43九電グループは、
気候変動対応を経営の重要課題と位置づけ、TCFD提言
をリスク
・機会の分析に活用するとともに、
同提言の枠組みに沿った情報開
示を充実させることで、
ステークホルダーの皆さまへの説明責任を果たして
まいります。
気候変動に係る対応体制
(リスク・機会の評価・管理プロセス)
カーボンニュートラルを含めたE
SGに関する取組みを推進するため、
2021年7月に社長を委員長とする
「サステナビリティ推進委員会」
を設置しま
した。
本委員会では具体的に、ES
Gに係る戦略・基本方針の策定
(マテリアリティ
の特定)、具体的方策の審議、
施策実施状況の進捗管理に加え、
気候変動に関
する戦略、
リスクについての審議・監督を行います。
年に
2回以上開催する本
委員会の審議結果については、
取締役会に遅滞なく報告することにしており、
取締役会はESGに係る活動全般について監督します。
また、
本委員会の下に、
「カーボンニュートラル・環境分科会」
を設置し、
カー
ボンニュートラルを含めた環境問題全般について、
より専門的な見地から審
議を行うこととしています。
このような場を活用し、
気候変動に関するリスク
・機会の評価・管理プロセ
スを従来よりも充実・強化し、
九電グループの持続的成長や企業価値の向上
につなげてまいります。
2021年11月に公表した、
九電グループが目指す2050年のゴールや、
2030年経営目標
(環境目標)
の見直しを含む
「カーボンニュートラルの実現
に向けたアクションプラン」
は、
サステナビリティ推進委員会での議論を経て
取締役会で決議しています。
(注)TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures G20財務大臣・中央銀行総裁会合の要請を受け、
金融安定理事会
(FSB)
によって設立されたタスクフォースです。
2017年6月、
投資
家の適切な投資判断のために、
気候関連のリスクと機会がもたらす
財務的影響について情報開示を促す提言を公表しています。
取締役会
付議・報告
監督
サステナビリティ推進委員会
カーボンニュートラル・環境分科会
各本部、
グループ会社
しかくサステナビリティ推進委員会
[構成]
委 員 長 : 社長
副委員長 : ESG担当役員
委 員 : 社外取締役、
関係統括本部長 等
[開催]
原則として
年2回のほか、
必要に応じて開催
[開催]
原則として
年2回のほか、
必要に応じて開催・地球環境、
社会、
ガバナンスに係る
戦略・基本方針の策定・実施状況のモニタリング などステークホルダー
部門計画策定、
実施状況報告等
方針・計画等の提示、
モニタリング等
情報開示
声の反映
しかくカーボンニュートラル・環境分科会
[構成]
議 長 : ESG担当役員
副 議 長 : コーポレート戦略部門長、
地域共生本部長
委 員 : 関係本部部長 等
対応体制
1 ガバナンス・リスク管理
TCFD提言に基づく取組みE(環境) 44(1)
検討の前提 (2)
将来予測と電気事業に関する影響要因
供給面•IEAの予測(注記)
によると、
世界については非化石電源が大幅に普及し、
2050年
には非化石電源による発電でほぼすべての電力を賄うと見られています。
• 
日本においては、
第6次エネルギー基本計画で示す2030年電源構成
(エネ
ルギーミックス)
実現による低炭素化を目指すとともに、
2030年以降電源
の脱炭素化が急激に進展していくと予測されます。
(注記)
:IEA WEO Net Zero by 2050
2 戦略
(リスク・
機会と対策)〜シナリオ分析に基づく気候変動対策〜
• 
脱炭素化に向けた温暖化規制強化への要求の高まり
(非効率石炭火力のフェードアウ
トなど)
• 
非化石電源の価値向上、
再生可能エネルギー大量導入ニーズの高まり、
化石燃料利用に対
する受容性低下
• 投資家等によるCO2排出事業者への低評価
• 低・脱炭素技術ニーズの高まり、
実用化技術の進展
• グリーン成長戦略など国の意欲的な投資目標設定に伴う脱炭素技術への投資拡大
【電気事業に関する主な影響要因】
【将来予測モデル】
電源構成の変化
2019年 2030年
エネルギー基本計画
2050年
再エネ・原子力の
非化石電源が主力化
石炭火力を中心に
火力発電の縮減
非化石電源比率28%非化石電源比率
程度60%20%19%石炭32%ガス34%脱炭素化の急激な進展
再エネ20%原子力8%石油3%36〜
38%
20〜22%2%水素・アンモニア1%〈日本の電源構成〉3割7割
約10割
〈世界の非化石電源比率
(IEA予測)〉1.5°C上昇ケース
対象期間 2030年・2050年
想定ケース
1.5°C上昇ケース
〔気候変動に係る政府間パネル(IPCC)第6次報告書(SSP-1-1.9シナリオ)、
IEA WEO Net Zero by 2050、
第6次エネルギー基本計画〕
4°C上昇ケース
〔気候変動に関する政府間パネル
(IPCC)
第6次報告書(SSP5-8.5シナリオ)〕
2030 20502013「九電グループ カーボンニュートラルビジョン2050」
「サプライチェーンGHG排出量の削減」と「社会のGHG排出削減への
貢献」
により、
社会のカーボンニュートラル実現に貢献
(九電グループとしては、
カーボンマイナスを早期に実現)
「九電グループ経営ビジョン2030」
国のエネルギー基本計画で掲げる削減目標を大きく上回る
温室効果ガス削減で日本の脱炭素をリード
温室効果ガス
(GHG)
排出削減イメージ
「実質ゼロ」
1.5°C上昇ケース
1.5°C上昇ケース
4°C上昇ケース 45需要面•IEAの予測(注記)1
によると、
世界については、
2030年以降も電力需要は着実に
伸び、
電化率は伸びが加速すると見られています。
• 
日本においては、
2030年に向けて省エネの野心的な深堀りが予想されて
います。
一方、
2050年カーボンニュートラル達成に向け、
電化の推進等に
より電力需要は現在に比べて30〜50%増加すると予測されています。
(注記)1:IEA WEO Net Zero by 2050
気象災害
• IPCCの予測(注記)2
によると、
温暖化対策が徹底されない場合は、
2100年時点で
は世界平均地上気温は4°C以上、
平均海面水位は1m近く上昇することが予
測されています。
十分な気候変動対策をとらない場合特に2050年以降、
気象災害の激甚化等の物理リスク顕在化が懸念されます。
(注記)2:IPCC第6次報告書
• 
社会的な環境意識の高まりや国の規制・政策誘導等によるあらゆる部門
(家庭、
業務、
産業、
運輸など)
の電化の拡大
• 分散型エネルギーシステムの一層の拡大
• 省エネルギーの進展
【電気事業に関する主な影響要因】
• 集中豪雨・洪水・暴風雨の増加、
猛暑・熱波の激甚化・長期化
• お客さま設備及び電力供給設備の被害拡大
• 資源開発地での操業不能
• 防災・減災ニーズの高まり
【電気事業に関する主な影響要因】
1.5°C上昇ケース 4°C上昇ケース
【将来予測モデル】
IPCC
(世界の平均地上気温変化予測と平均海面水位上昇予測)2000(°C)02462050世界平均地上気温変化
2100年 2000(m)00.60.40.20.812050
世界平均海面水位上昇
2100年
4°C以上上昇
対策なしケース
1.5°C未満対策
対策なしケース
1.5°C未満対策
対策の有無による影響差が2050年頃から顕著となる
1m近く上昇
【将来予測モデル】
電力需要・電化率
〈電化率〉10020304050(%)〈電力需要〉
実績 見通し10020305040
(兆kWh)
2010 2020 2025 2030 2040
日本
(経産省:2030年度におけるエネルギー需給の見通し)
世界
(IEA予測)
世界
日本
日本
(エネ庁:エネルギー白書 2020)
世界
(IEA予測)
電化が加速20402018
日本
世界 46分析結果を踏まえた施策の検討リスク・機会の分析 分析結果を踏まえた施策の方向性
【参考1】
電源の低・脱炭素化に向けた投資総額
【参考2】
気候関連リスク
・機会の財務影響IEA、原子力の急激な利用縮小はエネルギーの安全保障と
温暖化防止目標の達成を危うくすると警告IE
Aは、
公表した報告書(注記)2
の中で、
先進諸国における原子力発電設備の急激な縮小
が、
CO2排出量の増加につながると警告しています。
また、
原子力の継続利用が、
エネルギーの安全保障を強化し、
低廉な電気料金を維持
する効果があるともしており、
そのために既設の原子力発電所を安全である限り長期
運転することを推奨しています。
(注記)2:
「クリーン・エネルギー・システムにおける原子力発電」
Nuclear Power in a Clean Energy System
(2019年5月) (出典:電気事業連合会HP)
過去5年間の投資総額(2016-2020年度)
約8,000億円
(うち再エネ関係約1,500億円) 今後5年間の投資総額(2021-2025年度)
約5,000億円
(うち再エネ関係約2,500億円) 災害復旧費用
60億円程度
(2020年度実績)
非化石電源の安定稼働による
非化石証書の販売
100億kWh販売した場合
60〜130億円程度
影響要因 リスク
・機会 影響度1.5°Cケース供給面
・温暖化規制の強化
・非化石電源へのニーズ拡大・CO2排出事業者への
受容性低下
・低・脱炭素技術の進展
・脱炭素化へ向けた投資拡大(A)政策・規制 ・温室効果ガス排出規制強化に伴うコスト
・投資増
移行
リスク
小〜中(B)技術・再エネ・分散型電源の大量導入に伴う系統の安定性の低下
・分散型電源普及に向けた技術対応
移行
リスク
小〜中(C)市場・化石燃料発電に対する受容性低下に伴う、
顧客流出、
投資
撤退・分散型エネルギーシステムの拡大等による販売電力量の
減少
移行
リスク
小〜中(D)評判・気候変動取組みへの消極的な姿勢に対する企業イメージ
の低下
移行
リスク
小〜中(E)製品・
サービス
・国の支援政策に伴うあらゆる部門における電化の進展・デジタル技術を活用した新たなエネルギーサービスの普及
機会 大(F)エネルギー源・
資源効率・国の支援政策の拡大に伴うゼロエミ電源の開発・導入機会
の拡大・脱炭素化技術、
蓄電池、
次世代エネルギー等の革新的な技術
の実用化による低・脱炭素化の進展及び収益機会の拡大・水素・アンモニア等のバリューチェーンに関わる各種事業
の出現
機会 大需要面・あらゆる部門の電化の拡大
・省エネルギーの進展
・デジタル技術・分散型
エネルギーシステムの拡大(G)製品・
サービス・カーボンフリー電気への顧客ニーズ拡大、
需要増
・新興国等における低・脱炭素技術の需要拡大
機会 大4°Cケース気象災害・気象災害の激甚化
・電力需給設備の被害増大
・防災・減災ニーズの拡大(H)気象災害
・気象災害の増加・甚大化に伴う設備被害増大
・資源開発地の操業不能に伴う燃料調達の困難化
・降水量の変動による水力発電量の低下
(渇水)
物理
リスク大( I )
回復性・
強靭性
・気候変動対応に係る事業者評価の向上
・防災・減災ニーズの高まり
機会 小
1再エネの主力電源化
(B・D・F・G)・強みである地熱・風力に加え洋上風力やバイオマスの
開発推進・卒FIT電源や蓄電池、
EV等、
分散型エネルギーソリューション
の統合技術によるアグリゲーション・ビジネスを展開
2海外事業の積極展開
(A・B・C・D・E・F・G)・国内外で蓄積した技術・
ノウハウを活かし、
世界各国で
エネルギー関連事業を展開・地域や時代のニーズに応えるエネルギーサービスを提供
3原子力の最大限の活用
(A・C・F)・安全最優先を前提に、
既設炉の設備利用率の向上など
原子力の最大限の活用
・安全性に優れた次世代原子炉等の検討
4火力のCO2排出 「実質ゼロ」
(A・C・D・F・G)・再エネ余剰電力を活用した、
水素・アンモニアの製造・
混焼
(専焼)
・CCUSなどの技術による火力のCO2実質ゼロ実現
5送配電ネッ
トワークの
次世代化
(B・F)・国のマスタープランを踏まえた連系線・基幹系統の
整備・強化など送配電ネッ
トワークの広域的な運用・デジタルの活用による需給運用・系統安定化技術の高度化
6最大限の電化
(E・G)
家庭:オール電化
業務:空調・給湯・厨房の電化
産業:幅広い温度帯の熱需要の電化
運輸:EVシェアリングや充電インフラの拡大等
7地域とのゼロカーボン
社会の共創
(C・E・F)・系統電力と、
地域や都市の再エネや蓄電池等を組み合
わせた地域エネルギーシステムの構築へ貢献
・地域・社会の課題解決に貢献し、
ゼロカーボン社会を共創
8災害対策・体制
(H・I )
・国の対応方針等を踏まえた対策検討
・対応能力向上
TOPICSサステナビリティの実現具体的行動計画の策定(3)
リスク・機会と対策
急性リスク
急性リスク
慢性リスク
原子力発電の安定稼働による
年間収支影響額(注記)1
300億円程度/基P24(注記)1:燃料費削減効果等を試算 473 指標と目標 〜気候関連の目標の設定〜
低・脱炭素の業界トップランナーとして、
2050年のサプライチェーンGHG排出量の
「実質ゼロ」
に挑戦するとともに、
九州の電化率向上への貢献などにより、
社会の
GHG排出削減に大きく貢献していくことで、
九電グループの事業活動全体の
「カーボンマイナス」
を2050年よりできるだけ早期に実現します。
また、
2050年のカーボンニュートラル実現に向けた中間目標として、
2030年の経営目標
(環境目標)
を、
日本政府が示したGHG排出削減目標を大きく上回る水準に
設定し、
これらの達成に向けた具体的行動計画を策定しています。65%2013 2020GHG排出量
6,166
4,178
4,068
6,066
(国内)
2,600
2,20060%(万トン)
2030 2050
2013 2018
家庭部門58%49%60%203060%70%
業務部門48%九州の電化率2050100%100%
電化の推進
サプライチェーンGHG排出量
「実質ゼロ」
サプライチェーンGHG排出量60%削減
(2013年度比)
国内事業は65%削減
(2013年度比)
九州の電化率の向上に貢献
(家庭部門:70%・業務部門:60%)
長期の目指す姿・KGI
(2050年) 中期目標
(2030年)供給側需要側
再エネの主力電源化・再エネ開発量500万kWh
(国内外)
火力発電の低炭素化・省エネ法ベンチマーク指標
(A指標/B指標/石炭単独指標)
の達成・水素1%・アンモニア20%混焼に向けた技術確立KPI家庭部門 : 増分電力量15億kWh
(2021‐2030年累計)
業務部門 : 増分電力量16億kWh
(2021‐2030年累計)
運輸部門 : 社有車100%EV化
(特殊車両を除く)KPI社会のGHG排出削減への貢献
ー 九州の家庭・業務部門の電化率100%の実現に貢献
くろまる温室効果ガス
(GHG)
排出量 くろまる2020年度GHG排出量実績 (万トン)
(注)
括弧内は国内事業のみの数値を再掲
くろまる九州の電化率
2,211 0.01
1,967
(1,857)
4,178
(4,068)
Scope1 Scope2 Scope3 計
Scope3排出の内訳
Category2 : 105
(設備投資)
Category3 : 1,721
(他社購入電力量の燃料消費分等)
Category15 : 110
(海外発電事業)
その他 : 31
(製品の購入、
廃棄物輸送・処理等)
排出量の削減
「実質ゼロ」
詳細はこちら ( ホーム > 企業・IR 情報 > 株主・投資家の皆さま > IR 資料室 > 統合報告書 > 統合報告書 2021)

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