1九電グループ
TNFD レポート 2023
2023 年 9 月 2目次
0. はじめに............................................................................................................................... 4
0.1. 九電グループの自然資本に対する考え方........................................................................4
1. ガバナンス・リスクマネジメント .................................................................................................6
1.1. 自然資本に関する九電グループのガバナンス体制............................................................6
1.2. 自然関連リスク等のマネジメントプロセスと組織全体のリスクマネジメントへの統合.............7
2. 自然資本関連の影響と依存..................................................................................................8
2.1. アプローチ .....................................................................................................................8
2.2. 自然資本関連の影響と依存の評価結果 ........................................................................9
2.2.1. 火力発電事業における自然資本関連の影響と依存の評価結果.............................10
2.2.2. 原子力発電事業における自然資本関連の影響と依存の評価結果 .........................12
2.2.3. 水力発電事業(一般水力/揚水式)における自然資本関連の影響と依存の評価結果
........................................................................................................................................13
2.2.4. 地熱発電事業における自然資本関連の影響と依存の評価結果.............................14
2.2.5. 送配電事業における自然資本関連の影響と依存の評価結果.................................15
2.3. 自然資本関連リスクの評価..........................................................................................15
2.3.1. 火力発電のリスクの評価結果...............................................................................19
2.3.2. 原子力発電のリスクの評価結果 ...........................................................................20
2.3.3. 水力発電のリスクの評価結果...............................................................................20 32.3.4. 送配電事業のリスクの評価結果 ...........................................................................20
3. 自然資本に関する機会........................................................................................................21
4. TNFDで開示が求められる指標と目標.............................................................................24 40. はじめに
0.1. 九電グループの自然資本に対する考え方
九州の地域経済や生活は、九州の豊かな自然資本によって支えられており、その九州の発展なくして
九電グループの発展はありません。九電グループは、事業活動に伴い環境負荷を発生させている企業グ
ループとして、環境保全に真摯に取り組んでいく責務があると認識しています。時に大雨・強風等により自
社設備等が被害を受けることがあるものの、豊富な雨量と豊かな自然により涵養される水資源や生物多
様性を含む自然資本は、水力発電のためエネルギー源など、九電グループの事業活動を支える重要な
柱であると考えています。
九州の恵まれた自然資本と九州電力
九州は、日本列島の南西部に位置して、面積は約 4 万 7,000 平方キロメートルになり日本の総
面積の約 11%を占める地域です。
九州は海に囲まれており北西部リアス海岸は豊かな漁場であり、有明海というおだやかな内海も有
しています。九州電力の主要な電源となる原子力発電(36%)、火力発電(36%)は海に面し
た土地に発電所が立地し、冷却水を海から取水し、海に排水しています。また、九州は日本国内でも
比較的温暖な気候であり、豊かな自然資源を活用した再生可能エネルギーの導入が進んでいます。
日照に恵まれていることから太陽光発電も盛んです。また、九州の河川は、多くが山地から流れており、
水量が豊富です。九州電力ではこれらの豊富な水資源を水力発電で利用しています。九州のほぼ中
央にはカルデラで知られる阿蘇山があり、西には雲仙岳、南には霧島山や桜島など活発に活動してい
る火山が存在しており、豊富な地熱がエネルギーとして存在します。九州電力ではこれらのエネルギー
を活用するために地熱発電所を設置しています(九州の地熱発電は、日本の地熱発電の約 40%
を占めています)。
九州は自然資源が豊富な地域ですが、一方で、火山や台風や地震など自然リスクが一定程度あ
る地域でもあります。南の太平洋上から湿った季節風が吹き、雨が多く降り特に梅雨や台風の影響を
受け初夏から秋にかけて特に降水量が多く、九州は台風の通り道となります。
九電グループは、事業活動と環境の両立(環境経営)の指針である「九電グループ環境憲章」の下、
持続可能な社会の実現を目指して、グローバルな視点で地球環境の保全と地域環境との共生に向け
た取組みを展開しています。そして、事業活動と環境の両立する環境経営を着実に推進するための中
長期的な基本方針である「環境活動方針」に基づき策定した「中期 ESG 推進計画」・「環境活動計画」
のもと、地域コミュニティとの共創による地域課題の解決や、生物多様性の保全や森林経営に取り組ん
できました。設備形成時には設備や地域の特性に応じた適切な環境アセスメントの実施等により、環境
配慮を図るとともに、周辺環境との調和に努めており、また、設備の運転等にあたっては法令や地域との
協定等を遵守し、地球環境の保全と地域環境との共生に向けた取組みを展開しています。
世界的には、2022 年 12 月にカナダで採択された新たな生物多様性に関する世界目標である「昆 5明・モントリオール生物多様性枠組」をはじめ、昨今、自然資本への取組みに注目が集まっています。そこ
で、今回、TNFDβ版 v0.4 の情報開示フレームワークおよび電気事業者向けのガイダンスを参照した情
報開示を試行的に実施1
し、事業活動における自然資本に関わるリスクや機会に関する分析を行いまし
た。今後も継続的に、自然資本への影響と依存、リスクの評価を行い事業活動を展開することで、「ネイ
チャーポジティブ経済」への移行に貢献するとともに、ステークホルダーの皆さまからの信頼向上に継続的に
取り組んでまいります。
なお、今回の試行的に実施した情報開示の対象は、九電グループの「国内電気事業」のうち、「火力
発電(石炭・LNG)」、「原子力発電」、「水力発電」、「地熱発電」(九州電力株式会社)、及び
「送配電事業」(九州電力送配電株式会社)です。今後は、TNFDv1.0 の枠組み等を踏まえて改め
て内容を見直すとともに、海外の電気事業や都市開発等の非電気事業など今回対象外とした範囲に
関しても評価を行うなど、TNFD の枠組みに沿った情報開示の充実を進める予定です。
【図】環境活動方針 5つの柱
【図】九電グループ環境憲章1今回の検討に当たっては、電力中央研究所の富田基史氏より、自然資本と電気事業に関して、多
面的なアドバイスを頂戴いたしました。この場を借りて御礼を申し上げます。
九電グループ環境憲章 〜環境にやさしい企業活動を目指して〜
九電グループは、持続可能な社会の実現を目指して、グローバルな視点で地球環境の保全と地域
環境との共生に向けた取組みを展開します。
1 地球環境問題への適切な対応と資源の有効活用に努め、未来につなげる事業活動を展開します。
2 社会と協調し、豊かな地域環境の実現を目指した環境活動に取り組みます。
3 環境保全意識の高揚を図り、お客さまから信頼される企業グループを目指します。
4 環境情報を積極的に公開し、社会とのコミュニケーションを推進します。
2018 年 6 月改正 61. ガバナンス・リスクマネジメント
1.1. 自然資本に関する九電グループのガバナンス体制
九電グループは、自然資本を含む ESG の取組みを推進するために、2021 年 7 月、取締役会の監
督下に、社長を委員長とする「サステナビリティ推進委員会」を設置しました。本委員会では、ESG 全般
に係る戦略・基本方針の策定(マテリアリティの特定)、具体的方策の審議、施策実施状況の進捗管
理に加え、気候変動に関する戦略・リスクについての審議・監督を行います。年に 2 回以上開催するサ
ステナビリティ推進委員会の審議結果は、取締役会に遅滞なく報告しており、取締役会は ESG に係る
活動全般を監督しています。
また、本委員会の下には、ESG 担当役員を議長とする「カーボンニュートラル・環境分科会」を設置
し、自然資本を含む環境問題全般について、より専門的な見地から審議を行っています。この「カーボン
ニュートラル・環境分科会」では環境マネジメントにかかるマネジメントレビューを行い、審議結果を九電グ
ループ全体の環境管理システムに反映していきます。2021 年 11 月に公表した、九電グループが目指
す 2050 年のゴールや、2030 年経営目標(環境目標)の上方修正を含む「カーボンニュートラルの
実現に向けたアクションプラン」は、カーボンニュートラル・環境分科会及び本委員会での議論を経て、取
締役会で決議しました。
加えて、九電グループにおいては、以前 5 つのモデル事務所で認証取得していた ISO14001 の考え
方を取り入れた環境管理システムを構築し、環境活動を効率的・効果的に推進しています。環境管理
システムは、トップマネジメントのもと、環境経営を着実に推進していくため環境管理に関する具体的行
動計画である「中期 ESG 推進計画」および「環境活動計画」の策定・実施およびチェック・アンド・レビュ
ーを行うものです。カーボンニュートラル・環境分科会でのマネジメントレビューを継続的に実施し、PDCA
サイクルを着実に回すことにより、継続的な改善に努めています。
【図】 九電グループの自然資本に関するガバナンス体制図
しかく 九電グループの環境管理推進体制 しかく九電グループの環境管理システム 7TNFDβ版 v0.4 で言及されている 6 つの一般的要求事項のうちの 1 つである「他サステナビリティ課
題との統合」に関して、九電グループでは事業活動に関連して起こり得る人権への負の影響を防止・軽
減することはもとより、人権を尊重した事業活動を推進することで、サステナブルな社会への貢献と九電グ
ループの企業価値の向上を実現することを目指しています。具体的には、「九電グループ人権方針」のも
と人権デュー・ディリジェンスを実施し、優先的に対応すべき「重要な人権リスク」として、「差別(ジェンダー
ギャップ含む)」「環境汚染、破壊」「地域住民の権利の不適切な制限」を含む5項目を特定のうえ、教
育・研修、お取引先アンケート等の対応策を検討・実施しています。自然資本保全においても、人権リス
クに配慮しながら取組みを進めています。また、お取引先の皆さまに対しては、「サステナブル調達ガイドラ
イン」において、温室効果ガスの排出削減、有害な物質の大気への排出削減、水の管理など環境・生
物多様性保全の項目等のほか、強制労働や児童労働の禁止など人権・労働に関する項目についても
遵守を求めています。
1.2. 自然関連リスク等のマネジメントプロセスと組織全体のリスクマネジメントへの統合
九電グループにおける自然関連リスクは、法令や地域との協定等の遵守および自社基準によってマネ
ジメントされていると考えています。発電所操業においては、各発電所単位で高い品質のマネジメントを
達成しており、立地時の環境アセスメントおよび操業時のモニタリングによって法令や地域との協定等に定
められた規制値を遵守しています。
火力発電所では、発電所毎に、自治体と協定を締結し、大気汚染(SOx,NOx、煤塵、粉塵)、水
質汚濁(冷却水、残留塩素、排水処理排水(PH,COD,SS,ノルマルヘキサン抽出物質含有量,窒素
含有量,燐含有量)、灰処理排水(pH,SS,透視度))、騒音・振動、悪臭などについて協定に定められ
た基準値を遵守して操業しています。
原子力発電所では、原子力発電所毎に自治体と安全協定を結び、大気汚染(窒素酸化物の排
出濃度)や水質汚染、放射性物質に関して管理を徹底しています。原子力発電所周辺において、放
射線量を連続して監視・測定し、ホームページ上でリアルタイムにデータを公開しています。また、定期的
に土・海水・農作物・海産物等の環境試料に含まれる放射能を測定しており、現在まで、原子力発電
所の運転による影響は認められていません。なお、原子力発電所周辺の人が受ける放射線量は、年間
0.001 ミリシーベルト未満で、法定線量限度の年間 1 ミリシーベルト及び旧原子力安全委員会が定め
る目標値の年間 0.05 ミリシーベルトを大きく下回っています。
水力発電所では、河川法など各種関係法令を遵守した適切な運用を行うとともに、立地地域との共
生を図りながら、生態系へ影響を及ぼす虞のある土砂堆積や水質変化等に対して、様々な取組みを実
施しています。
地熱発電所では、地熱発電所毎に自治体と地域協定を結び、河川水などの水質(ph,砒素、塩
化物イオン)、河川土中の砒素、還元井の時間当たりの注入量や地下水位の変化、地表の硫化水
素濃度、表土の水素イオン濃度、騒音対策等に関して覚書を結び、汚染による自然資本への影響が
少なくなるように操業しています。 82. 自然資本関連の影響と依存
2.1. アプローチ
既に公表されているガイドラインやツール等を参考に、TNFDβ版 v0.4 の LEAP アプローチ2
による自
然資本への影響と生態系サービスへの依存、及び自然資本関連リスクの評価を実施しました。
まず、自社の直接操業と燃料調達が自然資本に与える影響と生態系サービスへの依存を、グローバ
ルなデータにもとづく評価ツールである ENCORE3
を用いて分析しました。
【図】「影響」に関するヒートマップ(ENCORE 版)
【図】「依存」に関するヒートマップ(ENCORE 版)2自然関連のリスクと機会を体系的に評価するためのプロセスとして TNFD によって提唱されたもの。自
然との接点を発見する(Locate)、依存関係と影響を診断する (Evaluate)、リスクと機会を評価
する(Assess)、自然関連リスクと機会に対応する準備を行い投資家に報告する(Prepare) の 4
フェーズから構成される。3Natural Capital Finance Alliance が主導で、UNEP-WCWC 等と共同で開発。
ENCORE: Exploring Natural Capital Opportunities, Risks and Exposure.
Available at: https://encore.naturalcapital.finance.
DOI: https://doi.org/10.34892/dz3x-y059
燃料調達 Very High High - Very High - High High High High High High
発電 - High - Very High - High High Middle Middle High High
燃料調達 High High Very High Very High - High High High High High High
発電 - High - Very High - High High Middle Middle High High
燃料調達 Very High High - Very High - High High High High High High
発電 - High - Very High - High High Middle Middle High High
水力発電 発電 Very High Very High - Very High - High - High High - -
地熱発電 発電 - - - Very High - High - High High - High
Middle - - - - High - Middle - - -
発電種別 工程
土地改変 直接採取 気候変動 汚染 その他
影響
大気 水域 土壌 廃棄物 騒音/光害
火力発電
(石炭)
火力発電
(LNG)
原子力発電
送配電
陸域 淡水域 海域 水 水以外 GHG
自然関連資本
汚染物質 汚染物質
無害化 濾過
燃料調達 High High - High - - Middle High -
発電 Very High Middle Very Low Very Low Low Middle Low Middle Low
燃料調達 Very Low Very Low Very Low Very Low Very Low Very Low low - -
発電 Very High Middle Very Low Very Low Low Middle Low Middle Low
燃料調達 High High - High - - Middle High -
発電 Very High Middle Very Low Very Low Low Middle Low Middle Low
水力発電 発電 Very High Middle Very Low Very High Very Low High High Very High Low
地熱発電 発電 Middle Very High Very Low Very Low Very Low Middle Low Middle Low
- - - High - Very High High - -
発電種別 工程
供給サービス 調整サービス 基盤サービス
依存
浸食防止 水流維持 水質維持
表流水提供
火力発電
(石炭)
火力発電
(LNG)
原子力発電
送配電
地下水提供 気候調整 洪水防止
自然関連資本 9そして、生物多様性保全において重要な地域をマッピングした KBA4
のデータベースで自社設備が立
地する地域の自然の状況を分析した結果や、自社で保有するデータと環境関連データと ENCORE の
評価結果を比較し、自然資本への影響と生態系サービスへの依存の評価を実施しました。評価は
ENCORE に倣って 5 段階(Very High、High、Middle、Low、Very Low)で行い、立地や事業
特性の違いや、法令や地域との協定、自社基準に基づいた操業を行っている点等も考慮しています。
また、九州では、自然資本および事業へ大きなインパクトを与える地学的な事象として、地震及び地
震による津波が想定されます。30 年以内に 3%以上の地震発生が予想される直下断層として「福智
山断層帯」「警固断層帯」「日奈久断層帯」「雲仙断層群」があり、沿岸で大地震が発生するリスクがあ
る箇所として、日向灘(M7.0〜7.5 程度が 80%程度)、南海トラフ(M8〜9 クラスが 70%〜
80%)、安芸灘〜伊予灘〜豊後水道(M6.7〜7.4 程度が 40%程度)があります。これらのリスク
を鑑みて、財務に与える影響を評価するために、独自に地震・津波の項目を設置しました。
2.2 自然資本関連の影響と依存の評価結果
上記記載の評価基準をもとに九州電力および九州電力送配電では、以下の通り自然資本への影
響と生態系サービスへの依存のヒートマップを作成しました。このヒートマップは、九州電力および九州電
力送配電のサプライチェーン全体を俯瞰して、九州電力および九州電力送配電が自然資本に与える影
響と生態系サービスに依存する事業のホットスポットを示しています。なお、自然災害については、過去約
30 年間で発生した事象、または、今後 30 年間で発生する可能性が高いとされている事象が、発生し
た場合を想定しました。
【図】「影響」に関するヒートマップ(九州電力および九州電力送配電版)4Key Biodiversity Areas の略で、生物多様性保全の鍵となる重要な地域として国際 NGO 等によ
って指定された地域を指す。
燃料調達 Very High High - Very High - High High High High High High
発電 - Low Low Low - Very High Low Low Low Low Low
燃料調達 High High Very High Very High - High High High High High High
発電 - Low Low Low - Middle Low Low Low Low Low
燃料調達 Very High High - Very High - High High High High High High
発電 - Low Low Low - Very Low Low Low Low Low Low
水力発電
(一般水力)
発電 Middle Low - Low - Very Low - Low Low - -
水力発電
(揚水式)
発電 Low Low - Low - Very Low - Low Low - -
地熱発電 発電 - - - Low - Very Low - Low Low - Low
Low - - - - Very Low - Low - - -
水域 土壌 廃棄物
騒音/
光害
淡水域 海域 水 水以外
温室効果
ガス
発電種別 工程
土地改変 直接採取 気候変動 汚染 その他
自然資本関連
影響
陸域 大気
火力発電
(LNG)
原子力発電
送配電
火力発電
(石炭) 10【図】「依存」に関するヒートマップ(九州電力および九州電力送配電版)
【図】地震・津波に関するヒートマップ(九州電力および九州電力送配電版)
2.2.1. 火力発電事業における自然資本関連の影響と依存の評価結果
しかく火力発電事業における燃料調達(石炭、LNG)
石炭の調達による自然資本への影響に関しては、土地改変-陸域、直接採取-水を「非常に大きい
(Very High)」、土地改変-淡水域、気候変動-温室効果ガス(GHG)、汚染-大気、汚染-水域、汚
染-土壌、汚染-廃棄物、外来種-騒音/光害を「大きい(High)」と評価しました。生態系サービスへの
依存度に関しては、供給サービス-表流水提供、供給サービス-地下水提供、基盤サービス-水流維持
を「大きい(High)」と評価しました。他方、調整サービス-気候調整に関しては、グローバルなデータに基
づく ENCORE では「大きい(High)」と評価されていますが、ENCORE で引用されている文献を精査した
結果、局所的な気候(気温、湿度、風速)の調整サービスへの依存は確認されなかったため、「非常に
小さい(Very Low)」と評価しました。なお、2022 年度の石炭については、オーストラリア(81%)、カ
ナダ(11%)、アメリカ(6%)、その他(2%)から輸入しています。
その他要因
燃料調達 Very Low
発電 High
燃料調達 High
発電 High
燃料調達 Very Low
発電 Very Low
水力発電
(一般水力)
発電 High
水力発電
(揚水式)
発電 High
地熱発電 発電 LowHigh地震・
津波
発電種別 工程
火力発電
(LNG)
原子力発電
送配電
火力発電
(石炭)
汚染物質 汚染物質
無害化 濾過
燃料調達 High High - Very Low - - Middle High -
発電 Low - Very Low Very Low Low Low Low Low Low
燃料調達 Very Low Very Low Very Low Very Low Very Low Very Low Low Very Low -
発電 Low - Very Low Very Low Low Low Low Low Low
燃料調達 High High - Very Low - - Middle High -
発電 Low - Very Low Very Low Low Very Low Low Low Low
水力発電
(一般水力)
発電 High - Very Low Very Low Very Low High High High Low
水力発電
(揚水式)
発電 Low - Very Low Very Low Very Low High High Low Low
地熱発電 発電 Low - Very Low Very Low Very Low Low Low Low Low
- - - High - Low Low - -
気候調整 洪水防止 浸食防止 水流維持 水質維持
表流水
提供
地下水
提供
発電種別 工程
供給サービス 調整サービス
自然資本関連
依存
基盤サービス
火力発電
(LNG)
原子力発電
送配電
火力発電
(石炭) 11LNG の調達による自然資本への影響等に関しては、土地改変-海域、直接採取-水を「非常に大き
い(Very High)」、土地改変-陸域、土地改変-淡水域、気候変動-温室効果ガス(GHG)、汚染―
大気、汚染-水域、汚染-土壌、汚染-廃棄物、その他-騒音/光害、地震・津波を「大きい(High)」と
評価しました。なお、2022 年度の LNG については、オーストラリア(68%)、ロシア(16%)、インド
ネシア(13%)、その他(3%)から輸入しています。
しかく火力発電事業(石炭、LNG)
火力発電事業の発電事業(石炭、LNG)による自然資本への影響に関しては、グローバルなデータ
に基づく ENCORE では、直接採取-水は「非常に大きい(Very High)」、土地改変-淡水域、気候変
動-温室効果ガス(GHG)、汚染-大気、汚染-廃棄物、その他-騒音/光害は「大きい(High)」と評価さ
れています。また、生態系サービスへの依存度に関して、供給サービス-表流水提供は「非常に大きい
(Very High)」と評価されています。
火力発電事業では、冷却水としては海水を利用しており、温排水と取水の温度差を地域との協定で
定められる 7°C以内の温度差に抑えています。また、温排水を素早く周囲の海水の水温と同じにするた
め、深層取水・水中放流を実施しています。発電用水として利用する淡水は、法令に基づき許可を得た
取水量の遵守や発電所運転中の循環利用等によって、消費量の低減に努めており、WRI Aqueduct
(3.0)による評価でも、九州地域内の水リスクは最大でも「Low-Medium」であり、水の直接採取や
淡水域・海域における土地改変が自然資本に与える影響は「小さい(Low)」と評価しました。
温室効果ガス(GHG)の排出については、石炭火力と LNG 火力で違いがあります。電力中央研究所
報告「日本における発電技術のライフサイクル各種電源のライフサイクル CO2 排出量」によると、1kWh
当たりの発電燃料燃焼分(直接)の二酸化炭素排出量は(石炭火力:864g-CO2/kWh、LNG 火
力 476-CO2/kWh)となっています。そのため、九州電力では、火力発電(石炭)による温室効果ガス
(GHG)の排出が自然資本に与える影響は「非常に大きい(Very High)」と評価しました。(石炭火力
と比較して LNG 火力の自然資本への影響は「中程度(Middle)」と評価しました。
大気汚染や廃棄物、騒音/光害に関しても、九州電力の火力発電事業においては、基本的に自然
資本や地域住民に与える影響が「小さい(Low)」と評価しました。九州電力では火力発電所毎に自治
体と協定を締結しています。協定では大気汚染(SOx やNOx 排出量、排出濃度等)や水質汚染
(排水処理排水や灰処理排水)、騒音対策等に関して覚書を結び、汚染による自然資本に与える
影響が小さくなるように運転しています。また、火力発電で発生する石炭灰などの産業廃棄物は廃棄見
込みを立て、適切に処理やリサイクルを実施しています。加えて、基準値を超えた汚染物質の排出や大
量の産業廃棄物が規制や協定の範囲を超え自然資本への影響が大きくなる可能性がある場合は、事
前に発電所の運転停止や出力抑制を行っています。
また、九州では地震や津波のリスクがあり、地震・津波による火力発電所の設備損壊・停止が考えら
れるため、地震とそれに伴う津波による影響は「High(大きい)」と評価しました。 122.2.2 原子力発電事業における自然資本関連の影響と依存の評価結果
しかく原子力発電事業における燃料調達(ウラン)
ウランの燃料調達による自然資本への影響に関しては、土地改変-陸域、直接採取-水は「非常に大
きい(Very High)」、土地改変-淡水域、気候変動-温室効果ガス(GHG)、汚染―大気、汚染-水域、
汚染-土壌、汚染-廃棄物、その他-騒音/光害を「大きい(High)」と評価しました。生態系サービスへの
依存度に関しては、供給サービス-表流水提供、供給サービス-地下水提供を「大きい(High)」と評
価しました。他方、調整サービス-気候調整に関しては、グローバルなデータに基づく ENCORE では「大き
い(High)」と評価されていますが、ENCORE で引用されている文献を精査した結果、局所的な気候
(気温、湿度、風速)の調整サービスへの依存は確認されなかったため、「非常に小さい(Very Low)」
と評価しました。なお、2022 年度のウランについては、ナミビア(85%)オーストラリア(15%)から輸
入しています。
しかく原子力発電事業
原子力発電の発電事業による自然資本への影響に関しては、グローバルなデータに基づく ENCORE
では、直接採取-水は「非常に大きい(Very High)」、土地改変-淡水域、気候変動-温室効果ガス
(GHG)、汚染-大気、汚染-廃棄物、その他-騒音/光害は「大きい(High)」と評価されています。
火力発電と同様に、原子力発電事業でも、冷却水は主に海水を利用しており、淡水の利用は極め
て少ないです。また、淡水を取水して利用している原子力発電所に関しては、法令に基づき許可を得た
取水量の遵守や発電所運転中の循環利用等による消費量の低減に努めています。淡水の取水に関し
ては、WRI Aqueduct(3.0)による評価でも、九州地域内の水リスクは最大でも「Low-Medium」
であり、水の直接採取や淡水域・海域における土地改変が自然資本に与える影響は「小さい(Low)」と
評価しました。
温室効果ガス(GHG)の排出については、電力中央研究所報告「日本における発電技術のライフサイ
クル各種電源のライフサイクル CO2 排出量」によると、原子力発電は 1kWh 当たりの発電燃料燃焼分
(直接)の二酸化炭素排出量はないため、九州電力では、原子力発電による温室効果ガス(GHG)の
排出が自然資本に与える影響は「非常に小さい(Very Low)」と評価しました。
大気汚染や廃棄物、騒音/光害についても、九州電力が運転する原子力発電事業では原子力発
電所毎に自治体と安全協定(覚書含む)を結び、大気汚染や放射性物質、騒音に関する管理を徹底
しています。放射性物質は自然資本や地域住民に対して与える影響も大きいため、原子炉等規制法
に則り、周辺住民への影響を抑えるための対策を実施しています。原子力発電所周辺において放射線
量を連続して監視・測定し、九州電力のホームページでリアルタイムにデータを公開しています。また、定
期的に土・海水・農作物・海産物等の環境試料に含まれる放射能を測定しており、現在まで、原子力
発電所の運転による環境への影響は認められていません。なお、原子力発電所周辺の人が受ける放射
線量は、年間 0.001 ミリシーベルト未満で、法定線量限度の年間 1 ミリシーベルト及び旧原子力安全
委員会が定める目標値の年間 0.05 ミリシーベルトを大きく下回っています。加えて、原子力発電所から
発生する放射性廃棄物は、運転や作業に伴って発生する水や取り替えた部品等の放射線量の低い低 13レベル放射性廃棄物です。これらの低レベル放射性廃棄物は、気体、液体、固体状のものがあり、気体
や液体は発電所内の廃棄物処理装置で処理を行い、放射性物質の濃度が、安全のために定められた
国の基準に比べて、十分に低いことを確認した上で大気や海に放出しています。また、放射性物質の濃
度により放出しない液体や固体の低レベル放射性廃棄物は、固型化等の処理を行い、ドラム缶に詰
め、発電所敷地内の貯蔵庫で厳重に保管し、その後、埋設可能なものは、青森県六ヶ所村の低レベル
放射性廃棄物埋設センターに搬出・埋設処分しています。なお、高レベル放射性廃棄物は、原子力発
電所にて発生した使用済燃料を再処理工場で再処理する際に発生する放射線量の高い廃液をガラス
固化したものであり、この廃棄物は非常に長い期間、高い放射能を持ち続けるため、日本原燃(株)の高レ
ベル放射性廃棄物貯蔵管理センター(青森県六ケ所村)等で 30〜50 年間冷却された後、最終的
に地下 300 メートルより深い安定した地層に安全に処分されることになっています。これらを総合して、九
州電力が運転する原子力発電事業は大気汚染や廃棄物、騒音/光害に関する自然資本への影響は
「小さい(Low)」と評価しました。
また、九州では地震や津波のリスクがありますが、新規制基準では、地震や津波等の共通の要因によ
って、原子力発電所の安全機能が一斉に失われる事を防止するために、耐震・耐津波性能や電源の
信頼性、冷却設備等の設計基準が強化されました。加えて、設計の想定を超える事態にも対応できる
よう、重大事故対策等が求められました。これらを踏まえて対策工事を実施しており地震とそれに伴う津
波による影響は「非常に小さい(Very Low)」と評価しました。
2.2.3. 水力発電事業(一般水力、揚水式)における自然資本関連の影響と依存の評価結果
水力発電事業による自然資本への影響に関しては、グローバルなデータに基づく ENCORE では、土
地改変-陸域・淡水域、直接採取-水は「非常に大きい(Very High)」、気候変動-温室効果ガス
(GHG)、汚染-水域、汚染-土壌は「大きい(High)」と評価されています。また、生態系サービスへの依
存度については、供給サービス-表流水提供、調整サービス-気候調整、基盤サービス-水流維持といっ
た水に関わる依存度が「非常に大きい(Very High)」、調整サービス-洪水防止・浸食防止が「大きい
(High)」と評価されています。
九州電力では、過去 15 年間、陸域や淡水の生態系に大きな影響を与えるような発電所やダム等の
新設はしていません。水力開発を進める際は、環境アセスメントなど適切な対応を実施し、生態系への
影響を最小限にするように努めています。このため、一般水力については一部 KBA4
に建設されているこ
とから、土地改変-陸域は「中程度(Middle)」と評価しましたが、一般水力における土地改変-淡水域、
揚水式における土地改変-陸域・淡水域は「小さい(Low)」と評価しました。
直接採取-水に関しても、WRI Aqueduct(3.0)による評価では、九州地域内の水リスクは最大
でも「Low-Medium」であり、河川法など各種関係法令を遵守した適切な運用を行っていることから「小
さい(Low)」と評価しました。
温室効果ガス(GHG)の排出に関しては、電力中央研究所報告「日本における発電技術のライフサイ
クル各種電源のライフサイクル CO2 排出量」によると、水力発電は 1kWh 当たりの 発電燃料燃焼分
(直接)の二酸化炭素排出量はないため、九州電力では、水力発電(一般水力、揚水式)による温室 14効果ガス(GHG)が自然資本に与える影響は「非常に小さい(Very Low)」と評価しました。
また、汚染-水域、汚染-土壌に関しては、立地地域との共生を図りながら、生態系へ影響を及ぼす
虞のある土砂堆積や水質変化等に対して、様々な取組みを実施していることから「小さい(Low)」と評
価しました。
水力発電(一般水力)においては、一定量の水が必要なため、生態系サービスへの依存度に関して、
供給サービス-表流水提供、基盤サービス-水流維持を「大きい(High)」と評価しました。水力発電(揚
水)においては、揚水と発電を繰り返し、基本的に上池と下池で水を循環させて利用するため、供給サー
ビス-表流水提供、基盤サービス-水流維持は「小さい(Low)」と評価しました。
また、水力発電(一般水力・揚水式)は、山岳部や河川内に設備があることから洪水や地震等の影
響を受けやすい立地環境であるため、調整サービス-洪水防止機能・浸食防止機能への依存度及び地
震・津波に対しては「大きい(High)」と評価しました。なお、調整サービス-気候調整に関しては、グローバ
ルなデータに基づく ENCORE では「非常に大きい(Very High)」と評価されていますが、局所的な気候
(気温、湿度、風速)の調整サービスへの依存度は上記供給サービス-表流水提供等と比べ、軽微で
あると判断したため、一般水力・揚水式ともに「非常に小さい(Very Low)」と評価しました。
2.2.4 地熱発電事業における自然資本関連の影響と依存の評価結果
地熱発電事業による自然資本への影響に関してグローバルなデータに基づく ENCORE では、直接採
取-水は「非常に大きい(Very High)」、気候変動-温室効果ガス(GHG)の排出、汚染-水域・土壌、
その他-騒音/光害は「大きい(High)」と評価されています。また、生態系サービスへの依存度に関して、
発電の方式上、地下水提供は「非常に大きい(Very High)」と評価されています。
地熱発電の冷却には主に地下から取り出した凝縮水を利用しており、河川水の利用は極めて少ない
です。淡水の取水に関しては、WRI Aqueduct(3.0)による評価でも、九州地域内の水リスクは最
大でも「Low-Medium」とされています。また、冷却水で使用した河川水は水温や生態系への影響を
配慮した上で再び河川へ放流していることや、地下水が枯渇しない範囲で取水を行っています。以上か
ら、水の直接採取が自然資本に与える影響は「小さい(Low)」と評価しました。
温室効果ガスの排出に関しては、電力中央研究所報告「日本における発電技術のライフサイクル各
種電源のライフサイクル CO2 排出量」によると、地熱発電は 1kWh 当たりの発電燃料燃焼分(直接)
の二酸化炭素排出量はないため、九州電力では、地熱発電による温室効果ガス(GHG)の排出が自
然資本に与える影響は「非常に小さい(Very Low)」と評価しました。
また、水域・土壌の汚染、騒音/光害についても地熱発電所毎に自治体と地域協定を結び、河川水
などの水質(ph,砒素、塩化物イオン)、河川土中の砒素、還元井(時間当たりの注入量、地下水
位の変化)、地表の硫化水素濃度、表土の水素イオン濃度)、騒音等による自然資本への影響が少
なくなるように運転しています。基準値を超えた汚染物質の排出が発生した場合は発電所自体の操業
を停止し、自然資本や地域住民への影響を最小限に留めることとしています。以上より、ここでは、地熱
発電事業による水域・土壌の汚染、騒音/光害の影響は「小さい(Low)」と評価しました。
加えて、地震・津波に関しては地熱発電所への影響は小さいと判断し「小さい(Low)」と評価しまし 15た。
2.2.5. 送配電事業における自然資本関連の影響と依存の評価結果
送配電事業による自然資本への影響に関しては、グローバルなデータに基づく ENCORE では温室効
果ガスの排出が自然資本に与える影響は「大きい(High)」と評価されています。また、生態系サービスへ
の依存度に関して、調整サービス-洪水は「非常に大きい(Very High)」、調整サービス-浸食防止・気
候調整の依存度は「大きい(High)」と評価されています。
温室効果ガスの排出において、九電グループでは六フッ化硫黄に関して、変電所等から発生する六フ
ッ化硫黄のうち 99.5%を回収しており、自然資本に与える影響は「非常に小さい(Very Low)」と評価
しました。また、グローバルなデータに基づく ENCORE では「中程度(Middle)」と評価される水域の汚
染について、九州電力送配電の送配電線は、基本的には陸地に設置しており廃熱が水域に与える影
響は「小さい(Low)」と評価しました。一部、海底ケーブルを設置しており、例えば、長崎県の五島列島と
九州本土を結ぶ長さ 53kmに及ぶ 6 万ボルトの送電線(五島連系設備)等があります。五島連系
設備については、海底掘削やケーブル敷設(人工物設置)に伴う影響評価を目的に水質調査、生物
調査などの環境モニタリングを実施しており、工事中及び工事後も海洋環境に影響がないことを確認して
います。生態系サービスへの依存度に関しては、鉄塔設置箇所選定時に、地滑り・氾濫などが予想され
る不安定な箇所は選定しないとしていることから、調整サービス-洪水防止・浸食防止を「小さい(Low)」
と評価しました。調整サービス-気候調整に関しては、配電設備については台風の強風に伴う倒木等によ
り、電柱の折損・倒壊や電線の断線から停電に至る場合があるため、グローバルなデータに基づく
ENCORE による評価の通り「大きい(High)」と評価しました。
加えて、地震・津波に関しては、南海トラフ(M8〜9 程度が 70%〜80%)地震を想定し、「大き
い(High)」と評価しました。
2.3. 自然資本関連リスクの評価結果
自然資本への影響と生態系サービスへの依存度の評価結果を元に、影響もしくは依存の程度が大き
い(「大きい(High)」「非常に大きい(Very High)」)と評価した項目を対象に、リスクのカテゴリーの分
類を行ったうえで財務への影響を評価しました。具体的には、評価対象の項目を TNFD で定義される物
理的リスク(急性リスク、慢性リスク)と移行リスク(評判リスク、法規制リスク、市場リスク、技術リスク)
に整理した上で、それぞれについて財務への影響を評価しました。財務への影響は、レベルI:10 億円
未満、レベルII:10 億円〜100 億円、レベルIII:100 億円〜の 3 段階で評価しました。 16【表】リスク種別と結果概要
リスク
分類
リスク
種別
リスク概要 財務への影響 財務影響火力発電/石炭(燃料調達)物理的
リスク
急性
リスク
鉱山操業に伴う陸域土地改変による
地滑りや地盤沈下、火災発生。
世界的な石炭価
格の上昇による収
支悪化。
レベルII
慢性
リスク
鉱山操業に伴う陸域土地改変による
陸域生態系の劣化・分断、外来種の
侵入、地域の植生や植生環境への悪
影響。鉱山での過剰な水利用による
帯水層の枯渇。干ばつの厳しさや頻
度の増加による鉱山操業への支障。
鉱山操業による温室効果ガスの排
出、有毒物質の大気放出、植生や土
壌への悪影響、種の移動による生態
系の変化。
移行
リスク
法規制
リスク
鉱山における慢性リスクの各項目への
対策費の負担発生。
石炭の採掘過程を含む間接分の温
室効果ガス排出について炭素費用の
負担発生。火力発電/石炭(発電)物理的
リスク
急性
リスク
地震・津波による火力発電所の設備
損壊・停止。(ただし、公衆災害は発
生しない。)
復 旧 費 用 と 代 替
電源の確保費用。
レベルII
慢性
リスク
運転による温室効果ガスの排出。
賦 課金や 税 金 が
導入された場合の
石炭火力発電所
の発電原価上昇
や、LNG 火力での
代替による燃料費
の増加。
レベルIII
移行
リスク
法規制
リスク
石炭火力発電所の運転を規制するた
めに賦課金や税金が導入された場
合、運転に伴い排出される温室効果
ガスに対して費用負担が発生、石炭
火力の運転が規制される。 17火力発電/LNG(燃料調達)
物理的
リスク
急性
リスク
水の枯渇によるガス田の操業停止。有
毒物質の偶発的な流出による環境へ
の負の影響。汚染物質の偶発的な流
出による周囲の希少生物への負の影
響。地震・津波による LNG 出荷設備
の損壊、出荷不能。 世界的な LNG 価
格の上昇による収
支悪化。
なお、複数のプロジ
ェクトから長期契約
により LNG を調達
しており、財務への
影響は一定程度
抑えられる。
レベルII
慢性
リスク
陸域生態系、淡水生態系、海洋生
態系への悪影響。汚染物質の排出に
よる底生植物や淡水植物の枯死。汚
染物質の偶発的な流出による周囲の
希少生物への負の影響。廃棄物を適
切に処理しないことによる周辺環境を
汚染。
移行
リスク
法規制
リスク
有害物質を排出したことにより現地政
府が当社の調達先に対して操業停止
命令。火力発電/LNG(発電)物理的
リスク
急性
リスク
地震・津波による火力発電所の設備
損壊・停止。(ただし、公衆災害は発
生しない。なお、新大分発電所・大分
LNG においては、地震・津波による
LNG 漏洩が発生する恐れがあったた
め、対策工事を実施済み。)
復旧費用。 レベルII
リスク
分類
リスク
種別
リスク概要 財務への影響 財務影響 18リスク
分類
リスク
種別
リスク概要 財務への影響 財務影響原子力発電/(燃料調達)
物理的
リスク
急性
リスク
ウラン採掘に伴う陸域の土地改変によ
る地滑りや地盤沈下、火災発生。
世界的なウラン価
格の上昇による収
支悪化。
(原子力発電コス
トに占めるウラン価
格の割合は小さく、
財務的な影響を及
ぼすほど大きな影
響がある可能性は
低いため、財務影
響は法規制リスク
にて評価。)
レベルII
慢性
リスク
鉱山操業に伴う土地改変による陸域
生態系の劣化・分断、外来種の侵
入、地域の植生や植生環境への悪影
響。鉱山での過剰な水利用による帯
水層の枯渇。干ばつの厳しさや頻度の
増加による鉱山操業への支障。操業
による温室効果ガスの排出、有毒物
質の大気放出、植生や土壌への悪影
響、種の移動による生態系の変化。
移行
リスク
法規制
リスク
ウランの採掘過程を含む間接分の温
室効果ガス排出について炭素費用の
負担発生。水力発電
物理的
リスク
急性
リスク
洪水や地震等による水力発電所の設
備損壊・停止。
復 旧 費 用 と 代 替
電源の確保費用。
レベルII送配電物理的
リスク
急性
リスク
台風の強風に伴う倒木等により、電柱
の折損・倒壊や電線の断線から停電
に至る。
復旧費用。 レベルII
南海トラフ地震によって、大分・宮崎
地区を中心に設備が損壊し大規模停
電が発生。
復旧費用。 レベルIII 192.3.1 火力発電のリスクの評価結果
しかく火力発電における燃料調達(石炭)
物理的リスクのうち急性リスクとしては、鉱山の操業に伴う陸域の土地改変による地滑りや地盤沈下、
火災発生が挙げられます。慢性リスクとしては、鉱山の操業に伴う陸域の土地改変による陸域生態系の
劣化・分断、外来種の侵入、地域の植生や植生環境への悪影響、鉱山での過剰な水利用による帯水
層の枯渇、干ばつの厳しさや頻度の増加による鉱山操業への支障、鉱山操業による温室効果のガス排
出、有毒物質の大気放出、植生や土壌への悪影響、種の移動による生態系の変化が挙げられます。ま
た、移行リスクのうち法規制リスクとしては、鉱山における慢性リスクの各項目への対策費の負担発生や、
石炭の採掘過程を含む間接分の温室効果ガス排出について炭素費用の負担発生が考えられます。
これらのリスクが財務に及ぼす影響として、世界的な石炭価格の上昇による収支悪化が懸念されます。
この場合、石炭価格が変動すれば、燃料費調整制度により自動的に販売価格も変動するものの、規
制料金については調整額の上限があるため、収益悪化につながる可能性があり、財務への影響はレベル
IIと評価しました。
しかく火力発電事業における発電(石炭)
物理的リスクのうち急性リスクとしては、地震・津波による火力発電所の設備損壊・停止が挙げられま
す(ただし、公衆災害は発生しない)。慢性リスクとしては、火力発電の運転による温室効果ガスの排
出が挙げられます。移行リスクのうち法規制リスクとしては、石炭火力発電所の運転を規制するために賦
課金や税金が導入された場合、運転に伴い排出される温室効果ガスに対して費用負担が発生すること、
石炭火力発電所の運転が規制されることが考えられます。
地震・津波による設備損壊が発生した場合、復旧費用と代替電源の確保費用が発生すると考えら
れるため、財務への影響はレベルIIと評価しました。
その他のリスクが財務に及ぼす影響として、賦課金や税金が導入された場合の石炭火力の発電原価
上昇や、LNG 火力での代替による燃料費の増加が考えられることから、財務への影響はレベルIIIと評価
しました。
しかく火力発電における燃料調達(LNG)
物理的リスクのうち急性リスクとしては、LNG 採掘による水の枯渇によるガス田の操業停止、有毒物
質の偶発的な流出による環境への負の影響、汚染物質の偶発的な流出による周囲の希少生物への
負の影響、地震・津波による LNG 出荷設備の損壊や出荷不能などが考えられます。また、慢性リスクと
して陸域生態系・淡水生態系・海洋生態系への悪影響、汚染物質の排出による底生植物や淡水植
物の枯死、汚染物質の偶発的な流出による周囲の希少生物への負の影響、廃棄物を適切に処理し
ないことによる周辺環境の汚染などが挙げられます。移行リスクのうち法規制リスクとしては、有害物質を
排出したことで現地政府が当社の調達先に対して操業停止命令を発令する法規制リスクが考えられま
す。
これらのリスクが財務に及ぼす影響として、世界的な LNG 価格の上昇による収支悪化が懸念されま 20す。ただし、当社では複数のプロジェクトから長期契約により LNG を調達しており、財務への影響は一定
程度抑えられると考えられ、財務への影響はレベルIIと評価しました。
しかく火力発電における発電(LNG)
物理的リスクのうち急性リスクとしては、地震・津波による火力発電所の設備損壊・停止が挙げられま
す。(ただし、公衆災害は発生しない。なお、新大分発電所・大分 LNG においては、地震・津波による
LNG 漏洩が発生する恐れがあったため、対策工事を実施済み)。このリスクが発生した場合、設備損
壊による復旧費用の発生が考えられるため、財務への影響はレベルIIと評価しました。
2.3.2 原子力発電のリスクの評価結果
しかく原子力発電における燃料調達
物理的リスクのうち急性リスクとしては、ウラン採掘に伴う陸域の土地改変による地滑りや地盤沈下、
火災発生が挙げられます。慢性リスクとしては鉱山操業に伴う陸域の土地改変による陸域生態系の劣
化・分断、外来種の侵入、地域の植生への悪影響、鉱山での過剰な水利用による帯水層の枯渇、干
ばつの厳しさや頻度の増加による鉱山操業への支障、操業による温室効果ガス排出、有毒物質の大気
放出、植生や土壌への悪影響、種の移動による生態系の変化が考えられます。移行リスクのうち法規制
リスクとしては、ウランの採掘過程を含む間接分の温室効果ガス排出について炭素費用の負担が発生す
ることが考えられます。これらのリスクが財務に及ぼす影響として、世界的なウラン価格の上昇による収支
悪化が考えられますが、原子力発電コストに占めるウラン価格の割合は小さく、財務的な影響を及ぼす
ほど大きな影響がある可能性は低いため、財務影響は法規制リスクにて評価し、財務への影響はレベル
IIと評価しました。
2.3.3. 水力発電のリスクの評価結果
物理的リスクのうち急性リスクとしては、洪水や地震等による水力発電所の設備損壊・停止が挙げら
れます。このリスクが発生した場合、復旧費用と代替電源の確保費用が発生すると考えられるため、財
務への影響はレベルIIと評価しました。
2.3.4. 送配電事業のリスクの評価結果
物理的リスクのうち急性リスクとしては、台風の強風に伴う倒木等により、電柱の折損・倒壊や電線の
断線から停電に至ること、南海トラフ地震により大分・宮崎地区を中心に設備が損壊し大規模停電が
発生することが考えられます。
台風の強風に伴う倒木等により、電柱・電線の損壊が発生した場合、復旧費用が発生すると考えら
れるため、財務への影響はレベルIIと評価しました。南海トラフ地震による設備の損壊が発生した場合、
復旧費用が発生すると考えられるため、財務への影響はレベルIIIと評価しました。 213. 自然資本に関する機会
生物多様性を含む自然資本を守っていくためには、地域共生や脱炭素、サーキュラーエコノミーを進め
ていくことが重要と考えています。一方、前述の通り、この九州の豊かな自然資本は、九電グループの事
業活動を支える重要な柱であると考えています。そのため、九電グループが持続的に発展していくために、
地域共生や脱炭素、サーキュラーエコノミーの取組みを進め、九州の自然資本を守っていくことは重要と
考えていますが、近年、これらの取組みが社会的にも重要視されていることは、当社にとって機会と捉える
ことが出来ると考えています。
地域共生の観点からは、九電グループでは九州の環境保全活動はもとより、地域での環境教育にも
力を入れています。例えば「Q でん★みらいスクール」では子どもたちを中心に、体験型の環境教育や出
前授業など、様々な「学び」や「体験」を通じて、自然を大切にする心を育む機会を提供しています。
水源かん養林として保有してきた社有林 (大分県を中心とした 4,447ha)は、生態系や水を育む森
の役割を果たしており、 FSC®5
認証 の生産や間伐、森林観察等の体験環境教育のフィールドに活
用しています。
社有林については、生物多様性に関する世界目標である「30by30 目標」に貢献する「30by30 ア
ライアンス」へ加盟するとともに、民間の取組み等によって生物多様性の保全が図られている区域を環境
省が認定する「自然共生サイト」の認定審査へ申請しています。
また、環境教育や市民交流の拠点となる森づくりを目指し、子どもたちや地域の皆さまと一緒にカーボ
ンニュートラルに取り組む「九電みらいの森プロジェクト」を九州各地で展開することとし、第一弾として「い
さはや九電みらいの森」(長崎県諫早市)での植林活動や環境教育を開始しました。
環境保全活動としては、くじゅう坊ガツル湿原一帯において、希少な生態系を残す「坊ガツル」の森林
化を抑止し湿原の維持することを目的とした「野焼き」を地域の皆さまと一緒に復活させるとともに、希少
植物の生態系を脅かす外来種植物の駆除活動や「ミヤマキリシマ」の植生保護活動を実施してまいりま
した(くじゅう坊ガツル湿原は、「くじゅう坊ガツル・タデ原湿原」としてラムサール条約に登録)。
また、豊前発電所内敷地(福岡県豊前市)を活用し、サーモン陸上養殖場を建設しました。この養殖
場で育てたサーモンを「みらいサーモン」と名付け、年間生産能力約 3,000 トンのサーモン養殖場を目指
し、国内水産物の安定供給に貢献していきます。
脱炭素に関しては、九電グループでは「森林資源を活用したJ-クレジット創出支援・活用事業」を実
施しています。これは自治体などが所有する森林からの J-クレジット創出を支援する事業であり、福岡県
久山町をはじめ、大分県玖珠町や熊本県で実施するなど、九州全域で事業を展開しています。
サーキュラーエコノミーに関しては、川内発電所跡地を資源循環の拠点とする「サーキュラーパーク九州」
構想の実現に向けて、2023 年7月 26 日に株式会社ナカダイホールディングスと共同で「サーキュラーパ
ーク九州株式会社」を設立しました。現在は、企業や地域の廃棄物を再資源化するリソーシング事業や、
産学官のネットワークを活用した共同研究・実証実験等を行うソリューション事業等の準備に取り組んで5Forest Stewardship Council®(森林管理協議会)・本部ドイツ。 22います。2024 年4月の事業開始以降、まずは九電グループ内を中心に製造から廃棄に関する資源循
環の仕組みの構築に取り組み、その後、仕組みを構築する中で得た知見を他企業や団体等にも展開
することで、九州域内の資源循環・脱炭素化を牽引してまいります。
このような地域に根差した活動等は、TNFD の視点から分析を行うことで、改めて価値のある活動で
あることを認識しました。今後は、生物多様性に関する新たな世界目標である「昆明・モントリオール生物
多様性枠組」の 2030 年グローバルターゲットの各目標に向けて活動をより一層推進し、「ネイチャーポジ
ティブ経済」への移行に貢献してまいります。 23【表】「昆明・モントリオール生物多様性枠組」の 2030 年グローバルターゲットの各目標に向けた取組み
ターゲット 内容(環境省資料抜粋)
九電グループ
との関係性
取り組
み状況
備考(当社における該当する取組等)1すべての地域を参加型・統合的で生物多様性に配慮した空
間計画下及び/又は効果的な管理プロセス下に置く
しろまる 取組中
・グループ会社の九州林産(株)による九電社有林(水源涵養林)の管理(ESGデー
タブック2023p20)
2 劣化した生態系の30%の地域を効果的な回復下に置く しろまる 取組中
・30by30アライアンスに加盟(ESGデータブック2023p20)
https://policies.env.go.jp/nature/biodiversity/30by30alliance/docum
ents/117872.pdf3陸と海のそれぞれ少なくとも30%を保護地域及びOECMにより
保全 (30 by 30目標)
しろまる 取組中
・30by30アライアンスに加盟(ESGデータブック2023p20)
https://policies.env.go.jp/nature/biodiversity/30by30alliance/docum
ents/117872.pdf
・自然共生サイト認定審査へ申請中(ESGデータブック2023p20)4絶滅リスクを大幅に減らすために緊急の管理行動を確保、人
間と野生生物との軋轢を最小化
しろまる 取組中
・環境アセスメントの実施(ESGデータブック2023p17,18)
https://www.kyuden.co.jp/ir_library_esg.html5乱獲を防止するなど、野生種の利用等が持続的かつ安全、合
法なものにするー6 侵略的外来種の導入率及び定着率を50%以上削減 しろまる 取組中
・環境アセスメントの実施(ESGデータブック2023p17,18)
https://www.kyuden.co.jp/ir_library_esg.html
・(公財)九電みらい財団の活動として、坊ガツル湿原で希少植物保護活動(外
来種「ヒメジョオン」を駆除)
https://kyuden-mirai.or.jp/environment/detail/1067環境中に流出する過剰な栄養素の半減、農薬及び有害性の
高い化学物質による全体的なリスクの半減、プラスチック汚染
の防止・削減
しろまる 取組中
・廃棄物の適正な処理(ESGデータブック2023p22)
https://www.kyuden.co.jp/ir_library_esg.html
・サーキュラーパーク九州の事業化(ESGデータブック2023p22)
https://www.circular-park.jp/8自然を活用した解決策/生態系を活用したアプローチ等を通じ
た、気候変動による生物多様性への影響の最小化
しろまる 取組中
・再生可能エネルギーの推進(ESGデータブック2023p9~11)
https://www.kyuden.co.jp/ir_library_esg.html
・安全性の確保を大前提として、原子力発電を最大限活用・熱効率の高い火力発
電所を最大限活用(ESGデータブック2023p13)
https://www.kyuden.co.jp/ir_library_esg.html9野生種の管理と利用を持続可能なものとし、人々に社会的、
経済的、環境的な恩恵をもたらす
しろまる 取組中
・環境アセスメントの実施(ESGデータブック2023p17,18)
https://www.kyuden.co.jp/ir_library_esg.html
・(公財)九電みらい財団の活動としての「九電みらいの森プロジェクト」(ESGデータ
ブック2023p19)
https://kyuden-mirai.or.jp/environment/planting/10農業、養殖業、漁業、林業地域が持続的に管理され、生産
システムの強靭性及び長期的な効率性と生産性、並びに食
料安全保障に貢献
しろまる 取組中
・J-クレジット創出支援・活用事業(ESGデータブック2023p16)
https://www.kyuden.co.jp/ir_library_esg.html
https://www.kyuden.co.jp/environment_japancredit_index.html
・社有林でFSC®(Forest Stewardship Council®(森林管理協議会)・本
部ドイツ)認証 を生産(ESGデータブック2023p20)
https://www.kyuden.co.jp/ir_library_esg.html
・サーモン養殖事業(フィッシュファームみらい合同会社)(ESGデータブック2023p49)https://www.kyuden.co.jp/ir_library_esg.html11自然を活用した解決策/生態系を活用したアプローチを通じ
た、自然の寄与(NCP)の回復、維持、強化
しろまる 取組中
・(公財)九電みらい財団の活動としての「坊ガツル湿原一帯での環境保全活動」
(ESGデータブック2023p19)
https://www.kyuden.co.jp/ir_library_esg.html12都市部における緑地・親水空間の面積、質、アクセス、便益の
増加、及び生物多様性を配慮した都市計画の確保
しろまる 取組中
・グループ会社の九州林産(株)による緑化事業
https://www.kyuden.co.jp/ir_library_esg.html
・電気ビル(本店建屋)の裏の緑化13遺伝資源及びデジタル配列情報(DSI)に係る利益配分の措
置をとり、アクセスと利益配分(ABS)に関する文書に従った利
益配分の大幅な増加を促進ー14
生物多様性の多様な価値を、政策・方針、規制、計画、開
発プロセス、貧困撲滅戦略、戦略的環境アセスメント、環境イ
ンパクトアセスメント及び必要に応じ国民勘定に統合することを
確保
しろまる 取組中
・環境アセスメントの実施(ESGデータブック2023p17,18)
https://www.kyuden.co.jp/ir_library_esg.html15事業者(ビジネス)が、特に大企業や金融機関等は確実
に、生物多様性に係るリスク、生物多様性への依存や影響を
評価・開示し、持続可能な消費のために必要な情報を提供す
るための措置を講じる
しろまる 取組中 ・TNFDv1.0への対応、開示内容のさらなる改善16適切な情報により持続可能な消費の選択を可能とし、食料廃
棄の半減、過剰消費の大幅な削減、廃棄物発生の大幅削
減等を通じて、グローバルフットプリントを削減
しろまる 取組中
・熱効率の高い火力発電所を最大限活用(ESGデータブック2023p13)
https://www.kyuden.co.jp/ir_library_esg.html17バイオセーフティのための措置、バイオテクノロジーの取り扱いお
よびその利益配分のための措置を確立ー18
生物多様性に有害なインセンティブ(補助金等)の特定、及
びその廃止又は改革を行い、少なくとも年間5,000億ドルを削
減するとともに、生物多様性に有益なインセンティブを拡大ー19
あらゆる資金源から年間2,000億ドル動員、先進国から途上
国への国際資金は2025年までに年間200億ドル、2030年
までに年間300億ドルまで増加ー20
能力構築及び開発並びに技術へのアクセス及び技術移転を
強化ー21
最良の利用可能なデータ、情報及び知識を、意思決定者、
実務家及び一般の人々が利用できるようにする
しろまる 取組中
・「九電グループ ESGデータブック」の公表
https://www.kyuden.co.jp/ir_library_esg.html22女性及び女児、こども及び若者、障害者、先住民及び地域
社会の生物多様性に関連する意思決定への参画を確保
しろまる23女性及び女児の土地及び自然資源に関する権利とあらゆるレ
ベルで参画を認めることを含めたジェンダーに対応したアプローチ
を通じ、ジェンダー平等を確保
しろまる(1)生物多様性への脅威を減らす(2)人々のニーズを満たす(3)実施・主流化のツールと解決策
取組中
・「九電グループ人権方針」のもと人権デュー・ディリジェンスを実施し、優先的に対応す
べき「重要な人権リスク」として「差別(ジェンダーギャップ含む)」「地域住民の権利の不
適切な制限」等5項目を特定し、対応策を検討・実施。(ESGデータブック
2023p60〜62)
https://www.kyuden.co.jp/ir_library_esg.html 244. TNFDで開示が求められる指標と目標
TNFD では影響と依存について土地改変・汚染・直接採取等に関して開示を推奨するコアグローバ
ル指標があります。これらの指標に関して、現在の影響と依存の指標は以下の通りです。
【表】影響と依存の指標(TNFDβ版v0.4 のコア指標)
分類 指標 参照先等
気候変動
Scope1,2,3 の温室効果ガス
(GHG)排出量
サプライチェーン GHG 排出量
(Scope1,2,3)
(ESG データブック 2023p71)
陸上/淡水/海洋の
利用変化
生態系と事業活動別の土地/淡水
/海洋利用の変化度合い
土地:発電設備、変電設備の土地面積
(有価証券報告書 2022 年度 第 99 期
p43~47)
淡水:上水、発電用水の使用量(ESG デ
ータブック 2023p77)
海水:発電所の冷却水として活用使用量デ
ータなし
公害/公害除去
土壌に排出される汚染物質の種類
別総量
基本的に自社設備からの汚染物質の排出は
なし
排水量及び排水の主要汚染物質
の種類別濃度
排水量(ESG データブック 2023p77)
各発電所における排水処理装置にて、適切
に処理を実施
有害廃棄物の種類別総発生量 PCB の処理量(ESG データブック 2023p75)
二酸化炭素以外の有害物質の種
類別総量
(ESG データブック 2023p72,73)
資源利用/補完
水ストレスのある地域からの総取水
量と消費量
発電用水の使用量(ESG データブック
2023p77)
*九州は Aqueduct 上、相対的に水リスク
が少ない地域とされている
陸上/海洋/淡水から調達する高リ
スクの天然商品の種類別数量推移燃料(石炭、LNG、ウラン)の調達先・調達
量(ESG データブック 2023p26)
優先生態系から調達する天然商
品の種類別の量とその割合
(今後検討) 25また、九電グループでは自然資本に関する目標として現時点で気候変動、環境管理の推進、循環型
社会形成、サプライチェーンマネジメントの強化、ステークホルダーエンゲージメントの充実の観点から目標
を設定しています。
【表】自然資本に関する目標
項目 目標
気候変動
(カーボンニュートラルビジョ
ン 2050p1、ESG データ
ブック 2023p8)
カーボンニュートラル ・2050 年のカーボンニュートラルの実現
サプライチェーンの温室効果ガス
排出量(Scope1+2+3)
・2013 年度と比較して温室効果ガス G 排
出量を 2030 年に 60%削減、国内事業は
65%削減
環境管理の推進
(ESG データブック
2023p5)
環境管理の推進 ・法令違反件数 ゼロ
循環型社会形成
(ESG データブック
2023p5)
産業廃棄物の適正管理・処理
・ 石 炭 灰 以 外 リ サ イ ク ル 率 :98%
(うち廃プラスチックリサイクル率:90%)
(2023 年度目標値)
グリーン調達の推進
・ グ リ ー ン 調 達 率 :97%(事 務 用 品
類)(2023 年度目標値)
サプライチェーンマネジメント
の強化
(ESG データブック
2023p7)
サプライチェーンにおける ESG に
対する意識向上
・主要取引先に対するサステナビリティ向上
の取組みに関するアンケートの回答率:
90%以上(2023 年度目標値)
ステークホルダーエンゲージ
メントの充実
(ESG データブック
2023p7)
ステークホルダーからの満足度向
上(環境教育の充実)
・アンケートにおいて環境保全意識が向上し
たと回答した方の割合:90%以上(2023
年度目標値) 26本レポートに関するお問い合わせはこちら
九州電力株式会社
ビジネスソリューション統括本部
地域共生本部 環境計画グループ
〒810-8720 福岡県福岡市中央区渡辺通二丁目 1 番 82 号
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2023 年 9 月5日 発行
2023 年 9 月 11 日 一部修正

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