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2020 年 11 月
九州電力株式会社
経営概況説明会(11/11 開催)における質疑応答内容
Q 足元の業績と、2030 年目標、2021 年度までの中計目標との間にギャップがある。
来年度、原子力4基体制となるが、原子力4基稼働時の実力利益をどの程度と見てい
るか。
A 2020 年度の経常利益見通しは 450 億円だが、この中にはコロナ影響約 200 億円、
特定重大事故等対処施設(特重施設)設置に伴う川内原子力停止影響約 200 億円、災
害対応や法的分離に伴うシステム開発費用などの修繕費・諸経費の増加約 200 億円が
含まれている。一方で、燃調タイムラグによる差益が 160 億円あるため、今年度の一
時的な押し下げ要因は 450 億円程度。
経常利益見通しの 450 億円と一時的な下押し要
因 450 億円を足した 900 億円程度が今期の実力利益と考えている。2030 年経常利益
目標 1,500 億円はチャレンジングな目標だが、再エネ、海外、都市開発事業で将来に
向けた布石を打っており、
それらでの利益増加分により達成していく。
2021 年度の利
益見通しについては、
コロナ関連の下押し要因がどの程度解消されてくるかどうかに
もよるため、現時点では見通せる状況にない。
Q 配当政策について、自己資本比率 20%の達成に確信が持てた際に 50 円配当に復配
するとのことだが、ハイブリッド債発行により格付上認められる自己資本と 20%目標
との関係性をどのように位置づけているか。
A ハイブリッド債発行により格付上の自己資本比率は2%程度増加が見込まれるが、
50 円への復配時期への判断材料となる自己資本比率 20%にはこれを入れて考える。
2020 年 9 月末の自己資本比率は 13.2%であるため、これに2%を足して現状約 15%で
あり、自己資本比率 20%の達成を確信するまではそう長くはかからないと考える。ま
た、川内1号が 11 月、2号が 12 月に運転再開し安定的に稼働するようになれば原子
力のリスクは減ることになるため、確信の度はさらに増していくと考える。
Q 2050 年カーボンニュートラル、再エネ拡大のための地域間系統の増強の議論が出
ているが、こうした社会の要請に対して、現在の地域分割の事業体制は応えられるも
のと考えているか。
もしくは今後ゼロベースで事業体制を見直していく考えはあるか。
池辺社長は電事連会長を務めていることもありお尋ねする。
A 電事連会長ではなく九州電力社長としての考えだが、
現在の地域毎の体制は非常に
機能していると考える。
戦中・戦後は電力会社が1つで非効率な体制であったものが、
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民営電力として地域毎に分割され効率的な運営ができるようになった。JR も同様だ
が、適度な規模に分割するのが世の中の流れと認識している。一方で、さらに規模を
小さくすることは規模の経済を無視することになり現状が適切と考える。
九州でいえ
ば、原子力は2か所のサイトで運営しているが、現在の規模だからこそ社長として目
が届く。また送配電についても、現在の規模だからこそエリアの一体感をもって運営
できている。
Q 現状、日本の地域電力では、発電・小売・送配電・再エネ・海外を一貫して運営し
ているが、この事業ポートフォリオの中で、強弱をつけていく必要、あるいは見直し
ていく必要性についてどのように考えるか。場合によっては、一部は外部に出すとい
うことがありえるのか。
A 送配電については 2020 年4月に分社化したが、送配電は発電・小売・海外といっ
た競争的な分野とは事業の性質が違うため、
この分社化は前向きに捉えている。
一方、
発電・小売・海外は非常に近しい事業であり、特に発電と小売は相互補完関係が非常
に強いため一体でやっていくべきと考えており、
現在の一体運営体制は理に適ったも
のであると捉えている。
Q 2050 年カーボンニュートラルを目指していく中で、
原子力、
再エネをほとんどにし
て電力のゼロエミッション化を図るのか、もしくは火力を一定程度利用して、火力か
ら排出される CO2 をオフセットすることを目指すのか。もし後者であるならば、オフ
セット技術はどういったものがあるか。
A 2050 年カーボンニュートラルを菅総理が表明したことは前向きに受け止めたい。
その際の電源構成について、将来的には原子力と再エネが中心となるだろうが、その
ためには低コストで蓄電できる技術が開発になる。
またフランスなどでは原子力の出
力変動を行っているが、原子力に対する社会から評価の問題もあり、実際にどこまで
できるかは疑問。火力を再エネの出力変動に対する調整力として持つ必要性は高く、
火力により排出される二酸化炭素を貯留し、
植物工場・化学工場などで使用する CCUS
の技術開発を進めていく必要がある。
現時点ではいずれが上手くいくかわからないた
め、安定供給確保の責任がある電力会社としては、特定の技術のみに傾注するのでは
なく、各技術開発の状況、世論の状況を踏まえつつ、再エネ、原子力、火力いずれに
も取り組んでいきたい。
Q 2019 年度、2020 年の燃調タイムラグ影響を確認したい。
A 燃調期ずれ影響は 2019 年度 140 億円、2020 年度 160 億円の増収である。
Q 電気事業の稼ぐ力がどう変化しているのか聞きたい。
競争進展により業界全体の利
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幅が圧縮されていると感じるが、
利幅の圧縮が九電の実力ベース利益にどの程度影響
しているか、どのように分析しているか。それを踏まえて、今後も国内電気事業の利
幅が下がるため海外などの成長事業に取り組んでいくという考えか、
それとも国内電
気事業の利幅の改善に向けて取り組むという考えか。
利幅の開示は各電力とも行っていないが、他業界では、利益率やスプレッドを前年
比で示すなど工夫しているので、
電力会社も何らかの形で開示できないか工夫してほ
しい。総平均の利幅について、絶対値でなく例えば前年比の形で開示することも競争
上不利に働くか。
A 利幅が抑えられている要因については、小売・卸売での競争激化、卸売では再エネ
導入拡大による市場価格低下が影響している。卸電力価格が下がっている中、容量市
場の導入により 2024 年度からは、
kW 価値を新電力が応分負担することになる。
また、
非化石電源価値など電気が持つ価値を分割された形で回収できる方向に向かってい
る。
利幅について社内で分析しているが、競争相手に情報を与えることになるため、開
示できない情報と考えている。
Q これは要望だが、今の取り組みが 2030 年経常利益 1,500 億円に向かっているのか
判断できるような材料がほしい。例えば5年後の中間目標を示すなどできないか。
A 仰ることは理解できるので、中間目標については検討してみたい。
Q 2030 年目標の達成のためにどの程度の投資が必要となるか。そのうち 2020 年度は
どの程度となるか。
オペレーティングキャッシュフローでまかなえるレベルかも合わ
せて教えてほしい。
A 玄海の特重施設完成を目指す 2022 年頃までは投資負担が重く、フリーキャッシュ
フローがマイナス傾向になると思うが、
その後は電気事業で大きな投資負担はなく改
善していく見通し。
海外や再エネ等の成長事業への投資では 2017-2021 年度で 4,200 億円の計画を掲げ
ているが順調に投資している。2022 年度以降も同程度の投資を行うことで、2030 年
の経常利益目標を達成する予定。
Q 九電みらいエナジーが躍進する背景を教えてほしい。また域内でも高圧・特高を中
心にシェアを取り戻している背景は何か。
A 九電みらいエナジーの販売電力量は、
九州人のつながりで地道に拡大していると認
識している。九州の企業とのつながり、人とのつながりで営業活動を展開している。
域内での高圧・特高での取り戻しについては、アカウントマネージャーが離脱された
お客様を含めて御用聞きまわりをしており、
省エネ診断でのご相談など受けることで
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関係を強化している。
Q 別添資料 P9「
(2020 年度第2四半期の)連結経常利益の変動要因」で小売・卸売販
売電力量の増+230 億円とあるが、販売電力量 26 億 kWh の増加に比して影響額が大
きいように感じる。計算の仕方によると思うが、実態としてこの程度変動していると
いうことか。
A (コロナ影響なかりせば+41 億 kWh 増加であったという前提のもと)
適切に算定し
た金額として示している。
(注記)コロナ影響さんかく15 億 kWh による利益減さんかく160 億円は別に示しているため。
Q ハイブリッド債について、返済が必要な資本という性質を考えると、ハイブリッド
債の相当分2%を自己資本にカウントすることに違和感があるが、
時間的な猶予を確
保するために調達した、
すなわち資本を前取りして配当の原資とすることとしたとの
理解でよいか。
A ハイブリッド債の発行は、成長投資への活用が大きな目的だが、利益の前取りとい
う考え方も取り得るし、
配当を考える上で2%は自己資本にカウントして良いと考え
ている。
Q 別添資料 P19「連結経常利益の変動要因」
(前年比)について、
「修繕費・諸経費の
増」180 億円、
「その他」130 億円について、内訳を説明してほしい。
A 「修繕費・諸経費の増」について、前年比で見ると、LNG 転売損の減(170 億円)が
あるものの、修繕費 110 億円、諸経費 240 億円の費用増となる。修繕費については、
豪雨・台風の災害復旧費用が発生したこと、スマートメーターの取り替え工事が今回
増加したことが大きな要因。諸経費については、法的分離に伴うシステム開発等の委
託費の増加、原子力の定期検査に関連した消耗品費の増加などがある。これらは一時
的な要因。
「その他」
について、
国内電気事業以外の収支悪化分が 70 億円程度ある。
収支悪化
の理由は様々だが、例えば海外の発電事業における定期検査の入り方の影響 20 億円
程度や、油価下落に伴う LNG 販売収入の減少などがある。また、国内電気事業におい
ても固定資産除却費が 40 億円程度増加している。
Q 今回の業績予想発表までのプロセスを確認したい。
経常利益予想 450 億円は昨年比
で増益だが、減価償却費見直しの影響を踏まえると厳しい水準と思える。業績予想発
表までにどのような議論があったか、コスト削減がどのように織り込まれているか、
どのようにマネジメントしていくか等確認したい。
A 確かに経常利益 450 億円は当社の通常の水準と比べると低いと思うが、
新型コロナ
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の影響や、川内原子力が長期にわたって停止している状況がある中で、増益を確保で
きたとも言える。
修繕費などをもっと削減してより多くの利益を出すべきとのご意見
があるかもしれないが、安定供給を守るインフラ事業者としては、壊れたから直すの
ではなく、
最適な水準の設備を維持するために必要な修繕費の水準があると考えてい
る。ただ一方で、当然、業務全般にわたって引き続き効率化の努力を積み重ねていく
必要がある。
以 上
本資料には、将来の業績に関する記述が含まれております。こうし
た記述は将来の業績を保証するものではなく、リスクと不確実性を
内包するものです。将来の業績は、経営環境に関する前提条件の変
化などに伴い変化することにご留意下さい。

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