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2020 年 5 月
九州電力株式会社
経営概況説明会(5/11 開催)における質疑応答内容
Q 2020 年度の業績見通しに関して、償却方法見直しによる減価償却費の 580 億円減
は、前年比か、もしくは従来の想定比か。その上で、減価償却費や修繕費など、コロ
ナの影響を直接受けないと思われる固定費の増減について確認したい。また、なぜ昨
年ではなく今回のタイミングで償却方法を変更したのか。
A 償却方法見直し影響の 580 億円というのは定率法と定額法の計算の差であり、
従来
の想定よりも減価償却費が 580 億円下がるという意味。一方で、2020 年度は川内1・
2号が8〜9か月止まるため、
燃料費の増加で 250 億円ほど収支が悪化すると考えて
いる。コロナ影響については、電気事業は他の業界、例えば観光や流通と比べると、
これまでの経験ではそれほど大きな影響を受けないともいえるが、
今回は産業用だけ
でなく業務用、デパート等も休業しているので、全く想定ができない。償却方法変更
については、2019 年 12 月に松浦2号の建設が終わり、大きな新規投資がなくなるこ
と、また、特重施設建設はあるが、
(稼働状況と)期間利益との関係があまりないこと
から、今回のタイミングが定額法に変えるのに一番良いと考えた。
Q 減価償却費の減 580 億円は、前年比でどの程度のプラス要因になるか。修繕費や人
件費については何か費用増減を見ておく必要はあるか。
A 人件費は大きく変わらないと思うが、
レジリエンス対応等のシステム開発などによ
り費用が増える可能性がある。
Q 繰延税金資産の取り崩し等により、単体の自己資本比率が 10%程度まで落ち込ん
でいると思うが、これが配当に与える影響はどうか。また 2019 年度決算でバランス
シートが弱くなった印象があるが、投資家としてどういったリスクを考慮すべきか。
A 今回、繰延税金資産を先行きの見方で少し取り崩し、これにより自己資本比率は
10%近くになったが、分配可能額は十分にある状況。配当については、復配以降これ
まで年々増やしている。
少なくとも 2019 年度の 35 円配当を維持できるように何とか
努力していきたい。
Q LNG の転売損について、2020 年度は発生しないように取り組むとの話があったが、
どういう対策、背景があるのか。また、仮に川内1・2号が戻り4基安定稼働となっ
た時、例えば 2021 年度はかなり原子力稼働率が高いと思うが、そのような年でも持
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続的に LNG 転売損を抑制できる体制が整いつつあるのか教えてほしい。
A LNG の転売損については、2020 年度は川内1・2号がそれぞれ8〜9か月止まり
LNG の消費量が増えるため、非常に少なくなってくると思う。その他にも、タイムス
ワップや引き取りの後倒しなどにより、転売損が出ないようにしようと考えている。
2021 年度は原子力4基体制になり原子力の発電電力量が増えて、
LNG の余剰も出てく
る。これらの努力を続けて、今のうちから余剰量そのものを少なくしていきたい。ま
た、2019 年度に厳しい状況にあったのは LNG のスポット価格だけが非常に下がって
原油の油価が下がらなかったことによるが、
現在は原油価格の方が下がっているので、
この状況がしばらく続けば 2021 年度も LNG の転売損は減ってくると考える。
Q コロナの影響について需要のマイナスよりも原油価格の下落の方が大きいという
ようにも聞こえたが、
卸電力取引所の価格だけを見ていると西日本だと昼間の時間帯
は 0 円近くまで下がっており、平均的にも3円程度にまで下がっている。これだけ卸
価格が下がると需要の絶対値の減だけではなく卸売の収益にもかなり影響があると
思うが、
そういった影響を含めてもコロナの影響よりも油価の下落のメリットの方が
大きいという印象なのか。
A コロナ影響がそれほど大きくないといっても、
4月の発電量は2〜3%減っている
状況。コロナの影響なのか、景気動向の要因、気温要因なのかまだ分析できていない
が、楽観視しているわけではない。さらに5、6月と長引けば電力需要が非常に心配
となるのは事実。また、再生可能エネルギーが入ってきて卸電力価格0円という時間
帯が増えている。電源開発に悪影響を及ぼす可能性があるので、容量市場等をきちん
と整備してもらいたいと思うが、卸電力価格0円の場合には、FIT買取の市場価格
連動分について回避可能費用が0円になるという点ではマイナス影響だけではない。
卸売の収益については、2019 年度は大きな収益を期待していたが、今期は 2019 年度
の状況を見てそれほど大きな数値で考えていないので、
概ね計画を達成できると考え
ている。
Q 配当について、電気事業で 50 円を配当したいとの考えに変更はないか。また財務
体質について、2021 年度末自己資本比率目標 20%程度から差が開いてしまっている
状況だが、中長期的に 50 円配当を目指すという姿勢に変わりはないか。
A 配当については年間 50 円に戻したいという考えに変わりはない。50 円に戻すため
に収益力を高めていくし、自己資本比率 20%程度の実現が確信できたときに 50 円に
戻すというこれまでのスタンスにも変わりはない。
Q 2019 年度の一過性要因についてだが、2020 年度には良くも悪くも出てこない項目
について、LNG 転売損や燃調スライドタイムラグ影響などのこれまでに言及されてい
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ない要素がもしあれば教えてほしい。
A 一過性要因について、LNG の転売損は 2020 年度については発生しないよう取り組
んでいるが、すべての要素について一過性か否かを峻別することはなかなか難しい。
Q 2019 年度は設備投資が 4,250 億円とのことだが、2020 年度の設備投資の方向感に
ついてコロナ影響除きで教えてほしい。
A 川内の特重施設が完成する年なので 2020 年度も高水準になると思う。
Q 発電と小売の収益性の管理の考え方について教えてほしい。
発販一体で考えている
ので発電と販売の間は考えていないのか、
または社内の取引価格を設定しているのか。
発販一体で管理しているということになると、九電の場合はスポット価格が安い時に、
スポット市場から調達するのか、自社火力で調達していくのか、どのように意思決定
しているのか。
A 発電と小売の社内取引価格は設定していない。原価は管理しているが、取引価格を
介在させて、それぞれの部門の利益管理を行うといったことはしていない。利益管理
はあくまでエネルギーサービス事業統括本部全体で行っている。電気事業は特殊で、
非常に長い年月に亘って電源を確保し電気を売るという商売なので、
発販一体で利益
管理をしていく方が良いと思っている。
それぞれ個別で管理することになると部分最
適になるかもしれないが、全体最適になる保証がないと思っている。しかし短期につ
いてスポットで買うのか自社火力で焚くのかという点については、
それぞれの発電ユ
ニット、市場の動向等も見ながら、同統括本部長の下で決定することとしている。
Q 玄海原子力の特重スケジュールに関するアップデート、
あるいは今後への決意があ
れば教えてほしい。
A 玄海特重のスケジュールについては、
大変ご心配おかけした。
4 月 14 日に請負会社
の社員がコロナ感染症に感染し 4 月 14 日から 4 月 24 日の 10 日間工事を止めたが、
玄海の特重完成期限は 2022 年としばらく時間があるので 10 日間程度の遅延につい
てはなんとか取り返せると考えており、
間に合うように頑張りたいというのは変わっ
ていない。
Q 玄海については特重の完成日と完工期限が概ね一致し、コロナ影響の有無を含め、
特重による停止はないとの想定と考えてよいか。
A 想定というよりも頑張りたいと考えており、
川内の経験もあるので審査や工事の面
においても経験を活かしながら間に合うようにしたい。
Q 足元の競争環境について、高圧以上は取戻しが進んでいると思うが、どのような点
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が評価されていると認識しているか。
低圧については引き続きスイッチングが高水準
で続いていると思うが、高圧以上、低圧、それぞれの今後の営業方針について教えて
ほしい。
A 足元の競争状況については、営業部門が非常に頑張ってくれていると思う。顔の見
える営業と我々は申し上げているが、高圧・大口のお客さまには営業の社員がお伺い
して関係性を深め、付加的なサービスを提案して、当社のお客さまに戻ってきてもら
う、
もしくはずっと当社のお客さまでいていただくということで成果が出ていると考
えている。家庭用についてはスイッチングが増えていることは事実だが、足元ではコ
ロナの影響かもしれないが、少しスピードが弱まっているという実感がある。マス対
応のため個別のお客さまを訪問してというわけにはなかなかいかないが、
営業のメン
バーが色々なところで営業店を開催したり、
ホームアドバイザーというメンバーが公
民館等でご紹介したりという形で取り組んでいきたいと考えている。
域外では九電み
らいエナジーが存在感を増している。
我々にとって自由化はチャレンジングであるが
良い方向に進んでいると評価している。
Q 油価が足元低迷しているが、
これが続いたときに新電力との競争にどのような影響
を与えるか。
A 元々、新電力も我々も油価については燃料費調整制度を適用しているため、油価が
上がった分はお客さまに負担していただく、
油価が下がった分はお返しするというこ
とで競争上はイーブンだろう。
しかし当社だけの例を言えば、
2020 年度は LNG の消費
量が非常に増えるということを考えると、我々にとってはメリットがあると考える。
Q 2020 年度は償却方法の見直しで減価償却費が 580 億円減少する一方で、原子力稼
働減により 250 億円程度燃料費が増え、また修繕費、諸経費も増えるとのことだが、
この部分だけを捉えると利益増要因となるか。
A 2020 年度は 2019 年度に比べて増益になりそうか、というご質問だと思うが、コロ
ナ影響があるため何とも言い難いが、
コロナ影響が軽微で止まれば利益増になるよう
に頑張りたいと思っている。
Q コロナ影響で4月の発電量が2〜3%減ったということだが、
足元の5月1〜2週
のトレンドはどうか。工場が停止し続け需要減少幅が拡大しているか、規制解除に向
けて需要回復の兆しがあるか。
A 5月も6日頃までのデータでは2〜3%減であったが、
ゴールデンウィークで特殊
な時期でもあり、5月のトレンドとして申し上げられる段階ではないと思っている。
Q 資料 P12 の電灯電力料収入の主な増減説明として記載された単価差さんかく270 億円と燃
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調差さんかく23 億円の差、さんかく250 億円の内容はどうか。また 2020 年度について、法人の離
脱防止、取り戻しのために競争値下げ原資を 2019 年度に比べてどの程度投入してい
くのか、営業政策・価格政策を含めて教えてほしい。
A 電灯電力料の単価差は、主に電気料金改定の影響によるもの。取戻しについてどの
程度原資をかけているかは、
営業政策なので申し上げられないが、
2020 年度は逆に川
内1・2号が稼働していないので、九州の卸電力取引市場価格が上がる方向と思われ
る。それに伴い新電力との競争条件も緩くなるものと期待している。
Q LNG の転売損を防ぐ方策として、タイムスワップ、引取り後倒しを行うとのことだ
が、具体的にどのようなことをして、どの程度量的に効果があるか。また後倒しを行
うと 2021 年度に原子力の稼働が増えたときに余計に LNG が余るのではないかとも思
うが、どの程度工夫の余地があるか。
A LNG のタイムスワップや引取り後倒しについては、
2022 年度でかなり大きな長期契
約が切れるため、できるだけその後ろに持って行って LNG の量を平準化しよう、使え
るだけの量にしようと考えている。
2021、
2022 年度が LNG 余剰対応としては大変な時
期と想定しているため、引取時期の調整、後倒し、また契約条項の範囲での減量オプ
ションの行使等によって極力余剰が発生しないように取り組んでいきたい。
Q 配当と財務の関係について、それだけで配当を決めているわけではないと思うが、
バランスシートの改善が大きくは進まない中で、
配当を上げていくスピードはどのよ
うに考えたらよいか。しばらく 35 円が続くと見た方がよいか。
A 財務は非常に大事な問題であり、目標である自己資本比率 20%程度、また以前は
25%程度あったので、その水準まで回復させたいと考えているが、我々の株を 0 円配
当等の非常に厳しい期間にもずっと持ち続けていただいている投資家の方々の期待
に応えるためにも、2020 年度については 2019 年度と同水準を何としても確保したい
と考えている。50 円への復配のスピードについては、従前から、自己資本比率 20%
程度が達成可能と思えた時と申し上げているが、特重の影響はあるものの、原子力が
2021 年度は4基稼働できる等、
不確定要素は減ってきているので、
当初想定のスピー
ドからは落ちるかもしれないが、50 円配当に戻るように頑張っていきたい。
以 上
本資料には、将来の業績に関する記述が含まれております。こうし
た記述は将来の業績を保証するものではなく、リスクと不確実性を
内包するものです。将来の業績は、経営環境に関する前提条件の変
化などに伴い変化することにご留意下さい。

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