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2019 年 11 月
九州電力株式会社
経営概況説明会(11/13 開催)における質疑応答内容
Q 今回の配当予想について、前回予想から減配となったが、その考え方を説明してほ
しい。九電はこれまで中長期な収支・財務状況を考慮して配当を決定すると説明して
きたが、今回の資料にはその旨が記載されていない。一方で「中間、期末の内訳につ
いては、今回の修正が中間配当の権利付き最終日を過ぎてからの公表となったため、
株主の皆さまへの影響を考慮し、中間配当は 20 円で据置き、期末配当を 15 円に修
正」と記載があり、仮に権利付最終日の手前であったならば、中間 15 円、期末 15 円
の計 30 円配当にしていたようにも読める。
A 配当について、中長期な収支・財務状況を考慮するというスタンスは変わっていな
い。社内では、40 円という一度市場にコミットしたものを守るべきという意見と、足
元の業績を踏まえて自己資本比率回復を重視すべきとの意見との間で激しい議論を
行った。その結果、50 円配当に向かっているという姿は見せ続けたい、しかし自己資
本比率の後退は避けたいという考えから、年間配当 35 円を決定した。権利付最終日
前であったならば 15 円、15 円にしたということではなく、あくまで年間配当で決定
した。
Q 関電問題で、エネ庁から社内調査の要請があったと思うが、それを受けてどのよう
な調査を行ったか、また今後のガバナンスについて説明してほしい。
A 関電問題について、エネ庁から調査の要請があったとは思っていない。経営幹部、
原子力幹部など計 26 名に対して調査を行い、関電のような事象はないと確認した。
元々当社はコンプライアンス面できちんとしていると思っている。
当社社員は皆コン
プライアンスカードを持ち歩いており、そのカードには「自分の良心に反していませ
んか」、「自分の家族や友人に胸を張って見せられますか」、「地域社会との信頼関係を
損ないませんか」などの行動基準が記載してあり、裏面に社外相談窓口の法律事務所
の連絡先が書いてある。私は社員に対して「内部告発を推奨する、不利益な扱いは絶
対にしない」と明言しており、何か問題のある事象があれば、そのような動きがある
と確信しており、
当社に関電と類似の問題はないと思っている。
また、
正直なところ、
関電問題の本質が私には分かっていない。
関電の報告書や報道等を見ても原子力立地
の問題だったのか、資材発注の問題であったのか、個人の特殊性の問題なのか分から
ない。関電が第三者委員会で徹底的に調査すると言っているので、その結果を見て、
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当社のコンプラインス行動指針を強化する必要があるか、
さらに調査を行うべきかな
ど、社内のコンプライアンス委員会で検討する。
Q 他社販売電力料の減、LNGの転売損について、何が当初予算と大きくずれて今回
発生したのか。数量・価格別の影響分析や、平年気温であれば今後このような損失は
発生しないのか教えてほしい。
A 他社販売電力料の減について、需要面では気温が上がっていない影響、供給面では
太陽光発電が増加している影響があるかもしれない。今回の決算を見ると、相対の卸
売取引を強化すべきであったと感じており、下期、来期は積極的に取り組んでいきた
い。また今回、常時バックアップも減少した。現在、常時バックアップは、買い手側
が卸電力市場での落札結果を見てから申請できる仕組みとなっている。
旧一般電気事
業者には困った点であり、今後、制度面で改善されると認識している。
LNGの転売損について、転売損が出る背景を説明する。LNGは輸出国側で大規
模な投資が必要であるため、投資を成立させるために長期的な契約が必要となる。ま
た契約価格面では、九電がLNGの長期契約を締結した頃はLNGスポット市場が確
立していなかったため、原油価格に連動した価格で長期契約を行う必要があった。現
在、スポット価格はシェールガスの影響等で低下している一方、原油価格はそれほど
下がっていないため、その差が転売損を生んでいる。対応策としては、長期的には契
約が次第に終了していくので余剰の問題は解決していくが、中期的な余剰分について
は引き取りを後ろ倒しさせてもらう、もしくは引き取ったものを海外のタンクに入れ
て市況が回復するのを待つ、などの努力を積み重ねて、来年度以降、あまり転売損の
影響が出ないようにしたいと考えている。
Q 需給バランスでいうと、九州から本土に送電できる容量は限られるので、需給の緩
みが恒常的なものとも見えるがどうか。
A 本州に流れる電気の量について、関門連系線の制約の話であると思うが、これは下
関市に九州という巨大な発電所があると思っていただくとよい。
九州という巨大な発
電所が停止すると中国や関西の周波数が急激に落ちてしまう。
それを予防するために
最大何万 kW しか送れないという制約が発生している。
(周波数制約の面でいうと)今
後は東西間にある周波数変換所(FC)が増設され、西日本が東日本とより繋がって
いるという状況になれば、
九州から本土に送電できる量も増える可能性があると考え
ている。
Q 中長期的な利益水準を考えると、
5か年平均経常利益目標 1,100 億円、
2030 年経常
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利益目標 1,500 億円と比べて、今回の業績見通しは低水準となるが、収益底上げに向
けて、どのような施策を講じていくか。
A 利益水準について、経常利益 1,100 億円目標は特重問題もあり実現が厳しい。2020
年度は川内1・2号の停止を石炭火力の効果的な発電、火力定修時期の調整、卸電力
取引所からの調達などによりフォローしていきたいと思っている。
財務目標について
は、来年の計画が立った時点で総括を行いたい。
一方で、2030 年 1,500 億円は手の届く水準と思っている。国内電気事業で 750 億円
としているが、九電みらいエナジーが売り上げを急激に伸ばしている。袖ケ浦LNG
火力も戦力に加われば、国内電気事業の伸び代は十分にあると考えている。残り 750
億円については、まず海外事業で、EGCO社をはじめ積極的に投資を行っており、
高い水準の利益を見込めると考えている。またICT事業について、QTnet の既存
の事業に加えて、データセンター事業を営むQICをQTnet と合併させて営業力を
アップさせるなど取り組みの強化を行っている。再エネ事業については、九電みらい
エナジーがバイオマス発電所を中心に建設を進めており、将来的には北九州の響灘に
22 万 kW の洋上風力発電所を建設できないか調査を行っている。さらに都市の再開発
や空港運営なども行っており、福岡空港は今年の4月から民間運営を開始し、熊本空
港は来年4月から開始する予定である。これらを考えると国内電気事業以外で 750 億
円とトータルで 1,500 億円は達成可能と考えている。
Q LNGの転売損について、
先ほど説明された対策により、
2020 年度は今の市況でも
転売損が発生しないと考えてよいか。
A LNGスポット価格は少し戻してきているが、その前は4ドル/MMBtu 台まで下が
っていた。そのような水準であれば厳しいが、量については、受け取りを引き延ばす
努力に加えて、LNGによる発電の増も検討するため、来期も今期のような状況にな
るとは思っていない。
Q オール電化料金見直しについて、見直しの理由を改めて説明してほしい。
A 料金見直しについて、現在、当社のオール電化メニューに入ってもらうと、2016 年
4 月から始まった「電化でナイト・セレクト」という自由料金メニューで契約しても
らうことになる。これであればよいが、それ以前のオール電化メニューは昼の需要が
非常に高く夜の需要が非常に少ない前提となっており、
現在の電気の使用実態にあわ
ないものとなっている。使用実態にあわせた「電化でナイト・セレクト」を始めた際
に、
旧メニューのお客さまにも新しい契約に移行してくださいと言えばよかったのか
もしれないが、昔の料金単価が安かったことから、急には難しいということで旧メニ
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ューを継続していた。旧メニューは夜間の料金単価が非常に安く、kWh 単価から託送
料金を引くとほとんど利益がない状況になっている。
収支を改善するためにやるとい
うよりも、
電気の使われ方の実態とコストが見合うように料金を調整させていただい
た。また「電化でナイト・セレクト」に入っている方と、それ以前からオール電化メ
ニューを契約している方とのバランスも考えながら検討した。
なぜこのタイミングで
見直したかというと、電気の使われ方の変化が定着したことや、旧メニューの新規受
付停止から4年間経過することを念頭に置いた。
Q 今回見直したプラン以外にリバランスする余地はあるか。
見直しによる収支改善は
どの程度か。
A 今回、既に受付を停止している「季時別電灯」を少し昼夜間リバランスするが、ま
だ「電化でナイト・セレクト」の基準には至っていない。それを将来的にどうやって
いくかという論点はあるが、当面は今の価格を維持する。
収支面でいうと、高圧のお客さまに対しては、個別に価格交渉しているが、2020 年
度は川内1・2号が止まることによる電力取引市場の価格変動等も見ながら、お客さ
まと交渉することになる。そういった意味で収益の改善ができるようになると考える。
オール電化メニュー見直しによる改善効果は一概に言えない。お客さまがどれだけ電
気の使用時間帯を移動するか分からない。また夜間の料金単価を上げるので、夜間に
電気を供給する新電力が現れるかもしれない。収支改善効果は正直分からない。
Q LNGの転売損への対応策について、
受け取りを引き延ばすだけなので市況が戻ら
なければ収支改善効果はないのか、市況が同じでも収支改善効果が生まれるのか、対
策の効果を補足してほしい。
A LNGについて、現在スポット価格は5ドル/MMBtu 程度だが、一時の4ドル/
MMBtu の水準で続くとすれば、単年度はともかく長期的な収支改善は難しい。当社と
しては、長期契約でも価格フォーミュラの見直しを売主と協議している。実際、一部
の契約でその交渉が成功している。原油連動価格とLNGスポット価格の乖離、LN
Gスポット価格の歴史的な低水準が相まって現在の状況となっており、
それを改善す
る方法を模索している。
Q 配当について、今回の5円減額修正で、結果として誰が得をする意思決定であった
のか分からない。九電として 20 数億円をセーブできるかもしれないが。九電の説明
では昨年から見ると配当増というが、40 円と言った後に、わずか 6 カ月で 35 円に訂
正しており、
信用するのが難しい状況となっている。
2020 年度はともかく中長期的に
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は自信があるという中で、
20 数億円のキャッシュアウトを我慢できない理由、
我慢し
ない理由が分からない。社内で様々議論があったというが、中長期的に自信があるの
であれば、なぜ我慢して 40 円配当するという意見が負けてしまったのかを教えてほ
しい。この点、取締役会において、社外取締役とどのような議論があったのかも紹介
してほしい。反対がなかった、議論にならなかったということであれば、そもそも九
電の社外取締役を含めた取締役会の構成がコーポレートガバナンス上、
疑念を持たれ
ることになってしまう。今回の決定を受けて、より良いガバナンスを目指すために社
外取締役を増やすなど、変えていく点があるか。
A 配当について、配当が高ければ良いという意見、投資先があるのであれば投資して
将来の株主価値向上につなげてほしいという意見等、様々あると思う。取締役の中に
は、自己資本比率を維持することを九電が公言しているのであれば、今回の業績見通
しを踏まえると 30 円配当にすべきとの主旨の意見もあった。そういう意味では健全
な議論ができた、ガバナンスが効いていると思っている。
Q 中長期で 1,500 億円利益を目指すというときに、袖ケ浦LNG火力、海外事業など
にキャッシュを使って利益を出していくという認識でいる。今回、株主向けのキャッ
シュフローを減らす中で、
投資のキャッシュフローがそのままで良いのかという議論
が行われているのか、少なくとも何かの投資を 100 億円削ったが、それだけではキャ
ッシュが回らないため配当も減らすということなのか。
顧客向けには4月に値下げも
行っているが、
株主というステークホルダーに対してケアが足りないのではと感じて
いる。地域社会、公益事業という点を考えると、全てを株主目線だけで決めるのは暴
論になると思うが、株主の位置づけがあまりにも低いように感じる。
A 個別の投資について、きちんとIRRを見てリスク評価をして投資を進めている。
投資は将来的に株主利益につながると思っており、値下げについても、値下げにより
一般のお客さまにコンタクトする機会が増える、
それにより強い絆をもって我々にず
っと目を向けていただける効果があると思っており、
値下げをしてお客さまにキャッ
シュを向けるという考え方を持っているものではない。
Q 他社販売電力料について、再エネが今後も増えていく中で、九州のスポット価格が
今のような低水準が続いても、説明された様々な取り組みによって来期以降、影響を
軽減できる、またはプラスに転じると思ってよいのか、市況の影響と取り組みの効果
について説明いただきたい。
A 他社販売について、
日本の市場はスパイクが起きにくく回収が難しいと実感してい
る。
その環境下で将来的に電源を維持できるかという危機意識を事業者も規制側も持
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っている。
2024 年からは容量市場ができて投資回収の仕組みができるが、
それまで待
っているわけにはいかない。新電力にとっても、気温影響、供給力の問題による調達
電力の価格変動リスクがあると思われるため、
相対による卸取引はお互いのリスクを
ヘッジする良い方法であると思っている。
Q 他社販売、LNGについて、これまでよりもマーケットリスクが高まってきたと理
解しているが、これに対して、九電としてどのような体制で臨んでいきたいのか、例
えばトレーディング部門の強化、ヘッジ策を措置など、社長の考えや実際の取り組み
状況を教えていただきたい。
A LNGについては、価格フォーミュラの見直しが重要と考えている。トレーディン
グ部門の強化については、今でもかなりのメンバーを投入して、電力取引、LNG取
引を行っている。LNGをLNGとして転売するのか、LNG発電を増やすかの検討
も必要であり、両取引の協働を含めて強化していきたい。両取引は既に同一の部門内
で行っており、体制自体は整っていると考えているが、内実を加えていきたい。
Q 九電単体の販売電力量の引き下げについての要因分解と、
離脱防止の状況について
説明してほしい。
A 販売電力量については気温影響等によるものと思っている。梅雨の長期化、台風な
どがあり、需要が伸びなかった。対前年では昨冬は暖冬であったため、気温が普通の
状況に戻れば下期は期待できると思っている。
離脱については、高圧のお客さまには50か所の営業拠点のアカウントマネージャ
ーが細かくフォローしている。契約中のお客さま、離脱されたお客さま、両方に対し
てメニューを提示して交渉している。私の肌感覚では、離脱が進むフェーズから取り
戻しのフェーズに移行していると思っている。省エネ診断などの他のサービスについ
てもアピールし、
価格競争だけではなく、
我々の方を向いていただく努力をしている。
その状況を踏まえて、来年、川内1・2号が停止することによる、市場価格や当社の
発電原価の変動等も見ながら、価格のご相談ができると思っている。
Q 九電みらいエナジーについて、販売電力量を伸ばしている背景はどうか。また収益
状況はどうか。
A 九電みらいエナジーは現状頑張っているが、さらに成長の余地があると思ってい
る。東京には九州をはじめ地方から出ている方が多い。最近の売り上げの伸びは九電
みらいエナジーの認知度が上がってきたことが大きな要因と思っている。この勢いを
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絶やさないように一生懸命取り組んでいく。今年 8 月に東京事務所を開設した。人員
も今後強化していく。今後の収益については、販売電力量の伸びを踏まえると期待で
きると思っている。
Q 資料P21 の配当のカッコ書き「中間、期末の内訳については、今回の修正が中間配
当の権利付き最終日を過ぎてからの公表となったため、
株主の皆さまへの影響を考慮
し、中間配当は 20 円で据置き、期末配当を 15 円に修正」については、年間配当予想
35 円の内訳を、15 円+20 円とするか、20 円+15 円とするか決定するにあたって考
慮した事項という理解でよいか。
A 配当については、35 円の内訳について、中間 20 円+期末 15 円、中間 17.5 円+期
末 17.5 円、中間 15 円+期末 20 円という選択肢があった。その中で、権利付き最終
日を過ぎていたことから、投資家の信頼を守りたいという観点から中間 20 円+期末
15 円を選択した。
Q 年間配当予想の 35 円への下方修正を株式市場が今回減配と見做したのは九電にと
って予想外だったのか。
A 当初配当予想 40 円から新予想 35 円への引き下げは、非常に申し訳ないし、皆さま
にショックを与えたと思っており、当初配当予想から減配であるという認識。中間配
当 20 円から期末配当 15 円への引き下げの実態も、
半期毎に見れば減配と理解してい
る。当社としては年度で判断したいという考えのもと、前年度配当 30 円から今年度
配当 35 円への引き上げと説明している。
Q 下期のLNGの転売損はゼロで織り込んでいると思うが、数量、余剰量について、
どのような前提で計算したのか。
A 下期発生予定のLNG転売損については、
発生する確度の高いものについては上期
に既に織り込んでいる。織り込みしていない分についても、下期はLNGスポット価
格が例年通り上昇すると見ていること、
また既に費用計上しているもので交渉により
契約を見直して取り戻せるものもあることから、
転売自体は発生するがそれらと相殺
するとゼロとなると考えている。転売が全くないということではない。
Q LNGの余剰がいつまで続くと見たらよいか。
どうやって余剰をなくしていくのか。
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A LNG余剰は、
長期契約が 2022 年度頃から切れ始めるため、
それ以降は減少する。
それまでの間は、2020 年度については、川内1・2号が停止するので、石炭の焚き増
しはあるものの、LNGの転売量は減る見通し。その先は契約交渉で、長期にわたっ
て引き取り量を薄くしてもらう、
海外のタンクに引き取ったものをタイミングを見て
転売するといった取り組みを進めていきたい。
以 上
本資料には、将来の業績に関する記述が含まれております。こうし
た記述は将来の業績を保証するものではなく、リスクと不確実性を
内包するものです。将来の業績は、経営環境に関する前提条件の変
化などに伴い変化することにご留意下さい。

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