新型インフルエンザ等対策に関する業務計画
2024年4月
九州電力株式会社
九州電力送配電株式会社 1第1章 総則
1 本業務計画の目的
本業務計画は、
「新型インフルエンザ等対策特別措置法」(平成 24 年法律第 31 号。以
下「特措法」という)第9条の規定により、
「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」
(平成 25 年6月7日。以下「政府行動計画」という)に基づき作成するものであり、病原
性が高い新型インフルエンザや同様に危険性のある新感染症が発生した場合に、安全確
保を最優先として、電力を安定的かつ適切に供給することにより、国民の生命及び健康
を保護し、また、国民生活及び国民経済に及ぼす影響が最小となるようにするため、指
定公共機関として九州電力株式会社(以下、九州電力という)及び九州電力送配電株式
会社(以下、九電送配という)が実施する新型インフルエンザ等対策の内容を定めるもの
である。
2 基本方針
新型インフルエンザ等が発生した場合、従業員等及び電力設備の安全確保を最優先とし
て電力を安定的に供給していくために必要な業務を中断することは許されず、適切な意思
決定に基づき事業を継続することが求められる。
一方、新型インフルエンザ等発生時には、多くの従業員等が本人の罹患や家族の看病
等のため休暇を取得する可能性があり、また、感染者と濃厚接触した従業員等について
も外出自粛を要請され、出勤できなくなることも考えられる。さらに、新型インフルエ
ンザ等の感染拡大時には、業務に必要な資機材やサービスの確保が困難になる可能性が
ある。
このため、従業員等の生命・健康を守りつつ、電力の安定供給をはじめとする事業を
継続するためには、
職場における感染対策を徹底するとともに、
不要不急の業務を縮小・
休止し、真に必要な業務に資源を集中させることを基本として業務計画を策定する。
3 業務計画の運用
新型インフルエンザ等とは、特措法及び政府行動計画に定める以下の感染症を言い、
本業務計画は当該感染症を対象として運用する。
o「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」における、
・第6条第7項に規定する新型インフルエンザ等感染症
・第6条第9項に規定する新感染症で、その感染力の強さから新型インフルエンザ
と同様に社会的影響が大きなもの
また、本業務計画の策定の前提条件は、政府行動計画に記載の以下の新型インフルエ
ンザ等による被害想定に基づく。
・発 症 率 全人口の約25%
・死亡者数 17〜64万人(致命率 0.53〜2%)
・欠 勤 率 最大40%程度(ピーク時の約2週間継続)
(注記) 発症による欠勤は最大5%程度だが、家族の世話、看護の
ため出勤が困難になることなどを想定 2第2章 実施体制等
1 平常時
(1)対策の備え
・新型インフルエンザ等の発生に備え、国内外における新型インフルエンザ等の発生
状況、感染予防・拡大防止のための留意事項・従業員の海外渡航状況等について迅
速かつ適切な情報の収集・周知を行い、感染対策を十分に実施する。
・また、社会機能維持に関わる事業者として、常に継続が必要な業務及び発生段階に
応じて事業の縮小や休止が可能な業務の選定を行い、それぞれに必要な要員の確保
に向けた検討を行う。
・なお、関係する九州電力又は九電送配の本店各本部等は、協力会社等に対して、九
州電力又は九電送配の対応について説明会等を通じ、インフルエンザ等の発生時の
協力体制や業務の縮小・休止に対する対応等について相互理解を図る。
(2)教育・訓練の実施
・九州電力人材活性化本部衛生担当部署は、九州電力及び九電送配(以下、2社とい
う)の従業員に対して新型インフルエンザ等対応に関する知識習得のための勉強会
を実施するなど、意識高揚に努める。
・九州電力危機管理担当部署及び人材活性化本部衛生担当部署は、行政機関等の関係
機関との連携による新型インフルエンザ等対応訓練を適宜行い、既存の対応体制が
有効に機能することを確認する。
・教育・訓練の効果について、実施の都度、評価するとともに、その評価結果に応じ
て内容を改善し、次回の内容に反映する。
(3)業務計画の見直し
・新型インフルエンザ等に関する新しい知見が得られた場合や政府行動計画の変更が
行われた場合など、今後の情勢の変化を踏まえて、本業務計画について、必要があ
ると認めるときは、これを修正する。
(4)感染防護資材の備蓄
・マスク、手袋、消毒用アルコール、ゴーグル等、感染予防、感染拡大防止のための
物品を備蓄する。
2 新型インフルエンザ等発生時
(1)新型インフルエンザ等対策体制の設置基準
新型インフルエンザ等が国内外で発生(国が第一段階(海外発生期)又は第二段階
(国内発生早期)への移行を宣言)した場合は、対策組織を設置し対処する。
(2)対策組織
新型インフルエンザ等に対応する対策組織として、「新型インフルエンザ等対策総
本部」を危機管理規程に準じて別紙1のとおり定めておく。 3(3)対策組織の設置及び解散
1 国内外での新型インフルエンザ等の感染状況等を踏まえ、危機管理規程に準じ
て別紙1のとおり対策組織を設置する。
2 国の対策本部が閉鎖されるなど、新型インフルエンザ等の終息を踏まえ、対策
組織を解散する。
3 対策組織の設置及び解散に関する社内連絡は、対策組織の総括班が行う。
(4)権限の行使
1 対策組織が設置された場合、新型インフルエンザ等の対策に関する一切の業務
は、対策組織のもとで行う。
2 対策組織が設置された場合、対策組織の長は、職制上の権限を行使して活発に
活動を行う。ただし、権限外の事項であっても緊急に実施する必要があるものに
ついては、臨機の措置をとることができる。
なお、権限外の事項については、行使後速やかに所定の手続きをとる。
3 対策組織の長が新型インフルエンザ等の対策活動に従事できない場合の代行者
については、あらかじめ定めておく。
(5)対策総本部の分掌
対策総本部は、次の各号に定める事項について分掌し、必要な措置を講じる権限
を有する。
1 2社のインフルエンザ等感染予防・拡大防止に関する事項
2 2社の事業継続対策に関する事項
(業務の縮小・休止及び組織間の応援者派遣等人員確保策の決定、指示)
3 報道対応全般に関する事項
4 官庁、自治体等との連携に関する事項
5 情報の収集・連絡に関する事項
6 その他必要な事項
(6)指令伝達及び情報連絡の経路
対策組織が設置された場合の指令伝達及び情報連絡の経路は、別紙2のとおりと
する。
(7)従業員等への周知方法の整備
国内外の新型インフルエンザ等の感染状況などに関して、収集した情報について
は、従業員等に迅速かつ適切に周知する方法を整備する。
3 情報収集、関係機関との連携
世界保健機関(WHO)等の国際機関、厚生労働省、外務省等の政府機関や、地方公
共団体、電気事業連合会をはじめとする各種事業者団体、関係企業から、新型インフル
エンザ等に関する情報を入手するなど、平常時から新型インフルエンザ等について正確
な情報を収集するように努めるとともに、必要に応じて、適切に情報交換を行う。
また、新型インフルエンザ等の対策業務の実施にあたっても、必要に応じて連携を図
る。
新型インフルエンザ等の発生時における、電力の安定供給のために継続が必要な業務
の実施に向けて、社内外の関係機関等との協力体制について、必要に応じて情報交換を
行うなど、確認しておく。 4第3章 感染予防・拡大防止対策の検討・実施
従業員等への新型インフルエンザ等感染予防のため、政府の新型インフルエンザ等に
関する情報等を注視しつつ、その流行の度合いに応じ、必要に応じて以下の措置等を講
ずる。
1 新型インフルエンザ等発生前
・国内外における新型インフルエンザの発生状況、感染予防のための留意事項等に
ついての情報を迅速かつ適切に周知する。
・手洗い、うがいの励行を指導する。
・感染予防策や健康状態の自己把握に努めるよう、周知徹底する。
・従業員等の海外渡航に係る情報について可能な限り把握する。
(外務省の渡航情報
発出以降)
・特措法に基づき実施される特定接種の対応について、必要な措置を検討する。
2 新型インフルエンザ等発生後
(1)海外勤務、海外出張する従業員等への感染予防のための措置
新型インフルエンザ等発生後、海外勤務、海外出張する従業員等及びその家族へ
の感染拡大を防止するため、
「海外派遣企業での新型インフルエンザ対策ガイドライ
ン」(平成 21 年 8 月 12 日 一般社団法人日本渡航医学会監修)等を参考としつつ、必要に応じて、以下の措置等を講ずる。
・患者発生国・地域に駐在する従業員等及びその家族に対して、外務省から発出さ
れる渡航情報や、現地の日本国大使館の情報等を踏まえ、現地の従業員等及びそ
の家族並びに事業の状況に応じて、退避の可能性等を含めて検討する。
(外務省の
渡航情報発出以降)
・外務省の海外渡航情報を踏まえつつ、患者発生国・地域に対する海外出張の是非
等を検討する。
(外務省の渡航情報発出以降)
・患者発生国・地域から帰国した従業員等及びその家族は検疫ガイドラインに従う。
新型インフルエンザ等のような症状を呈した場合には、直ちに保健所に連絡し、
都道府県で指定された医療機関で受診するよう指導する。
(2)国内外における発生時の感染予防のための措置
・国内外の新型インフルエンザの発生状況、予防のための留意事項等についての情
報に注視するとともに、その際、パニックを起こさず、正しい情報に基づき、適
切な判断・行動をとるよう指導する。
・外務省の海外渡航情報に基づき、患者発生国・地域への渡航をできるだけ避ける
よう指導する。・「咳(せき)エチケット」を心がけるよう指導する。
・健康状態を今まで以上に留意するよう指導する。
・不要不急の外出を自粛するよう指導する。
・発生地域における大規模集会や興行施設等不特定多数の集まる場所への外出を自
粛するよう指導する。
・発生地域において、マスク、ゴーグル等を配付し、うがい、手洗いの励行を指導
する。 5(3)2社事業所内での感染拡大防止のための措置
新型インフルエンザ等発生後、2社事業所内での感染拡大防止のために、必要に
応じて以下の措置を講ずる。
・国内外における新型インフルエンザ等の感染状況、感染拡大防止のための留意事
項等についての情報を迅速かつ適切に周知する。
・個人での感染防御や健康状態の自己把握に努めるよう、注意喚起を行う。
・38°C以上の発熱、咳、全身倦怠感等のインフルエンザ様の症状があれば出社しな
いように要請する。
・自宅待機を要請する際には衛生スタッフの意見を聞く。
・社員食堂や休憩所等で社員同士が集まらないよう、施設の閉鎖を検討する。
・必要に応じて、次のような感染拡大防止のための業務形態をとる。
(例) ・在宅勤務
・不要不急の会議、会合、研修等の中止又は延期
・対面による会議を避け、電話会議やテレビ会議の活用
・ラッシュ時の通勤及び公共交通機関の利用の回避 6第4章 重要業務の継続
1 新型インフルエンザ等発生時の人員計画に関する基本方針
新型インフルエンザ等の発生時においても、従業員等及び電力設備の安全確保を最優
先に、必要に応じて交代要員や補助要員を確保するなど、電力の安定供給に最大限努力
していくものとする。
なお、具体的な事業運営については、政府等から出される勧告、通知等に留意しつつ
都度適切に判断する。
2 重要業務の選定
(1)業務分類
新型インフルエンザ等発生時において、継続する業務、及び縮小・休止する業務
について、あらかじめ仕分けを行う。なお、検討にあたっては、個々の業務を実施
する際の感染リスクも勘案する。
(2)重要業務の考え方
・九州電力又は九電送配が新型インフルエンザ等の発生時においても、従業員等の
安全確保を最優先に継続して実施する業務(以下、
「重要業務」という)の考え方
は、次のとおりとする。
・新型インフルエンザ等の感染予防・拡大防止対策に関する業務及び政府行動計画
に示されている電力の安定供給の継続に必要な業務を「新型インフルエンザ等対
策業務」(優先業務I)とする。
・上記以外に、電力事業の運営に必要な業務を優先業務IIとする。
・重要業務は九州電力又は九電送配の本店各本部で検討し、必要に応じて適宜見直
しを行うものとする。
業務分類 主な業務内容
継続が
必要な業務
(重要業務)新型インフルエンザ等対策業務(優先業務I)新型インフルエンザ等の感染予防・拡大防止対策に関する業務
上記以外で、電力の安定供給維持や緊急時対応、社会情勢
を考慮し継続が必要な業務
・運転管理業務
・電力の安定供給維持に係る業務
(電力設備の保修・点検、燃料・資機材調達、電力取引)
・緊急時対応(設備所管部門)
・制御系及び事務処理システムの運用保全業務優先業務II電力事業の運営に必要な業務
・会社機能維持のために必要な業務
・法令等を遵守するために必要な業務
縮小・休止が可能な業務 上記以外の業務 7(3)新型インフルエンザ等発生時の人員計画・要員確保の考え方
・経営層、管理職等の欠勤に備えた代行者の決定、周知の方法について検討する。
・対策総本部は、
国等の発表に基づき、
業務の縮小・休止を決定し、
2社に指示する。
・継続が必要な重要業務について、必要な最小の要員により業務を遂行することを
基本とし、勤務体制の変更や他事業所からの応援などにより要員を確保する。
・必要な交代要員や補助要員の確保策は、
2社の各本部であらかじめ検討しておく。
なお、要員確保のための応援者派遣の手続きについては、別途定める。
(4)業務分類毎の発生段階別の業務適用
勤務体制の変更、業務の縮小・休止については、原則、下表の基本的考え方に基づ
き、対策総本部で決定し、実施するものとする。ただし、感染状況に応じて、対策
総本部の指示に基づき、勤務体制の変更や業務の縮小・休止を判断するなど、国が
宣言する発生段階に拠らず臨機に対応する。
前段階 第一段階 第二段階 第三段階 第四段階
国における
発生段階
未発生期 海外発生期 国内発生早期 国内感染期 小康期
感染スピード
(目安)
- 0〜 2週間後 4週間後〜 6週間後〜 8週間後〜 -
社内想定
欠勤率
- - 0〜 約25% 約40% 約25% 数%
社内体制 - 対策総本部 対策総本部 対策総本部 対策総本部業務分類
重要業務 通常通り 通常通り 通常通り 必要最少要員での業務継続 通常通り
縮小・
休止業務
通常通り 休止準備
(一部)
状況を踏まえて縮小・休止 順次再開
以 上 (注記)3 総本部長の指示による
対策本部長
原子力総合事務所、建設所、
九電送配の送変電技術センターの長)
(注記)5 対策本部長の指示による
対策部長 (九電送配配電事業所の長)
(九州電力の支店、東京支社、原子力・汽力発電所、
新型インフルエンザ等発生時における対策組織
対策総本部(九州電力本店)
(注記)1 危機管理官を除く
(注記)2 情報連絡責任者
対策本部(九州電力の支店(注記)4、東京支社、原子力・汽力発電所、原子力総合事務所、建設所、水力開発総合事務所、九
電送配の送変電技術センター)
(注記)6 配電事業所の対策組織には九州電力の営業センター、営業所を含む (注記)7 総括班長は対策部長が兼務 (注記)8 対策部長の指示による
(注記)4 支店には、九州電力の水力センター、水力事業所、土木建築技術センター、整備事務所、九電送配の支社を含む。
対策部(九電送配 配電事業所(注記)6)
総括班
総括班(注記)7
広報班
予備班等(注記)8
別 紙 1
広報班
総括班 広報班 予備班等(注記)3
委 員
九州電力
地域共生
本部長(注記)2
九州電力又は九電送配の
関係副社長(注記)1
九州電力又は九電送配の
関係本部長
総本部長
危機管理官
(九州電力 社長)
(九州電力 副社長)
対策総本部会議
予備班等(注記)5
九電送配社長
(必要に応じて招集)
経 済 産 業 省
商 務 情 報 政 策 局
商務流 通保 安グループ
電 力 安 全 課
広報班
総本部長・危機管理官・委員
九州経済産業局
電気事業連合会
報道機関
九州電力東京支社、
九電送配
東京事務所
広報班
予備班等
(注記)1
総括班
本部長・本部員
報道機関
関係自治体
(保健所など)
広報班
部長・部員
報道機関
凡例
(注記)1 各対策組織の長の指示により設置
(注記)2 支店には、九州電力の水力センター、水力事業所、土木
建築技術センター、整備事務所、九電送配の支社を含む。
(注記)3 配電事業所の対策組織には九州電力の営業センター、
営業所を含む。
・情報は総括班長から総本部長、総本部員に報告することを原則とするが、情報内容によって総括班と
調整の上、各班長から報告を行うことができる。
対策総本部
(九州電力本店)
九州電力の支
(注記)2、東京支社、
原子力・汽力
発電所、
原子力総合事務所、
建設所、
水力開発総合
事務所、九電
送配の送変電
技術センター
対策部
対策本部
総括班
総本部情報
報告・情報連絡・要請
情報連絡・指示・助言
総括班
指令伝達・情報連絡ルート
別 紙 2
九電送配
配電事業所(注記)3
予備班等
(注記)1
予備班等
(注記)1
関係自治体(保健所など)

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