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2019 年5月
九州電力株式会社
経営概況説明会における質疑応答内容
Q 2018 年度の経常利益 525 億円、2019 年度の経常利益 800 億円、各々燃調タイム
ラグ影響がどのように入っているか。
A 2018 年度はさんかく150 億円、2019 年度が+70 億円。
Q 実力ベースでは 2018 年度が 670〜680 億円、2019 年度が 730 億円となるが、
対前年 50〜60 億円増益の内訳はどうか。
A 期ずれの影響+220 億円以外に、松浦が+70 億円、原子力利用率が落ちる影響が
さんかく80 億円程度。値下げの影響は販売電力量も伸びるので打ち消される。
Q その他のプラス要因はコスト削減や海外事業損失の一過性の解消などか。
A そのとおり。海外事業投資の評価損の戻りが 120 億円程度ある。
Q 2018 年度の原子力設備利用率は4基ベースでいくらか。
A 4基ベースで計算すると約 83%。
Q 原子力設備利用率の分母のベースを変えた理由は料金改定の影響か。
A 玄海2号機の廃止の影響。4基とは川内1、2号機と玄海3、4号機。
Q 2019 年度は前年比で 14 億 kWh 増える見込みだが、気温影響など分析の目安はある
か。
A 気温影響は 2019 年度には特に織り込んでいない。4月に実施した値下げを積極的
にお客さまにアピールして営業活動を行っており、実際にお客さまからの反応も
出ている。
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Q 2019 年度も 800 億円の経常利益で、財務目標の5か年平均 1,100 億円をどう考え
ればよいか。新しい中期のビジョンを公表されるとのことだが、そこでリセット
されるのか。もしくは 1,100 億円は目標として残るのか。特重の影響除きで教えて
ほしい。
A 当社の経常利益は原子力の定期検査の入り方に影響を受ける。
特重設置期限超過の
話が出る前では、
2020 年度は定期検査が2基しか入らない等、
強めの見方をしてい
た。仮に特重で止まることになれば燃料費は増えるだろうが、九州全体の電力取引
価格への影響や、今年6月に試運転で発電を開始する松浦2号機をどう効率的に
使えるかをシミュレーションしなければいけないので、
まだ財務目標についてお話
しできる段階ではない。
2020 年度の収支は特重の工事期間を縮めるのが一番だが、それに加え需給関係で
できることはないかを考える必要がある。
ただ、
単純に燃料費増加のみを考えると、
20%程度とする自己資本比率目標の達成は少し先になるかもしれない。
Q LNGについて、2018 年度は 200 万トン弱程度の消費量で前年度の半減となって
いるが、長期契約に対してLNGの運用がどのような形になっているのか。
A 確かに使用量が減るだろうが、転売も可能なので極力ダメージは少なくしたい。
至近ではLNGが低い価格で推移しているが、去年の夏場は上昇傾向だったので
市況に応じて影響は変動すると考えている。
Q 見通すことが難しい状況の中で6月に出す経営ビジョンでは、
中期経営方針と同様
に定量目標を示す予定か。
A 現在策定している経営ビジョンは 2030 年を描いた姿を出す予定であり、特重の件
もあり、中間目標が出せるかどうかもう少し考える必要があるが、6月では少し
時間が足りないかもしれない。
Q 配当について今期見通しで 40 円/株と、不透明な環境の中で増配を掲げているが、
来年度以降の不確実性を踏まえた時に、40 円/株の安定性は担保されているのか。
また、財務目標期間内で自己資本比率目標が達成できない場合、期間内には 50 円/
株に増配したいとコメントしていたことについてはどのような影響が出るか。
A 2019 年度は特重の影響も軽微と考え 40 円/株で想定。長期保有の投資家の方々に
とっては 50 円配当が元々の認識としてあると考えている。
電気事業の競争環境は、
今までは一般電気事業者に対して非対称的な厳しい規制が多かったが、
非化石市場
や容量市場の創設により、以前に比べてリスクは減ってきていると考えている。
40 円/株は通過点であり、20%程度とする自己資本比率目標の達成は少し遅れるか
もしれないが、
その達成に自信が持てれば、
50 円/株に戻したいという思いがある。
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Q 特重について、工期短縮の具体策について聞きたい。1年程度遅れそうになった
背景及びそれを踏まえてどのような努力が工期短縮に最も資するか。
また、設置工事の遅れに関して状況がいつ判明したのか。そのような状況下で2月
の電気料金値下げや 40 円/株への増配など重要な意思決定にどのような影響を及
ぼしたか。
A 期限が厳しいと認識したのは、工事の全容が判明した(川内2号機の工事計画認可
を受領した)4月 12 日。工期短縮については、土木工事作業と機械・電気工事を
並行して作業できるかを詰めて検討していく。それがおそらく一番効果があると
考える。
Q 2019 年度の販売電力量予想について、
4月の契約更改も多いと思うが、
予想の確度
はどうか。
また値下げによる収入減は販売電力量の+14 億 kWh 増で概ね相殺されるとのこと
だが、増販効果が大きいように見えるが、値下げの影響をどのように認識すればよ
いか。
A 需要想定については値下げの影響を 100%織り込んだ数字ではないが、営業部門か
ら聞く限りお客さまからの感触は良いとのこと。1%程度の値下げではあるが、
営業部隊がお客さまにコンタクトでき、また、新聞等によるPR効果は非常に大き
く、前年比2%程度増の 14 億 kWh の増加を見込んでいる。
Q 増減分析に修繕費と諸経費が特に出てこなかったが、計画上は前年比で横ばいに
織り込まれているという理解で良いか。
A 修繕費については原子力の定期検査の入り方が非常に影響する。ユニット当たり
100 億円程度の修繕費がかかるので、それが4基入るか2基入るのかによってデコ
ボコはあるがそれ以外は同じような推移を辿ると考える。
また諸経費に関しては、送配電の分離等でシステム開発費用がかかっているが、
これからは低減する傾向だと思っている。
Q 先ほどの社長の答弁は、特重による停止がなければ経常利益目標の5年平均 1,100
億円以上という水準が残りの 2020〜2021 年度で見えていたと理解してよいか。
A 自信満々というわけではなく、
「厳しいものの頑張って達成する」
というところだ。
目標というのは皆さまに対してだけではなく、社内に対して「この目標に向かって
全力でやっていくんだ」
と檄を飛ばす意味もある。
特重の影響がなければ、
皆で
「も
う少しコスト削減するんだ」
「需要を増やすんだ」という思いがあれば全く不可能
ではないと考えていた。
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Q 自己資本比率 20%に向けて転換社債の転換が1つ大きな要素だと思われるが、
今年度の終わりに3年債の転換を迎えるにあたって、今の株価では、仮に最大幅で
下方修正されても転換できない状況になっているが、3年債を転換したいという
思いが引き続きあるか。
あるいは下方修正を防いで希薄化率を下げたいという思い
があるか。また、目標達成が遅れるようであれば、転換社債について何か別の扱い
も考えるのか。
A 転換社債については転換させるために株価を上昇させるということはできず、
如何
ともし難い。私は当社には、もう少し企業価値があると考えているし、努力が足り
ないのであれば努力をしていけば、適正な株価が形成され、そうなれば転換が可能
な価格になると思っている。一生懸命、企業価値を上げていくしかない。
Q 財務目標の 1,100 億円について、2019 年度計画は 800 億円だが、特重の話などを
除いた、現状の実力ベースでどのくらい利益を生み出せると考えているか。
A 2019 年度の見通しは 800 億円程度だが、これは原子力の定期検査が4基入ってい
る。これが3基であれば、1基あたり修繕費で 100 億円、燃料費で 100 億円改善す
ると仮定して、計 200 億円積んで 1,000 億円となる。目標の 1,100 億円以上もあな
がち変な水準ではない。
Q 特重の設置が更に遅れるリスクは。
A 設置工事を一生懸命短縮しようとしており、更に遅れるリスクはそう高くないと
考えている。ただ、自然を相手にしている仕事でもあるため、安全面で何か事故が
あったとか、全く人知の及ばないことであれば分からないので、リスクがゼロだと
は言わない。
また、審査の長期化については、川内は工事認可を受領しているため、審査に伴っ
て遅れるというリスクはないと判断している。
Q 経営ビジョンについては、主に 2030 年に向けたビジョンということで、足元の
数年を含む中間的な目標数値は設定されない、という理解でよいか。
A 中間目標について、
6月公表時に出せればよいが、
難しいのではないかという感覚。
Q 特重について、川内については工事に関連してリスクがあるということだが、玄海
については認可プロセスを含めてリスクがあると理解した方がいいのか。
逆に認可
プロセスを短縮する対象と捉えることもできるか。
A 玄海については、4月3日に設置許可が出たばかりで、これから工認の議論を始め
ることから、ご指摘のとおり、どちらにも振れる可能性はあると思う。ただ、川内
の場合は、全くのフロントランナーで、審査対応に長い期間がかかったが、玄海の
場合は、こちらのスキルも審査側のスキルも上がっているので、間に合うように
進めないといけないし、工事も行っていかなければいけないと考えている。
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Q 4月 17 日時点では特重の設置が遅れたとしても、止めることにはならないという
認識だったのか。それが全く逆の結果になってしまった理由をどう考えるか。
A 特重について4月 12 日に工事の全体像がはっきり見えてきたわけだが、もともと
5年間の期限を延長すると決めた際のパブコメにおける回答で、
「期限が近づいた
頃に、その時点の状況を確認する」ということで、個別に議論させていただけるも
のだと考えていた。
委員長も個別に言いたいことがあるのであれば聞くと仰ってい
るので、全くフロントランナーとして、いろんなエビデンスを揃え知恵を出しなが
ら創り上げきたことに関して説明するチャンスはまだあると考えている。
Q 経営ビジョンについて、配当の説明等については、数値的なものは難しいか。
A 配当については、まだ社内で詳しく議論した訳ではないが、安定配当を期待されて
いる電気事業と、海外や再エネ、情報通信事業、全くの新規事業については、考え
方を変えてもいいのではないかと考えている。
電気事業以外の事業については成長を期待している方もいるだろうから、
そちらに
ついて配当はこうしていくんだ、という形で、6月にはお話しできないと思うが、
検討していきたい。
Q 1月公表の業績予想からの下方修正について確認したい。各四半期決算において
内訳の見直しを行っていたので、
費用をしっかり管理できているという認識だった
が、その中で諸経費・修繕費がいきなり 120 億円増えてしまったというのはどうい
う背景か。また、今後、どのようにコントロールしていくか。
A 「諸経費・修繕費などの費用の増」の 120 億円だが、千葉袖ケ浦石炭火力発電所
開発検討断念に伴う損失の計上など1月以降に生じてきたもので、
そういうものが
積み重なって額が大きくなっている。ただし、
「送配電設備保全工事の増」につい
ては、内容を精査して、再び起こらないようにしなければならないと考えている。
Q 海外エネルギー事業においての評価損についての評価と、
今後の海外投資について
のインプリケーションがあれば教えてほしい。
A 海外エネルギー事業に係る評価損の計上については、
評価損を出した事業について
もう駄目だと思っている訳では決してなく、
ただタイミング的に配当が入ってくる
のが遅れるということは評価損を出すのがフェアだと考えたから今回計上してい
るということ。
海外事業はデコボコがあるが、
当社は投融資委員会で審議して海外投資を行ってお
り、そういうリスク管理もできていると考えている。今回の件をもって恐ろしくて
海外事業を止めるということもないし、
管理しながらやっていくというのはこれま
でと変わらない。
以 上

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