九州電力(株) 総合研究所
Annual Report 2021
2021年度 総研アニュアルレポート
「総合研究所Annual Report 2021」発刊にあたって
総合研究所長の角田でございます。
総合研究所Annual Report 2021の発刊にあたり一言ごあいさつさせていただきます。
長期に亘るコロナ禍の影響により、私たちの生活や働き方は大きく変容しています。
電気事業においてもデジタル技術を活用した業務改革の取り組みはもとより、画像やセンシング
データをリモートで取得し、活用するための取り組みが急ピッチで進められています。
また、2020年10月の菅首相(当時)による「2050年カーボンニュートラル宣言」により、我が国
でも脱炭素化に向けた機運が急速に高まり、九電グループにおいても「2050年カーボンニュートラ
ル宣言」が策定・公表され、各部門、職場において、脱炭素化に向けた様々な取り組みが展開され
ています。
そのような状況の中、総合研究所におきましては、従来から、1デジタル化(DX)、2低(脱)
炭素化、3電化推進、4DER普及拡大への対応、5地域課題の解決の5つを重点課題と定め、研究
開発に取り組んでおります。
2021年度は、
1 DXの分野では、AIを活用した発電設備や土木建築設備の保全高度化に関する研究等
に取り組みました。
2 低(脱)炭素化の分野では、大学等の社外機関と連携し、水素・アンモニアの利活用
やカーボンリサイクルなど、脱炭素社会の実現に必要なキーテクノロジーの調査を行い、
当社における実証テーマの探索を進めました。
3 電化推進の分野では、産業用ヒートポンプや大型EV向け充放電器の開発等に取り組み
ました。
4 DER普及拡大への対応の分野では、再エネ出力予測の精度向上や配電線電力品質の維持
に関する研究に取り組みました。
5 地域課題の解決の分野では、九州農業の発展、脱炭素化に向けた植物工場の実証や、
自治体等と連携して、地域エネルギーシステム構築に関する検討を行いました。
研究の詳細につきましては、研究紹介のコーナーに記載しておりますので、ご一読いただければ
幸いです。
電気事業を取り巻く環境が急速に変化する中においても、電力の安定供給やコスト低減、ならび
に地域発展に寄与する研究開発を着実に実施するとともに、将来、社会実装が期待される先進技術
の開発に挑戦し、その成果をタイムリーに社内外に発信していくという総合研究所の使命は何ら
変わることはありません。
私たちは、今後も、世の中の動きを的確に捉え、九電グループの事業活動や地域のみなさまの
お役に立てる研究開発に邁進してまいります。
2022年6月吉日
九州電力株式会社
総合研究所長
角田 慎一郎
ごあいさつ
九州電力(株) 総合研究所
Annual Report 2021 目次
総合研究所のビジョン
技術開発の基本方針
技術開発の実施状況
組織情報
【研究紹介】
くろまる 化学・金属グループ
くろまる ネットワーク技術グループ
くろまる 系統高度化グループ
くろまる 社会インフラグループ
くろまる 低炭素化技術グループ
くろまる 地域エネルギーシステムグループ
くろまる 生物資源研究センター 農業電化グループ
くろまる 植物工場プロジェクト(共創推進グループ)
【アクティビティ】
社外委員等活動状況
社外発表実績
社外との共創・連携
技術コンサルティング及び研究設備レンタル
《注釈》
・・・・・・・・・・・ 02
・・・・・・・・・・・・ 03
・・・・・・・・・・・・ 04
・・・・・・・・・・・・・・・・・ 06
・・・・・・・・・・・ 07
・・・・・・・・ 09
・・・・・・・・・・・ 11
・・・・・・・・・・ 13
・・・・・・・・・・ 15
・・・・・ 19
・・ 21
・・ 23
・・・・・・・・・・・・ 24
・・・・・・・・・・・・・・・ 25
・・・・・・・・・・・・ 26
・ 30
・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 31
- 01 -
研究・技術開発を通じ、
『技術』を、「きずき」、「みがき」、
「つなぐ」ことで、
お客さまと共に新たな価値を創ります
くろまる 技術を「きずき」、確固たる基盤をつくりつづけます
くろまる 技術を「みがき」、変革にも迅速かつ柔軟に対応しつづけます
くろまる 技術を「つなぎ」、新たな価値を創造しつづけます
<総合研究所のビジョン 制定の目的>
取り巻く環境が大きく変化する中、
「九電グループ経営ビジョン」を踏まえ
総合研究所員・外部パートナーが
同じベクトルで価値共創の実現を
進めていくために、「将来のありたい姿(想い)」
を共有する必要があると考え、
『総合研究所の将来ビジョン』を策定(2019年4月)
- 02 -
総合研究所のビジョン
技術開発の基本方針
しかく持続的な成長を支える先進技術開発への挑戦
中長期的な観点から、九電グループ事業基盤の維持・強化及び持続的な成長に
繋がる先進技術の開発に挑戦
既存事業領域 成長事業領域
しかく各事業部門の事業基盤を支える
技術ソリューションの提供
しかく九電グループの成長に繋がる
イノベーションの創出
各事業部門・グループ会社との連携を強化し、
エネルギーの安定供給とコスト低減を基軸とした
ソリューションをスピーディーに提供
革新的技術の活用、技術マーケティング等に
より九電グループの成長及び地域社会の発展
に繋がるイノベーションを創出
しかく基盤技術の維持・向上と発展
将来(先進)技術領域
ソリューション提供の源泉となる基盤技術(技術力・設備)の維持・向上と発展
しかく果敢に挑戦し続ける人、成長を実感できる職場づくり
o九電グループの連携を強化し、各事業部門の事業基盤を支える
技術ソリューションのスピーディに提供
o革新的技術の活用、技術マーケティング等により、九電グループ
の成長に繋がるイノベーションを創出
o九電グループの持続的な成長を支える先進技術の開発に挑戦
- 03 -
技術開発の実施状況
総合研究所では、九電グループの競争力強化のため、既存事業領域での事業基盤強化と
成長事業領域での収益拡大を両輪とした技術開発を推進しています。
2021年度は43件の研究に取り組みました。主な研究件名は、以下のとおりです。
《下記件名の末尾に★を付記したものは、「研究紹介」で内容を掲載しています。また、「研究紹介」
の中で(注記)印は、本書末尾に注釈として掲載しています》
- 04 -
化学・金属グループ
ネットワーク技術グループ
研究目的 研究件名
設備保全の高度化
ボイラチューブ材余寿命評価技術のAI化に関する研究★
ボイラ用高強度オーステナイト系ステンレス鋼の余寿命診断技術に関する研究
高クロム鋼厚肉溶接部の余寿命評価技術の高度化に関する研究
内燃機関シリンダーヘッド排気ポートにおける肉厚計測の高度化
安定供給
火力発電所アンモニア安定供給に向けた調査
暴露試験による腐食評価に関する研究
コスト低減 深紫外光を利用した発電設備での海生生物付着抑制可能性調査
設備の安定運用 AE法による風車軸受診断技術の適用研究
設備運用の高度化
火力発電プラントにおける脱ヒドラジン水処理法の実機適用化研究
バイオマス発電所の燃焼管理高度化研究
松浦発電所排脱排水設備の運用効率化調査
低・脱炭素化 海域環境修復に係る事業化検討★
研究目的 研究件名
安定供給
避雷装置の劣化状況把握に関する研究
ガス絶縁機器の内部状態推定に係る基礎研究★
部分放電測定手法の高度化に関する調査研究
コスト低減 PLCを活用した部分放電測定に関する研究
安定供給、コスト低減
6kVケーブルの寿命協調を踏まえた診断技術に関する研究
配電線事故の原因推定機能の精度向上に関する研究★
巡視の自動化・高度化に関する研究
設備保全の高度化
架空送電線自動巡視に関する調査研究
鉄塔の塗膜劣化評価に関する基礎研究
大気・水質環境等の改善 塗料性能確認及びVOC低減対策(水性塗料)適用に関する研究
新規事業領域 落雷エネルギー測定システムの開発に関する研究
系統高度化グループ
研究目的 研究件名
電力品質の維持 【国プロ】再エネ大量導入時の周波数及び系統安定性の維持に資する研究
総合エネルギー事業領域 【国プロ】分散型エネルギーリソースを活用した次世代制御技術の実証★
- 05 -
農業電化グループ
生物資源研究センター
地域エネルギーシステムグループ
低炭素化技術グループ
社会インフラグループ
研究目的 研究件名
再エネ設備の安定運用
AI(機械学習)による導水路トンネル覆工背面空洞調査の高度化に関する研究★
導水路補強工事の合理化に関する研究★
設備保全の高度化
音響(波動散乱解析)技術活用によるコンクリート構造物等の非破壊検査に関する
研究
研究目的 研究件名
低・脱炭素化
藻類バイオマスによる石炭火力のCO2削減に関する基礎研究
水素エネルギー開発動向調査★
カーボンリサイクル技術開発動向調査★
電力貯蔵技術の開発動向調査
電化推進
蒸気ボイラ給水予熱特化型CO2ヒートポンプの開発★
電気バス向け大容量充放電器の開発★
電気バス導入拡大に向けた課題抽出と対応策に関する研究
研究目的 研究件名
再エネ主力電源化
SVRとSVCの協調制御手法の開発★
地域エネルギーシステム構築・運用に関する研究
研究目的 研究件名
電化推進
ヒートポンプ周年利用による省エネ・高効率生産技術の研究
ヒートポンプの施設園芸への普及拡大に関する調査研究★
新規事業 ファインバブル水の農作物への育成効果に関する研究
環境保全 環境アセス重要種の保全・増殖に関する研究
地域課題解決 天山発電所地域におけるキノコ等栽培可能性調査
研究目的 研究件名
電化推進 植物工場に関する研究(年間を通じたイチゴ栽培技術の確立)★
植物工場プロジェクト(共創推進グループ)
組織情報( 各 グ ル ー プ の 主 な 担 当 分 野 )
研究スタッフ(2グループ)
研究企画グループ 共創推進グループ
研究実施(7グループ)
化学・金属グループ 社会インフラグループ
ネットワーク技術グループ
くろまる中長期技術開発戦略
くろまる総合研究所の業務運営統括
くろまる研究計画・管理 くろまる人材育成
くろまる研究成果広報
くろまる化学分析・評価技術 くろまる腐食、防食技術
くろまる環境保全・修復技術 くろまる寿命評価技術
くろまる非破壊検査技術 くろまる健全性評価技術
低炭素化技術グループ
くろまる変電・送電・配電設備保全技術
くろまる雷害対策関連技術
くろまる絶縁・高電圧関連技術
くろまるグループ会社や他事業者等との共創プロジェクトの
企画立案、推進
くろまる全社の知的財産出願、管理、活用促進
くろまる植物工場プロジェクト
くろまる社会インフラ(土木建設設備等)の構造評価・
保全高度化技術
くろまるコンクリート関連技術
くろまるエネルギー貯蔵技術、熱利用技術
くろまる電化推進技術(ヒートポンプ、EVインフラ技術等)
くろまる水素、CCUS、バイオマス、太陽光関連技術
系統高度化グループ 地域エネルギーシステムグループ
くろまる電力の安定供給・品質維持に関する技術
くろまる高度な系統解析技術
くろまるエネルギーマネジメント技術、エネルギー関連情報
利活用技術
くろまる次世代配電技術(マイクログリッド等)関連技術
くろまる地域エネルギーシステム構築コンサルティング支援
農業電化グループ
生物資源研究センター
くろまる農業分野の省エネルギー・電化推進技術
くろまる微生物利活用技術
くろまる農業電化コンサルティング支援
くろまる沿 革
1951年 九州電力(株)設立
1952年2月 技術研究所設置
1956年6月 総合研究所へ名称変更
1965年9月 薬院から現在地(福岡市南区塩原)へ移転
1992年6月 現在の本館竣工(旧本館は実験棟に改造)
2010年7月 技術本部設置(総合研究所、土木部)
2017年4月 テクニカルソリューション統括本部設置
(情報通信本部、土木建築本部、総合研究所)
しかく総合研究所
しかく生物資源研究センター
1946年 九州配電(株)農業電化指導農場を設立
1951年 九州電力(株)に農業電化試験場を移管
1962年 前原町に農業電化試験場前原分場を開設(2014閉鎖)
1986年 農業電化試験場を佐賀支店から総合研究所へ統合
2001年 生物資源研究センターへ名称変更
福岡市南区塩原2丁目1-47
佐賀市高木瀬東1丁目10-1
- 06 -
(2022年6月現在)
〜代表研究者からの一言〜
本研究を始めた頃は、AI技術に疎かったため、AIのセミナー受講や
AI関連の書籍・文献の閲読により、AI技術を少しずつ体得しました。
今後も余寿命評価技術のAI化を拡大できるよう精進していきます。
だいやまーくAIによる余寿命評価技術の開発
金属組織の劣化・損傷模擬材から、金属組織の劣化・
損傷度合いに応じた観察画像を取得しました。
また、汎用モデルに金属組織の劣化・損傷区分用
プログラムを追加したモデルを作成しました。
このモデルに上記の観察画像を読み込ませて何度も
学習させることで、金属組織の劣化・損傷度合いを判定
する画像認識モデルを作成し、AIによる余寿命評価技術
を確立しました。
だいやまーく余寿命評価報告書の自動作成機能の追加
画像認識モデルの判定結果に基づく余寿命の算出及び
その結果を取り纏めた報告書の作成をプログラム化し、
金属組織の観察画像及び余寿命の算出に必要なデータを
入力するだけで、余寿命評価及びその結果を示す報告書を
自動作成できるようにしました。
当グループは、お客さまに良質で廉価な電気を安定してお届けするため、当社の事業基盤を
支える発電設備の運用・保守に関して、AI技術を融合したDX推進に資する現場密着型の研究に
取り組んでいます。
また、当社が地域の一員として、持続可能な社会の構築に貢献し続けていくため、地球環境
問題、社会との協調、地域環境の保全に資する研究活動にも積極的に取り組んでいます。
1 目的・背景
2 成果概要
火力発電ボイラチューブ材(注記)1の余寿命評価手法の一つである組織対比法(注記)2では、金属組織の
標準写真と実機の組織写真を比較して、金属組織の劣化・損傷度合いを判定しますが、評価する
者の個体差によって判定結果が異なることが懸念されています。
また、近年の発電設備定期事業者検査の回数減少に伴って、余寿命評価に必要な技術力の維持
が喫緊の課題となっています。
そこで、AIによる画像認識技術を用いた余寿命評価技術を構築することで、これらの課題解決
に取り組みました。
原田 洋
画像認識モデル作成フロー
3 今後の展開
今回開発したAIによる余寿命評価技術では、対象鋼種が
火STBA24J1(注記)3のみでありますので、今後は対象鋼種を拡大
し、設備保全の高度化に取り組んでいきます。
報告書自動作成フロー
テスト
データ
学習用
データ
:学習モデル精度不足時の対応フロー
学習モデル検証
汎用モデルの取得
学習モデル作成
金属組織の
劣化損傷区分用
プログラム作成
金属組織写真の収集
水増し
金属組織写真の分割
金属組織の
レプリカ採取
顕微鏡観察
(画像取得)
学習モデル
金属組織の劣化
損傷度合い判定
・発電所名
・ユニット名
・管内の蒸気圧力
・管外径
・管肉厚
・累積運転時間
寿命消費率算出
余寿命算出
報告書作成
余寿命算出に必要な
データ等を入力
グレードI グレードII
グレードIII グレードIV
化学・金属グループ
研 究 紹 介
AIによるボイラチューブ材余寿命評価技術の開発【研究期間2021〜2023年度】
くろまる グループ紹介
- 07 -
砂の代替材として、コンクリート1m3に対し、500kg程度の木質バイオマス燃焼灰を使用し
基礎性状を把握しました。
開発したコンクリートを使用して消波ブロック(注記)6製造を行いましたが、作業性に問題はなく、
製品としても問題のない安全性、強度発現及び仕上がり外観を達成しました。
2 成果概要
当グループは2004年より磯焼け(注記)4対策に着手し、「中間育成」と「石炭灰(再生原料)を活用
した藻場増殖礁」を組み合わせた独自技術を通して、自治体が取り組んでいる九州沿岸海域の
環境修復・保全に貢献しています。
本取り組みで、藻場増殖礁に再生原料を活用しているものの、自然環境保全と循環型社会形成
推進の観点から、再生原料の使用率向上が求められています。
また、国のカーボンニュートラル(注記)5に係る諸施策で、バイオマス発電所等の再生エネルギーの
導入促進が挙げられたことから、木質バイオマス発電所が増加し発生する燃焼灰の処分が課題
となりつつあります。
このため、木質バイオマス燃焼灰の用途拡大を目指し、藻場増殖礁や消波ブロック(注記)6等の
海洋構造物に使用するコンクリート原材料として取り扱えないか検討を行いました。
3 今後の展開
当グループの強みである海藻育成技術に、今回の知見を融合させた上で、実海域での試験を
重ねることで、次の2点につなげたいと考えています。
図2 消波ブロック
中間育成前の状況
中間育成技術 中間育成後の状況
藻場増殖礁 藻場増殖礁の設置 藻場増殖礁(沈設2年後)
〜代表研究者からの一言〜
木質バイオマス発電所で発生する燃焼灰の処分の課題解決に繋がる技術
を提案できたと思います。
森林から発電そして海洋までの地産地消の取組みにより循環型社会の
形成に寄与できることを期待しています。
今後は実海域での試験や他の活用法の検討を続けていきたいと思います。
坪田 晃誠
沿岸海域の環境修復のキー・テクノロジーである藻場増殖手法に関し、
社会や時代のニーズに合わせ技術や製品の改善・高度化に取り組みます
【研究期間 2020〜2021年度】
- 08 -
図1 独自技術
独自技術とは、「条件の良い海域
で従来から九州にある海藻を選択
し、種から幼体まで養育する中間
育成技術」と「ある程度の大 きさ
になった海藻を藻場増殖礁に固定
させ海に沈める技術」のこと
1 目的・背景
(1) 木質バイオマス燃焼灰の用途拡大による「循環型社会の形成」と「発電所運営の円滑化
(電源の低・脱炭素化)」の促進
(2)「砂の使用量低減」と「海藻育成(ブルーカーボン生態系(注記)7の増加)」による環境負荷の低減
当グループは、電気を送るために必要な送電・変電・配電設備を対象として、設備の高経年化
対策やコスト低減などの課題解決に向けた研究開発を実施しています。
長年培ってきた雷害対策や絶縁などの高電圧技術関連の研究開発に加え、近年では、ディープ
ラーニングや機械学習、画像認識技術を活用した設備保全高度化など、現場業務への新技術適用
に向けた研究開発にも積極的に取り組んでいます。
くろまる グループ紹介
機械学習を用いた停電原因推定手法の開発
【研究期間 2019〜2021年度】
〜代表研究者からの一言〜
私にとって未知の世界であったAIやビッグデータを活用した研究で
あるため、基礎知識の習得から応用技術の学習まで多くの時間を費やし
ながら、徐々に理解を深めてきました。
これからは、開発品の現場導入に向けた検討を加速させ、一刻も早く
現場従事者が行っている原因推定作業の効率化に貢献したいと思います。
だいやまーく新たな停電原因推定手法の検討
従来、停電原因は、配電線路の異常により
停 電 し た 際 に 発 生 す る 電 流 の 波 形 成 分
(高調波(注記)2など)の出現比率や電圧の大きさ等
から波形の特徴を解析し、人間が決めたルール
で推定していました。
従来の上記手法では停電原因の分類パターン
の種類が少なく原因特定が難しいという課題が
あるため、過去の観測データ等から機械が推定
モデルを決定する機械学習(注記)3 手法を用いた
新たな停電原因推定手法を検討しています。
1 目的・背景
2 成果概要
お客さまに電気をお届けする配電線路においては、停電の未然防止や停電時の早期復旧等の
運用業務の更なる効率化・省力化を目的に、センサー付き開閉器(注記)1や光ケーブル等で構成される
光遠制システムが導入されています。
センサー付き開閉器により測定される電流・電圧波形データを収集、活用した停電原因推定の
精度向上のために、新たな推定手法の開発に取り組んでいます。
3 今後の展開
従来の手法による推定精度を上回る停電原因
推定システムを構築し、実フィールドでの検証
を行います。
新手法に用いる機械学習例(決定木(注記)4)
従来手法に用いる電流波形形状例
基本波出現比率高調波出現比率分類4(針状波)
分類3
分類3(三角波)分類5(分類不能)(高次)
(基本波)
分類1(正弦波小)(注記)電圧値大
分類2(正弦波大)(注記)電圧値小
(小) (大)
電流波形分類を判定
川添 尊夫
ネットワーク技術グループ
- 09 -
研 究 紹 介
1 目的・背景
2 成果概要
3 今後の展開
〜代表研究者からの一言〜
CF4の検出目標である低濃度領域での検出を実現するため、「電極
形状の選定」、「プラズマ放電時の熱により発生するガスの抑制」、
「電極の長寿命化」などの課題に取り組み、試行錯誤を繰り返すこと
で解決できました。
今後は、現場への適用を目指し、環境負荷を減らした、使いやすい
装置を提案していきたいと思います。
ガス絶縁機器断路部の簡易内部状態推定手法の開発【研究期間 2018〜2022年度】
電力機器におけるガス絶縁機器の断路部においては、動作回数とSF6分解生成ガスCF4
(注記)5の
含有量で異常判定できますが、安価なCF4センサがなく、FT‐IR(注記)6やガスクロマトグラフといった
高価な分析を余儀なくされ、費用と時間を要しています。
そこで全く新しい発想で、CF4をプラズマ放電によりCOに分解した上で、安価なCOセンサを
用いて現場で無停電で簡易診断する手法の開発に九州大学さまと共同で取り組んでいます。
だいやまーくガス絶縁機器断路部異常発生時の分解ガスについて
ガス絶縁開閉装置は、開閉動作に伴い接点間で発生
する放電によって分解ガスが生じ、その生成量は動作
回数に依存すると考えられます。
しかし、分解ガスのほとんどは機器内部の吸着剤に
吸着され点検時に検出することは難しいですが、分解
ガスのうちCF4は吸着されにくく、タンク内部に存在す
るため、断路部の異常診断にはCF4ガスが有効です。
今回CF4ガスを含む絶縁ガスにO2を混入したのち、
円筒型セラミック沿面放電素子でプラズマ放電分解し、
COガスに変換してCOセンサで測定する間接法を考案
しました。
だいやまーくCF4とCOとの相関検証
間接法を適用するためには、実際のCF4の値と分解後
のCOのセンサの値との相関をとる必要があります。
このため検量線を算出し、間接的にCF4の量が測定
できるようにしました。
実際にガスを採取し、間接法により測定した結果、
数 十 〜 100ppm の CF4 に 対 し 、 CO セ ン サ か ら 検 量 線 を
用 い た 算 出 し た 結 果 は 、 ほ ぼ 一 致 す る こ と を 確 認
しました。
こ の た め 、 内 部 状 態 を 診 断 で き る 可 能 性 が あ る
ことから、簡易診断に活用できることが期待されます。
実ガスを採取、実験を継続し、低濃度領域(30ppm以下)での再現性を検証することで、本手法
の信頼性向上を図ります。また装置のパッケージ化・小型化を進め、現場への導入を提案して
いきます。
プラズマ放電電極の構造
間接法の原理模式図
宇都宮 清司
- 10 -
くろまる グループ紹介
本実証は、FIP事業者が九州エリア内
のPV発電所(14発電所、40.6MW)を束ねて
バランシンググループ(注記)2を形成し、その
発電電力を卸電力市場等に売電すること
を想定。
FIP 事 業 者 に と っ て 、 売 電 収 益 を
最 大 化 す る に は 、 イ ン バ ラ ン ス (注記)3 を
最小化する必要があるため、発電量予測
の精度について検証しました。
1 目的・背景
2 成果概要
FIP制度(注記)1の導入等を踏まえて、変動性の高い太陽光(以下、PV)発電設備と蓄電池を組み合わせ、
需給バランス確保のための再エネ発電量予測や、リソース制御に必要となる技術等の技術実証を
行っています。
なお、本実証は、経済産業省資源エネルギー庁さまの「蓄電池等の分散型エネルギーリソース
を活用した次世代技術構築実証事業」の補助金を受けて、東芝ネクストクラフトベルケ(株)さまの
コンソーシアムの一員として実施しています。
だいやまーくPV発電量予測の高度化
図1 PV発電量予測結果(2021年8月1日)
図2 PV発電量予測結果(2021.7〜2022.1)
1予測タイミングによる評価
FIP事業者が、卸電力市場との取引
などの各イベントで翌日発電計画を
策定、または修正するタイミングを
2日前7時、前日7時、前日17時、当日
7時、当日ゲートクローズ(注記)4 (以下、
GC)1時間前、当日GCとして、予測値と
実績を誤差として評価しました。
な お 、 評 価 の 時 間 帯 は 日 中 (6 〜
18時)としました。
評 価 の 結 果 、 月 毎 に 予 測 誤 差 の
大きさは異なる傾向にありましたが、
総じて予測タイミングが実需給に近い
ほど精度が向上することを確認しま
した。
しかし、その改善効果は2%程度
であり、当日GC時点でも依然として
残る予測誤差(5%程度)の方が大きい
ことも分かりました。
当グループは、これまで系統技術や需給運用に関する研究開発に取り組み、技術力を蓄積して
きました。また、最近では分散型エネルギーリソースに関する実証などを通じた知見も獲得して
います。
現在、これらの技術力や知見も活用し、再エネアグリゲーションに必要となる技術の開発・
検証や、さらなる再エネ増加や新たな制度に対応する需給シミュレーションツールの開発など、
カーボンニュートラル実現に向けた課題解決に取り組んでいます。
系統高度化グループ
研 究 紹 介
FIP制度に向けた高精度な再エネ発電量予測技術の実証
【研究期間 2021年度〜】
- 11 -
〜代表研究者からの一言〜
カーボンニュートラル不可欠だと考えます。
このため、これまでの取り組んできたVPPやV2Gの技術実証に引き続き、
再エネアグリの実証を通じての実現に向けては、分散型エネルギーリソースの
統合制御技術の獲得が、幅広い周辺技術の習得に努めています。
古田 昭宏
3 今後の展開
PV発電量予測の高度化に関しては、1〜2時間先の予測精度の更なる向上に向け、種々の気象
予測技術の適用可能性を検討する予定です。
また、GC時点においても残る予測誤差について、蓄電池を用いてインバランスの発生を抑制
するための実証実験を予定しています。
さらに、2022年4月のインバランス料金制度の変更を踏まえ、損失の再評価を行う予定です。
2不等時性による誤差の低減
図3 不等時性による誤差の低減
図4 不等時率の最大・最小(N=3)
だいやまーくインバランス発生に伴う損失評価
同一時刻において日射量予測誤差
(上振れ、下振れ)は地点によって異なる。
これを「日射量予測誤差の不等時性」と
定義しました。
PVが1地点に集中している場合と、
異地点に点在している場合では、後者の
方が日射量予測誤差の不等時性によって
全体の予測誤差を低減でき、PV発電量
予測の精度向上を見込める可能性がある
ことが分かりました。
不等時率 % =
予測日数 − 誤差が同符号の日数
予測日数
不 等 時 率 を 上 式 で 定 義 し た 場 合 、
地点数(N=3)について、不等時率が最小
または最大となる組合せを図4に示します。
この図より、地点間の距離が離れる
ほど予測誤差の低減効果が高いことが
分かりました。
インバランス発生に伴う損失について、
以下の条件にて評価を行いました。
図5 予測誤差、市場単価の一例
- 12 -
1前日7時にPV発電計画を立て全量を
スポット市場に入札、全量落札と仮定
2当日GCまでPV発電計画は見直さず、
インバランスは一般送配電事業者との
間で事後精算
結果、PV発電量に対するインバランス
発生量(余剰、不足)の合計が約20%である
のに対して、PV発電収入に対するイン
バランスの影響額はさんかく1%でありました。
この理由は、余剰インバランスの精算
において、スポット市場単価よりも余剰
インバランス単価が高くなる場合がある
ところに起因していることを確認しました。
くろまる グループ紹介
〜代表研究者からの一言〜
本研究は、空洞有りと判断できる「条件6項目」を整理した西日本
技術開発(株)さまと、システム構築とAI化を担当した(一財)電力中央
研究所さまと共同にて実施しました。
これまでに、当社大分支店管内の鮎川発電所で現場実装しており、
トンネル補強工事の設計に寄与しました。
だいやまーく主なシステムの概要
高度成長期に建設・整備した電力インフラの老朽化が進む中、設備管理者は設備の延命化を
図る上で、維持管理費用・更新費用の更なる抑制や平準化を進めていく必要があります。
当グループでは、設備管理者が行う保守点検・維持管理措置の効率化及び低コスト化に資する
ため、AI(人工知能)やデジタル技術を活用しての研究に取組んでいます。
一方で、火力発電の副産物であるフライアッシュの有効利用や近年の脱炭素化を踏まえた
コンクリート材料等の長期供用に関する技術確立を通して、持続可能な社会構築に貢献して
います。
1 目的・背景
2 成果概要
導水路覆工コンクリート(注記)1の背面空洞調査(注記)2は、一般に電磁波レーダ探査機が用いられます。
しかしながら、この探査機から得られる情報を用いての背面空洞の有無の判定は、技術者の
経験に基づく分析ノウハウに左右され、その精度も個人によってばらつきがあります。
そこで当グループ他は、判定精度の高いベテラン技術者の分析ノウハウを整理し、AI化による
背面空洞分析支援システムを開発しました。
3 今後の展開
今後は、更に教師データを取得し、AIシステムの改良更新に努めるとともに、当社利用
のみならず、公共事業への利用も幅広く行っていく所存です。本研究の成果は、既に特許申請
済みで、現在NETIS(注記)3登録の準備中です。
社会インフラグループ
研 究 紹 介
AIによる背面空洞調査システムの開発【研究期間 2019〜2021年度】
- 13 -
1空洞箇所のスクリーニング
明らかに空洞がないと判断される区間を
図示し作業量の削減に寄与しました。
2空洞分析結果の線状表示
空洞習させ有りと判断できる「条件6項目」
をAIに学図示しました。
上野 貴行
だいやまーくシステムの評価
空洞判定の精度は当社比85%以上となり、
分析作業量は概ね当社比30%以上を削減する
ことができ、省力化及び工期短縮等による
コスト削減に寄与しました。
1 目的・背景
当社では、水力発電所を再開発し、FIT(注記)4にて売電する計画があります。
FIT(導水路活用型)の認定を得るためには、導水路設備の補強を行う必要があり、代表例
としてカーボングリッド格子材(注記)5とモルタル吹付による補強を複数の現場にて実施しております。
今回、さらなるコスト低減を図るため、導水路(トンネル)の軸方向にかかる応力に必要な
カーボングリッド格子材の設計合理化に関する研究を行いました。
2 成果概要
だいやまーく製品の開発
本研究では従来のグリッド格子材に対し、
炭素繊維の一部を安価な材料(ガラス繊維等)
に置換えコスト削減を図ったハイブリッド
グリッドと、従来品と同等の強度で自由な
角度に曲げることが可能な隅角部の施工に
特化したフレキシブルグリッドの2種類の
製品を開発しました。
更に従来のグリッド固定用アンカーにも、
PCM(注記)6厚さの目安となる突起(レベラー部)を
持たせ施工の効率化を図ったレベラー付き
アンカー(2種類)を開発しました。
だいやまーく開発品の施工時の効果
従来品と開発品の性能比較のため、当社
小丸川発電所の石河内ダムの仮設トンネルに
おいて同じ施工量を同環境にて敷設しました。
要した作業時間から「施工効率」を、
モルタル覆工厚さ分布から「出来形」を
それぞれ比較しました。
その結果、開発品の方が「施工効率」で 3
割が向上し、「出来形」で基準のモルタル厚
さ(12mm)に対し、均一かつ平滑となる こと
が確認できました。
だいやまーく当社工事での現場実装
試験施工後、関係各所の協力もあり、
開発品を当社設備の鮎川発電所、幸野発電所
の導水路補強工事へ現場実装しました。
3 今後の展開
本開発品は、当社内の導水路設備工事のみに限らず、全国の水力発電設備の修繕や補強に適用
できる工法であるため、他電力他への外販にむけて取り組んでまいります。
〜代表研究者からの一言〜
本研究は共同研究先の前田工繊(株)さま、西技工業(株)さまや社内関係各所
のご協力を経て現場実装まで実施することが出来ました。
今後は、現場実装の実績を活かし外販拡大に向けての広報活動、製品の
特許取得やNETIS(注記)3への登録に向けて頑張ります。
導水路用の補強材料の開発 【研究期間 2020〜2021年度】
- 14 -
上野 貴行
当グループは、エネルギー需給両面の取組みとしての2つの柱「電化の推進」、「電源の低・
脱炭素化」に向けて、低・脱炭素化社会実現を目指した取り組みを進めています。
需要側では、特にエネルギー消費が多い産業部門でのヒートポンプ利用拡大、運輸部門での電気
自動車普及対応等のお客さまの電化推進に資する技術開発に取組み、供給側では、火力発電の化石
燃料を代替する水素・アンモニアの混専焼、バイオマス活用、火力発電所等で発生するCO2に
対するCCUS及びカーボンリサイクル新技術等の開発動向調査、技術実装に資する研究に取組んで
います。
くろまる グループ紹介
蒸気ボイラ給水予熱特化型CO2ヒートポンプの開発 【研究期間 2020〜2022年度】
〜代表研究者からの一言〜
商品化にあたり、技術面では共研先の昭和鉄工(株)さまに大変ご尽力
いただくとともに、実証試験箇所として選定に苦労したモニター箇所で
ある一般のお客さまには大変ご協力をいただきました。今後もさらなる
産業電化の普及に貢献いたします。
・共同研究先の昭和鉄工(株)さまとボイラー燃料を
削減する「自然冷媒ヒートポンプ給水予熱」を
開発し商品化
・商品名:プレキュート
・2022年4月から昭和鉄工(株)さまが受注開始
1 目的・背景
2 成果概要
食品工場では、食品や容器類の殺菌及び洗浄用として、
燃料に重油を使用した蒸気ボイラーが多いです。
そこで、蒸気ボイラー燃料を削減するために、蒸気
ボイラーへ供給する前の給水を予熱するCO2冷媒(注記)1のヒート
ポンプの開発を行い、さらなる省エネ推進やCO2削減に貢献
することを目的としました。
なお、給水温度は工場稼働中の昼間は低温で、停止中の
夜間は高温で予熱するなど最適運転を可能としました。
3 今後の展開
お客さまがプレキュートに興味をもって頂ける
ようなポータブル簡易試算ツールを作成予定です。
河野 悦朗
《商品概要説明》
今 回 開 発 し た 機 器 シ ス テ ム は 、 「 蒸 気
ボイラーの給水を効率良く予熱(給水温度を
予め上げておくこと)する」ことをコンセプト
としており、蒸気ボイラーの燃料を削減すると
ともに、CO2排出量の削減を図ることができ
ます。
給水を予熱することに機能を絞り、ヒート
ポンプ構成部品を極力削減することで価格を抑
え、簡単な工事のみで設置できるコンパクトな
システムとなっています。
また、ヒートポンプの冷媒は、高温出湯が
できるエコキュートと同じ自然冷媒(CO2)を
使用しており、環境にやさしい製品です。
低炭素化技術グループ
研 究 紹 介
- 15 -
〜代表研究者からの一言〜
電気バスの付加価値を向上させる各種サービス(事業所EMS、VPPなど)
の開発を通して、運輸部門の電化推進に寄与する技術的知見を習得し、電気
自動車を活用した低炭素社会実現に向けて取り組んでいきます。
電気バス向け大容量充放電器の開発【研究期間 2019〜2022年度】
大容量充放電器は、当社、九電テクノシステムズ(株)さま、(株)キューヘンさまの3社で開発に着手
しました。
2020年度までにV2Hガイドライン(注記)3で規定された性能を満足することができました。(2020年
12月CHAdeMO認証取得)
2021年度は、電気バスの蓄電池(105kWh)の充放電を遠隔で制御させることで、バス運行計画
に合わせて、夏季電力ピークカット等のエネルギーマネジメントに適用できることを確認しま
した。
1 目的・背景
2 成果概要
我が国におけるCO2排出量に占める運輸部門の割合は約2割で、その約9割を「自動車交通」が
占めています。
CO2排出量の削減を図るために電化推進は社会的な課題であり、特に大型車(路線バスや
トラックなど)に関しては、運用面や設備の導入コスト面などの課題があり、普及が進んで
いません。
そこで、大型車向けの大容量充放電器を開発し、事業者の電気自動車導入を支援することで、
運輸部門の電化推進に取組みます。
3 今後の展開
電気バスと充放電器(試作機)を用いて、バス営業所での充放電フィールド検証を継続実施
するとともに、試作機の改良と高機能化に取組み、2022年度目途での製品化を目指します。
充放電制御のイメージ
石橋 弘次
充放電器(試作機)と電気
バス(西日本鉄道(株)さま所有)
W] 施設電力-充電電力-SOC(30分値)
30分値
受電合計
30分値
施設電力
30分値
充電電力SOCW]
受電電力-充電電力-SOC(1分値)
受電電力
瞬時値EVPS瞬時値SOC設定電力
事業所
合計電力(kW)充放電器
充電電力(kW)充放電器
充電電力(kW)事業所
施設内電力(kW)事業所
合計電力(kW)30分値
10:00 11:00 12:00 13:00 14:00 15:00 16:009:001002030405060708090100[%][kW]
1分値
10:00 11:00 12:00 13:00 14:00 15:00 16:009:001002030405060708090100[%]60[kW]504030201006050403020100-10SOC
36[%]SOC98[%]
充電開始 充電終了
目標電力
(注記) 施設内電力の増減に応じて、充放電出力電力を制御
することで、合計電力(30分値)を目標電力内に納める
事業所内エネルギーマネジメント実証結果
- 16 -
水素エネルギー開発動向調査【研究期間 2020〜2021年度】
都市部で水素製造に利用可能なエネルギーリソースとして、再生可能エネルギーを含む電力、
都市ガス及び下水汚泥由来バイオガス等を抽出、水素製造は、分散設置や再エネ出力変動の
応答性に有利な、PEM型水電解装置を想定しました。水素利活用の具体的方法は、都市ガス
への水素添加と、ボイラ・給湯器の水素燃料利用などを想定しました。また、都市ガスへの水素
添加可能量については、ガス用品に関する法令や大手ガス会社の旧託送供給約款を参考に、
都市ガス13Aで体積比5%以下と想定しました。
1 目的・背景
2 成果概要
3 今後の展開
当グループはカーボンニュートラルのキーテクノロジーとされる水素技術に関する最新動向
調査や技術評価を実施しています。 2020〜21年度は、様々な想定がなされる水素利活用のうち、
水素製造に必要となる資源(エネルギーリソース)は少ないもののエネルギー消費量は比較的
多い都市部での水素利活用に着目し、都市部での水素地産地消モデルの実現可能性について、
NEDO委託調査「地産地消型水素製造・利活用ポテンシャル調査」を受託、検討を行いました。
〜代表研究者からの一言〜
カーボンニュートラル実現に向け、水素エネルギー技術のメリットと共に
デメリットも見極め、利活用面での経済性と環境性の両立を目指し、効果的な
利活用方法の探索を行っていきます。
後藤 康之
都市部での水素地産地消モデル実現に向け、間接電化技術(注記)4、下水汚泥由来バイオガスを直接
利用する燃料電池技術、及び都市ガスへの水素混合に関する技術開発及び協力体制の構築等を
検討予定です。
これらを踏まえて、福岡市の再開発状況を
参考とし、以下の水素地産地消モデルを想定
しました。
・複数施設モデル(事務所・商業施設・
医療施設・集合住宅が混在する地区)
・複合施設モデル(棟内に商業・事務・
宿泊施設を設置した複合ビル)
・高層集合住宅モデル
そのうえで、建物毎に水素製造装置を設置
しての水素製造・利活用によるコスト、
環境性などを評価しました。
その結果、都市ガス水素添加では、若干の
コスト増にはなるものの、CO2排出量は3.5〜
11.5%程度削減可能な試算結果となりました。
また、医療施設及び宿泊施設のボイラ・給湯
器で水素を利用する場合、商用電源のみで
水素製造した場合はコスト、CO2排出量共に
増加するが、託送料がかからない自家PV電力
を併用することで、コストは最大6.5%、
CO2排出量11%の削減が可能との試算結果と
なりました。
(kW) コスト CO2排出量 コスト CO2排出量 コスト CO2排出量 コスト CO2排出量
複数施設モデル
・事務所、商業施設、医療施設、集合住宅
・延床面積合計:58万m2 7,653.1 100.01% 88.46% 100.03% 88.47% 100.79% 100.40% 93.66% 88.84%
複合施設モデル
・事務所、商業施設、宿泊施設
・延床面積合計:14.5万m2 627.9 100.01% 96.59% 100.02% 96.60% 104.59% 102.32% 102.49% 98.90%
高層住宅モデル
・集合住宅
・延床面積合計:3.8万m2 74.2 100.15% 94.58% 100.49% 94.49%
都市ガス水素添加モデル 間接電化モデル
自家PV水素製造 商用電源併用 商用電源のみ 自家PV電力併用
自家PV容量
概要
表. 水素地産地消モデルでのコスト・CO2排出量増減試算結果
都市再開発モデルの想定地域
地区開発モデルの水素地産地消イメージ
- 17 -
カーボンリサイクル技術開発動向調査【研究期間 2020年度〜】
1 目的・背景
2 成果概要
3 今後の展開
〜代表研究者からの一言〜
2050年カーボンニュートラル宣言以降、カーボンリサイクルの分野は現在
さまざまな新規技術が研究されております。
有望な技術を見極め、技術開発に繋げることで電力の低脱炭素化に取り組ん
でいきます。
政府は2050年カーボンニュートラル宣言に伴い「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン
成長戦略」を策定し、成長が期待される産業分野の一つとしてカーボンリサイクル産業を位置
付け、重点的に技術開発や事業化支援を実施しています。当社も2021年4月に「九電グループ
カーボンニュートラルビジョン2050」を策定しており、今後カーボンニュートラル実現に向けた
実行計画の具体化、遂行が必要となります。
CCUS(注記)5やカーボンリサイクル技術はカーボンニュートラル実現への寄与が期待され、未成熟な
ものの今後成長が見込まれる分野です。このため最新技術動向の把握や実現可能性評価を継続
して実施しています。
引き続き最新技術動向を調査、評価しながら関係部門への情報提供とともに、有望技術に
ついては早期実現に向けた技術開発に取り組んでいきます。
カーボンリサイクル技術の概要
(経産省カーボンリサイクル技術ロードマップを元に作成)
カーボンリサイクル技術の前提となる
CO2 分離回収について、主にLNG火力発電
所に適用可能な化学吸収法に注目して、
新技術開発動向や経済性等を調査して
います。
また、排出されたCO2 を地中に貯留する
CCS技術について、国の政策動向や技術
実証の動向を確認しています。
その他、さまざまなカーボンリサイクル技術のうち、CO2と水素を合成させて燃料化する技術
(メタネーション)や化学品の生成、鉱物へのCO2固定化等の新技術について、先行するNDEO技術
実証や企業・大学の研究の進捗状況等を調査しております。
このうち将来有望な基礎研究について、企業・大学との共同研究実施に向けて現在取り組んで
います。
- 18 -
谷口 怜翼
当グループは、これまでに培った
・スマートグリッド実証試験等による配電系統運用に関する技術
・VPP実証事業によるエネルギーリソースの活用技術
の融合を図り、
・分散型電源の普及拡大に対応した、配電系統の運用、構築と電力品質維持
・エネルギーマネジメントサービスや地域マイクログリッドシステム構築、運営事業への参入、
実装といった次世代配電ネットワーク実現
に取組んでいます。
くろまる グループ紹介0501001502000:001:002:003:004:005:006:007:008:009:0010:00
11:00
12:00
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22:00
23:000:001:002:003:004:005:006:007:008:00使用電力・太陽光発電出力[kW]
使用電力
太陽光発電出力
〜代表研究者からの一言〜
今回は新築する建物への設備導入であり、設置スペースの制約等を
考慮した蓄電池仕様の選定に苦慮しました。
今後も、更にコンサル技術や運用ノウハウの知見を蓄積し、地域の
ニーズを踏まえた課題解決を提案できる研究に取組んでいきます。
だいやまーくシステム構成・運用方法の検討
太陽光発電(既計画)の地産地消とレジリエンス
強化のニーズを受け、蓄電池とエネルギーマネジ
メントシステム(EMS)(注記)1を導入することとし、
需要規模や発電出力等に応じた導入設備の仕様
(容量・出力等)と運用方法(図2)を検討しました。
だいやまーく環境性・経済性の評価
上記検討においては、環境性(再エネ利用率等)
や経済性(電気料金等)の評価(図3)を実施し、
今後の導入提案に活用できる指標とすることができ
ました。
1 目的・背景
2 成果概要
2050年カーボンニュートラルが宣言され、再生
可能エネルギーの導入拡大が進む中、エネルギーの
地産地消や災害時のレジリエンス強化などの地域
ニーズが高まり、各地で地域エネルギーシステム
(図1)の構築・運用が進められています。
当グループでは、同システムに係るコンサル技術
や運用ノウハウの獲得に向け、実地点において、
システム構成や運用方法を検討し導入提案を行い
ました。
上田 泰則
3 今後の展開
平常時:接続
非常時:切離し
図1 地域エネルギーシステムのイメージ
図3 太陽光発電の利用率と電気料金の算定例
太陽光発電
需要家A
蓄電池
需要家B
需要家C
電力系統
EMS(注記)1
平常時:エネルギーの有効活用、
購入電力量の削減など
非常時:独立運用
図2 蓄電池の運用例(余剰電力活用)
蓄電池に充電しても余剰電力
が生じる際は太陽光発電出力
を抑制(逆潮流なしの場合)
余剰電力を蓄電池へ
充電し、夕方や夜間
等に放電
充電
放電02004006008001,000
1,200
1,4000102030405060708090100設備
導入前
0 100 200 300 400 500 600 700
電気料金(年間)
[万円]
太陽光発電の利用率(年間)[%]蓄電池容量[kWh]
基本料金
電力量料金
太陽光発電の利用率
他地点においてもシステム導入検討等を行い、検討
事例を積上げるとともに、運用実績データの収集・分析
による課題把握や運用方法の最適化検討等、地域
エ ネ ル ギ ー シ ス テ ム に 係 る コ ン サ ル 技 術 や 運 用
ノウハウの獲得に向けた取組みを継続していきます。
地域エネルギーシステムグループ
地域エネルギーシステムの検討・提案 【研究期間 2021〜2023年度】
- 19 -
研 究 紹 介
近年、太陽光発電(PV)の連系量拡大に伴い、配電系統の適切な電圧維持管理が困難になって
います。
対策として、九州電力送配電(株)では高圧自動電圧調整器(SVR)(注記)2 や静止型無効電力補償装置
(SVC)(注記)3 等の配電線電圧調整機器を活用していますが、両機器を同一配電線に設置する場合には、
ハンチングが発生する可能性があるためSVRをタップ固定として運用しています。
本研究では、設備の有効利用を目的として、機器間の通信による協調制御の新手法を開発し、
実証試験にて効果を検証しました。
2 成果概要
だいやまーくSVRタップ制御の新方式を開発
弊社試験場の模擬配電線のSVRとSVC
間に光ケーブルを新設し、SVC端の
電圧及び無効電力をSVRで監視可能と
しました。(図1)
また、SVRのソフトウェアを改造し、
タップ動作の基準となる一定点の電圧
計算方法を改良し、3通りの協調制御
方式について検証しました。
各制御方式の概要は表1の通りです。
応答速度の高いSVCが電圧補償の
上限に達してからSVRが動作するまで
の待機時間を短縮することで、電圧
変動幅と電圧逸脱率の低減を目指し
ました。
だいやまーく実証結果の評価
各制御方式でSVRとSVCの協調動作が
可能であること、また図2の実証結果
か ら 、 方 式 3 遅 れ 無 効 電 力 の 閾 値
270kvarのケースが、最も有効である
ことが確認できました。
ただし、末端(SVC端)の電圧変動
が最小となったのは閾値210kvar時で
あることなどから、SVRタップ動作後
に電圧逸脱する場合はタップ動作を
防止する制御を追加すること(方式
4)で、さらなる効果が期待できます。
3 今後の展開
今回の検証結果は、将来の配電系統
における電圧制御高度化の検討に役立て
ていく予定です。
〜代表研究者からの一言〜
実証にあたって、事前のシミュレーション検討や設備構築、試験計画の
策定など準備段階から取り組む内容が多く苦慮しましたが、幅広く勉強
することができました。
レベニューキャップの導入などで、コスト低減や設備の有効利用は今後
ますます重要な課題となるため、現場運用に寄与できる成果を目 指して
引き続き検討を行っていきます。 長尾 潤
図1 実証回路
表1 各制御方式の概要
図2 実証結果
改造SVRとSVCの協調制御手法の開発 【研究期間 2020〜2021年度】
- 20 -
1 目的・背景
だいやまーく九州各県における施設園芸ハウスの熱源利用状況の分析
設置面積当たりの各地の熱源利用状況は、最大で熊本の2.0千ha(2018年)であり、次いで
宮崎の1.3千ha、福岡の0.9千haで、その大半は石油が利用されています。
ヒートポンプの割合は、最大で鹿児島(7.7%)、次いで長崎(6.5%)、宮崎(5.0%) です。また、
大分、熊本、佐賀、福岡は0.5〜1.2%と低く、特に熊本は、熱源の設置面積は九州最大ですが、
設置割合は0.5%と九州最低です。
1 目的・背景
2 成果概要
当グループでは、これまで電力需要拡大・省エネを目的に、ヒートポンプを農業用ハウスの
空調(暖房又は冷房)に採用した温室栽培の実証研究を、各県・JAさま等と共同で実施してきました。
これまでの長年の研究開発等により、九州内の農業用ヒートポンプの導入台数は着実に増加し
ているものの、現状、普及拡大のための出口戦略が明確となっていません。
そのため、現状把握及び普及に向けた分析を行い、出口戦略を明確化しました。今後、効率的
なコンサルティングを行うことにより、更なるヒートポンプの普及拡大を目指します。
当グループは、1946年に九州配電(株)農事電化指導農場として発足し、1951年に九州電力
(株)電化試験農場として承継、その後の変遷を経て現在に至ります。
これまで、ヒートポンプの利用技術、省エネ技術、貯蔵技術、植物の機能性等、時代の要請に
対応した研究を推進してきました。
2020年7月、農業の電化推進による低炭素化社会の実現に向け、グループ名を農業電化グループ
に改め、引続き九州の重要な産業である農業分野の成長・発展に寄与する研究に取組みます。
面積(ha) 割合(%) 面積(ha) 割合(%) 面積(ha) 割合(%) 面積(ha) 割合(%) 面積(ha) 割合(%) 面積(ha) 割合(%) 面積(ha) 割合(%)
石油 477.5 88.1 1,192.0 94.0 327.2 96.6 1,941.2 98.0 553.6 91.4 540.3 99.0 903.5 99.4
太陽熱利用 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
地下水等利用 21.7 4.0 3.8 0.3 6.8 2.0 13.1 0.7 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
ヒートポンプ 41.6 7.7 63.2 5.0 4.2 1.2 9.5 0.5 39.3 6.5 5.3 1.0 5.0 0.6
石油代替熱利用 0.9 0.2 9.2 0.7 0.5 0.1 16.9 0.9 12.6 2.1 0.0 0.0 0.1 0.0
合計 541.7 ー 1,268.2 ー 338.7 ー 1,980.7 ー 605.5 ー 545.6 ー 908.6 ー
福岡
鹿児島 宮崎 大分 熊本 ⻑崎 佐賀
(注記)出典:農林水産省データ(園芸用施設の設置等の状況)
生物資源研究センター 農業電化グループ
施設園芸へのヒートポンプ普及拡大の提案【研究期間 2021年度】
くろまる グループ紹介
- 21 -
研 究 紹 介
だいやまーくヒートポンプの普及に向けた分析
施設園芸用ヒートポンプの普及・拡大の阻害要因と改善策は、下表のとおりです。
3 今後の展開
〜代表研究者からの一言〜
ヒートポンプの農業分野への適用研究は、これまで主に需要開発を目的
に長年に亘り実施してきましたが、今回初めて研究成果を体系的に整理し
た上で、普及に関する出口戦略として取りまとめました。
今後は需要開発に加え、重油ボイラからヒートポンプへの熱源転換(注記)2に
よるカーボンニュートラルへの貢献も期待出来ることから、「早期のヒート
ポンプ普及・拡大に資する研究」に取組みます。
写真
普及・拡大の
阻害要因
阻害要因の詳細 改善策1暖 房 機 に 比
べてヒートポンプ本
体 の 初 期 投 資
が大きい
オール電化で高圧受電の場合は
キュービクル設備が必要で、維持費も
加算される対策1ハイブリット方式(注記)1の採用等、適切な
設備設計とする
(過剰な設備仕様としない)
ヒートポンプの本体価格は、暖房
機に比べて高価(3〜4倍程度)対策2冷房・除湿機能を利用する周年利用
を検討する(収量増、高品質化、生産
安定化により、収益性向上が期待でき、
設備投資の早期回収が図れる)2冷房・除湿機
能 が 、 実 用 化
技 術 と し て 十
分 活 か さ れ て
ない
栽培データが不足しており、ヒート
ポンプの優位性を知らない 対策3
技術的優位性を広く周知する
1 お客さまコンサルティングの実施
2 ヒートポンプ技術がまだ普及してい
ない作物への栽培実証試験の実施
3 他の活用方法の検討
電気料金が高いイメージを持って
おり、冷房・除湿機能を利用して
いない3使 用 が 無 い
期 間 に も 基 本
料金が必要
暖房機能の利用に留まること
で、暖房が不要な夏季における
基本料金の負担感が大きい対策4暖房以外にも、冷房・除湿機能を利
用するヒートポンプの周年利用を働き掛け、
不使用月を減らすことで、基本料金の
負担感軽減を目指す
右図にヒートポンプ普及戦略のイメージ図
を示します。
これまでのお客さまのお困りごと対応に
加えて、JAさま等との実証試験等を実施して
いきます。
試験結果やヒートポンプ導入のメリット等
の成果情報を、JAや農家等に提供・訴求して
いくことで、ヒートポンプの普及・拡大に
つなげていきます。
実証試験結果を踏まえたコンサルティング他
類似農家へのHP導入メリット情報の広がり
他農家への普及・拡大
HPの普及・拡大
農業電化グループ
JAや地域の農家等
営業本部
コンサルティング・普及活動
栗山 孝浩
写真
- 22 -
1 目的・背景
2 成果概要
3 今後の展開
〜代表研究者からの一言〜
2021年は、栽培困難な夏秋イチゴが想定を下回る収穫量や高温期の運搬、
販路の新規開拓など課題が多く苦労しました。
ここで得た知見である販売先のニーズ(販売時期や品質)や栽培する生産者
の声(酷暑時期の栽培回避)を糧にして、10月収穫開始を目指す極早生栽培
にチャレンジします。
生産者に収益性の高いビジネスを提供できるよう頑張ります
総合研究所の強みである農業電化で培ってきた技術・知見を活かし、先進技術を活用した環境
制御による高度な生産技術やノウハウ(暗黙知)を見える化(形式知化)することで、既存農家
の生産性向上(収益拡大)や農業への若年層の新規参入等を支援し、九州地域の農業活性化に
つなげます。
福岡県朝倉市に太陽光利用型植物工場を設置した実証規模試験ほ場「上寺いちご園 (育苗
ハウス1棟、生産ハウス2棟)」を建設しました。
2019年9月から、年間を通じたイチゴの収量増大や品質安定といった生産性向上の可能性に
ついて検証を開始しました。
栽培コンサルタントの指導のもと、統合環境制御を活用した通年生産に係る栽培知見や
ノウハウなどを蓄積しています。
検証の2作目として収量は、冬春イチゴが4.9トン/10a (目標4トン;達成率123%)、夏の
収穫開始を目指した通年栽培は2.9トン/10a (目標2.5トン;達成率116%)となりました。
収穫したイチゴは、試験ほ場近くにある道の駅や福岡市の百貨店で販売し、連日完売が続き
消費者から好評価を得ました。
引き続き、年間を通じたイチゴの栽培技術の確立と安定生産、収益性の高い栽培時期
コントロール(10月収穫開始の極早生栽培や6月までの延長栽培による)や多収量(冬春イチゴは
目標6トン/10a)となる栽培技術を検証します。
獲得した栽培知見やノウハウ(栽培作業の動画化や統合環境制御の留意点など)を検証しなが
ら、農業関係者へのニーズ調査、設備・運営面でのコスト低減方策を検討し、農業電化の更なる
普及とスマート農業技術の確立を目指します。
出木場 秀作
植物工場におけるイチゴ栽培技術の確立
【研究期間 2018〜2022年度:共創推進グループ】
プ ロ ジ ェ ク ト 紹 介
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アクティビティ
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分類 団体・委員会名 委員等の就任状況 担当箇所電力大の活動
電気事業連合会
技術開発専門委員会 委員:所⻑ 研究企画G
研究企画部会 委員:副所⻑ 研究企画G
電化推進技術検討会 委員:グループ⻑ 低炭素化技術G
水素技術検討会 委員:グループ⻑ 低炭素化技術G
CO2削減技術検討会 委員:グループ⻑ 低炭素化技術G
電力中央研究所 研究開発委員会 委員:所⻑ 研究企画G
IERE(電力研究国際協力機構) 国内電力連絡会 委員:所⻑ 研究企画G産学連携の活動パワーアカデミー 企画委員会 委員:副所⻑ 研究企画G
九州パワーアカデミー
企画委員会 委員:所⻑ 研究企画G
研究部会 委員:副所⻑ 研究企画G
教育部会 委員:副所⻑ 共創推進G
九州オープンイノベーションセンター
企画委員会 委員:所⻑ 研究企画G
人材育成助成対象選考委員会 委員:所⻑ 研究企画G
九州工学教育協会 副会⻑:所⻑ 研究企画Gその他無線送電 無線送受電技術委員会 委員:副所⻑ 研究企画G
超電導 低温工学・超電導学会 九州・⻄日本支部 副支部⻑:副所⻑ 研究企画G
高電圧 電気学会 高電圧技術委員会 委員:グループ⻑ ネットワーク技術G
新エネ 日本エネルギー学会 ⻄部支部 幹事:グループ⻑ 低炭素化技術G
水素 福岡水素エネルギー戦略会議 幹事:所⻑ 研究企画G
EV カーエレクトロニクス事業運営委員会 委員:所⻑ 研究企画G
金属・材料
表面技術協会 九州支部 幹事:グループ⻑ 化学・金属G
耐熱金属材料第123委員会 委員:グループ⻑ 化学・金属G
土木・建築
土木学会 環境技術小委員会 委員:グループ⻑ 社会インフラG
土木学会 ⻄部支部 委員:グループ⻑ 社会インフラG
応用地質学会 九州支部・九州応用地質学会 委員:グループ⻑ 社会インフラG
地盤工学会 九州支部 委員:グループ⻑ 社会インフラG
総合研究所では、九州域内外において、様々な産学官連携活動を行っています。
ご興味のある活動がございましたら、本書末尾の「お問合せ先」までご連絡ください。
社外委員等活動状況
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2021年度は、これまでの研究成果を学会や専門誌等で「くろまる件」発表しました。
また、研究の内容や成果が評価され、澁澤賞などを受賞することができました。
グループ名 発表・投稿先
区分
件 名 備 考
発表
講演
投稿
化学・金属 電気評論 〇
火力発電ボイラ低合金鋼チューブ材の短時間過熱時の健全性
評価に関する研究
関 係 者:九州電力
研究概要:チューブ材の健
全性評価
ネットワーク
技術
電気学会 B部門大会 〇
電流波高値の差が高圧配電線の相導体間スパークオーバー率
へ与える影響
関 係 者:電中研
研究概要:雷被害対策
耐雷対策関連の国際学会(ICLP) 〇
Arrester Damage on 6.6 kV Power Distribution Line in Japan
by Winter Lightning
関 係 者:静大
研究概要:落雷エネルギー測定
高電圧研究会〇架空配電線スパークオーバ事故と避雷器事故の原因となった
九州地方の雷性状
関 係 者:静大
研究概要:落雷エネルギー測定〇高周波沿面プラズマによるSF6中CF4のCOとCO2への変換と
検出(2件)
関 係 者:九大
研究概要:GIS内部推定〇模擬変電所を用いた電力線搬送通信による部分放電測定法の
検討
関 係 者:九工大
研究概要:PLC部分放電
International Journal of Plasma
Environmental Science and
Technology〇Indirect detection of residual CF4in gas-insulated
switchgear via conversion under dielectric barrier discharge
関 係 者:九大
研究概要:GIS内部推定
International Symposium on High
Voltage Engineering〇Sophistication and verification of online partial discharge
monitoring and diagnosis using power line communication
関 係 者:九工大
研究概要:PLC部分放電
九工大-マレーシア・プトラ大(UPM)
国際合同シンポジウム
(SAES2021)〇Development and Verification of Partial Discharge
Measurement System using Power Line Communication
and Ferrite Cores
関 係 者:九工大
研究概要:PLC部分放電
系統高度化
電気学会 B部門大会
(オンライン講演)〇九州VPP実証事業(多様なエネルギーリソースと連携する
V2Gシステムの開発と検証)
関 係 者:三菱電機
研究概要:VPP
〇 九州VPP実証事業(V2G/VPPビジネスの事業性評価)
関 係 者:電中研
研究概要:VPP
電気学会 全国大会
(シンポジウム)〇系統慣性等の把握可能な基盤技術の開発(I-2〜系統慣性等
推定技術の開発〜)
関 係 者:九工大、東京電力
HDほか
研究概要:慣性推定
新社会システム総合研究所
(エネルギー・環境戦略特別
セミナー):講師派遣
〇 九州電力総合研究所の技術開発とVPP(V2G)実証事業
関 係 者:三菱電機、電中研
ほか
研究概要:VPP
社会インフラ
電力土木誌 〇
AI(機械学習)による導水管トンネル覆工背面空洞調査の高
度化に関する研究
関 係 者:電中研、⻄技開発
研究概要:設備点検高度化
MDPIM応用科学分野査読論文
(英文)
〇 ダムピア(柱脚)の補強工法の提案
関 係 者:九大
研究概要:耐震補強の合理化地域エネルギー
システム
電気学会 B部門大会
〇 SVCとSCC-ShRの協調制御手法に関する検討
関 係 者:九州電力送配電
研究概要:電圧調整機器の
協調制御
〇 スマートメーターの使用量から得られる特徴量について
関 係 者:中部大学、九州電
力送配電
研究概要:スマートメーターデータを
用いた実負荷推定
電気学会 全国大会 〇 凸型電圧分布配電系統におけるSVRタップ調整限界の検討
関 係 者:東京大学、九州電
力送配電
研究概要:電圧調整機器の
制御
2021年度は、18件の社外発表を行いました。
今後も積極的に研究開発成果を社外へ情報発信してまいります。
社 外 発 表 実 績
社外との共創・連携
だいやまーくワークショップの開催
*WS2のテーマ:EVの快適な使用環境整備やEVを活用した新たなサービス
提供に向けて九電グループとしてできることは何か
・20代〜60代まで幅広い年代のメンバーが参加
九電グループの成長に繋がる共創テーマの創出、総合研究所並びにグループ会社に
おける共創意識の向上と人材育成・スキルアップを目指し、グループ会社横断ワーク
ショップ(WS1、WS2)を開催しました。
WS1:九電グループの技術、ノウハウ等を活かせるアイデアの創出、人材育成
WS2:事前に選定したテーマに基づき、九電グループイノベーション推進の取組
みであるKYUDEN i-PROJECT(i-Challenge)にエントリー
だいやまーく今後の展開
2022年度は、以下の1、2を目的とするワークショップを各々開催します。
目的1:九電グループの技術、ノウハウ等を活かせるアイデアの創出(i-Challenge)
目的2:新たな技術があれば実現可能となるような解決策を検討し、九電グループで
取組む新規事業に繋げる
WS 実施概要 参加者 成果WS1ニーズ抽出〜テーマ選定〜課題
解決・協業モデルの模索
14社21名 1件アイデア抽出WS2テーマ*に基づき、課題解決・
新規事業アイデアを創出
10社14名 3件アイデア抽出
だいやまーくi-Challengeにおける成果
ワークショップで創出したアイデアからi-Challengeに4件エントリーし、そのうち
2件が最終選考に進みました。
グループ会社との共創
総合研究所では、九電グループの内外を問わず、他企業・メーカーと連携し
共創テーマの創出や地域課題の解決に取り組んでいます。
2021年度の社外との共創に向けた取組みの概要と事例を紹介します。
事例1:グループ会社との共創テーマ創出に向けた取組み
事例2:西日本シティ銀行さまとの地域の課題解決を目指した連携事業
だいやまーくグループ会社以外との連携
上記取組みの他に、九電グループ以外の企業・メーカーと新規事業のアイデア創出に
向けた定期的なミーティングを開催しています。今後も、様々なパートナーさまと連携し、
地域の課題解決に向けた検討を進めていきます。
共 創 推 進 グ ル ー プ
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社外との連携
西日本シティ銀行さまと地域の課題解決を目指した連携事業
総合研究所では、地域貢献や九電グループの収益拡大に資する技術開発のために、お客さまの
ニーズの掘り起こしや、社外に対する当社保有知的財産の活用提案について、日々取組んでいます。
一方、西日本シティ銀行さまにおいても、地元企業の抱える課題解決や産業振興を目指して、
積極的に活動されています。
そこで今回、当社が保有する知的財産と西日本シティ銀行さまの取引先企業を結び付けることで、
地場企業の課題解決を支援し、産業振興を目指す連携事業を2021年9月より開始しました。
西日本シティ銀行
内冨 副本部長
角田 所長
o 西日本シティ銀行さまが提供する「西日本FH Big Advance (注記) 」を通じて、お客さま
ニーズの掘り起こしや当社特許のPRを実施します!
(注記) Big Advanceとは、ビジネスマッチングや福利厚生サービスなど、企業が抱えるさまざま
な経営課題にワンストップでお応えする 「成長支援プラットフォーム」のwebサービスで、
西日本シティ銀行をはじめ、2022年3月末現在、全国で83行の金融機関が導入
西日本FH Big Advance内での当社紹介画面
プレス発表の様子
連携スキーム
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当 社 が 保 有 す る 特 許 が 、
1 件 で も 多 く 活 用 さ れ 、
地元企業や地域の活性化に
つ な が る こ と を 期 待 し て
います!
当 社 で は 、 知 的 財 産 権 を 総 合 研 究 所 で 一 元 管 理 し て お り 、 2021年度末現在、国内
特許102件、海外特許72件、国内商標96件、海外商標1件、及び国内意匠1件の知的財産権
を保有しています。
なお、特許については、2021年度「7件」の出願と「4件」の登録となりました。
<2021年度 特許出願・登録実績>
【 参 考 】 知 的 財 産 の 保 有 と 活 用
<新規特許登録(4件)の内訳>
<特許関連ライセンス新規契約締結実績>
特許の名称 共同出願人 登録番号 登録日国内
支払情報管理システム、
支払情報管理方法及びプロ
グラム
当社単独 6871460 2021年4月19日
ドローン飛行計画作成
システム及びプログラム
(株)日本コンピュー
タ・アソシエーツ
6902763 2021年6月24日
成形燃料及びその製造方法
日鉄エンジニアリ
ング(株)
6910546 2021年7月8日海外
成形燃料及びその製造方法
(オーストラリア)
日鉄エンジニアリ
ング(株)
2019347405 2021年10月14日
国 内 海 外 国内・海外合計
出願件数 7件 — 7件
登録件数 3件 1件 4件
年度 2017 2018 2019 2020 2021
契約件数 3件 2件 — 3件 2件
(注記)1「Zero Drive」は、ハミングヘッズ(株)の登録商標です。
(注記)2「 K-hatリーフβ型」は、住友大阪セメント(株)の商品名です。
(注記)3「プラズワイヤー」は九州電力(株)の登録商標です
これまでに得られた特許やノウハウは、 Zero Drive (注記)1(データ保護システム)、
K-hatリーフβ型(注記)2(藻場増殖礁)やプラズワイヤー(注記)3(防錆処理)などのように、
他企業でも活用いただいております。
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【 参 考 】 有 効 活 用 さ れ て い る 知 的 財 産 紹 介
【Zero Drive(注記)1(データ保護システム)】
【K-hatリーフβ型(注記)1 (藻場増殖礁)】
本技術は、従来のVDI方式(注記)2と同様にパソコンのデータレス環境を提供しながら、VDI方式
などのような高性能なサーバーやパソコンが不要で、現在使用中のサーバー及びパソコンが利用
できるため、コストは10分の1程度ですみます。
また、従来のVDI方式と同様に個別パソコン(ローカルドライブ)へのデータ等の保存は禁止
されます。
Zero Driveは、特許の共有権利者であるハミングヘッズ(株)より開発・販売されており、当社
でも全社員が使用するパソコンに導入されテレワークの推進に寄与しています。
(注記)3
(注記)1 「Zero Drive」は、本特許の共有権利者であるハミングヘッズ(株)の登録商標です。
(注記)2 Virtual Desktop Infrastructureの略で、デスクトップ仮想化と呼ばれ、サーバ上にあるデスクトップ
環境を遠隔地にある端末に転送して利用することです。
(注記)3 ここで言うポリシーとは、システム管理者が運用方針に基づいて記述した設定ファイルや運用 ルール等
です。
(注記)4上の図はハミングヘッズ(株) のホームページより引用したものを一部加工したものです。
現在使用中のデータ
保存用のサーバー
特 許 の 共 有 権 利 者 で あ る 住 友 大 阪
セメント(株)より商品化されている本技術は、
石炭灰等を利用した環境に優しい再資源化
材料でできた複数の小型ブロックを、間隔
が異なる隙間を設けるように着底ブロック
上に設置することで、海藻類だけでなく
小型ブロック間はアワビの稚貝の住み家に
もなる多機能型藻場増殖礁です。
礁内で繁茂した海藻が、磯焼けした藻場
の再生に貢献します。
(注記)1 「 K-hatリーフβ型」は、本特許の共有
権利者である住友大阪セメント(株)の商品名
(注記)2 右の写真は住友大阪セメント(株) のホーム
ぺージより引用
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【研究設備紹介(一例)】 振動試験装置
総合研究所では、研究設備レンタルも行っています。
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(注記)なお、研究設備レンタルの詳細については、下記ホームページをご参照ください。
http://www.kyuden.co.jp/service_tech_rental_index.html
< 主な用途 >
電力機器、一般産業用・民生用電子機器及び自動車部品
・電装品に対する各種規格試験及び信頼性評価試験
< 装置概要・特徴 >
•供試品は一度取付けるだけで垂直・水平の振動試験が可能
•加振力:19.6kN/周波数範囲:5〜100Hz
•最大振幅:51mm
•最大積載重量:250kg(冶具を含めた量)×ばつ1m
•正弦波試験のみ(ランダム波、ショック波は試験不可)
くろまる 研究設備レンタル
(注記)なお、技術コンサルティングの詳細については、下記ホームページをご参照ください。
http://www.kyuden.co.jp/service_tech_consulting_index.html
総合研究所では、保有技術を活用した技術コンサルティングを行っています。
お客さまからのニーズ等がございましたら、ご相談ください。
くろまる 技術コンサルティング
技術コンサルティング及び研究設備レンタル
くろまる 化学・金属グループ(P7〜8)
1 火力発電ボイラチューブ
火力発電所のボイラで蒸気を作るために使用されて
いる鋼管
2 組織対比法
実機の金属組織を観察し、金属組織の状態を示す
標準組織写真と対比することにより、実機の金属
組織の状態を評価する手法
3 火STBA24J1
発電ボイラ―用合金鋼鋼管の一種
4 磯焼け
浅 海 の 岩 礁 ・ 転 石 域 に お い て 、 海 藻 の 群 落
(藻場)が季節的な消長や多少の経年変化の範囲
を越えて著しく衰退または消失して貧植生状態
となる現象
5 カーボンニュートラル
環境化学の用語で、「何かを生産したり、一連の
人為的活動を行った際に、排出されるCO2と吸収
されるCO2が同じ量である」という概念
6 消波ブロック
海岸や河川などの護岸や水制を目的に設置する
コンクリートブロック
7 ブルーカーボン生態系
2009年10月の国連環境計画で、藻場・浅場等の海洋
生態系に取り込まれた炭素を「ブルーカーボン」と
命名。
吸収源の新しい選択肢生態系として海草藻場、海藻
藻場、湿地・干潟、マングローブ林が列挙。
≪二酸化炭素の固定量:単位t-CO2/ha/年≫
アマモ場:3.2、ガラモ場:4.0、コンブ場:15.1、
人工杉:3.4
研究グループの研究紹介(P7〜22)の注釈((注記)の解説)です。
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くろまる ネットワーク技術グループ(P9〜10)
1 開閉器
配電線路を入、切するのに使われるスイッチのこと。
配電線路での作業時の切分けや停電時の切離し用と
して取付。
2 高調波
電気の周波数50Hz・60Hzの何倍も大きな周波数を
持った波形成分。電気の品質に影響を与える様々な
障害原因。
3 機械学習
コンピュータがビックデータの中からパターンや
ルールを発見し、アルゴリズムやモデルを構築する
手法。人間では処理ができないような大量のデータ
を短時間で扱うことが可能。
4 決定木
ある基準に基づいてデータの分類を繰返し、木の
ような構造の予測モデルを作り出す機械学習の手法
の一つ
5 CF4(4フッ化炭素)
SF6ガスの分解生成ガスの1つであり、他の分解生成
ガスに比べ機器内部に長く留まっていることから
点検等で内部状態を推定する際の指標となるガスの
一つ
6 FT-IR(フーリエ変換赤外分光法)
測定対象となる分子に対し、赤外線吸収スペクトル
を利用して定量・定性化する手法
くろまる 系統高度化グループ(P11〜12)
1 FIP制度
フィードインプレミアム(Feed In Premium)の略称。FIT制度のように固定価格で買い取るのではなく、再エネ
発電事業者が卸市場などで売電した時、その売電価格に対して一定のプレミアム(補助額)を上乗せすることで、
再エネ導入を促進する制度
2 バランシンググループ
インバランスを算定する対象となる単位。小売電気事業者の「需要バランシンググループ」と発電事業者の「発電
バランシンググループ」がある。
3 インバランス
小売電気事業者と発電事業者は、前日12時までに翌日の48コマの需要計画と発電計画をそれぞれ策定、各コマの
1時間前まで変更可能。
実需給における計画と実績の差をインバランスと言い、インバランスは一般送配電事業者が調整力を用いて補填・
吸収する。インバランスを発生させた者は、インバランス分の電気について一般送配電事業者との間で事後精算。
4 ゲートクローズ
系統利用者(発電事業者、小売電気事業者)から系統運用者への需給計画の提出締切。現状、実需給の1時間前。
くろまる 低炭素化技術グループ(P15〜18)
1 CO2冷媒
フロンではなく自然界に存在するCO2 を冷媒とした
もの
2 蓄熱タンク
工場停止時の夜間などにヒートポンプで作った温水
を貯めておくタンク
3 V2Hガイドライン
電気自動車等の蓄電・発電能力を活用して、屋内配
線に給電を行うVehicle to Home (V2H)について、
電気安全及び 車両と接続機器の互換性を確保する
ために作成されたガイドライン
4 間接電化技術
直接電化(ヒートポンプ等の高効率電化技術)では
対応が困難な高温加熱を、オンサイト水電解装置で
作った水素の火炎 (燃焼)を利用する技術
5 CCUS
Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage
(CO2回収・有効利用・貯留)の略称
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くろまる 地域エネルギーシステムグループ(P19〜20)
1 エネルギーマネジメントシステム(EMS)
情報通信技術(ICT)を利用して、エネルギー
(電気・熱等)の使用状況を管理することで、需給
バランスを監視しつつ、各種の目的(エネルギー
コストや CO2排出量最小化等)を達成するために、
各機器に対する制御を行うシステム
2 高圧自動電圧調整器(SVR)
距離の長い高圧配電線の途中になどに設置し、電圧
の低下や変動を防ぐ装置。
多段タップ付単巻変圧器で自動的に昇降圧を行う
ことが可能。
3 静止型無効電力補償装置(SVC)
サイリスタを用いた高速制御により無効電力を遅れ
から進みまで連続的に変化させて電圧を調整する
機器
くろまる 社会インフラグループ(P13〜14)
1 導水路覆工コンクリート
導水路トンネルを形成するコンクリート
2 背面空洞調査
トンネルのコンクリートとその裏の地盤との間に、
施工の名残や地盤の劣化により空隙が発生すること
があり、その空隙の有無を確認する調査
3 カーボングリッド格子材
炭素繊維を樹脂に含侵させ格子状に整形したコンク
リート構造物の補強材料
4 NETIS
新技術情報提供システムの略。国土交通省が民間
企業等で開発された新技術の情報共有を行うために
経営するデータベース。
5 FIT
再生可能エネルギー源を用いて発電された電気を、
国が定める価格で一定期間電気事業者が買い取る
ことを義務付ける制度
6 PCM
ポリマーセメントモルタルの略称
くろまる 生物資源研究センター
農業電化グループ(P21〜22)
1 ハイブリット方式
暖房設備として、従来の石油式暖房機とヒート
ポンプの両方を備えるもの。
運転コストの安いヒートポンプの運転を優先し、
暖房負荷が大きくなり管理温度を維持できなくなる
とヒートポンプの運転を継続しながら、石油式
暖房機を補助的に運転する方式。
2 熱源転換
現状設置している暖房設備の熱源を、他の熱源に
切り替えること。
例えば、従来の石油式暖房機に加えてヒートポンプ
を備えることで、暖房負荷の一部又は全部を石油式
暖房機からヒートポンプに切り替えるもの。
佐賀市高木瀬東1丁目10-1
くろまるJR佐賀駅から佐賀市営バス(32番)乗車し、
東高木バス停下車、徒歩10分
くろまる車(佐賀大和インターから6km、15分)
くろまるタクシー(JR佐賀駅から3km、10分)
福岡市南区塩原2丁目1-47
くろまる福岡空港から地下鉄乗車し博多駅下車
博多駅前A(美野島方面)から西鉄バス(47、48、48-2番)乗車し、
清水四丁目下車、徒歩1分
くろまる天神から西鉄バス(W1〜W4番)乗車し南市民センター前下車、徒歩5分
くろまる西鉄大橋駅から西鉄バス(47、48、48-2、63番)乗車し、清水四丁目
(九電総研前)下車、徒歩1分
くろまるJR竹下駅下車、徒歩10分
くろまるタクシー(JR博多駅から15分、福岡空港から25分)
南市民
センター前
バス停
九州電力(株) 総合研究所 Annual Report 2021(2022年6月発行)
〔作成部署・お問合せ先〕
九州電力株式会社 テクニカルソリューション統括本部
総合研究所 研究企画グループ
〒815-8520 福岡市南区塩原二丁目1番47号
T E L:092-541-3090(代表)
Email:gyoumukanri_souken@kyuden.co.jp
パナソニック
佐賀北警察署

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