(別 紙)
玄海原子力発電所4号機 出力降下中における
一時的な運転上の制限逸脱に係る原因と対策
事象概要、
原因調査結果
〇発生日時
2024 年3月 26 日(火) 20 時 32 分
〇事象概要
原子炉では炉心の上部と下部をそれぞれ、上から円状に見て4つの領域に分け、
領域ごとに炉外に設置している検出器により原子炉出力の測定を行っています。保安
規定では、原子炉出力が 50%を超える場合に、これら領域間の出力の差を一定の範囲内
(1.02 以下)にすることを運転上の制限としています。
今回、第 16 回定期検査のため、2024 年3月 26 日 18 時 26 分から出力降下中のところ、
20 時 32 分に原子炉内の領域間出力が不均一になったことを示す警報(1/4炉心出力
偏差の警報)が発信し、保安規定に定める「運転上の制限」の逸脱と判断しました。
その後、同日 20 時 40 分に警報が復帰したことから運転上の制限の逸脱から復帰
しました。
なお、本事象は定期検査のための出力降下中に、一時的に運転上の制限を逸脱した
ものであり、発電所の安全性に問題はありませんでした。
〇原因調査結果
出力降下時の運転操作、制御棒の動作状況及び検出器の健全性等を詳細に調査した
結果、いずれも異常はありませんでした。
警報が発信した
検出器(N-44)
原子炉容器を
上から見た図
炉心
検出器(N-41) 検出器(N-43)
検出器(N-42)
原子炉容器
出力偏差:
各位置の検出器の指示値
4箇所の検出器の平均値
〇推定原因
原子炉の運転中、各検出器の指示値(原子炉出力)には常に「1揺らぎ」が発生
します。また、出力降下に伴い、
「2指示値の差(出力偏差)が拡大」する傾向があり
ます。
今回の「揺らぎ」と「指示値の差(出力偏差)の拡大」は、想定している変動範囲内
であったものの、それぞれが大きな値となる状態が重なったことから、一時的に出力
偏差が一定の範囲(1.02 以下)を超えたと推定しました。
〇対 策
運転中、毎月実施している原子炉内の状態測定(注記)1
に加え、定期検査のための出力
降下前にも原子炉内の状態測定を行い、出力降下中の原子炉の安全性に余裕がある
こと等を確認するとともに、原則、検出器の校正(注記)2
を実施します。
(注記)1 核分裂の状況を詳細に確認するため、原子炉内に検出器を挿入し中性子の数を測定する。
(注記)2 詳細に確認した原子炉内の核分裂の状況に基づき、原子炉外の検出器を調整する。
当該事象の推定原因と対策
[1「揺らぎ」のイメージ] [2「指示値の差(出力偏差)が拡大」のイメージ]原子炉出力出力偏差
の拡大
揺らぎ出力偏差
運転上の制限1.001.011.020.980.99(%)501001.0318:26 出力降下開始
20:32 運転上の制限逸脱
出力降下に伴い指示値の差(出力偏差)が拡大する傾向
20:40 運転上の制限逸脱から復帰
:原子炉出力
:N-41
:N-42
:N-43
:N-44
運転中、
検出器の指示値
(原子炉出力)
には常に揺らぎが発生出力偏差
【今回の出力偏差の推移】1.00出力降下(時間)

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