玄海原子力発電所の運転に伴い発生する「トリチウム」について
(1)廃棄物の処理
〇原子炉冷却水には出力制御のためほう素を添加しており、運転中の原子炉では、
このほう素が中性子を吸収することなどにより、トリチウムが発生します。
〇原子炉冷却系統のポンプ点検や冷却水の成分分析に伴い発生する廃液などの液体
廃棄物は、蒸発装置で処理し、蒸留水については、イオン交換装置やフィルター
を通して、モニターで放射能を監視しながら、発電所より海へ放出(排水)してい
ます。
〇冷却水の貯蔵タンク等の上部のガスには気体状のトリチウムが含まれており、使用後、
専用のタンクで放射能を弱めたのち、モニターで放射能を監視しながら、発電所より
放出(排気)しています。
(2)トリチウムの放出管理
〇トリチウムの放出にあたっては、トリチウム濃度が一般公衆の健康を守るために
法令で定められた濃度を十分下回っていることを確認した上で、海に放出していま
す。
(下表参照)
〇また、液体トリチウムの年間放出量が、法令で定められた一般公衆の被ばく線量
(1mSv/年)よりも、できる限り低い量(0.05mSv/年)に保つため、保安規定に定めた
管理値を超えないことを確認しています。
(下図参照)
〇更に、当社及び自治体がそれぞれ行う環境放射線モニタリングにおいて、海水等の
トリチウム濃度を定期的に測定し、環境への影響がないことを確認しています。
(1)トリチウムの性質
〇水素の一種であるトリチウムは、放射線を放出しますが、化学的
な性質は水素と同じであり、水素と酸素でできた水分子(H2O)
と共に、トリチウム分子(HTO/T2
O)として、水中や水蒸気中
に存在しています。
〇水(H2
O)とトリチウムを含む水(HTO/T2
O)は同じ水である
ため、トリチウムだけを取り除くのが相当困難なものです。
〇トリチウムの出す放射線は、ベータ(β)線という放射線であり、そのエネルギーは
非常に弱く、服や皮膚を通過できません。また、トリチウムを体内に取り込んだ
場合でも、水と同様に自然と体外へ排出されるため、人体への影響はほとんどない
と言われています。
(2)自然界のトリチウム
〇自然界においても、宇宙線等により、年間約7京(1016
)ベクレルのトリチウム
が生成されており、自然界に存在するトリチウムの量は、約 100〜130 京ベク
レルとみられており、人体内にも数十ベクレルのトリチウムが存在しています。
2021年4月
1.トリチウムとは 2.原子力発電所における管理
ベクレル(Bq):
トリチウム等の放射性物質から放出される
放射線の数を示す単位であり、トリチウム
の量を表すのに用います。
シーベルト(Sv):
放射線による人体への影響に注目した単位
であり、被ばく量を表すのに用います。
【放射線を表す量】
【放射線の種類と特徴】
原子炉冷却水貯蔵タンク
上部にたまるガス
原子炉冷却水や廃液
を貯蔵するタンク
濃縮液はドラム
缶へ固化
廃液
十分に減衰
冷却用海水ととも
に海に放出
単位:Bq/cm3
トリチウム濃度(注記)1
基準値(注記)2
液体
1,2号機 ×ばつ101
3,4号機 ×ばつ10-2
気体
1号機 ×ばつ10-3
2号機 ×ばつ10-6
3号機 ×ばつ10-4
4号機 ×ばつ10-4
(注記)1:3か月平均濃度の最大値(2023 年度)
(注記)2:原子炉等規制法で定められた3か月平均濃度限度
【発電所における放射性廃棄物の処理】
【図】液体トリチウムの年間放出量
【表】トリチウム放出時の濃度実績
出典:資源エネルギー庁HP
【トリチウムによる人体への影響】 注1 玄海2号機の運転終了に伴う変更放出量(Bq)

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