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平成15年4月1日〜平成16年3月31日
第80期事業報告書
人をむすぶ、
街をつなぐ
Raconter
(ラコンテ)は,フランス語で
「語る」
「話す」
という意味です。 株主の皆さまには,平素より格別のご高配を賜り,厚く
御礼申しあげます。
第80期事業報告書をお手元にお届けするにあたりまして,
一言ごあいさつ申しあげます。
電気事業をとりまく情勢をみますと,電力自由化の範囲が,
これまでの特別高圧に加え,本年4月から契約500kW以上
の高圧に,さらに来年4月からは高圧すべてへと拡大され,
当社の販売電力量の約6割が自由化の対象となります。一
方で,分散型電源が普及しつつあり,電力市場における競
争はますます厳しくなってまいります。また,こうした環
境変化に伴い,電気事業に対する資本市場の評価も厳しさ
を増しております。
このような状況のもとで,当社は,電気事業の公益的な
役割を果たしつつ,競争力の強化と新たな収益基盤の確立
などを重点課題として,経営改革に取り組んでおります。
具体的には,設備投資や修繕費,諸経費,要員など経営
全般にわたる効率化を一層徹底し,価格競争力を強化して
まいります。また,営業力強化の観点から,お客さまの多
様なニーズを的確に把握し,解決策を提供する「トータル
ごあいさつ
目次
ごあいさつ
営業の状況
設備の状況
CLOSE UP九電
「経営効率化への取り組み」 「トータルソリューション営業 の取り組みを紹介します」 財務諸表・利益処分
連結財務諸表
アニュア
ル ア
クショ
ン レポート 九電エコトーク
心の旅 in九州
らこんて倶楽部
株式Information
役員・会社概要 1 3 5 6 10 11 13 15 17 18 21 22
裏表紙
(Annual Action Report) 青空を映す星野村の棚田
(福岡県星野村) 「心の旅 in九州」
(P18)
から
作者:竹中俊裕氏
表紙の絵 1 2
ソリューション営業」を積極的に展開してまいります。
同時に,電力の安定供給や環境保全など,公益的課題の
達成にも引き続き取り組みます。特に,その柱となる原子
力発電につきましては,今後とも安全性の確保を最重点と
しつつ,新規開発に取り組んでまいります。昨年10月には,
増設の検討を行うために川内原子力発電所における環境調
査を開始いたしました。
また,これまでに培ってきた技術やノウハウなどの強み
を活かした新規事業の推進により,九電グループの収益力
の強化を図ってまいります。
さらに,コンプライアンス経営への取り組みを強化し,
情報公開を積極的に推進することにより,これまで以上に
透明性の高い公正な事業活動に努めていく所存であります。
当社といたしましては,今後とも,お客さまはもとより,
株主や投資家の皆さまから信頼され,選択される企業を目
指してまいりますので,なお一層のご理解とご支援を賜り
ますようお願い申しあげます。
平成16年6月
代表取締役
社 長
当期のわが国経済は,
公共投資は低調に推移しましたが,
輸出の増加による生産の回復や民間設備投資の増加,さらには雇用情勢の緩やかな改善に伴う個人消費の持ち
直しの動きなど,
回復の動きが強まってきました。 このような経済情勢のもとで,
当社の販売電力量につ
いてみますと,
大口産業用需要は,
電気機械の生産増な
どにより,
前期に比べ1.3%の増加となりました。
また,
電灯,
業務用電力などの一般需要は,
気温が前期に比べ
夏季は低めに冬季は高めに推移したことによる冷暖房
需要の減はあったものの,
商店などの新規出店による伸
びなどにより,
前期に比べ0.7%の増加となりました。この結果,
当期の総販売電力量は,
772億6千万kWhとなり,
前期に比べ0.8%の増加となりました。 一方,
供給面につきましては,
原子力などの順調な運
転により,
安定した電力をお届けすることができました。
これを他社からの受電分を加えた発受電電力量のエネ
ルギー別構成でみますと,
原子力47%,
火力44%,
水力8%,新エネルギー1%となっております。 販売の状況
営業の状況
しかく販売電力量の推移
(単位:百万kWh) H11 12 13 14 15 (年度)
80,000
70,000
60,000
50,000
40,000
30,000
20,000
10,000073,064
75,251 75,327 76,636
53,310
19,754
54,632
20,619
55,334
19,993
56,318
20,318
77,268
56,684
(100.7)
(101.3)
(100.8)
20,584
大口需要
大口需要
合計
一般需要
一般需要
( )は前年比
しかく平成15年度 発受電電力量のエネルギー別構成
地熱 2% 新エネルギー 1%
火力
石炭 21% LNG 16% 石油など 5% 水力 8% 原子力 47% 3 4
当期の収支についてみますと,
収入面では,
販売電力
量は増加しましたが,
平成14年10月から電気料金の値
下げを実施したことなどにより,
売上高は,
前期に比べ
3.0%減の1兆3,183億円となり,
これにその他の収益
を加えた経常収益合計は,
前期に比べ3.0%減の1兆
3,214億円となりました。
一方,
支出面では,
原子力発電
電力量の増加などによる燃料費の軽減や減価償却費の
減少などもあり,
さらに経営全般にわたり徹底した効率
化を推進しました結果,
経常費用合計は,
前期に比べ4.6
%減の1兆2,134億円となりました。
以上により,
経常
利益は,
前期に比べ18.9%増の1,079億円,
当期純利益は,
前期に比べ12.1%増の701億円となりました。
収支の状況
しかく当期純利益の推移
(単位:億円) しかく経常収益と経常費用の推移
(単位:億円) H11 12 13 14 15 (年度) 02,000
4,000
6,000
8,000
10,000
12,000
14,000
16,000
3,332
1,044 937 2,788
1,839
1,228
2,143
13,996
13,314
3,379 877 940
2,630
1,735
1,460
2,038
14,183
13,063
3,502 812 980
2,449
1,779
1,509
1,868
3,577 736 1,046
2,478
1,588
1,379
1,909
3,305 735 959
2,321
1,532
1,265
2,015
13,924
12,902
13,624
13,214
12,716
12,134
そ の 他
支払利息
購入電力料
減価償却費
修 繕 費
燃 料 費
人 件 費
経常収益
経常費用
(費用内訳) 229601651625701
H11 12 13 14 15 (年度) 800 700 600 500 400 300 200 100 0
当期は総額2,069億円の設備投資を行いました。 また,
当期中に完成した設備及び建設中の設備のうち,
主なものは次のとおりであります。 (平成16年3月31日現在) しかく発電設備
(出力)
の構成
しかく送電設備
名 称 亘長(km)
電圧(kV)
JR新出水分岐線
(新設) 小丸川幹線
(新設) 28.8 46.3220 500完成建設中 設備の状況
しかく設備投資額の推移
(単位:億円) 0
1,000
2,000
3,000
4,000
電源 流通 その他
H11 12 13 14 (年度)
2,823 2,813
2,979
1,0249271,085
1,18570915
2,416752687
1,1697171,125674977
2,069716743
しかく発電設備
名 称 出 力(kW)
苓北発電所2号機
(増設) 小丸川発電所
(新設) 松浦発電所2号機
(増設) 700,000
1,200,000
1,000,000 完成 建設中
汽 力
水 力
汽 力
原子力
26.5%
水力
11.9%
地熱
1.0%
石炭
13.1% 計 1,988万 kW火力
石油
22.8%
ガス
24.7% 6105
経営効率化への
取り組み
当社は,
電力小売の部分自由化に対応した競
争力の強化と財務体質の改善を図るため,
平成
14年3月に
「中期経営方針」
(平成14〜18年度の
5か年)
を策定し,
設備投資や設備保全,
業務運
営など経営全般にわたる効率化に取り組んでい
ます。 しかく新規参入者
(PPS),分散型電源事業者および他電力会社
などに対抗できる料金水準の実現
しかく
「株主資本比率」を,25%
(18年度末) しかく
「有利子負債削減」を,4,
500億円
(14〜18年度累計) しかく
「FCF
(フリーキャッシュフロー)」を,1,200億円 (14〜18年度平均) しかく
「経常利益」を,1,
000億円
(14〜18年度平均) しかく
「ROA
(総資産営業利益率)」を,3%(14〜18年度平均)
(=税引後営業利益/総資産) しかく
「ROE
(株主資本利益率)」を,8%(14〜18年度平均)
(=当期純利益/株主資本) 料金目標
財務目標
経営目標 6 1.
設備投資の効率化
目標 平成15〜18年度の設備投資額を年平均2,200億円以下とします。 平成15年度の設備投資額は,
設計・施工面や資材発注面
のコストダウンなどの効率化に取り組んだ結果,
当初計画
から197億円減の2,069億円となりました。 今後も,
需要動向に的確に対応するとともに,
設計基準・仕様の見直しなど,
設備投資の効率化を図ります。 こうした取り組みにより,
平成16年度の設備投資額は,
昨年計画から314億円減の1,993億円とします。 2.設備保全の効率化
目標 平成15〜18年度の修繕費を年平均1,600億円以下とします。 3.
諸経費の削減
目標 平成15〜18年度の諸経費を年平均1,500億円程度とします。 平成15年度の諸経費は,
業務運営全般にわたる簡素化,
効率化に取り組んだものの,
前年度をやや上回る1,604億
円となりました。 諸経費については,
業務効率化のためのIT開発費用な
ど増加要因もありますが,
今後も委託費や賃借料などの削
減を図ります。
しかく設備投資額の推移
しかく諸経費の推移
平成15年度の修繕費は,
点検・修繕内容の見直しや点検
周期の延伸など点検・修繕全般にわたる効率化に取り組ん
だ結果,
前年度から56億円減の1,532億円となりました。 修繕費については,
電力設備の拡充や老朽度の進展など
増加要因もありますが,
リスクマネジメント手法の導入な
どにより,
今後も設備保全の効率化を図ります。
しかく修繕費の推移
H11 12 13 14 15 16
(計画) 17 (計画)
15〜18
(平均)
(年度)
3,000
3,500
2,500
2,00003,100
3,027 3,070
2,723
2,266
2,823 2,813
2,979
2,416
2,069
1,993
2,121
(注)
1.設備投資には附帯事業を含む。 2. は,
各年度の当初計画値。 (単位:億円) 2,200
目標
H11 12 13 14 (年度) 151,900
1,800
1,700
1,600
1,50001,839
1,779
1,588
1,532
(単位:億円) 1,735
15〜18
(平均)
1,600
目標
H11 12 13 14 15 (年度)
1,700
1,600
1,500
1,400
1,30001,583
1,627 1,617
1,584 1,604
1,500
(単位:億円) 15〜18
(平均)
目標 7 85.燃料費の節減
目標 原子力利用率を80%程度の高水準に維持します。 1原子力利用率の高水準維持
2火力熱効率の向上
目標 火力発電所の総合熱効率の向上を図ります。 平成15年度の火力総合熱効率は,
高効率の新鋭火力であ
る苓北2号機の運転開始などにより,
過去最高の39.2%と
なりました。 今後も,
新大分発電所など高効率発電所の高稼働維持な
どにより,
熱効率の向上に努めます。
しかく原子力利用率の推移 4.業務運営の効率化
目標 平成18年度末までに要員を12,500人程度とします。 平成15年度末の要員は,
電子通信業務など現業機関にお
ける業務の集中化や老朽火力発電所の休止などの業務運営
の効率化に取り組んだ結果,
前年度末から304人減の
13,660人となりました。 今後も,
ITを活用した業務プロセス改革の推進による
業務の集中化や簡素化などを図るとともに,
採用数の抑制
や早期退職優遇制度の実施などにより,
平成18年度末まで
に要員を12,500人程度とします。
しかく要員の推移
原子力は火力に比べ燃料コストが低いため,
原子力利用
率の向上により,
燃料費が節減されます。 平成15年度の原子力利用率は,
原子力発電所の安全安定
運転の継続や全プラントでの定格熱出力一定運転の実施な
どにより,
過去最高の88.9%となりました。 今後も,
原子力発電所の安全安定運転を継続し,
利用率の
向上に努めます。 しかく火力総合熱効率の推移
(送電端) H11 12 13 14 15 (年度)
15,000
14,000
13,000
12,000014,428 14,348
14,191
13,964
13,660
(単位:人) 18
12,500
目標
H11 12 13 14 15 16
(計画) 17(計画) 908580750(単位:%) (年度) 84.085.879.785.988.984.4 83.8
H11 12 13 14 15 16
(計画) 17(計画) 403938370(単位:%) (年度)
38.8 38.839.039.2 39.3 39.338.7(注記)平成13年度の原子力利用率は,
玄海原子力発電所1・2号機の主要機器取替工事に伴う
長期停止
(平成13年3月〜9月)
により,
若干低い水準となっています。 (注) 利用率は定期検査の実施時期や改良工事の実施などにより変動します。
経営指標の推移
しかく株主資本比率,
有利子負債残高の推移
H11 12 13 14 15 18
H11 12 13 14 15 14〜18平均
(年度) 26242220181612140 当社は,
経営全般にわたる効率化を推進しているところであり,
財務体質は着実に改善してきています。 有利子負債残高 株主資本比率 25% 22.3(%) しかくFCF
(フリーキャッシュフロー)
の推移
2,000
1,800
1,600
1,400
1,200
1,0008004002000600(億円)
(年度)
28,000
26,000
24,000
22,000
20,000
18,0000(億円)
30,000
26,026
25,289
24,887
目標 17.119.119.620.36961,298
1,093
1,802
1,622
1,200
目標
23,321
21,833
14〜18年度累計
さんかく4,500億円
2,000
1,800
1,600
1,400
1,200
1,000800400200600
(億円)
経常利益 ROE ROA
ROE=株主資本利益率 (当期純利益/株主資本) ROA=総資産営業利益率 (税引後営業利益/総資産)
目標
しかく経常利益,ROE,ROAの推移 1086420120(%) 8.3 8.47.98.58% H11 12 13 14 15 14〜18平均
(年度) 3.62.8
3.3 3.12.83% 682907
1,119
1,022 1,000
1,0793.19
トータルソリ
ューシ
ョン営業の取り組みを紹介します
しかく
「お客さま第一」
の視点から,
最適な解決策をご提案!
お客さま担当者が
ご要望をお伺いします。 お客さまに最適な
解決策を
ご提案します。 くろまるエネルギーの専門家
として,
お客さまに
最適な省エネを!
くろまるグループの総力をあげて,
具体的な
環境対策を!......etc. くろまる省エネに取り組みたい!
くろまる環境対策はどうすれば
いいの?......etc. 九州電力におまかせください
お客さまのご要望
電力自由化の進展など,
経営環境の大きな変化の中で,
当社が今後もお客さまから選ばれるために,
お客さまの
ご要望を把握し,
「お客さま第一」
の視点に立った解決策
をご提案させていただく
「トータルソリューション営業」
を展開しています。 トータルソリューションとは,
九州電力及び九州電力
グループが経験に裏付けられた専門技能を活かしてお客
さまのご要望にお応えする解決策をご提案するものです。
具体的には,
エネルギーコストの低減のご提案から,省エネルギー・環境対策へのアドバイス,
設備の保守管理,
技術支援等を行っています。また,
エネルギー関連のほ
かにも,
ビジネスサポート,I T・
情報通信,
アメニティ・サービスなど九州電力グループの幅広い事業活動を活用
して,
お客さまに最適な解決策をご提供します。 具体的な取り組み 主として大口
(契約電力500kW以上)
のお客さまを対象に,
法人
お客さま専任担当者
(アカウントマネージャー)
を配置し,
お客さ
まごとのニーズに合わせたきめ細かな個別対応を実施しています。 今後もお客さまとパートナーシップを築けるよう,
お客さまに
最適な解決策をご提供していきます。 一般家庭のお客さまにつきましては,
安心・快適・経済的な
「オー
ル電化」
のご提案をはじめ,
電気の使用状況に合わせた料金メニュ
ーのご提案や省エネコンサル等を行っています。 なお,
お客さまからのお申込み等に対して,
スピーディーにお応
えするコールセンターを福岡都市圏で試験運用しておりましたが,
平成16年5月から6月にかけて全社に拡大しました。 しかく事例
お客さまからの受電設備についてのご相談に
対し,
当社の技術系専門スタッフが設備の簡易
診断等を行うなど,
保守・管理についてのアド
バイスやコンサルティングを実施しています。 10 11
当期末
(平成16年3月31日現在) 前期末
(平成15年3月31日現在) 合 計
科 目
負 債 及 び 資 本 の 部
財務諸表
しかく貸借対照表の要旨
(注)
1. 有形固定資産の減価償却累計額 50,690億円
2. 商法施行規則第124条第3号に規定する純資産額 338億円 1 年 以 内 に 期 限
到 来 の 固 定 負 債 39,299
24,285
10,797
7,743
7,044 2,460 1,993 330 648
550 − 31,330 2,373
310
310
5,137
593
1,003
2,270
1,196 150 3
7,969
しろさんかく
23,684
9,873
7,572
6,267 1,471 2,339 580 583
467 20 29,971 2,373
310
310
5,600
593
1,003
2,690
1,276 338 4
8,619
38,590
しろさんかく
38,590 39,299
37,163
28,764
2,085
4,418
3,338
7,537
3,106
6,400
2,346
2,348
3,305
1,426
283
684
261 0
固 定 資 産
電 気 事 業 固 定 資 産
水 力 発 電 設 備
汽 力 発 電 設 備
原 子 力 発 電 設 備
送 電 設 備
変 電 設 備
配 電 設 備
固 定 資 産 仮 勘 定
核 燃 料
投 資 そ の 他 の 資 産
流 動 資 産
現 金 及 び 預 金
売 掛 金
貯 蔵 品
繰 延 資 産
当期末
(平成16年3月31日現在) 前期末
(平成15年3月31日現在) 合 計
科 目
資 産 の 部
37,852
29,136
2,170
3,942
3,722
7,605
3,300
6,472
3,112
2,279
2,979
1,446
321
687
268 0固 定 負 債
社 債
長 期 借 入 金
流 動 負 債
短 期 借 入 金
コマーシャル・ペーパー
未 払 費 用
未 払 税 金
引 当 金
負 債 合 計 資 本 金
資 本 剰 余 金
資 本 準 備 金
利 益 剰 余 金
利 益 準 備 金
原価変動調整積立金
別 途 積 立 金
当 期 未 処 分 利 益
株 式 等 評 価 差 額 金
自 己 株 式
資 本 合 計
(単位:億円) 12
当期
平成15年4月 1日から
前期
平成14年4月 1日から
平成16年3月31日まで 平成15年3月31日まで
科 目
収 益 の 部
当期
平成15年4月 1日から
前期
平成14年4月 1日から
平成16年3月31日まで 平成15年3月31日まで
科 目
費 用 の 部
財務諸表
利益処分
(注)
平成15年12月10日に11,848,966,500円
(1株につき25円)
の中間配
当を実施いたしました。
当期未処分利益
海外投資等損失準備金取崩し
原子力発電工事償却準備金取崩し
合 計
127,682,403,423円
131,418,231,297
配 当 金
1株につき 25円
役員賞与金
(うち監査役分 20,100,000円) 別途積立金
次期繰越利益
11,848,246,450円 50,000,000,000
69,429,984,847
140,000,000
これを次のとおり処分します。 しかく損益計算書の要旨
13,586
13,530 55 38 16 21 13,624 231 11,855
11,772 82
861
742
118
12,716
907 − 154
984
359
495
135
625
689 118 1,196 2,210,301
3,733,617,573 しろさんかく
営 業 費 用
電 気 事 業 営 業 費 用
附 帯 事 業 営 業 費 用
営 業 利 益
営 業 外 費 用
財 務 費 用
事 業 外 費 用
当 期 経 常 費 用 合 計
当 期 経 常 利 益
渇水準備金引当又は取崩し
特 別 損 失
税 引 前 当 期 純 利 益
法 人 税 等
法 人 税 等
法 人 税 等 調 整 額
当 期 純 利 益
前 期 繰 越 利 益
中 間 配 当 額
当 期 未 処 分 利 益
営 業 収 益
電 気 事 業 営 業 収 益
附 帯 事 業 営 業 収 益 営 業 外 収 益
財 務 収 益
事 業 外 収 益
当 期 経 常 収 益 合 計
特 別 利 益
(1,731) (1,906) 11,276
11,171
105 858
741
116
12,134
1,079 20 −
1,059 357 545
187
701 694 118
1,276
しろさんかく
13,183
13,112 71 30 14 16 13,214 − (注)
1株当たりの当期純利益 147円65銭
(単位:億円) ( ) ( ) ( )
( ) 13しかく連結貸借対照表の要旨
しかく連結損益計算書の要旨
(注)
有形固定資産の減価償却累計額 53,066億円 資 産 の 部
営 業 収 益 営 業 外 収 益
当 期 経 常 収 益 合 計
特 別 利 益
科 目
水 力 発 電 設 備
汽 力 発 電 設 備
原 子 力 発 電 設 備
送 電 設 備
変 電 設 備
配 電 設 備
現 金 及 び 預 金
受取手形及び売掛金
た な 卸 資 産
固 定 資 産
流 動 資 産
繰 延 資 産
電 気 事 業 固 定 資 産
そ の 他 の 固 定 資 産
固 定 資 産 仮 勘 定
核 燃 料
投 資 そ の 他 の 資 産
合 計
負 債 , 少 数 株 主 持 分 及 び 資 本 の 部
費 用 の 部 科 目
科 目
営 業 費 用 営 業 外 費 用
当 期 経 常 費 用 合 計
当 期 経 常 利 益
渇水準備金引当又は取崩し
特 別 損 失
税金等調整前当期純利益
法人税,
住民税及び事業税
法 人 税 等 調 整 額
少 数 株 主 利 益( 損 失 ) 当 期 純 利 益
電 気 事 業 営 業 費 用
そ の 他 事 業 営 業 費 用 営 業 利 益
科 目
合 計
社 債
長 期 借 入 金
1 年 以 内 に 期 限
到 来 の 固 定 負 債
固 定 負 債
流 動 負 債
短 期 借 入 金
未 払 税 金
少 数 株 主 持 分
資 本 金
資 本 剰 余 金
利 益 剰 余 金
その他有価証券評価差額金
為 替 換 算 調 整 勘 定
自 己 株 式 特 別 法 上 の 引 当 金
負 債 合 計
資 本 合 計
収 益 の 部
連結財務諸表
(単位:億円) (単位:億円) 電 気 事 業 営 業 収 益
そ の 他 事 業 営 業 収 益
当期末
(平成16年3月31日現在) 前期末
(平成15年3月31日現在) 40,122
28,803
2,161
3,896
3,690
7,567
3,257
6,339
3,313
3,119
2,279
2,605
1,922 444 799 447 0
42,045
当期末
(平成16年3月31日現在) 39,258
28,349
2,074
4,351
3,309
7,468
3,060
6,238
3,206
2,396
2,348
2,957
1,884 381 824 413 0
41,143
11,927
11,081 846 1,989 913 12,840
1,144 20 −
1,124 593 しろさんかく 202 5 727
当期
平成15年4月 1日から
平成16年3月31日まで
12,412
11,706 706 1,800 966 13,378 881 − 89 1,023 524 しろさんかく 140
しろさんかく 3 643 ) ( ) (
前期
平成14年4月 1日から
平成15年3月31日まで
( ) ( )
当期
平成15年4月 1日から
平成16年3月31日まで ( ) 前期
平成14年4月 1日から
平成15年3月31日まで ( ) (注)
1株当た
りの当期純利益 153円 5銭 25,035 25,784
14,213
13,506 706 47 14,260 231前期末
(平成15年3月31日現在) 2,774 10,793
9,053
7,777 2,085 576 −
33,561 81
2,373 310 5,569 154 −
しろさんかく 5
8,402
42,045
13,916
13,088828 68 13,985 − 1,760 9,870
8,714
6,890 2,438 521 20
31,946 88
2,373 310 6,086 347 しろさんかく 2
しろさんかく 7
9,108 41,143 14しかく連結の範囲
(平成16年3月31日現在) 連結財務諸表
しかく連結キャッシュ・フロー計算書の要旨
4,596
1,023
2,764
しろさんかく 310 しろさんかく 2,444
しろさんかく 2,667 288
しろさんかく 2,228
1,643
しろさんかく 1,814 518 しろさんかく 1,375
しろさんかく 697
しろさんかく 240
しろさんかく 260 しろさんかく 76 531 − 454
(単位:億円) (単位:億円) しかく連結剰余金計算書の要旨 310 310 5,190 643 643 263 260
5,569
九州通信ネットワーク
(株) (株)
キューデン・インターナショナル
大分エル・エヌ・ジー
(株) 西日本環境エネルギー
(株) 北九州エル・エヌ・ジー
(株) (株)
キャピタル・キューデン
(株)
電気ビル
ニシム電子工業
(株) (株)
キューキ
西日本プラント工業
(株) 九電産業
(株) 九電情報サービス
(株) 森林都市
(株) 西日本技術開発
(株)

ほか 5 社 戸畑共同火力
(株) (株)
九電工
大分共同火力
(株) (株)
キューヘン
九州高圧コンクリート工業
(株) 誠新産業
(株) (株)
九建
西技工業
(株)

ほか16社 (注) 1
. 当期より連結子会社6社及び持分法適用会社18社の計24社を
新たに連結決算の対象と
しており
ます。 2
. 九電情報サービス
(株)
は,会社分割により,平成16年4月1日をもってニシム電子工業
(株)
から情報システム事業を承継し,同日
付で社名を九電ビジネスソリューションズ
(株)
に変更いたしま
した。 持 分 法 適 用 会 社 24 社 連 結 子 会 社 19 社
営業活動によるキャッシュ・フロー
税 金 等 調 整 前 当 期 純 利 益
減 価 償 却 費
法 人 税 等 の 支 払 額 投資活動によるキャッシュ・フロー
固 定 資 産 の 取 得 に よ る 支 出
投 融 資 の 回 収 に よ る 収 入 財務活動によるキャッシュ・フロー
社 債 の 発 行 に よ る 収 入
社 債 の 償 還 に よ る 支 出
長 期 借 入 れ に よ る 収 入
長 期 借 入 金 の 返 済 に よ る 支 出
短 期 借 入 金 の 純 増 減 額
コマーシャル・ペーパーの純増減額
配 当 金 の 支 払 額 現 金 及 び 現 金 同 等 物 の 増 減 額
現 金 及 び 現 金 同 等 物 の 期 首 残 高
新規連結に伴う現金及び現金同等物の増加額
現 金 及 び 現 金 同 等 物 の 期 末 残 高 科 目
(資本剰余金の部)
資 本 剰 余 金 期 首 残 高
資 本 剰 余 金 期 末 残 高 (利益剰余金の部)
利 益 剰 余 金 期 首 残 高
利 益 剰 余 金 増 加 高
当 期 純 利 益
利 益 剰 余 金 減 少 高
配 当 金
利 益 剰 余 金 期 末 残 高
科 目
前期
平成14年4月 1日から
平成15年3月31日まで ( ) ( )
3,868
1,124
2,607
しろさんかく 610 しろさんかく 1,998
しろさんかく 2,118 104
しろさんかく 1,981
1,443
しろさんかく 3,012 707 しろさんかく 1,433
300
250
しろさんかく 236 しろさんかく 112 454 33 375 310 310
5,569 776 727 259 236
6,086
当期
平成15年4月 1日から
平成16年3月31日まで
当期
平成15年4月 1日から
平成16年3月31日まで ( ) 前期
平成14年4月 1日から
平成15年3月31日まで ( )
H15年 4月
経営効率化
目標の見直し
H15年 7月
組 織 改 正
経営効率化の推進
当期
【平成15年4月〜平成16年3月】の 当社の主な活動・取り組みをご紹介します。 競争力強化のため,
平成14〜18年度の
5年間を対象に策定した
「経営効率化目標」
における設備投資並びに修繕費の効率
化目標を引き上げ。 本店組織の一部改正。 情報通信事業における事業戦略策定・調整機能
やグループ各社への管理・支援機能の強化を目
的に
「情報通信事業部」
を設置。 情報通信に関する業務全般を一元的かつ効率
的に統括・管理するため,
情報システム部と電
子通信部並びに新設した情報通信事業部を統
括する組織体として
「情報通信本部」
を設置。 H15年 7月
H15年 8月
H16年 3月
グループ全体での収益力強化
台湾,
ベトナム,
フィリピンの水力発電
所建設プロジェクトの実行可能性調査
(F/S)
を受託。 ベトナム・フーミー3号IPPプロジェ
クトの営業運転開始。 H15年 6月
ニシム電子工業(株)(注記)が,各種設備の遠
隔監視を希望されるお客さまを対象に,
インターネットや携帯電話を用いて,簡単にご利用いただける遠隔監視サービ
スを開始。 北九州エル・エヌ・ジー(株)(注記)が,国内初
の内航船によるLNG販売事業を開始。 H15年 6月
苓北発電所2号機
(出力70万kW)
営業運
転開始。 H15年 6月
小丸川幹線建設工事着工。 需給関係
情報通信事業
H15年
12月
メキシコ・トゥクスパン5号発電プロジ
ェクトを落札。 総合
エネルギー
事業
国内初の内航LNG船
「第一新珠
(しんじゅ)
丸」 冷却ファン
蒸気タービン
蒸気発生器
発電機
H16年 2月
八丁原バイナリー発電施設
(定格出
力2,000kW)
の実証試験を開始。 H15年10月
川内原子力発電所における環境調
査を開始。 八丁原バイナリー発電施設 15 交流協定調印式
環境・
リサイクル
事業
H15年
12月
その他
H15年 4月
台湾電力公司と交流協定締結。 H15年 8月
タイ地方電力公司と
交流協定締結。 H15年
10月
シンガポール国営発電会社トゥアスパワ
ー社と交流協定締結。 (注)
(注記)は当社グループの会社
ソルトフロンティア(株)は,
4月1日付で(株)苓北そるとへ社名変更
H15年 7月
サハリンIIプロジェクトのLNG購入に
関する基本合意書を締結。 生活サービス
事業
H15年
10月
ソルトフロンティア(株)(注記)が,自然海塩の
販売を開始。 H16年 2月
(株)キューデン・グッドライフ鹿児島(注記)(介護付シニアマンション事業会社)
を設立。 ボ ラ ン テ ィ ア 活 動 へ の 取 り 組 み
坪井川清掃活動
当社は,社会から信頼され認められる企業を
目指し,社員が積極的にボランティア活動に取り
組める環境づくりや支援を行い,九州各地で様々
なボランティア活動を展開しています。
平成15年10月
25日熊本支店・熊
本西営業所・熊本
東営業所では,坪
井川の清掃活動を
実施しました。平
成7年から始まっ
たこの活動は,熊本城下の坪井川沿いに隣接する企業
が中心となり,地元の方々にも参加を呼びかけ実施し
ており,市民の皆さまからも好評を得ております。
再生蛍光ランプ
(株)ジェイ・リライツ(注記) が,ガラスと蛍光体を
再利用した蛍光ラン
プの製造実証試験の
成功を発表。 施設訪問活動
平成15年12月
23日折尾営業所で
は,お正月を施設
で迎えられるお年
寄りへのささやか
なプレゼントとし
て,職員の方々と
一緒に餅つきを行
いました。この活
動は平成7年から継続しております。 16
当社は,
すべての事業活動において,
環境保全意識の重要性を認識し, 豊かな環境の実現を目指す
「環境経営」
を推進しており, 昨年公表された
「日本経済新聞社第7回
『企業の環境経営度』
調査」の 業種別ランキング
「電力・ガス」
部門では,
17社中第1位の評価を受けています。 今回は,
「環境コミュニケーション」
の取り組みについて紹介します。 エコ・マザー を通した環境コミュニケーションの展開
具体的な活動内容
環境紙芝居の内容
現代の環境問題は,
産業活動や各家庭における日常生活な
どあらゆる人間の社会活動に起因しており,
特に日常生活か
らの温室効果ガス排出量や一般廃棄物などの環境負荷は増大
傾向にあります。 これらの環境問題の解決には,
行政・企業・NGO・個人の各
主体が連携した取り組みが求められています。
当社は,
環境問
題を身近に感じ,
かつ,
ご家庭における環境教育の担い手であ
るお母さま方との環境コミュニケーションを充実させること
によって,
地域社会全体の環境保全に寄与することとし,
2003年度から,
皆さま方と当社のパイプ役となる エコ・マザー
を通した環境活動に取り組んでいます。
エコ・マザー が,
各地の保育園・幼稚園・子ども会などお子
さまや保護者の方々がお集まりいただける場を訪問し,
当社
作成の環境紙芝居の読み聞かせ等を行い,
環境問題への
「気づき」
となる環境情報をお伝えす
るとともに,
当社環境活動
へのご意見・ご要望をお伺
いしています。 また,
ご参加いただいた
方には,
ご家庭でお子さま
とご一緒に
「環境」
について
お話ししていただけるように,
ご家族で取り組むことのでき
る省エネ活動なども掲載した,
紙芝居と同内容のミニ絵本を
お配りしています。
幼い兄妹のふたりが,森の大木 や 雲 ,清流 など
「自然
の仲間たち」
から,
地球温暖化や
河川の汚染などの環境問題で困
っていることを聞かされ,
「環境
を守るために自分たちにもでき
ること」
を考え,
行動へのきっか
けとする物語になっています。 当社は,
社内外の環境保全意識の高揚を図るため,
「九州電力環
境活動シンボルマーク」
を制定しました。 このマークは,
九電グループが取り組む4つの事業領域(注記)を「四
つ葉のクローバー」
としてデザインしたものです。 クローバーの茎は,
Energy,
Ecologyなどの「e」
を意味し,
当社が九電グループ全体の
事業活動を通じて,
環境活動を推進していく
姿勢などを表現しています。 今後,
環境活動の展開にあたって,
このマ
ークを活用してまいります。 (注記)総合エネルギー事業,
情報通信事業,
環境・リサイクル事業, 生活サービス事業 読み聞かせの様子
保育園での活動の様子 1717 18ここ数年,
「棚田」の存在があらためて注目されている。山の
多い島国の日本人が,昔から知恵を絞り,汗を流してきた山の
開墾。急斜面を刻むように小さな田んぼを重ね重ねて,手塩に
かけて米を育ててきた。
近年,棚田の持つ別の役割がクローズアップされている。山
の保水力を高め,山崩れの危険も防ぐという「治山治水」や
「景観保全」の観点からである。
平成7年からは全国規模の「棚田サミット」が各地で開催され,『日本の棚田百選』も選定された。そして平成12年,ここ
星野村と隣の浮羽町との合同で開催された第6回棚田サミット。
全国から星野村を訪れた参加者たちは,その棚田の,比類ない
美しさに目を奪われたという。
山裾
す そ
から頂上にかけて,まるで波のうねりのようになだらか
なカーブが描かれる。その間の石積みの精巧さ。それは人が生
み出した美しい絵画である。
天を目指す棚田の階段は
村人と山の
共生 のあかし
山のふもとから頂にかけて,
一枚一枚丁寧に耕される棚田
にじゅうまる福岡県 星野村
にじゅうまる福岡県 星野村
大分県との県境,
福岡県の星野村は,
その名の通り澄んだ夜空に
満天の星がきらめく山あいの村だ。
山の空気と清水で育つ
「玉露」
は,
全国でも指折りの品質を誇る。
また,
四方を囲む山々には,
先祖代々培われてきた
「棚田」が 美しく精巧に刻まれて,
人々を静かに見守っている。
星野村
星野村役場
古陶星野焼
展示館
茶の文化館
星の文化館 575252池の山キャンプ場
広内ロードパーク
石積の棚田
星野川
博多駅
羽犬塚駅
福岡IC
筑紫野IC
朝倉IC
大分自動車道
九州自動車道
福岡県
佐賀県
杷木IC
日田IC
久留米
久留米IC
久留米IC
鳥栖
鳥栖JCTJCT鳥栖JCT
浮羽駅
浮羽駅
浮羽駅
星野村
星野村の田のほとんどは棚田である。
しかもその形は独特だ。
一枚一枚の幅は狭いが,横に長く広がっている。つまり,他の
地域に比べて山の傾斜があまりに急なため,
「狭く細長い」田
んぼにならざるを得ないのだ。
それゆえに,労働は過酷である。山の上り
下りに加えて,田植えの前には平地の田であ
れば必要のない,下の田に水が流れ落ちない
ための「畦
あ ぜ
」の盛り土作りが必要だ。また,
水が不足していないかどうかを確かめるた
め,朝晩の見回りも欠かせない。
「それでも,先祖代々受け継いできたこの棚田が,私たちの
暮らしそのものなんですよ」と,村の観光アドバイザーも務め
る田中久信さんは言う。
「積んである石の一つ一つに,父や祖父や曽祖父,そして村
の人たちの思いがこもっていますからね。何よりも,棚田で作
って天日干しした米は本当においしい」
石垣をよく見ると,積まれた石の大きさや形によって時代を
知ることもできるという。田中さんたちは仕事の合間に,そん
な棚田との暮らしのあり方を観光客に伝えている。
しかし,農業者の高齢化や後継ぎの不足などで,棚田の存続
が危機に瀕
ひ ん
していることも事実である。実際に,村でも一,二
を争う景観の「広内・上原」地区でも,今年に入り米作りがで
きない棚田が出てきた。
そこで結成されたのが「棚田守り隊」
。村が音頭を取り,米
作りを手伝ってくれる人を募集したのだ。応募者はすぐに集ま
った。福岡市や久留米市,遠くは大阪からも。皆,この星野村
を訪れて,棚田の美しさやその必要性を実感した人たちだ。早
速この夏から,田植えや草刈り,そして秋の稲刈りなどに通っ
てくることになっている。
棚田に植えられるのは,米だけではない。例えば春から初夏
にかけて星野村を訪れた人は,山の斜面を鮮やかに彩るピンク
や朱や白の花の群れに圧倒されるだろう。米作から転用した棚
田の「花木」栽培で,ツツジやサツキ,アシビ,ドウダンなど
の苗木が一面に広がるのである。
苗木といっても花は満開。出荷前にはこうして人々の目を楽
しませてくれる。周囲の緑とのコントラストも鮮やかだ。星野
村のツツジ・サツキは,朝夕の気温差が大きいため,花の色が
濃く出ると評判で,関東辺り
からの引き合いも多いらし
い。
星野村名産の「茶」に転作
する棚田もある。標高130〜
1,004mに位置する星野村で
中央の大きな岩は,
天保8年の記述がある
「棚田発願碑」
澄んだ空気と水の恵み,
そして美しい星の里に暮らす人々
花の苗木が植えられた棚田は華やかで,目を
楽しませてくれる19 20
は,朝夕の気温差から,村の中央を
流れる星野川には深い川霧が立ち上
る。こうした自然の恵みを受け,星野村では古くから茶の栽培
が盛んであり,中でも甘みと香りの高い玉露の産地として知ら
れる。毎年のように
「日本一」
の玉露が生まれ,全国の茶人か
らも愛されてきた。最近では江戸千家の宗匠が自ら抹茶を求め
て訪ねて来られたこともある。
強い日光を避けるため,藁
わ ら
をかぶせて丁寧に育てられる玉露
の畑。藁もまた,棚田米を天日に掛け干しして,脱穀した後の
見事な活用なのである。
村にある「古陶星野焼展示館」を訪ねてみた。星野村では,
江戸時代に久留米藩の御用窯として茶器や茶壷
つ ぼ
,水差しなどが
作陶されていた。明治中期にはいったん途絶えたが,昭和44年
に再興され,今では3つの窯が開かれている。
自然光を生かした館内には,年代を経た渋い釉
ゆ う
薬の茶器や壷
が並んでいる。まさにこの村は,村で育てた茶と村で焼いた茶
道具で茶道を楽しむことができる,全国でも珍しい「茶の村」
なのである。
そんな茶とのゆかりを記念して,平成6年,村の高台に建て
られたのが「茶の文化館」である。星野村を始めとした日本の
茶の歴史や茶道の様式が展示されているほか,ここ独特の「し
ずく茶」を味わうこともできる。茶葉を直接湯飲みに入れ,湯
を注いで蒸らして飲むものだ。風味と色がにじみ出るのをゆっ
くり待って,ずらしたふたのすき間からしたたる 緑の雫
しずくをいただくと,まろやかな初夏の香りが口中に広がっていく。
石臼
う す
で抹茶を作る体験もでき,自分で碾ひいた抹茶を持ち帰っ
て,お茶を点たてるのもまた一興。二階の茶室では,年に数回,
誰でも参加できる茶会も催されている。
星野村探訪の最後は,村の名にもかかわる「星の文化館」に
行ってみよう。標高400mにあるここの天体望遠鏡は九州最大
級,昼でも太陽の黒点やプロミネンスが観測できるし,夜は降
るような星の群れに酔うことができる。4月には新しい設備
「プレアデス」も増えた。フルカラーのデジタルプラネタリウ
ムで,いすに座りながらひととき美しい星空を周遊したい。
星の文化館の窓からは,星野川の谷を挟んだ対岸の山肌がく
っきり見える。そこにもまた無数の棚田を見ることができる。
小さく見える
人影は,棚田
の草取りだろ
うか。それと
も石垣の修復
だろうか。
にじゅうまる福岡県 星野村
藁屋根をかぶせ,日光をさえぎって
育てられる玉露の茶畑
同じく「茶の文化館」で
体験できる石臼碾き
この春お目見えした最新式
プラネタリウム「プレアデス」
口径65cm天体望遠鏡で
宇宙のロマンを観測
星野村ならではの「しずく茶」。「茶の文化館」で味わえる 選者 《川柳・俳句》 福岡川柳作家協会 会長 鷹野 青鳥 《短歌》 福岡県歌人会 会長 山埜井 喜美枝 「マイナスにマイナスを掛けるとプラスになるのは数学に限らない」言葉の散歩道で拾った気に入りの言葉です。共に80句をこえる嬉しい悲鳴で厳選になりましたが、生活の中に「次のテーマ」が持てるなんて、素晴らしいではありませんか。 選評 鷹野 青鳥
たくさんのご応募,
ありがとうございました。
月明かりの中で撮影しました。
青みがかった雰囲気のある,
天文台の写真
となりました。 【月夜の天文台】
福岡県 坂本建志
下のあて先に,
作品
(応募分野明記)と,住所・氏名・電話番号,
「らこんて」
について
のご意見・ご感想をお書きになってお送りください。 応募方法
しかくお送り先
〒810‐8720 福岡市中央区渡辺通二丁目1番82号
九州電力株式会社 総務部 会社法務グループ「らこんて倶楽部」係 しかく9月末日必着 しかく作品を掲載させていただいた方に記念品を進呈いたします。
しかくご応募いただいたハガキ等は,
ご返却いたしません。
次号のテーマ 道 川柳,
俳句,
短歌,
写真,
ハガキ絵など,
このテーマに沿っ
た作品なら何でも結構です。
ふるってご応募ください。その際,
ご応募分野
(川柳,
俳句ほか)
を明記してください。 Vol.16の
テーマ 「星」 【川 柳】 【俳 句】 埼玉県 山口藤一 福岡県 鬼塚久史 【短 歌】 長崎県 伊藤治幸 福岡県 真次はじめ 栃木県 内田芳男 和歌山県 島あい子 福岡県 新原芳幸 愛知県 尾畑古留人 大阪府 八十田正代 徳島県 高田晴彦 愛知県 永井忠彦 宮崎県 福島ミチ子 福岡県 志村美子 大分県 二階堂東子 宮崎県 樋脇辰志 静岡県 池川和子 愛知県 森健次 21
しかく株式の状況
(平成16年3月31日現在) (注)
九栄会は,当社の従業員持株会です。 会社が発行する株式の総数
発行済株式総数
株主総数
10億株
4億7,418万3,951株
19万9,916名
(前期末比較3,874名減) くろまる大株主
くろまる株式分布
(所有者別) くろまる株主分布
(地域別)
明治安田生命保険相互会社
日本マスタートラスト信託銀行株式会社
(信託口)
日本トラステイ・サービス信託銀行株式会社
(信託口)
日本生命保険相互会社
株式会社みずほコーポレート銀行
株式会社三井住友銀行
みずほ信託退職給付信託福岡銀行口再信託受託者
資産管理サービス信託
株式会社みずほ銀行
九栄会
第一生命保険相互会社
25,323
23,289
19,746
18,481
10,419
10,169
8,637
8,547
7,490
6,633
5.34
4.91
4.16
3.90
2.20
2.14
1.82
1.80
1.58 1.40氏名又は名称 所有株式数
(千株) 発行済株式総数に対する
所有株式数の割合(%)
政府・地方公共団体 0.9% 外国人
8.0% しかく株主メモ
くろまる郵送物送付先・電話お問い合わせ先
中央三井信託銀行株式会社証券代行部
(証券代行事務センター) 〒168‐0063 東京都杉並区和泉二丁目8番4号
(03)3323‐7111
フリーダイヤル 0 1 2 0 ‐ 8 7 ‐ 2 0 3 1
インターネット/ホームページアドレス http:
//www.chuomitsui.co.jp/person/p̲06.html 決 算 期
定 時 株 主 総 会
基 準 日
公 告 掲 載 新 聞 名義書換代理人 同 取 次 所
3月31日
6月
定時株主総会・利益配当金 3月31日
中間配当金 9月30日
(その他必要あるときはあらかじめ公告します。) 福岡市において発行する西日本新聞
なお,当年度から,決算公告に代えて,貸借対照表及び損益計
算書を当社ホームページに掲載しております。 にじゅうまるホームページアドレス
http://www.kyuden.co.jp/ir/index.php
東京都港区芝三丁目33番1号
中央三井信託銀行株式会社 中央三井信託銀行株式会社全国各支店
日本証券代行株式会社本店及び全国各支店
当社本店
名義書換代理人への株式お取次ぎにつきましては,これまで
上記取次所のほかに当社支店,東京支社及び営業所でもお取
扱いいたしておりましたが,本年7月から営業所でのお取次
ぎ業務を支店に移管させていただくことにいたしました。何とぞご了承くださいますようお願い申しあげます。 株式のお手続き用紙は下記のフリーダイヤル又はホーム
ページでも24時間ご請求を受け付けています。 金融機関
47.0% 個人・その他
36.4%
証券会社1.1% その他国内法人6.6% 当社営業所における株式お取次ぎ業務終了のお知らせ
九州
47.2% 関東
21.8% 近畿13.7% 四国2.1% 中国4.0%
中部9.9% 外国0.2% 北海道0.4%
東北0.7% 22 らこんて VOL.16 2004年6月発行 〒810‐8720 福岡市中央区渡辺通二丁目1番82号 TEL 092‐761‐3031
(代表) 当社のホームページアドレス http://www.kyuden.co.jp/
役員
主要事業所 設 立 年 月 日
資 本 の 額
従 業 員 数
水 力 発 電 所
汽 力 発 電 所 原子力発電所
内燃力発電所
風 力 発 電 所
昭和26年5月1日 2,373億486万3,
699円 13,660名
最大出力 2,371,096kW
最大出力 11,858,250kW 最大出力 5,258,000kW
最大出力 398,794kW
最大出力 3,
250kW
合 計 19,889,390kW
(地熱・排熱を含む) (ガスタービンを含む) 138か所
16か所 2か所
39か所
2か所
(平成16年3月31日現在) 本 店
北九州支店
福 岡 支 店
佐 賀 支 店
長 崎 支 店
大 分 支 店
熊 本 支 店
宮 崎 支 店
鹿児島支店
東 京 支 社 福岡市中央区渡辺通二丁目1番82号
北九州市小倉北区米町二丁目3番1号
福岡市中央区渡辺通二丁目1番82号
佐賀市神野東二丁目3番6号
長 崎 市 城 山 町 3 番 1 9 号
大分市金池町二丁目3番4号
熊本市上水前寺一丁目6番36号
宮崎市橘通西四丁目2番23号
鹿児島市与次郎二丁目6番16号
東京都千代田区有楽町一丁目7番1号
(092)
761‐3031
(093)
531‐1180
(092)
761‐6381
(0952)
33‐1123
(095)
864‐1810
(097)
536‐4130
(096)
386‐2200
(0985)
24‐2140
(099)
253‐1120 (03)3281‐4931
会社概要
代 表 取 締 役 会 長
代 表 取 締 役 社 長
代表取締役副社長
代表取締役副社長
代表取締役副社長
代表取締役副社長
常 務 取 締 役
常 務 取 締 役
常 務 取 締 役
常 務 取 締 役
常 務 取 締 役
常 務 取 締 役
常 務 取 締 役
常 務 取 締 役
常 務 取 締 役
常 務 取 締 役
取 締 役 常 任 監 査 役
監 査 役
監 査 役
監 査 役
監 査 役
監 査 役
常務執行役員
常務執行役員
常務執行役員
常務執行役員
執 行 役 員
執 行 役 員
執 行 役 員
執 行 役 員
執 行 役 員
執 行 役 員
執 行 役 員
執 行 役 員
執 行 役 員
執 行 役 員
執 行 役 員
執 行 役 員
執 行 役 員
執 行 役 員
執 行 役 員 しかく執行役員
しかく取締役及び監査役 (平成16年6月29日現在) (平成16年7月1日付) 鎌 田 迪 貞
松 尾 新 吾
塚 日出美
奥 井 洋 輝
松 本 茂 彦
藤 光 昭
村 毅
松 下 清 彦
橋 田 紘 一
田 中 征 夫
石 井 拓
樋 口 啓
平 塚 一
武 田 守 正
一ノ瀬 秋 久
小田原 智 一
水 口 敬 司 上 田 憲 幸
三小田 元
惣福脇 亨
西 村 喜代子
中 里 公 哉
石 村 善 悟
村 毅
松 下 清 彦
樋 口 啓
平 塚 一
蔵 野 八 郎
横 江 信 義
清 田 均
樋 口 勝
上 守
片 山 修 造
貫 正 義
眞 部 利 應
日名子 通
谷 口 碩
古 澤 夫
深 堀 慶 憲
池 松 勢三郎
牛 島 健 五
小 山 一 民

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