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附属書 - セカンド・パーティ・オピニオン
ANNEX - SECOND PARTY OPINION
九州電力株式会社
トランジションファイナンス
トランジションボンド(2024 年)を含む、原子力発電プロジェクトを資金使途とするファイナンス
Prepared by: DNV ビジネス・アシュアランス・ジャパン株式会社
Location: 神戶, 日本
Date: 2024 年 4 月 30 日
Ref. Nr.: PRJN-724402-2024-ANX-JPN-1
本報告書は、九州電力株式会社が策定した九州電力サステナブルファイナンス・フレームワークに基づき評価した「九州電力株式会社 サ
ステナブルファイナンス・フレームワーク セカンド・パーティ・オピニオン」(Ref. Nr.: PRJN-360859-2022-AST-JPN-01 *2022 年 4
月 27 日)に依拠します。
本報告書は原子力発電プロジェクトに対する評価に焦点を当てていますが、今後の個別のトランジションファイナンスでは、この報告書で適
格性が確認された原子力発電プロジェクトの他、同上フレームワークに含まれる適格性を評価済みのグリーン又はトランジションプロジェクト
(例:再エネ等)が資金使途に含まれる場合があります。
*附属書(ANNEX)-セカンド・パーティ・オピニオンについての詳細は、以下の DNV ウェブサイトをご参照ください
https://www.dnv.jp/news/page-227965 新しい評価サービスのリリース(マスターSPO+ANNEX)
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報告書サマリー
DNV ビジネス・アシュアランス・ジャパン株式会社(以下、DNV)は、九州電力株式会社(以下、九州電力)が実行す
る原子力発電プロジェクトを資金使途とする九州電力トランジションファイナンス及びトランジションボンド(2024 年)(以
下、トランジションファイナンス)が DNV のセカンド・パーティ・オピニオンで適格性を評価済み*1
のフレームワーク*2
に基
づき、当該トランジションファイナンス実行に必要な各種原則やガイドラインを満たし、適切な内部プロセスを経て実行
及び管理される計画であることを確認しました。
特に、本報告書は、トランジションファイナンスの資金使途候補である原子力発電プロジェクト(既設原子力発電所の
安全・安定運転の継続に向けた投資)*3
の適格性について、国際的に認知され、広く利用されているガイドラインや
先行する海外事例の参照*4
、また、日本及び電力分野のカーボンニュートラルに向けたトランジション戦略*5
との整
合性に焦点を当てて評価を行ったものです。詳細は本文を参照ください。
DNV は、評価の結果として、九州電力トランジションファイナンスの資金使途候補である原子力発電プロジェクトは、
トランジションファイナンスの資金使途として適格性があると結論付けました。
*1 九州電力株式会社サステナブルファイナンス・フレームワーク セカンド・パーティ・オピニオン
*2 九州電力サステナブルファイナンス・フレームワーク
*3 九州電力 グリーン/トランジションファイナンス 適格クライテリア及びプロジェクト概要
*4 EU タクソノミー(セクション 4.28)や、カナダ、フランス、スウェーデン及び米国での原子力発電を資金使途としたグリーンファイナン
スの事例
*5 エネルギー基本計画、GX 実現に向けた基本方針、電力分野のトランジション・ロードマップ、その他政府が示す原子力に関連す
る指針等
表-1 に九州電力トランジションファイナンスに対する ANNEX-セカンド・パーティ・オピニオンの概要について示します。
表-1 から、ANNEX-セカンド・パーティ・オピニオンでの追加評価対象項目は、資金使途を特定したファイナンス(4 つ
の要素への対応)のうち、要素-1(資金使途)及び要素-4(レポーティング)です。その他の要素の基準への適合につい
ては、既に同フレームワークに依拠することを確認しており、適格性評価は完了しています。
また、同フレームワーク評価後に、適用基準の一部に改訂版が発行されましたが*6
、主要な要素は引き続き充足して
いることを確認しています。
*6 クライメート・トランジション・ファイナンス・ハンドブック(国際資本市場協会(ICMA)、2023)
グリーンローン原則 (ローンマーケットアソシエーション他(LMA 他)、2023)
グリーンボンドガイドライン及びグリーンローンガイドライン(環境省、2022)
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表-1 九州電力トランジションファイナンス
ANNEX-セカンド・パーティ・オピニオン
対象ファイナンス
九州電力株式会社 トランジションファイナンス(注記)今後、原子力発電プロジェクトを資金使途に含むトランジシ
ョンファイナンスも対象とする可能性がある。
対象組織 九州電力株式会社
対象フレームワーク 九州電力サステナブルファイナンス・フレームワーク
対象外部レビュー
同上 セカンド・パーティ・オピニオン
Ref. Nr.: PRJN-360859-2022-AST-JPN-01 2022 年 4 月 27 日発行
対象基準
クライメート・トランジション・ファイナンスに対する基準
- クライメート・トランジション・ファイナンス・ハンドブック (国際資本市場協会(ICMA)、2023) *6
- クライメート・トランジション・ファイナンスに関する基本指針 (金融庁、経済産業省、環境省、2021)
資金使途を特定したファイナンス(ボンド&ローン)に対する基準
- グリーンボンド原則 (国際資本市場協会(ICMA)、2021)
- グリーンボンドガイドライン (環境省、2022) *6
- グリーンローン原則 (ローンマーケットアソシエーション他(LMA 他)、2023) *6
- グリーンボンドガイドライン (環境省、2022) *6
クライメート・トランジショ
ン・ファイナンス(4つの開示
要素に対する対応)
開示要素-1(トランジション戦略とガバナンス) - フレームワークに依拠することを確認
2023 年の改訂版で追加・更新された各開示
要素は、ANNEX-セカンド・パーティ・オピニオン
の評価プロセスの中で、主要な要素につき充
足していることを確認。
開示要素-2(環境マテリアリティ)
開示要素-3(科学的根拠のある戦略)
開示要素 4(実施の透明性)
資金使途を特定した債券
(4つの要素に対する対応)
要素-1(資金使途) - フレームワークに依拠することを確認。以下の資金使途候補に対
し、追加評価を実施。
・ 原子力発電プロジェクト(既設原子力発電所の安全・安定運
転の継続に向けた投資)
要素-2(PJ評価&選定) - フレームワークに依拠することを確認
要素-3(調達資金管理) - フレームワークに依拠することを確認
要素-4(レポーティング) - フレームワークに依拠することを確認。以下追加評価を実施。
・ 資金充当状況:充当額、未充当額残高及び運用方法、リフ
ァイナンス額
・ 環境改善効果:資金使途対象となった原子力発電所の設
備容量(MW)及び年間CO2排出削減量(t-CO2/y)
DNV は外部レビュー機関として、フレームワークをはじめとする九州電力より提供された関連文書・情報に基づく評価
により、九州電力が実行する九州電力トランジションファイナンスの資金使途候補及びレポーティングに対する適格性
評価を提供しました。また、その他の要素については、主要な変更が無いこと(又はフレームワークに準ずること)を確認
しました。また、適用基準の一部に改訂がありましたが、主要な要素は充足しており、引き続き適格性が維持されるこ
とを確認しました。
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目次
報告書サマリー 2
I. スコープと目的 5
II. 九州電力及び DNV の責任 6
III. DNV 意見の基礎 7
IV. 評価作業 8
V. 観察結果と DNV の意見 9
VI. 評価結果 21
スケジュール-1 九州電力 原子力発電プロジェクト区分(適格クライテリア) 22
発行履歴
発行日 主な発行内容
2024 年 4 月 30 日
今回報告書
九州電力トランジションファイナンス及びトランジションボンド(2024 年)に対する ANNEX-セカンド・パーテ
ィ・オピニオンとして作成・発行
Disclaimer
Our assessment relies on the premise that the data and information provided by Issuer to us as part of our review procedures have been provided in good faith.
Because of the selected nature (sampling) and other inherent limitation of both procedures and systems of internal control, there remains the unavoidable risk
that errors or irregularities, possibly significant, may not have been detected. Limited depth of evidence gathering including inquiry and analytical procedures and
limited sampling at lower levels in the organization were applied as per Scope of work. DNV expressly disclaims any liability or co-responsibility for any decision a
person or an entity may make based on this Statement.
Statement of Competence and Independence
DNV applies its own management standards and compliance policies for quality control, in accordance with ISO/IEC 17021:2011 - Conformity Assessment
Requirements for bodies providing audit and certification of management systems, and accordingly maintains a comprehensive system of quality control, including
documented policies and procedures regarding compliance with ethical requirements, professional standards and applicable legal and regulatory requirements. We
have complied with the DNV Code of Conduct1 during the assessment and maintain independence where required by relevant ethical requirements. This
engagement work was carried out by an independent team of sustainability assurance professionals. DNV was not involved in the preparation of statements or
data included in the Framework except for this Statement. DNV maintains complete impartiality toward stakeholders interviewed during the assessment process.1DNV Code of Conduct is available from DNV website (www.DNV.com)
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I. スコープと目的
九州電力は DNV に今後実施する九州電力トランジションファイナンス及びトランジションボンド(2024 年)(以
下、トランジションファイナンス)実行前評価を委託しています。DNV におけるトランジションファイナンス実行前評価
の目的は、九州電力が、後述する基準である CTFH・CTFBG 及び資金使途特定型のファイナンスの基準となる
GBP・GBGLs、GLP・GLGLs に合致していることを確認するための評価を実施し、今後実行するトランジシンファ
イナンスの適格性について ANNEX-セカンド・パーティ・オピニオンを提供することです。
特に、本報告書は、トランジションファイナンスの資金使途候補である原子力発電プロジェクト(既設原子力発電所の
安全・安定運転の継続に向けた投資)の適格性について、国際的に認知され、広く利用されているガイドラインや先行
する海外事例の参照、また、日本及び日本の電力分野のカーボンニュートラルに向けたトランジション戦略との整合性
に焦点を当てて評価を行ったものです。
DNV は独立した外部レビュー機関として ANNEX-セカンド・パーティ・オピニオンの提供に際し、九州電力とは事
実及び認識においていかなる利害関係も持たないことを宣言します。
また、この報告書では、今回発行するトランジションボンドの財務的なパフォーマンス、いかなる投資の価値、あるい
は⻑期の環境便益に関しての保証も提供されません。
(1)レビューのスコープ*
レビューは以下の項目について評価し、GBP の主要な 4 要素の主旨との整合性について確認しました。
☒ 調達資金の使途 ☐ プロジェクトの選定と評価のプロセス
☐ 調達資金の管理 ☒ レポーティング
* レビューのスコープは資金使途特定型のトランジション・ファイナンスに対する評価部分として適用します。
* CTFH・CTFBG の 4 つの開示要素、及び GBP・GBGLs、GLP・GLGLs の「プロジェクトの選定と評価のプロセス」及び「調達資金
の管理」については、既にフレームワークに基づきレビューを完了しており、以下で意見表明をしています*1
。また、フレームワークのレビ
ュー後、今回実施予定のトランジションボンド(2024 年)実行までに適用基準の一部に改訂版が発行されましたが*2
、主要な要素
は充足していることを確認しています。
*1:「九州電力 サステナブルファイナンス・フレームワークセカンド・パーティ・オピニオン」
Ref. Nr.: PRJN-360859-2022-AST-JPN-01 2022 年 4 月 27 日発行
*2:「クライメート・トランジション・ファイナンス・ハンドブック 」 国際資本市場協会(ICMA) 2023 年 6 月改訂発行
「グリーンローン原則」 ローンマーケットアソシエーション他(LMA 他)、2023
「グリーンボンドガイドライン」及び「グリーンローンガイドライン」 環境省、2022
(2)レビュー提供者の役割
☒ セカンド・パーティ・オピニオン ☐ 認証
☐ 検証 ☐ 格付け
☐ その他:
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(3)適用又は参照される基準
No. 基準もしくはガイドライン 発行者
1. クライメート・トランジション・ファイナンス・ハンドブック(CTFH)*1
国際資本市場協会(ICMA)、2023
2. クライメート・トランジション・ファイナンスに関する基本指針(CTFBG) *1
金融庁、経済産業省、環境省、2021
3. グリーンボンド原則(GBP) *2*3
国際資本市場協会(ICMA)、2021
4. グリーンボンドガイドライン(GBGLs) *2*3
環境省、2022
5. グリーンローン原則 (GLP) *2*3
ローン・マーケット・アソシエーション(LMA)他、2023
6. グリーンローンガイドライン (GLGLs) *2*3
環境省、2022
7. EU タクソノミー(セクション 4.28 既設原子力エネルギーによる発電) *4
欧州委員会、2022 参照*4
*1 クライメート・トランジション(移行)は、主に発行体(資金調達者)における気候変動関連のコミットメントと実践に関する信頼性
(credibility)に着目した概念である。(CTFH、CTFBG より引用)
*2 トランジションの 4 要素を満たし、資金使途を特定したボンド/ローンとして実行する場合に満たすべき 4 つの核となる要素(調達資金の
使途、プロジェクトの評価と選定プロセス、調達資金の管理、レポーティング)等への適合性を確認するもの(CTFBG より引用、編集)。
*3 資金使途を特定したトランジションボンドの他、トランジションローンを実行する場合があるため、ボンド/ローン管理のための基準として 3.
〜6.を適用する。なお、本文では簡素化のため、GBP、GBGLs を適用基準として表記し、要素-1(資金使途)及び要素-4(レポーティ
ング)の評価を行う。
*4 EU タクソノミーは、原子力に関連するエネルギーの経済活動について 3 つの分類(セクション 4.26、4.27、4.28)を定めている。EU タク
ソノミーは欧州で幅広く認知された基準として適用/参照されており原子力についても EU タクソノミーの適用/参照事例が出ている。EU
タクソノミー2.1.6 項では「EU 域外の国においては、関連する現地基準を適用することができる("locally relevant standards may
be applied in countries outside the EU"」とされている。本報告書では原子力発電プロジェクトの適格性について、EU タクソノミ
ー(セクション 4.28 既設原子力エネルギーによる発電)の主要な要求事項を参照し、日本の新規制基準(原子力規制委員会)や放
射性廃棄物等の関連する基準・法令等に置き換えた上で適格性評価を行った。
II. 九州電力及び DNV の責任
九州電力は、DNV がレビューを実施するために必要な情報やデータを提供しました。DNV の ANNEX-セカンド・パー
ティ・オピニオンは、独立した意見を表明するものであり、我々に提供された情報を基に、確立された基準が満たされて
いるかどうかについて九州電力及び九州電力トランジションファイナンスの利害関係者に情報提供することを意図してい
ます。我々の業務は、九州電力から提供された情報及び事実に依拠にしています。DNV は、この意見表明の中で参
照する選定された活動のいかなる側面に対して責任がなく、九州電力から提供された情報及び事実に基づく試算、
観察結果、意見又は結論が不正確である場合、それに対し責任を問われることはありません。従って DNV は、九州
電力の関係者から提供されたこの評価の基礎として使用された情報やデータの何れかが正確または完全でなかった場
合においても、責任を問われないものとします。
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III. DNV 意見の基礎
DNV は、資金調達者である九州電力にとってより柔軟な ANNEX-セカンド・パーティ・オピニオンを提供するため、今
回の主要な評価対象を特定し、その評価手順に基づき評価を行いました。
DNV はこの手順に基づく評価により、独立した外部レビュー機関として ANNEX-セカンド・パーティ・オピニオンを提供
致します。
DNV の手順は、DNV の意見表明の根拠に資する一連の適切な基準を含んでいます。意見表明の基準となる資金
使途を特定したクライメート・トランジション・ファイナンスの背景にある包括的な原則は、以下の通りです。
「クライメート・トランジション・ファイナンスが透明性と信頼性を持って実行されるために必要な投資の機会を提供する」
「環境への利益をもたらす新規又は既存プロジェクトのための資本調達や投資を可能とする」
DNV の手順に従って、九州電力トランジションファイナンスに対する基準は、下記の要素にグループ分けされます。
今回の ANNEX-セカンド・パーティ・オピニオンの追加評価の対象は、(2)GBP・GBGLs、GLP・GLGLs の 4 つ
の共通要素のうち、要素 1 及び要素 4 です。(注記)以下、便宜上(2)は GBP・GBGLs として評価
(1)及び(2)の一部は、既に適格性評価が完了しています。(1)及び(2)の一部の適格性評価結果の詳細は、
「九州電力サステナブルファイナンス・フレームワークセカンド・パーティ・オピニオン」(Ref. Nr.: PRJN-360859-
2022-AST-JPN-01 2022 年 4 月 27 日発行)で確認することが出来ます。また、先述の通り、適格性評価
完了後に、適用基準の一部に改訂版が発行されましたが、主要な要素は充足していることを確認しています。
(1) CTFH・CTFBG の4つの共通要素(開示要素)
要素1. 資金調達者のクライメート・トランジション戦略とガバナンス
資金調達の目的は、資金調達者のクライメート変動戦略を可能にすることが示されるべきである。
要素2. ビジネスモデルにおける環境面の マテリアリティ(重要度)
計画されたクライメート移行経路は発行体のビジネスモデルにおける環境面のマテリアリティに関連付けられるべきである。
要素3. 科学的根拠のあるクライメート・トランジション戦略(目標と経路を含む)
資金調達者のクライメート・トランジション戦略は科学的根拠を参照すべきである。
要素4. 実施の透明性
資金調達者のクライメート・トランジション戦略達成のための資金調達を目的とした資金調達方法に関連する市場関係者と
のコミュニケーションでは、基礎となる投資計画(投資プログラム)の透明性も提供すべきである。
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(2) GBP・GBGLs、GLP・GLGLs の4つの共通要素
要素1. 調達資金の使途 *ANNEX-セカンド・パーティ・オピニオンの追加評価の対象
調達資金の使途の基準は、資金使途を特定したトランジション・ファイナンスの資金調達者がトランジション・ファイナンスにより
調達した資金を適格プロジェクトに使わなければならない、という要求事項によって定められています。適格プロジェクトは、明
確な環境改善効果を提供するものです。
要素2. プロジェクトの評価及び選定のプロセス
プロジェクトの評価及び選定の基準は、トランジション・ファイナンスの資金調達者が、トランジション・ファイナンス調達資金を使
途とする投資の適格性を判断する際に従うプロセスの概要を示さなければならない、また、プロジェクトが目的に対する影響を
どのように考慮しているかの概要を示さなければならない、という要求事項によって定められています。
要素3. 調達資金の管理
調達資金の管理の基準は、トランジション・ファイナンスが資金調達者によって追跡管理されなければならないこと、また、必
要な場合には、区別されたポートフォリオを構築し、未充当資金がどのように扱われるか公表するという観点で作成されなけ
ればならないことが、要求事項によって定められています。
要素4. レポーティング *ANNEX-セカンド・パーティ・オピニオンの追加評価の対象
レポーティングの基準は、投資家又は貸し手に対して、少なくとも、資金の充当状況及び可能な場合には定量的もしくは定
性的かつ適切なパフォーマンス指標を用いたサステナビリティレポートを発行する、という推奨事項によって定められています。
IV. 評価作業
DNV の評価作業は、資金調達者によって誠実に情報提供されたという理解に基づいた、利用可能な情報を用い
た包括的なレビューで構成されています。DNV は、資金調達前の評価では、提供された情報の正確性をチェックす
るための監査やその他試験等を実施していません。
DNV の意見を形成する評価作業には、以下が含まれます。
(1) 資金調達前アセスメント(ANNEX-セカンド・パーティ・オピニオン)
• トランジション・ファイナンスに関して資金調達者より提供された追加的な根拠文書の評価、及び包括的なデ
スクトップ調査による補足的評価。これらのチェックでは、最新のベストプラクティス及び標準方法論を参照。
• 資金調達者との協議及び、関連する文書のレビュー。
• 追加評価を行う基準の各要素に対する観察結果の文書作成。
(2) 資金調達後アセスメント(定期レビュー)(*この報告書には含まれません)
• 資金調達者の管理者へのインタビュー及び関連する文書のレビュー。
• 現地調査及び検査(必要な場合)。
• 資金調達後アセスメント結果の文書作成。
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V. 観察結果と DNV の意見
DNV の観察結果と意見の概要は、以下の通りです。以下、GBP・GBGLs、GLP・GLGLs に共通する要素を
GBP/GLP-1、-4 としています。
また、スケジュール-1 に調達資金使途候補である原子力発電プロジェクトの概要をまとめています。
GBP/GLP-1. 調達資金の使途
九州電力は、調達資金の使途の適格クライテリアとして、トランジション戦略及び関連する枠組み(CTFH、
CTFBG)の要求事項に合致するプロジェクトをトランジションプロジェクトとして定義しています。今回の評価対
象となる適格クライテリアは、九州電力がフレームワークで設定する「原子力発電プロジェクト(既設原子力発電
所の安全・安定運転の継続に向けた投資)」です。
このセクションでは、上記原子力発電プロジェクトの「対象範囲」「プロジェクト区分」を基に、「プロジェクト候補
の概要説明」を行うと共に、「適格性評価」(国内外の関連する計画やガイドライン等との整合)や、「海外先
行事例」について説明します。
対象範囲:
原子力発電プロジェクトの対象範囲は、九州電力が有する川内原子力発電所 1 号機及び 2 号機、並び
に、玄海原子力発電所 3 号機及び 4 号機です。
川内原子力発電所 1 号機及び 2 号機 玄海原子力発電所 3 号機及び 4 号機
(鹿児島県薩摩川内市) (佐賀県玄海町)
川内原子力発電所:https://www.kyuden.co.jp/sendai_index.html
玄海原子力発電所:https://www.kyuden.co.jp/genkai_index.html
プロジェクト区分:
トランジションファイナンスの資金使途候補となる原子力発電プロジェクトは、フレームワークの適格クライテリア分
類において、電源の低・脱炭素化に区分される原子力発電プロジェクト(既設原子力発電所の安全・安定運
転の継続に向けた投資)であり、3 つのプロジェクト区分として整理されています。
これら 3 つのプロジェクト区分は、全て、後述する適格性評価で参照する EU タクソノミーのセクション 4.28「既
設原子力エネルギーによる発電」に分類されるプロジェクト区分です。
表-1 原子力発電プロジェクト区分
プロジェクト区分 概要
01 原子力発電所の更なる安全性向上のための取組み(新規制基準への対応)
02 新たな知見を反映した継続的な安全性向上への取組み(バックフィット対応)
03 原子力発電所の安全・安定運転の継続を支える高経年化対策
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プロジェクト候補の概要説明:
プロジェクト区分 01:原子力発電所の更なる安全性向上のための取組み(新規制基準への対応)
- 新規制基準は、原子力規制委員会に
より原子力施設の設置や運転等の可
否を判断する基準です。新規制基準で
は、地震・津波・火山・⻯巻等の自然
災害の対策強化及びテロやシビアアクシ
デントの対策が規制対象になりました。
またこれまでは、新しい基準を策定して
も、既設の原子力施設に対してさかのぼ
って適用する法律上の仕組みがないとい
う問題点がありましたが、新規制基準は
既設の原子力施設に対して最新の基
準に適合することを要求し、この問題点を解消して策定されました。
- 右図に示す通り、新規制基準では、テロ対策やシビアアクシデント対策等の新設に加えて、従来の規制
基準が強化されています。
- 九州電力では新規制基準を踏まえ、テロ対策やシビアアクシデント対策等の様々な安全性向上工事を
進めており、これらの取組みがトランジションファイナンスの資金使途候補です。
新規制基準(原子力規制委員会) https://www.nra.go.jp/activity/regulation/tekigousei.html
九州電力 原子力発電所の安全確保に向けた取組について(九州電力) https://www.kyuden.co.jp/torikumi_nuclear.html
プロジェクト区分 02:新たな知見を反映した、継続的な安全性向上への取組み(バックフィット対応)
- バックフィットは、継続的な安全性向上を図る
ため、既に再稼働した原子力発電施設に対
し、新たな規制として適用されるものであり、合
理的に設定された(経過措置)期間内に適合
することを求めるものです。
- バックフィットは、右図に示す通り、新知見の収
集から始まり、対象施設の選定や適用方法、
経過措置期間の設定等を経て、事業者等の
対応の確認・監視を審査・検査等により実施
するものです。
- 原子力規制委員会は、これまでにも複数の新知見(例:事故・トラブル情報等、安全研究等の成果、
審査経験から得られた知見、検査における気づき事項、国外情報、外部指摘、公開情報)に基づきバ
ックフィットを実施しています。
- 九州電力では、バックフィット対応として必要な解析や工事等を実施し、安全性向上を図っており、その
取組みがトランジションファイナンスの資金使途候補です。
バックフィットに係る基本的な考え方(原子力規制員会) https://www.nra.go.jp/data/000412170.pdf
九州電力 川内原子力発電所 発電用原子炉設置許可変更許可申請書 一部補正受理(原子力規制委員会)
(注記)バックフィット対応の事例 https://www.nra.go.jp/disclosure/law_new/RTS/300001586.html
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プロジェクト区分 03: 原子力発電所の安全・安定運転の継続を支える高経年化対策
- エネルギー基本計画(第 6 次)の
「2030 年度におけるエネルギー需給の
見通し(関連資料)」や電気事業連合
会の「原子力発電の更なる利用率向上
および⻑期運転に向けた取組み」の中
で、事業者による原子力発電所の安
全・安定運転の継続を支える高経年化
対策として、以下のような取組を進めて
いることを示しています。
原子力発電所の大型機器の取替等の実施(川内原子力発電所 1/2 号機の例)
1 右図(川内原子力発電所 1/2 号機での事例)に示すような、⻑期運転を安全に進めるための各設備
のメンテナンス、新技術の導入や経年劣化への予防保全等のための大型機器(原子炉周辺設備、発
電設備)等の取替工事
2 既設炉の更なる安全性向上のためのハード、ソフトの両面についての研究開発(例:重大事故時の対
応技術、リスクマネジメント強化)
3 再稼働したプラントを最大限有効活用するための、設備の劣化データの拡充(例:原子力材料劣化
評価技術)や、より安全な燃料の開発等の研究開発
- 九州電力では、再稼働した原子力発電所の定期検査や大型機器の取替工事を通じた、原子力発電所
の安全・安定運転の継続を支える高経年化対策を進めています。これらを含む高経年化対策への取組が
トランジションファイナンスの資金使途候補です。
2030 年度におけるエネルギー需給の見通し 関連資料(資源エネルギー庁)
https://www.enecho.meti.go.jp/category/others/basic_plan/pdf/20211022_03.pdf
原子力発電の更なる利用率向上および⻑期運転に向けた取組み (電気事業連合会)
https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/genshiryoku/pdf/023_04_00.pdf
川内原子力発電所に関する市⺠セミナー関連資料 川内原子力発電所 1,2 号機の安全・安定運転等の取組みについて (九州電力)
https://www.city.satsumasendai.lg.jp/material/files/group/13/gennsiryokuannzennsitusiminnsemina-siryou5.pdf
DNV は九州電力へのアセスメントを通じ、プロジェクト区分 01〜03 毎に複数の代表的な取組みについて
詳細レビューを行いました。DNV は詳細レビューを通じ、各取組がプロジェクト区分ごとの目的を満たしている
ことを確認すると共に、九州電力が今後、原子力発電プロジェクトを資金使途として評価・選定する際の適
切な判断基準やプロセスを有していることを確認しました。
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適格性評価(国内外の関連する計画やガイドライン等との整合):
(1) エネルギー基本計画(第 6 次) (資源エネルギー庁、2021 年 10 月)
- エネルギー基本計画において、原子力発電は、電力部門に求
められる取組の中で、安全確保を最優先にする前提で再生
可能エネルギーと共に重要な脱炭素化電源と位置付けられて
います。
- 日本の 2050 年カーボンニュートラル達成の中期目標として位
置づけられている 2030 年度における原子力発電量の割合
は、見通しとして 20〜22%程度(発電量ベース)となっていま
す。2019 年度における原子力発電量の割合は 6%程度、
2022 年度は 5.6%に留まっており、2030 年度までに大幅
な積み増しが必要です。
- 現時点において、今後 2030 年度までに新たな原子力発電
所建設・運転開始による発電量へ
の貢献は限定的であると考えられる
ことから、原子力発電量の割合を
2030 年度見通しの 20〜22%と
するためには、実質的には新規制
基準に適合し、安全性が確認され
た原子力発電所の再稼働及び再
稼働後の継続運転が必要と考えら
れます。
新規制基準適合性審査の進捗状況等について(原子力規制委員会 2024 年 4 月 3 日版)
https://www.nra.go.jp/data/000472362.pdf
- エネルギー基本計画では、2050 年カーボンニュートラルに向けた、原子力発電量に関する具体的
な数値目標や、必要な原子力発電の型式(既設原子力発電の活用(例:再稼働)、又は、高速
炉、小型モジュール炉、高温ガス炉、核融合等の革新的技術の活用の別)は明確には掲げられて
いません。一方、エネルギー基本計画の中で、原子力発電の依存度は、再生可能エネルギーの拡
大を図る中で可能な限り低減することも明示されていますが、再生可能エネルギーによる発電量
は、2019 年度 18%程度から、2022 年度 21.7%と微増であり、2030 年度の中期目標達成
のためには、継続した再生可能エネルギーの導入(目標 36〜38%)を推進すると共に、既設原子
力発電所の活用(再稼働と継続運転)が重要と考えられます。
- エネルギー基本計画では、2050 年のカーボンニュートラルを目指す上で、安全性確保を大前提に
した原子力発電の持続的な活用の必要性が示されており、ここには、新規制基準を満たし、また地
域等の合意を得た上で再稼働する既設原子力発電設備の⻑期継続利用も視野に含まれると判
断することができます。
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以上から、川内原子力発電所 1/2 号機及び玄海原子力発電所 3/4 号機の既設原子力発電設
備の⻑期継続利用(再稼働後の継続運転)に資する取組や対策(表-1 参照)は、エネルギー基本計
画と整合し、日本のカーボンニュートラルに必要な活動であると判断されます。
(2) 電力分野のロードマップ(2022 年 2 月、資源エネルギー庁)
- 電力分野のロードマップにおいて、原子力は既
に実用化・導入されている電源として、着実な
利用により 2050 年のカーボンニュートラルに必
要な電源として位置づけられていると判断され
ます。
- 原子力は 2050 年まで継続的に活用すると共
に、2030 年までは、CO2 排出の削減イメージ
の中で 2030 年までの間、脱炭素電源のアイ
テムとして示されており、その利用拡大を進める
こととなっています(右図)。
以上から、川内原子力発電所 1/2 号機及び玄
海原子力発電所 3/4 号機は実用化・導入された原子力発電所の着実な利用という観点において、
電力分野のロードマップと整合し、日本のカーボンニュートラルに必要な活動であると判断されます。
(3) GX 実現に向けた基本方針(2023 年 5 月、日本政府)
- GX 実現に向けた基本方針では、原子
力は「エネルギー安定供給の確保を大
前提とした GX に向けた脱炭素の取組」
の今後の対応として、「原子力の活用」
に取組むとしています。この中で、2030
年度の 20〜22%の確実な達成に向
けた再稼働の加速(右図、⻘枠部分)
や、2050 年カーボンニュートラルに向け
ては、次世代革新炉の開発・建設、核
燃料サイクルの推進等が挙げられていま
す(右図、橙色部分)。
- GX 実現に向けた基本方針では、
2030 年以降における再稼働した既存の原子力発電所(軽水炉)の必要性について具体的に
言及されていないものの、現行制度を利用した 20 年の運転延⻑及び追加的な延⻑(原子力
規制委員会による厳格な安全性審査を前提に、条件を満たす停止期間を差し引く)を認めてお
り、2030 年以降も既存の原子力発電所の利用が想定されていると判断することが出来ます。
以上から、川内原子力発電所 1/2 号機及び玄海原子力発電所 3/4 号機の継続利用は、GX
基本方針で掲げられる次世代革新炉の開発・建設による原子力利用と並行して、原子力政策の
進め方と整合していることから、2030 年度の目標達成及び 2030 年度以降の日本のカーボンニュ
ートラルに必要な活動であると判断されます。
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(4) EU タクソノミーの参照(AnnexI Delegated Regulation、 European Commission)
原子力発電所のグリーン又はトランジションファイナンスの資金使途としての適格性評価については、国
内外で統一された基準やガイドラインはありません。一方で、海外での原子力発電を資金使途としたグ
リーンファイナンスの先行事例(後述)では、EU タクソノミーを適用/参照した適格性評価事例が確認さ
れています。
表-2 に EU タクソノミーの原子力発電プロジェクトの分類(セクション)を示します。今回、九州電力の資
金使途となる原子力発電プロジェクトはセクション 4.28「既設原子力エネルギーによる発電」に相当す
る内容です。
DNV は、EU タクソノミーにおける原子力発電の適格性評価に必要な項目*1
は、事業者(資金調達
者)や投資家を含む幅広いステークホルダーにとって適格な原子力発電プロジェクトの評価指標として
共通の理解を得るという観点で、有効な基準・ガイドラインであると判断しています。
*1 EU タクソノミーは、「1. 実質的な(環境)貢献基準(Substantial contribution criteria 又は技術スクリーニング基準
Technical Screening criteria)」、「2. 著しい悪影響が無いこと(DNSH Do no significant harm criteria)」、「3.最
低保証条項(Minimum safeguards)」の 3 つの主要な項目で構成される基準・ガイドライン
また、EU タクソノミー2.1.6 項では、「EU 域外の国においては、関連する現地基準を適用することがで
きる("locally relevant standards may be applied in countries outside the EU"」とされ
ていることから、DNV は、本報告書において EU タクソノミー(セクション 4.28 既設原子力エネルギー
による発電)の主要な項目を参照し、日本の新規制基準(原子力規制委員会)や放射性廃棄物等
に関連する基準・法令等に置き換えて評価を行うこととします。
表-2 EU タクソノミー
AnnexI Delegated Regulation (EU) 2021/2139、2021/2178
エネルギー分野 原子力対象セクション:4.26、4.27、4.28
セクション 概要 評価対象
4.26 ×ばつ(対象外)
4.27 利用可能な最良の技術を用いた、水素製造を含む発電または熱供給の
ための、新規原子力発電所の建設と安全運転
4.28 既設原子力エネルギーによる発電 ✓(対象)
参照:EU タクソノミーコンパス(欧州委員会)
https://ec.europa.eu/sustainable-finance-taxonomy/taxonomy-compass
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表-3 EU タクソノミーを参照した適格性評価結果概要
(セクション 4.28 既設原子力エネルギーによる発電)
項目 主要な評価基準/項目 DNV 評価結果
1. 実質的な(環境)貢献基準 (技術スクリーニング基準)
1.1 - 原子力関連法令・基準等の順守 - DNV は、九州電力が電気事業法、原子力基本法や核原料物質・
核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(炉規法)をはじめとす
る電力及び原子力発電関連法令を遵守し、また、新規制基準や関
連する規制に基づき川内原子力発電所 1/2 号機、玄海原子力発
電所 3/4 号機の管理を行っていることを確認しました。
1.2 - 廃止措置基金の準備 - DNV は、九州電力が電気事業法施行規則第 45 条(第 5 節の
3、第 5 節の4)に基づき賠償負担金や廃炉円滑化負担金の手続
きを行っており、必要な基金の確保を進めていることを確認しました。
1.3 - 放射性廃棄物管理と最終処分の
計画と実施
- DNV は、九州電力が放射性廃棄物について炉規法や関連する放
射性物質管理関連の法令・規制等に基づき管理実施していることを
確認しました。また、放射性廃棄物の最終処分に関しては、原子力
発電環境整備機構(NUMO)や原子力環境整備促進・資金管理セ
ンター(RWMC)等が国の法令に基づき、技術的な課題や資金管理
について、計画や取組を進めていることを確認しました。
- なお、放射性廃棄物の最終処分に関する計画等の最新情報につい
ては NUMO ウェブサイトで開示されています。
NUMO ウェブサイト https://www.numo.or.jp/
1.4 新規制基準への対応
・ 最新知見や技術の利用
・ 定期的な報告
- DNV は、川内原子力発電所 1/2 号機、玄海原子力発電所 3/4
号機が、それぞれ 2015 年 5 月、2017 年 9 月に新規制基準適合
審査の許可(保安規定認可)を受け、使用前確認(検査)を完了した
後、再稼働され、現在も運転継続中であることを確認しました。
- DNV は、九州電力が新規制基準のバックフィットや、バックフィット対
象外であっても実務的に有効と判断された安全性確保を進めており、
対象となる原子力発電所が最新知見や技術を活用し、常に高いレベ
ルの安全性を維持するための改善・改良が行われていることを確認し
ました。
- 九州電力は、原子炉等規制法改正(2013 年)で導入された制度に
基づき、安全性向上評価を行い、原子力発電設備の定期事業検
査実施後、原子力規制委員会に評価結果の報告を行っています。こ
れにより、実質的に定期的な報告(計画や進捗)が行われている状況
です。
1.5 自然災害への対策、ストレステスト - 1.5 項は新規制基準への対応に含まれます。新規制基準では、対
象とする自然災害の拡大(火山、⻯巻、森林火災)及びテロやシビア
アクシデントへの対応が追加又は強化されています。
- 1.5 項は新規制基準の重要な適合評価項目であり、DNV は九州
電力が新規制基準への対応の中で自然災害への対策、ストレステス
ト等を実施していることを確認しました。
1.6 気候変動緩和基準
(原子力発電によるライフサイクル
GHG 排出量が 100g-CO2/kWh
以下であること)
- 川内原子力発電所 1/2 号機、玄海原子力発電所 3/4 号機個別
のライフサイクル GHG 排出量は算定されていません。
- DNV は、電力中央研究所が評価した原子力発電のライフサイクルの
調査結果である GHG 排出量 20g-CO2/kWh(川内原子力発電
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所 1/2 号機、玄海原子力発電所 3/4 号機と同じ加圧水型軽水
炉、プルサーマルを実施した場合の GHG 排出を含む)が標準的な値
として利用可能と判断しており、当該発電所は基準値である 100g-
CO2/kWh を十分に下回ると判断することが可能と考えています。
- なお、20g-CO2/kWh は全て発電以外の間接的な活動(使用済燃
料再処理、プルサーマル利用、廃棄物処分等)に起因する GHG 排
出です。
出典:日本における発電技術のライフサイクル CO2 排出量総合評価(総合
報告:Y06、電力中央研究所報告、平成 28 年 7 月)
2. 著しい悪影響が無いこと(DNSH)
2.1 環境影響評価(又は類似の評価)
・ 自然災害・異常気象
・ 生物多様性
- 九州電力は対象となる川内原子力発電所 1/2 号機、玄海原子力
発電所 3/4 号機において、それぞれ 1978 年、1982 年に環境影
響評価(調査書)を発行しています。
- 環境影響評価(調査書)では、DNSH で一般的に求められる大気
質、水質、土壌、振動・騒音、地盤・土地、悪臭、陸生・海生生物、
自然景観、文化・経済・社会、気象・海象条件等への影響が網羅的
に調査されています。環境影響評価(調査書)の総合評価として、著
しい悪影響が無いことが確認されています。
2.2 復水器冷却用海水温度管理 - 九州電力では川内原子力発電所 1/2 号機、玄海原子力発電所
3/4 号機において復水器冷却(蒸気タービン排気の冷却・循環再利
用のため)に、海水を利用しています。この冷却水として利用した海水
は水温が上昇することから周辺海域への水質や生物への影響を最小
限にするため海水取水時(冷水)と排水時(温排水)の温度を 7°C以
下で管理することとしています。
- 九州電力から提供されたデータに基づき、取水時と排水時の温度を
7°C以下で管理されていることに加え、温排水による影響として年に 4
回の調査を行っており、大きな変化がないことが確認・報告されていま
す。
- 調査結果概要については、川内原子力発電所、玄海原子力発電所
が所在する鹿児島県、佐賀県のウェブサイトで開示されています。
2.3 環境モニタリング
(原子力敷地内外での放射線モニタ)
- 九州電力は、原子力発電所敷地内外における放射線モニタを、九州
電力のウェブサイトでリアルタイムデータとして計測・開示しており、主要
な変動や目標値の逸脱は認められていません (発電所内排気筒及
び発電所内外各所にて測定)。
2.4 放射性廃棄物の管理 (1.3 項に同じ)
3. 最低保証条項
3.1 人権保護、サステナブル投資としての
DNSH(公正な移行)の順守
- 九州電力は九電グループ人権方針を定め、事業活動に係る全てのス
テークホルダーの人権尊重に取組むとしています。その中で原子力発
電所事故等による放射性物質の漏洩や環境汚染、破壊を「重要な
人権リスク」として特定し優先的に対応するとしています。
- 原子力発電固有の取組として、周辺自治体との対話・情報共有、透
明性を持った様々な活動やその配信(情報公開)等を通じ、原子力
発電の運転への理解と信頼関係の構築に努めています(例:原子力
コミュニケーション活動)。
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- サステナブル投資の DNSH(公正な移行)の順守は、環境技術的な
視点においては 2 項に記載の内容であり、公正な移行は現時点でク
リティカルな要因はありませんが、九州電力のサステナブルファイナンス・
フレームワークに基づき、今後 SDGs に対してネガティブな影響が考え
られる場合には、適宜対応し、必要な場合は開示することを確認しま
した。
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海外先行事例(参考情報):
表-4 に原子力発電プロジェクトを資金使途候補とした ESG ファイナンスの海外先行事例を参考情報として示
します(九州電力の情報を併記)。
2021 年以降、カナダ、フランス、フィンランド及び米国で原子力発電プロジェクトを資金使途候補(または資金
使途として充当)としたフレームワーク策定やグリーンファイナンスとしての実行が複数進められています。
DNV は九州電力の資金使途候補プロジェクトである原子力発電(既設の原子力発電(軽水炉)の継続運転
への活動)は、技術的な観点ではグリーン性を有すると判断しています。一方、今回の評価では、トランジション
プロジェクトとして評価を行っています。
トランジションプロジェクトとして評価した理由は、現時点において、今回資金使途候補となる既設の原子力発
電(軽水炉)がエネルギー基本計画をはじめとする各種政策の中で 2050 年カーボンニュートラル時点での利
用が明確になっていないことが主な理由です。今後、既設の原子力発電(軽水炉)の継続利用が、日本政府
の方針として、2050 年カーボンニュートラル達成時における脱炭素技術であること、また、安全を大前提とした
上で、エネルギー基本計画、⻑期運転の妥当性等に基づき、その必要性が合理的に示され、新規制基準へ
の適合や地域住⺠との対話や合意等が十分に実施されたプロジェクトは、グリーンに分類することが可能と判断
しています。
表-4 原子力発電プロジェクトを資金使途候補とした ESG ファイナンスの海外先行事例(参考情報)
*印:原子力を資金使途候補に含む ESG ファイナンスNo.所在国/
資金調達者
資金使途候補プロジェクト/
保有原子力プロジェクト
概要-(参照)
日本 九州電力
(今回評価対象)
川内原子力発電所 1/2 号機
(鹿児島県、89 万 k×ばつ2)
玄海原子力発電所 3/4 号機
(佐賀県、118 万 k×ばつ2)
合計:414 万 kW
- 再稼働中の 4 基の原子力発電所の更なる安全性向上に向けた
取組み、高経年化対策等、新規制基準に適合し、安全・安定し
た継続運転に必要な活動を資金使途候補とする。
- 資金使途候補の適格性は、日本の 2050 年カーボンニュートラル
に向けた政府等の計画や施策、九州電力のロードマップと整合し
ていること、また、DNV の評価プロトコルに従い、上記に加え EU タ
クソノミー(セクション 4.28 既設原子力エネルギーによる発電)を参
照した活動(詳細は本文参照)であることを確認。
- 九州電力は、2021 年に再エネを資金使途とした「グリーンボンド・
フレームワーク」の策定とグリーンボンド発行を経て、2022 年に原
子力他、各種グリーン、トランジションプロジェクトの追加、また、資
金使途を特定しないリンク形式のファイナンスを含めた「サステナブル
ファイナンス・フレームワーク」へと更新。
実績:
- 2021.06:グリーンボンド、100 億円
- 2022.05:トランジションボンド、550 億円
- 2022.11:トランジション・リンク・ローン、500 億円
- 2023.07:グリーンボンド、100 億円
- 2024:トランジションボンド*
01 カナダ Bruce Power ブルース原子力発電所(Unit-1
〜Unit-8)
合計:約 620 万 kW
- 保有する 8 基の原子力発電所のうち 6 基の運転延⻑、安全性
の維持・改善のための主要機器の更新や改修工事に充当。残る
2 基についても運転が再開される見込みとなったため候補となる可
能性有。
- Bruce Power は 2021 年にグリーン・ファイナンシング・フレームワ
ークを策定し 2023 年に更新。
実績:
- 2021.11:グリーンボンド、500 百万加ドル*
- 2023.03:グリーンボンド、300 百万加ドル*
- 2023.03:グリーンボンド、300 百万加ドル*
- 2024.03:グリーンボンド、600 百万加ドル*
02 カナダ Ontario
Power Generation
ピカリング原子力発電所
ダーリントン原子力発電所
(ブルース原子力発電所:リース)
合計:660 万 kW
- 保有する原子力発電所の維持・改修工事が対象。
- 2022 年グリーンボンド 550 百万加ドルのうち、子会社発行
(250 百万加ドル)を除く 300 百万加ドルを原子力を資金使途と
したグリーンボンドとして発行
- Ontario Power は 2018 年に再エネ等を資金使途としたグリー
ンボンドフレームワークを策定し、2021 年 4 月に一部更新、さら
に 2021 年 11 月に原子力発電を含むフレームワークへと更新
- その他、SMR(小型モジュール炉)の建設も計画。
実績
- 2018〜2021:4 件のグリーンボンド、2,525 百万加ドル
(子会社発行含む)
- 2022:グリーンボンド、550 百万加ドル
(子会社発行含む) *
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表-4(続き) 原子力発電プロジェクトを資金使途候補とした ESG ファイナンスの海外先行事例
*印:原子力を資金使途候補に含む ESG ファイナンス
No. 所在国
資金調達者
資金使途候補プロジェクト/
保有原子力プロジェクト
概要
03 フランス EdF
(Electricite de France)
合計:6,780 万 MW(56 基)
(EdF が保有する電力の 55%に
相当 2023 年時点)
- 原子力発電の資金使途は、EU タクソノミー(表-2 に示す、セク
ション 4.26〜4.28 全て含む)と整合が確認された、新設&既
設を対象とした研究開発、実証、革新炉の展開等が含まれる。
最新鋭の原子力発電(軽水炉)の計画や新設も進められてい
る。
- EdF は、2013 年に最初のグリーンボンドを発行。その後 2016
年、2020 年にフレームワークを更新し、2022 年 6 月に EU タ
クソノミーへの整合や原子力発電他を含めた「グリーンファイナン
シング・フレームワーク」へと更新。
実績
- 2013〜2022:7 件のグリーンボンド(合計 12,550 百万ユーロ)
- 2022.11:グリーンローン、1,000 百万ユーロ*
- 2023.11:グリーンボンド、1,000 百万ユーロ*
04 フィンランド
フィンランド産業電力(TVO)
(Teollisuuden Voima Oyj)
オルキルオト原子力発電所
1 号〜3 号機:約 330 万 kW
- EU タクソノミー(表-2 に示す、セクション 4.27〜4.28)と整合
する新設&既設プロジェクトへ充当予定。
- TVO は 2023 年に原子力のみを資金使途とするグリーンボン
ド・フレームワークを策定。
実績
- 2023.11:グリーンノート、280 百万ユーロ*
(10 年、12 年、15 年の 3 トランシェ)
05 フランス Credit Agricole
(金融機関としての事例)
(03:EdF 向けローン) - 2018 年からグリーンボンド市場に参画し、2023 年 11 月に金
融機関として原子力発電を資金使途とするグリーンボンドフレー
ムワークを策定。
- EdF 向けローンに活用。
06 フィンランド Fortum フィンランド国内保有:2 基ロビー
サ原子力発電所(1,140MW)、
その他国内外で共同保有
合計:323 万 kW
- 原子力発電の資金使途は、EU タクソノミー(表-2 に示す、セク
ション 4.26〜4.28 全て含む)と整合が確認された、新設&既
設を対象とした研究開発、実証、革新炉の展開等が含まれる。
- Fortum は 2024 年にグリーンボンド&ローンによる資金調達を
可能とするグリーンファイナンスフレームワークを策定。
- フレームワークには、原子力の他、再エネ、省エネ(熱電併給や
蓄エネ/蓄電)を含む。
実績
- 未発行
07 アメリカ
Constellation Energy
バイロン原子力発電所
ブレイドウッド原子力発電所等
(タービン取替等による出力増強等)- 米国初の原子力発電を資金使途とするグリーンボンド。
- 2024 年 2 月、原子力、再エネ、省エネ、水素(原子力による
水素製造を含む)、蓄電他を含むグリーンファイナンシング・フレー
ムワーク(ボンド&ローンを含む)を策定。原子力については以下を
資金使途候補として設定。
- 買収、運転、寿命延⻑/増強/更新/維持
- 燃料サイクルからの廃棄物を最小化する研究開発、実証、革
新炉の展開
- 原子力燃料の調達
実績
- 2024.03:グリーンボンド、900 百万 US ドル*
海外先行事例は、ウェブサイト等で公開されている情報をベースに記載しています。
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GBP/GLP-4. レポーティング
DNV は、トランジションファイナンスによる調達資金の全額が充当されるまでの期間、守秘義務の範囲内、か
つ、合理的に実行可能な限りにおいて、調達資金の充当状況及び環境改善効果として九州電力がフレーム
ワークで定めた以下の内容について、統合報告書又は九州電力のウェブサイトにて年次で開示する予定であ
ることを確認しました。
<資金充当状況>
 充当金額
 未充当金の残高及び運用方法
 調達資金のうちリファイナンスに充当された部分の概算額(または割合)
ファイナンス期間中、資金充当状況に重大な変化があった場合には、その旨開示する予定です。
<環境改善効果>
 当該原子力発電所の設備容量(MW)
 当該原子力発電所の年間 CO2 排出削減量(t-CO2/y)
資金充当対象は原子力発電設備等、環境改善効果の発現に直接的に貢献する工事に充当されるケース
(例:プロジェクト区分 03)に加えて、安全対策等の間接的な工事(直接的に環境改善への算定が難しいプ
ロジェクト)に充当される場合がある(例:プロジェクト区分 01、02)。
このため、環境改善効果は、充当対象となった当該原子力発電所全体での環境改善効果(設備容量、年
間 CO2 排出削減量)が報告される見込みです。また、充当対象プロジェクト(個別工事等)を特定した進捗
状況について報告が可能な場合には、上記に加えて報告される予定です。
表-5 インパクト・レポーティング
(DNV セカンド・パーティ・オピニオンより抜粋)
適格クライテリア インパクト・レポーティング
電源の低・脱炭素化
再生可能エネルギー
・プロジェクトの概要
・再生可能エネルギー種別の設備容量(MW)
・再生可能エネルギー種別の年間 CO2 排出削減量(t-CO2/y)
原子力発電
・当該原子力発電所の設備容量(MW)
・当該原子力発電所の年間 CO2 排出削減量(t-CO2/y)
火力発電
・プロジェクトの概要
・発電所の概要(設備容量(MW)、運開年、性能・効率等)
・年間 CO2 排出削減量(t-CO2/y)
送配電ネットワーク
・プロジェクトの概要
・送配電にかかる設備投資の状況等
電化の推進 九州の電化率向上
・プロジェクトの概要
・年間 CO2 排出削減貢献量(t- CO2/y)
地域のカーボンニュート
ラル推進
・プロジェクトの概要
・年間 CO2 排出削減貢献量(t- CO2/y)
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VI. 評価結果
DNV は、九州電力から提供された情報と実施された業務に基づき、九州電力トランジションファイナンスが、今
回評価対象となった原子力発電プロジェクトをはじめとし、評価済みのフレームワークの再確認、一部改訂され
た基準に対する評価の結果、適格性評価手順の要求事項を満たしており、CTFH・CTFBG、GBP・
GBGLs、GLP・GLGLs を意見表明の基準とした資金使途を特定するトランジションファイナンスの以下の定
義・目的と一致していることを意見表明します。
- 「環境への利益をもたらす新規又は既存プロジェクトのための資本調達や投資を可能とする」
- 「クライメート・トランジション・ファイナンスが透明性と信頼性を持って実行されるために必要な投資の機会
を提供する」
DNV ビジネス・アシュアランス・ジャパン株式会社
2024 年 4 月 30 日
トーマス レオナルド
サプライチェーン&製品認証 サステナビリティサービスヘッド
DNV オーストラリア、ニュージーランド&東南アジア
前田 直樹
代表取締役社⻑/SCPA シニアヴァイスプレジデント
DNV ビジネス・アシュアランス・ジャパン株式会社
金留 正人
アセッサー兼プロジェクトリーダー
DNVビジネス・アシュアランス・ジャパン株式会社
About DNV
Driven by our purpose of safeguarding life, property and the environment, DNV enables organisations to advance the
safety and sustainability of their business. Combining leading technical and operational expertise, risk methodology and
in-depth industry knowledge, we empower our customers’ decisions and actions with trust and confidence. We
continuously invest in research and collaborative innovation to provide customers and society with operational and
technological foresight.
With our origins stretching back to 1864, our reach today is global. Operating in more than 100 countries, our 16,000
professionals are dedicated to helping customers make the world safer, smarter and greener.
Disclaimer
Responsibilities of the Management of the Issuer and the Second-Party Opinion Providers, DNV : The management of
Issuer has provided the information and data used by DNV during the delivery of this review. Our statement represents
an independent opinion and is intended to inform the Issuer management and other interested stakeholders in the Bond
as to whether the established criteria have been met, based on the information provided to us. In our work we have
relied on the information and the facts presented to us by the Issuer. DNV is not responsible for any aspect of the
nominated assets referred to in this opinion and cannot be held liable if estimates, findings, opinions, or conclusions are
incorrect. Thus, DNV shall not be held liable if any of the information or data provided by the Issuer’s management and
used as a basis for this assessment were not correct or complete
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スケジュール-1 九州電力 原子力発電プロジェクト区分(適格クライテリア)
表中に記載されているプロジェクトは ANNEX 評価時点(2024 年 4 月)で適格性を評価済みの適格プロジェクト区分です。今後、九州電力サステナブルファイナンス・フレームワークに基づき
実行されるサステナブルファイナンス(グリーン又はトランジションファイナンス)においては、スケジュール-1 に記載のフレームワークの適格クライテリア及び適格プロジェクト候補に分類される原子力
発電プロジェクト区分として評価された個別プロジェクトが選定されます。透明性確保の観点から、実務的に可能な範囲でファイナンス実行前の開示書類や契約文書、又はファイナンス実行
後のレポーティングで、選定された個別プロジェクト又は適格プロジェクト区分(適格クライテリア)単位で報告されます。また、今後、表以外に追加的に原子力発電プロジェクト又はプロジェクト
区分が含まれる場合には九州電力より上記フレームワーク及び ANNEX に基づき適格性が評価され、必要な場合には DNV により適時評価される予定です。
適格クライテリア 適格プロジェクト候補 原子力発電プロジェクト区分/概要 (ANNEX 評価対象)
電源の低・脱炭素化
原子力発電
既設原子力発電所の安全・安
定運転の継続に向けた投資01原子力発電所の更なる安全性向上のための取組み(新規制基準への対応)
- 九州電力では新規制基準を踏まえ、テロ対策やシビアアクシデント対策等の様々
な安全性向上工事を進めており、これらの取組がトランジションファイナンスの資金
使途候補です。02新たな知見を反映した継続的な安全性向上への取組み(バックフィット対応)
- 九州電力では、バックフィット対応として必要な解析や補強工事等を実施し、安全
性向上を図っており、その取組がトランジションファイナンスの資金使途候補です。
川内原子力発電所
玄海原子力発電所03原子力発電所の安全・安定運転の継続を支える高経年化対策
- 九州電力では、再稼働した原子力発電所の定期検査や大型機器の取替工事
を通じた、原子力発電所の安全・安定運転の継続を支える高経年化対策を進め
ています。これらを含む高経年化対策への取組がトランジションファイナンスの資金
使途候補です。

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