億円、内訳と
しては国内電気事業で 750 億円、成長事業で 500 億円としている。2024 年度の見通
しについては、国内電気事業で 700 億円、成長事業で 400 億円とみている。成長事
業は個別事業の積み上げであり、各事業の売却や配当のタイミングにより利益が変
動する。2024 年度については 2023 年度の 510 億円程度から少し水準が低くなるも
のの、2025 年度ではすでに投資した案件や投資が確定している案件からの利益を含
めて 500 億円になると考えており、1,250 億円を達成すべく努力してまいる。
A 池辺
・ 2点目について。需要増が利益拡大に繋がるのかということだが、それについては
繋がると思う。需要の増加分を九電が供給することになるのか分からないが、少な
くとも託送収入が増加するため収益にプラスの影響がある。また、需要増加に対し
て、
LNG火力だけでなく、
短期的には石炭火力も活用の余地がある。
石炭火力は、
長期的には水素・アンモニア混焼やCCSなどによりCO2を削減していく必要が
あるものの、当面の供給力として活用できる。当社で供給させていただけるのであ
れば、当社の電気料金に固定費は含まれているので、燃料価格を反映した価格以上
の値で買っていただければ、当社にとってメリットがある。
・ 続いて、小売部門の料金戦略について。当社は原子力等のCO2を排出しない環境
価値の高い電源を保有している。これらはカーボンニュートラルに向けて非常に大
事な電源であるが、その価値が正当に評価されるべくメッセージを発していきたい。
お客さまにとっても、CO2が少ない電気で商売できることには相応の価値がある
と思うので、その点を訴求していく。将来的には、資材価格や工事費が上昇してい
るので、これらの上昇にあわせて、電気の小売価格も考えていかなければいけない
と認識している。
Q 証券アナリストA
・ コストアップに応じて小売料金をあげて、かつ、価値を正当に評価されるようにプ
ライシングしていくというメッセージをしっかり出していただけると非常に安心。
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Q 証券アナリストB
・ 2024 年度の販売電力量の見通しにおける小売・卸売の増減の要因は。小売に関して
は景気や気温などエリア需要が要因なのか、競争が要因なのか。卸販売については
大きく増えているので、その背景を教えていただきたい。
・ 需給調整市場について。今年度から全商品の取扱いが始まったが、4月は募集量に
対する未達や約定価格の高騰が発生している。
これは何が要因と見ているか。
また、
九電の発電・販売・送配電のそれぞれで、どのような影響があると想定されるか。
A 中野
・ 1点目について。小売の販売電力量については、半導体関連工場の立地などの需要
増加の影響が反映されるまで数年かかり、
2024 年度への影響は限定的であることか
ら、2023 年度と同程度の水準になる見通し。卸売の販売電力量については、71 億
kWh 増加しているが、昨年あった資源エネルギー庁からの「電気事業の健全な発達
を実現するための対応について」の指示を踏まえ、卸販売の内外無差別の強化をし
た結果である。具体的には取引所や買いを含めた相対取引が増加していることから、
このような数字になっている。
A 木戸
・ 2点目について。
需給調整市場は、
短周期で1週間等の単位で取引するものであり、
1週間前に翌1週間分の取引をするのは予見性に問題があるため、取引が低調にな
っているのだと思う。当社の収支影響については非常に機微な情報であるため、発
言は差し控えさせていただきたい。
A 池辺
・ 販売電力量について補足。小売について、半導体関連工場が稼働するまでもう少し
時間がかかり、TSMC の JASM も稼働するのは今年 12 月からであるため、今年の販売
電力量にはあまり影響がない。卸売の増加については、もちろん当社の発電部門が
売っている分も含むが、当社の小売部門が他社から購入している分も含むため、販
売量が大きく増えたというより、表記の仕方が変わったと捉えるのが現実的だと認
識している。
Q 証券アナリストC
・ 配当について。資料に基本的な配当方針として、2025 年度以降は 50 円を維持と記
載しているが、この「50 円」の位置付けは。また、今後策定する新たな経営ビジョ
ンでは、配当についてどのように方向性を変えていきたいと考えているか。
・ 料金政策について。過去2、3年で高圧以上の値戻しに取り組み、概ね一巡したと
みているが、今後利幅をどうしていく考えか。コストアップに対応する必要がある
が、付加価値を乗せるなど利幅を改善していく考えがあるのか教えていただきたい。
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A 池辺
・ 1点目について。すでに 50 円配当を実施していればその先の話ができるが、まだ
2024 年度の配当予想として 50 円を提示している段階であるため、その先について
何か言える状況にはない。電気事業は息の長い商売であり、長期で株を保有してい
ただいてる株主が多いため、以前の 500 円額面株の1割配当としての 50 円配当に
まずは戻したいという思いで今年度 50 円とした。ただし、当社も以前 60 円配当を
実施したことがあるように、50 円で打ち止めではない。新たなビジョンを策定する
中で配当についても検討していくことになるが、以前 50 円配当を実施していた頃
は、兼業規制があり国内電気事業しか展開していなかった。これを踏まえると、国
内電気事業のリターンが 50 円ということであり、
また、
成長事業については先行し
て実施した投資のリターンが発生する段階で配当をどうするか考えるのが課題だ
と思っている。
・ 2点目について。利幅については、営業戦略そのものであるため、申し上げられな
い。ただ、環境価値は正当に評価されなければならないと思っている。お客さまに
当社の電気の環境価値が他社よりも高いと評価していただき、その分の対価を頂く
ことが必要。当社には3つの法人お客さま向けの再エネプランがあるが、これらの
料金水準が標準であると認識していただけるよう取り組んでいきたい。
Q 証券アナリストC
・ 利幅については、現状を維持するのか改善するのかの方向性でいうと、今の説明を
聞く限り、改善していくという認識で良いか。
A 池辺
・ これまで販売促進費を減らし、標準メニューに近付けることで、利幅を拡大してき
た。今後は、利幅の拡大ということではなく、環境価値や当社サービスにご理解を
頂ける方から、それに見合う料金を頂くような政策になると思う。
Q 証券アナリストD
・ 池辺社長が従前より話されている、定期検査期間の短縮や定期検査間隔の延長とい
った原子力利用率向上に向けた取組みについて、何かアップデートはあるか。特に
進捗がなければ、今後1、2年で変わっていく兆しがあるか、何が阻害要因になっ
ているのかご教示いただきたい。
・ 再エネ事業について。今後九電みらいエナジーはどのように再エネ事業に取り組ん
でいくのか。九電みらいエナジーは規模の面で国内有数の再エネ事業者になると思
うが、今後他社とM&Aやアライアンスなどで規模を大きくしていく可能性はある
か。また、サプライチェーン構築のために他社とアライアンスを組むのか等、経営
の方向性を教えていただきたい。
・ 2024 年度の送配電部門の経常利益の見通しをご教示いただきたい。
事業報酬から想
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定されるような定常的な利益水準なのか、一過性の要因で押し上げ・押し下げがあ
るのか。
A 中野
・ 3点目について。2024 年度の経常利益は、グループ全体で 1,100 億円、国内電気事
業で 700 億円の見通し。送配電部門については、2023 年度の経常利益は 410 億円程
度。2024 年度の見通しは公表していないため詳細にはお伝えできないが、先ほど申
し上げたとおり、需給調整市場に係る交付金単価が前年度に比べ低くなっているこ
とから、2023 年度の実績と比較して減益となるが、一定の利益水準は確保できる見
通し。説明会資料 P4 の 2024 年度経常利益の 2023 年度からの変動要因にある「そ
の他さんかく221 億円」の相当な割合を送配電部門における「交付金単価の低下」による
影響が占める。あとは両者を差し引きして推測していただきたい。
A 池辺
・ 1点目について。経営のためだけでなく、CO2削減のためにも取り組んでいかな
ければならない。定検期間の短縮に向けては、オンラインメンテナンスが最も有効
な方策だと考えており、ATENA(原子力エネルギー協議会)と原子力規制委員
会で議論していただいている。ATENAは、オンラインメンテナンスの導入によ
り、定検期間が短縮されるだけでなく、定検期間中に技術のある先輩社員が他の若
手社員の指導に充てる時間を確保できるようになり、安全性向上にも寄与すると主
張している。オンラインメンテナンスは、海外ではすでに実施されているため、規
制庁・規制委員会により制度が整備されれば話が進展するのではないか。定検期間
の延長については、法律上可能であるが、長期間運転するためには燃料の燃焼度を
向上させる必要があり、その準備を行っている段階だとご理解いただきたい。
・ 2点目について。M&Aなどで他社と統合する個別具体的な考えはない。九電みら
いエナジーは、既に再エネ5電源を保有しており、十分やっていける力を有してい
る。また、アライアンスについては、すでにプロジェクトごとに行っており、今後
も行う可能性がある。将来的に洋上風力が増えていくと思うが、プロジェクトごと
にアライアンスを締結するのか、固定的なパートナーを見つけるのか今後検討して
いきたい。
Q 機関投資家
・ 御社のバリュエーションをしてみると、PERの訴求力が弱いと思っている。これ
を踏まえ、新たな経営ビジョンについてお伺いしたい。経営は常に 10 年先・20 年
先を考えるものと思うが、新たな経営ビジョンはいつまでに検討を終えて、いつ発
表する予定か。また、ターゲットについて、2030 年では近すぎるように思う。御社
の原子力稼働率は他社に比べて高く、カーボンネガティブに向けた戦略もあるが、
原子力の再稼働以降の再エネ開発などエネルギーミックスをどうしていくのかを
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考えると 2040 年ぐらいのビジョンが必要になると思う。新たな経営ビジョンはい
つ策定・公表する予定か。また、どの時点をターゲットとしているのかご教示いた
だきたい。
A 木戸
・ 当社では中期経営計画を1年ごとにスライドして策定しており、ビジョンとしてま
とめたものが 2019 年6月に公表した「九電グループ経営ビジョン 2030」である。
策定当時から世界的なエネルギー情勢やエネルギー政策の動向が大きく変わって
いることから、今回ビジョンを改めることにした。2030 年をターゲットにすること
はないと思うが、2035 年なのか 2040 年なのかなど、今見極めているところ。国の
次期エネルギー基本計画の検討状況なども踏まえながら、どのような形で何ができ
るのか考えていきたい。また、もっと先を見据えるという話もある。現在の検討の
中では、2050 年をイメージして、そこからバックキャストで見ていく作業もしてい
る。私たちが現在電気事業・成長事業と呼んでいるものだけではない、もっと先の
イメージも踏まえて策定する必要があると思っている。
A 池辺
・ 今年2月頃に私が新たなビジョンを考えたいと言った。ビジョンの発表時期の検討
にあたっては、次期エネルギー基本計画のほかに、恐らく来年2月ぐらいに発表さ
れる日本のカーボンニュートラルに向けた削減目標(次期NDC)も考慮する必要
がある。来年2月より前に新ビジョンを公表すると国の目標との整合性が取れない
可能性がある。ただし、2年も3年もかけて作るものではないと思っている。
Q 証券アナリストD
・ 九州エリアの需要増加について。需要は増えるが、小売部門として需要を獲得でき
るかどうかは競争次第となるが、内外無差別で電力が供給されている以上、発電卸
単価は一定という前提に立った場合に、九州電力の小売部門が需要を取り込んでい
くにうえでの強みは何か。
A 池辺
・ 電気を使用される方が安心して購入いただけるよう、顔が見える営業をしているこ
とが強み。アカウントマネジャーを各地に配置しており、お客さまを定期的に訪問
している。物を購入する際に、最近は実店舗に行かずに、オンラインストアで購入
するようになっているかもしれないが、電気は目に見えない商品であるため、顔が
見え、安心感を得ていただくことが重要。そのために、営業所に人員を配置し、ア
カウントマネジャーが訪問しており、そのことが強みだと考えている。加えて、今
まで商売を続けてきた安心感もあると考えいる。
Q 証券アナリストD
・ 内外無差別により発電部門から小売部門に卸販売が行われるとしても、非化石価値
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も含めた料金設定などにより、他のライバルに対して競争力を持つことが可能にな
ると考えて良いか。
A 池辺
・ 発電部門が内外無差別な卸販売を行った結果、小売部門が当社の発電部門から電気
を調達でき、当社の低炭素な電気の価値をお客さまに適切に訴求できれば十分可能。
内外無差別の制度について私が最も疑問を感じているのは、CO2フリーという価
値を十分に活用できない可能性があること。当社が他電力から購入する電気は、基
本的に当社の電気よりもCO2排出係数が高い。内外無差別の進展により、当社は
相対的に排出係数が高い電気を購入せざるを得なくなることも考えられるが、それ
によってカーボンマイナスを達成できなくなるのは非常に困ったことで、場合によ
ってはエクスキューズが必要になると思っている。
Q 証券アナリストA
・ 一点目、投資キャッシュフローについて。元々の中計であれば、フリーキャッシュ
フローが黒字になってくる局面だと思うが、原子力のバックフィット投資など、状
況も変わってきていると思われる。目先の投資水準と中長期的な投資水準はどうな
るかご教示いただきたい。
・ 二点目、送配電部門について。グループ経営上、本体ではできることが限られてお
り、制度上の課題も多いと考えている。現在の制度状況だと、民間事業者として保
有できる事業なのかというところもあり、理想的なのは制度が変わることだが、そ
うでない場合も含めて、どのように受け止めているか。または、制度が変わる方向
と考えているのか。
A 中野、木戸
・ 一点目、
2024 年度、
2025 年度は発電・送配電への開発・更新や成長投資があるため、
高い投資水準が継続し、フリーキャッシュフローはマイナスの状況となる。但し、
2026 年度以降は投資も一巡し、投資キャッシュフローが落ち着いてくることで、フ
リーキャッシュフローもプラスで推移する見通し。また、現時点では、その後に大
きな投資案件はない。
A 池辺
・ 二点目、
送配電部門について。
レベニューキャップ制度が導入されたばかりであり、
また、需給調整市場などについても、制度をしっかり定着させるため、今後ブラッ
シュアップが必要だと考えている。ただ、根源的な問題は、レベニューキャップの
計算上の利益率(事業報酬率)が非常に低いこと。これについては、資本市場から
厳しく言われているように、投資が進まないことを規制当局には今も声を上げてい
るし、これからも上げ続けていかなければならない。これは全電力同じ悩みを持っ
ていると思う。
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・ 制度はブラッシュアップしなければならないが、送配電網は改めて作ろうとしても、
天文学的なコストがかかり、難しいのではないか。諸外国も事情は同じであり、オ
ーストラリアでは北部の再エネを南部に送電する設備の構築が進んでいないし、進
まないがゆえに、オーストラリアでは原子力を活用すべきではないかという声が大
きくなってきている。以上のことから、当社として現時点で送配電部門をどうにか
するということは考えていない。
Q 証券アナリストA
・ 過去数ヶ年の連結の投資キャッシュフローは 3,000 億円台の前半ぐらいの水準であ
り、2023 年度を除けば、フリーキャッシュフローはマイナスであったと思う。先ほ
ど伺った「高い投資水準」とは、過去の実績と同じくらいか、それとも、もう少し
増えるイメージなのか。
A 木戸
・ 投資が落ち着いてくれば、3,000 億円台の前半程度となるが、足元の 2024 年度・
2025 年度は、それを若干上回る水準。ただし、原子力安全対策工事のような大きな
投資額ではないので、そこまで大きく増加するということではない。
以 上
本資料には、将来の業績に関する記述が含まれております。こうし
た記述は将来の業績を保証するものではなく、リスクと不確実性を
内包するものです。将来の業績は、経営環境に関する前提条件の変
化などに伴い変化することにご留意下さい。

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