サステナブル調達ガイドライン
2022年12月
九州電力株式会社
九州電力送配電株式会社
はじめに
近年、国内外において、気候変動に起因する自然災害の甚大化や人権侵害など社会・経済・環
境面での社会的課題が深刻化しつつあります。
こうした中、国連で採択されたSDGsをはじめとする「持続可能な社会の実現」に向けた取
組みへの社会的な関心・期待が高まっており、資材調達の分野においても、サプライチェーン全
体で企業の社会的責任を果たし、持続可能な社会の実現に取り組んでいくことが重要と考えてお
ります。
そのためには、お取引先の皆さまに、当社の調達に対する基本的な考え方である「資材調達基
本方針」をご理解いただき、同方針に基づく調達活動にご協力いただくことが必要不可欠です。
今回、そうした取組みの推進に向けて、お取引先の皆さまに遵守・ご協力いただきたい事項と
して公表しております「お取引先さまへのお願い」を改訂し内容を明確化したうえで、「資材調
達基本方針」と「お取引先さまへのお願い」を取り纏めた「サステナブル調達ガイドライン」を
制定しました。
お取引先の皆さまにおかれましては、本ガイドラインの内容をご確認いただくとともに、サプ
ライチェーンにおける関係者さま(仕入先、下請先、再委託先など)にもご周知いただき、本ガ
イドラインの遵守にご協力いただきますようお願いいたします。
なお、本ガイドラインの各事項につきまして、お取引先の皆さまの取組み状況を確認させてい
ただくため、アンケートや意見交換などをお願いする場合がございますので、ご理解・ご協力の
程、よろしくお願いいたします。
目 次
〇 資材調達基本方針 ・・・・・・・・・・・・・ P1
〇 お取引先さまへのお願い ・・・・・・・・・・・・・ P2
1 法令・社会規範の遵守 ・・・・・・・・・・・・・ P2
2 契約の遵守・誠実な履行 ・・・・・・・・・・・・・ P2
3 調達コスト低減、安定した納入 ・・・・・・・・・・・・・ P2
4 人権・労働 ・・・・・・・・・・・・・ P2
(1)強制労働の禁止
(2)児童労働の禁止
(3)労働時間への配慮
(4)適切な賃金と手当
(5)非人道的扱いの禁止
(6)差別の禁止
(7)結社の自由、団体交渉権
5 安全衛生 ・・・・・・・・・・・・・ P3
(1)労働安全
(2)緊急時の備え
(3)労働災害・労働疾病
(4)産業衛生
(5)身体的負荷のかかる作業への配慮
(6)機械装置の安全対策
(7)施設の安全衛生
(8)安全衛生のコミュニケーション
(9)労働者の健康管理
6 環境・生物多様性保全 ・・・・・・・・・・・・・ P4
(1)環境許可と報告
(2)エネルギー消費及び温室効果ガスの排出削減
(3)大気への排出
(4)水の管理
(5)資源の有効活用と廃棄物管理
(6)有害物質の管理
(7)製品含有化学物質の管理
(8)カーボンニュートラル、グリーン調達
7 公正公平な取引・倫理 ・・・・・・・・・・・・・ P5
(1)腐敗防止
(2)反社会的勢力との関係遮断
(3)不適切な利益供与及び受領の禁止
(4)適切な情報開示
(5)知的財産の尊重
(6)公正なビジネスの遂行
(7)通報者の保護
(8)責任ある鉱物調達
8 品質・安全性 ・・・・・・・・・・・・・ P5
(1)製品の安全性の確保
(2)品質管理
(3)正確な製品・サービス情報の提供
(4)アフターサービス
9 情報セキュリティ ・・・・・・・・・・・・・ P6
(1)サイバー攻撃に対する防御
(2)個人情報の保護・機密情報漏洩の防止
10 事業継続計画 ・・・・・・・・・・・・・ P6
11 管理体制の構築 ・・・・・・・・・・・・・ P6
(1)マネジメントシステムの構築
(2)サプライチェーンの管理
(3)適切な輸出入管理
(4)苦情処理メカニズムの整備
(5)取組み状況の開示
12 良好なコミュニケーションの推進 ・・・・・・・・・・・・・ P6
当社が、エネルギーを中核に「お客さま」にとって価値のある商品・サービスを安全かつ確
実にお届けするためには、お取引先の御協力を得て、良質な資材を経済的に調達することが必
要です。
当社は、調達に関わるサプライチェーン(原材料調達から製造、輸送、保守・運用、廃棄ま
での一連の流れ)において、企業の社会的責任を果たすことが重要であると認識し、お取引先
との対等なパートナーシップを基盤に、「お客さま満足の創造」、「持続的な企業価値の向
上」、「社会の持続的な発展」に貢献して行きたいと考えております。
そのため、当社資材調達部門では「九電グループ企業行動規範」のもと、次の基本方針に基
づき調達活動を行い、サステナビリティ経営を推進してまいります。
1 オープンな調達
当社は、広く国内外の企業から、当社の事業運営上のニーズに合致し、品質・価格・納入面
に優れた資材を調達します。
2 公平・公正な対応
当社は、品質・技術力・価格・経営的及び社会的信頼性・納入の安定と納期の確実性・アフ
ターサービス・既設設備との整合性・環境配慮・継続的改善への取組みなどを総合的に勘案し
た合理的かつ公平な評価に基づき、公正にお取引先を選定するなど調達活動全般に亘り、お取
引先に対し公正な対応を行います。
3 法令・社会規範の遵守
当社は、調達活動全般において、人権の尊重はもとより、国内外を問わず法令とその精神、
社会規範を遵守します。また、お取引先にもこれらの遵守を求めます。
4 反社会的勢力との関係遮断
当社は、調達活動全般において、市民生活の秩序や安全に脅威を与える反社会的勢力との一
切の関係を遮断します。また、お取引先にも同様の関係遮断を求めます。
5 環境への配慮
当社は、環境の保全や資源の有効活用に配慮した調達活動を行います。
その取組みとして、お取引先と協働し、サプライチェーンにおけるカーボンニュートラル実
現に向けた取組みや、環境に配慮した製品等を調達する「グリーン調達」を推進します。
6 安全の確保
当社は、公衆安全や作業従事者の安全を最優先する立場から、お取引先に対して適切な安全
衛生管理を求め、協力して安全の確保、災害の防止に取り組みます。
7 情報セキュリティの徹底と個人情報の保護
当社は、お取引先とともに、取引によって知り得たお互いの機密情報、及び個人情報を適切
に管理、保護します。
8 契約の遵守と誠実な履行
当社は、取引に関してとりかわした契約を遵守し、契約上の義務を誠実に履行するとともに、
お取引先にも契約の遵守とその誠実な履行を求めます。
9 コミュニケーションの推進と相互信頼の構築
当社は、透明性の高い調達活動を行い、お取引先との良好なコミュニケーションと節度ある
健全な関係を推進することにより、相互信頼を築きあげます。
10 価値の創造
当社は、お取引先を価値創造のパートナーと位置付けており、新たな価値創造に積極的に取
り組まれている企業を尊重します。
そうしたお取引先とともに、最適な品質や価格を追求し、相互の発展を目指します。
11 地域・社会への貢献
当社は、調達活動においても、お取引先とともに「良き企業市民」として地域・社会の課題
解決に貢献したいと考えております。
〇 資材調達基本方針1 〇 お取引先さまへのお願い
1 法令・社会規範の遵守
国内外の関連法令とその精神、及び社会規範を遵守すること。
2 契約の遵守・誠実な履行
当社との契約を遵守し、誠実に履行すること。
3 調達コスト低減、安定した納入
協働活動やVE提案など調達コスト低減に資する活動及び安定した納入・施工体制の確立へのご協
力をお願いします。
4 人権・労働
(1)強制労働の禁止
強制労働、拘束労働(債務による拘束も含む)、非人道的な囚人労働、奴隷制または人身売
買によって得られた労働力を用いないこと。また、労働者の離職や雇用を自ら終了する権利を
守ること。
(2)児童労働の禁止
最低就業年齢(法規制上定められている、雇用または就業の最低年齢)に満たない児童を労
働させないこと。また、18歳未満の若年労働者を健康や安全が損なわれる可能性がある危険業
務に従事させないこと。
(3)労働時間への配慮
労働者の働く地域の法規制上定められている限度を超えて労働させないこと。また、労働者
の労働時間・休日を適切に管理すること。
(4)適切な賃金と手当
労働者に支払われる報酬(最低賃金、時間外手当、及び法的に義務付けられた手当や賃金控
除を含む)に適用されるすべての法規制を遵守すること。
(5)非人道的扱いの禁止
労働者に対し、精神的・肉体的な虐待、強制、ハラスメントなどの非人道的な扱い、及びそ
のような可能性のある行為を行わないこと。
(6)差別の禁止
賃金、昇進、報酬、教育、採用や雇用慣行において、人種、肌の色、年齢、性別、性自認、
国籍、障害の有無、妊娠、宗教、政治的見解などによる差別につながる可能性のある行為をし
ないこと。
(7)結社の自由、団体交渉権
労働環境や賃金水準などの労使間協議を実現する手段としての労働者の団結権を尊重するこ
と。2 5 安全衛生
(1)労働安全
職務上の安全衛生上のリスクを特定・評価し、適切な設計や技術・管理手段(安全を最優先
した作業手順・環境の確保を含む)をもって労働者及び公衆安全の確保に努めること。また、
妊娠中の女性及び授乳期間中の母親に対しては、合理的な配慮を行うこと。
(2)緊急時の備え
労働者の人命・安全を損なう災害・事故などの緊急事態に備え、労働者及び資産の被害が最
小限となる緊急対策時の行動手順の作成、必要な設備などの設置、災害時にその行動がとれる
ように教育・訓練を行うこと。
(3)労働災害・労働疾病
労働災害及び労働疾病が発生した場合、その状況を特定・評価・記録・報告し、適切な対策
及び是正措置を講じること。
(4)産業衛生
職場において、有害な生物的・化学的・物理的な影響に労働者が曝露するリスクを特定・評
価し、適切な管理を行うこと。
(5)身体的負荷のかかる作業への配慮
身体的に負荷がかかる作業を特定・評価し、労働災害・労働疾病につながらないよう適切な
管理を行うこと。
(6)機械装置の安全対策
労働者が業務上使用する機械装置について安全上のリスクがないか評価し、適切な安全対策
を実施すること。
(7)施設の安全衛生
労働者の生活のために提供される施設(寮・食堂・トイレなど)の安全衛生を適切に確保す
ること。
(8)安全衛生のコミュニケーション
労働者が被る可能性のある職務上の危険について、適切な安全衛生情報の教育・訓練を労働
者が理解できる言葉・方法で提供すること。また、労働者から安全に関わる意見をフィード
バックする仕組みを設けること。
(9)労働者の健康管理
すべての従業員に対し、法令に定める健康診断を実施するなど、適切な健康管理を行うこと。3 6 環境・生物多様性保全
(1)環境許可と報告
産業廃棄物処理法、建設リサイクル法など、現地の法規制を遵守すること。また、事業に必要な
許認可・承認を取得し、登録・報告を行うこと。
(2)エネルギー消費及び温室効果ガスの排出削減
事業活動におけるエネルギー効率改善に努め、エネルギー消費量及び温室効果ガス排出量の
継続的削減活動に取り組むこと。
(3)大気への排出
現地の法規制を遵守し、有害な物質の大気への排出を削減するための適切な対策を実施する
こと。
(4)水の管理
現地の法規制を遵守し、使用する水の水源、使用、排出を監視し、節水に努めること。また、
あらゆる廃水について排出・廃棄する前に適切な処理を行うとともに、水汚染を発生させる可
能性がある汚染源を特定し、適切な管理を行うこと。
(5)資源の有効活用と廃棄物管理
事業活動全般において、リデュース(削減)、リユース(再利用)、リサイクル(再資源
化)を推進し、資源の有効活用を図り、廃棄物の発生を最低限に抑えること。また、製品の環
境性能(省エネルギー、リサイクル・長寿命、廃棄物抑制など)の向上に向けた取組みへのご
協力をお願いします。
(6)有害物質の管理
人体や環境に対して危険をもたらす化学物質、廃棄物、及びその他の物質は特定、表示、及
び管理を行い、安全な取り扱い、移動、保存、使用、リサイクルまたはリユース及び廃棄が確
実に実施されるよう管理すること。
(7)製品含有化学物質の管理
製品に含まれる特定の物質の使用禁止または制限に関して適用される、すべての法規制及び
顧客要求を遵守すること。
(8)カーボンニュートラル、グリーン調達
当社が行う、サプライチェーンのカーボンニュートラル実現に向けた取組み及びグリーン調
達へのご協力をお願いします。4 7 公正公平な取引・倫理
(1)腐敗防止
あらゆる種類の贈収賄、腐敗、恐喝、及び横領などの行為を行わないこと。
(2)反社会的勢力との関係遮断
市民生活の秩序や安全に脅威を与える反社会的勢力との関係を遮断すること。
(3)不適切な利益供与及び受領の禁止
賄賂その他の不当または不適切な利益を得る手段としての約束、申し出、許可を提供または
容認しないこと。
(4)適切な情報開示
現地の法規制に従って、適切な情報開示を行うこと。
(5)知的財産の尊重
知的財産権を尊重し、技術やノウハウの移転は、知的財産が保護された形で行うこと。また、
顧客及びサプライヤーなどの第三者の知的財産の保護も行うこと。
(6)公正なビジネスの遂行
公正な競争、下請法などを含む公正な取引に関する法令を遵守し、カルテルなどの競争制限
的合意、不公正な取引方法、不当表示などの違法行為を行わないこと。
(7)通報者の保護
自社及びサプライヤーの従業員を含む関係者からの通報において、通報に係る情報の機密性、
通報者の匿名性を確保し、通報者が不利益な扱いを受けないようにすること。
(8)責任ある鉱物調達
製品に含まれるタンタル、錫、タングステン、及び金などの鉱物が、紛争地域及び高リスク
地域で深刻な人権侵害、環境破壊、汚職、紛争などを引き起こしていないか、またはそれらに
加担していないかの確認に努めること。
8 品質・安全性
(1)製品の安全性の確保
各国の法令などで定める安全基準を満たし、十分な製品安全性を確保できる設計・製造・販
売を行うこと。
(2)品質管理
製品・サービスの品質に関して適用されるすべての法規制を遵守するのみならず、自社の品
質基準及び顧客の要求事項を遵守すること。また、品質・技術力の維持と改善への継続的な取
組みにご協力をお願いします。
(3)正確な製品・サービス情報の提供
製品・サービスに関する、正確で誤解を与えない情報を提供すること。
(4)アフターサービス
メンテナンス、不具合発生時の適切な対応、緊急時の対応力確保と迅速な対応へのご協力を
お願いします。5 9 情報セキュリティ
(1)サイバー攻撃に対する防御
サイバー攻撃などからの脅威に対する防御策を講じて、自社及び関係者に被害が生じないよ
うに努めること。
(2)個人情報の保護・機密情報漏洩の防止
サプライヤー、顧客、消費者、従業員などすべての個人情報及び取引により知り得た経営・
技術情報などについて、関連する法規制を遵守し、適切に管理すること。
10 事業継続計画
事業継続を阻害するリスクを特定・評価し、事業への影響の精査と中長期的に必要な事前対
策、その取組み状況をまとめた事業継続計画を策定するなど、大規模自然災害などが発生した
際のサプライチェーンへの影響を最小限に留めるよう努めること。
11 管理体制の構築
(1)マネジメントシステムの構築
本ガイドラインの各項目を遵守するために、マネジメントシステムの採用または構築に努め
ること。
(2)サプライチェーンの管理
本ガイドラインの要求事項を自社のサプライヤーに伝達し、遵守を求めること。
(3)適切な輸出入管理
現地の法令などで規制される技術や物品の輸出入に関して、明確な管理体制の整備などによ
り、適切な輸出入手続きを行うこと。
(4)苦情処理メカニズムの整備
労働者やサプライヤーなどを含むステークホルダーが利用可能な苦情処理メカニズムを構築
するなど、自社及びサプライチェーンの本ガイドラインへの違反や不正行為の予防に努めるこ
と。
(5)取組み状況の開示
本ガイドラインに関する取組み状況について、必要に応じ、当社への情報開示を行うこと。
12 良好なコミュニケーションの推進
コミュニケーション推進のため、ご意見、ご要望、ご提案のお申し出にご協力をお願いしま
す。
以 上6• 本文中、「当社」と表記している箇所は、九州電力株式会社及び九州電力送配電株式会社
を指します。
• 本ガイドラインは以下の参考文献を基に当社独自の項目を追加し、作成したものです。
-JEITA(一般社団法人電子情報技術産業協会) 責任ある企業行動ガイドライン
https://www.jeita.or.jp/japanese/public/pdf/769-1.pdf
• 本ガイドラインは社会状況の変化や新たな知見などにより必要に応じ改訂します。

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