1 九電グループの概要 2 価値創造ストーリー 3 戦略とパフォーマンス 4 事業を通じた価値創出 5 価値創出の基盤 6 データセクション
目次 27
KYUDEN GROUP INTEGRATED REPORT 2023
国内電気事業 〜発電・販売〜
エネルギーサービス事業
統括本部長
西山 勝
経営環境の変化をチャンスに
カーボンニュートラル実現を
通じて更なる成長へ
環境にやさしいエネルギーの安定供給や、
お客さまの多様な
ニーズに応じたエネルギーサービスの提供を通じ、
経営ビジョン
に込めた
「豊かさと快適さで、
お客さまの一番に」
なるとの思いを
実現するとともに、
国内電気事業による経常利益750億円
(連結経
常利益目標
(2030年)
1,500億円の5割)
を目指します。
【発電】
・主要国内電力会社でトップレベルの非化石電源比率
(国内大手エネルギー事業者で初のSBTイニシアチブ(注記)
認定を取得)
・原子力発電の安定稼働やバランスのとれた電源構成によるコスト競争力と安定供給の両立
【小売】
・非化石電源・証書を活用した、
料金プラン・サービスの提供
・九州各地50か所の営業拠点による地域と密着した顧客基盤
【エネルギー取引・需給調整】
・小売や電力卸販売の需要動向を踏まえ、
燃料と電力の両市場における調達や販売を最適に運用
しかく 目指す姿
しかく 強み
・2022年度の経常損益は燃料価格の上昇による燃料費調整の期
ずれ影響や原子力発電所の稼働減などにより赤字となったが、
2023年度は原子力発電所の稼働増や燃料費調整の期ずれ影響
が差益に転じることなどにより、
収支が大幅に改善する見通し
・原子力や火力・揚水等発電設備の総合的な運用などにより最大
限の供給力を確保し、
需給状況が厳しい夏季・冬季を含め、
年間
を通じて安定供給を実現
経常利益イメージ
2021 202526715(注記)2022さんかく724(注記)7502030
(億円)
(年度)
(国内電気事業全体)
(注記):燃料費調整の期ずれ影響除きの数値
さんかく1,334750しかく 2022年度の評価と進捗
(注記):(SBT:Science Based Targets)
パリ協定の目標に向けて、
企業が設定する温室効果ガス削減目標が、
科学的根拠に基づいたものか検証・認定する国際的な共同イニシアチブ
[2030年度経営目標]
・総販売電力量1,200億kWh
(海外含む)
・トップレベルの電気料金の永続的な追求
・サプライチェーンGHG排出量を60%削減 (国内事業は65%削減
(2013年度比))・九州の電化率向上に貢献 (家庭部門:70%、
業務部門:60%)
[2025年度の見通し]
・総販売電力量1,050億kWh
(海外含む)
カーボンニュートラル(CN)実現に向けた国内外の動きが加速す
る中、
九電グループは
「電源の低・脱炭素化」
「電化の推進」
を柱として
取組みを強力に推進しています。
2023年3月には日本の大手エネルギー事業者としては初となる
SBT認定を取得、
当社の取組みがパリ協定の水準に整合しているこ
とを確認いただきました。 「電源の低・脱炭素化」
については、
再エネの主力電源化をはじめ、
価格競争力のあるベースロード電源として原子力を安全最優先と地
域の皆さまのご理解を前提として最大限に活用してまいります。
また、
火力は柔軟に出力変動できる調整電源であり、
再エネの最大
限の導入にも必要なことから、
高効率化によるCO2の排出削減ととも
に、
水素、
アンモニア等のカーボンフリー燃料の導入などを進めてま
いります。 「電化の推進」
については、
オール電化の推進やEVの普及促進、また電源の強みを活かした積極的な企業誘致など、
お客さまのニーズ
や社会環境の変化に応じたエネルギーサービスを提供し、
販売を拡
大してまいります。
CNの実現はチャレンジングな取組みです。
九電グループは脱炭素
をリードする企業グループとして、
2030年利益目標の達成のみなら
ず、
経営環境の変化をチャンスに更に成長してまいります。
事業別戦略
事業別戦略
国内電気事業
(発電・販売)
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KYUDEN GROUP INTEGRATED REPORT 2023
しかく 環境認識 しかく 事業戦略
しかく 企業価値創出に向けた取組み
関連する主なマテリアリティ
成長率
利益
資本コスト企業価値
(経済価値) = ­
マテリアリティ解決への取組み
1短期の機会最大化
2中長期の機会拡大 3リスクの
低減
電力の安定供給に加え電源の低・脱炭
素化を進め電気の価値を最大化すること
や電化の推進により、
利益目標の達成を目
指します。
・電力安定供給
国内電気事業では、
これまで安定的な電力供給を行ってきましたが、
昨今の燃料価格高騰や卸電力市場の価格上昇を
踏まえ、
安定供給の重要性が更に求められています。
当社は市場動向に応じた機動的な燃料調達、
エネルギーセキュリ
ティ面に優れた原子力の最大限の活用、
重負荷期の十分な供給力確保を目的とした火力の補修時期調整などを通じて、
安定供給に最大限取り組みます。
・カーボンニュートラルの推進
社会の低・脱炭素化へのニーズを捉え、
グループ一体での開発推進による
「再エネの主力電源化」
を進めます。
火力発電については、
再エネの導入を最大化するため調整電源として重要な役割を果たすことから、
高効率化やカー
ボンフリー燃料の活用を進めます。
これらの電源の低・脱炭素化の取組みとともに、
非化石電源が生み出す非化石価値
の取引や、
社会のあらゆる分野での
「電化」
の推進、
お客さまとの接点を活かした
「顔の見える営業」、脱炭素ニーズの高
まりを踏まえた再エネ料金プランの提案などを展開します。
・電力安定供給の重要性に対す
る社会的期待の高まり
・電化の進展
・カーボンニュートラルに向け
た世界的な取組みの加速に伴
うお客さまの低・脱炭素化した
電気に対するニーズの高まり
・九州地域への半導体分野など
大型工場の立地の活発化
・燃料・卸電力・為替の市況変動
・低・脱炭素化に伴う投資・コス
ト増大
・再エネ導入拡大等に伴う火力
電源の発電機会減少
・電源の計画外停止
・電気事業関連制度の変更
機会
リスク
脱炭素社会の牽引
エネルギーサービスの高度化
ガバナンスの強化
1短期の機会最大化 [利益の向上]・市場動向に応じた燃料と電力の調達・販売の最適運用・日常点検や定期自主検査などの着実な実施による、
火力・原子力発電所の安全・安定運転の継続・再エネの主力電源化に向けた九電グループ一体での再エネ開発・脱炭素ニーズの高まりを踏まえた、
料金プラン・サービスの提供・顧客接点拡大やあらゆる分野のお客さまへの個別提案による電化の推進・CO2排出量の少ない最新鋭のLNGコンバインドサイクル発電所の開発
(ひびき発電所:2025年度運開予定)
脱炭素社会の牽引
エネルギーサービスの高度化
ガバナンスの強化
3リスクの低減 [資本コストの低下]・デリバティブ取引の活用などによる、
燃料価格や為替などの市場変動リスクのヘッジ・高効率LNG火力の導入などカーボンニュートラル実現に向けたトランジションファイナンスの活用・エネルギー政策などを踏まえた複数の電源構成シナリオに基づく対応
事業別戦略
国内電気事業
(発電・販売)
2中長期の機会拡大 [成長率
(将来の
成長期待)
の向上]
脱炭素社会の牽引
エネルギーサービスの高度化
ガバナンスの強化・水素・アンモニアのサプライチェーン構築に向けた協業、
混焼技術の確立
(世界最大手のアンモニア取扱事業社ヤラ・インターナショナルなどとの協業検討)・大規模蓄電池などの分散型リソースを活用したアグリゲーションビジネス(注記)
への参画
(注記):蓄電池や電気自動車等の分散型エネルギーリソースを束ね、
再エネ有効活用等の各種サービスを提供する事業
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KYUDEN GROUP INTEGRATED REPORT 2023
九州電力送配電(株)
代表取締役社長
廣渡 健
「技術力」と「DX」で組織の抜本的改革に早期着手
国内電気事業 〜送配電〜
しかく 目指す姿
しかく 強み
・国内電気事業のうち、
送配電事業の経常利益は141億円
・当社及びグループ会社でこれまで培った技術や資産等を活用
し、
カーボンニュートラル実現に向けた業務上のあらゆる接点
を活用した需要創出活動や新たなサービス・事業の創出及び海
外事業への参画等を推進
経常利益イメージ
2021 202526715(注記)2022さんかく724(注記)7502030
(億円)
(年度)
(国内電気事業全体)
(注記):燃料費調整の期ずれ影響除きの数値
さんかく1,334750しかく 2022年度の評価と進捗
当社を取り巻く経営環境は、
カーボンニュートラル、
レジリエン
ス強化、
設備高経年化、
それらを踏まえた新しい託送料金制度
(レベ
ニューキャップ制度)
の導入などの社会課題への対応や、
成長に向け
た事業領域拡大など、
大きく変化しています。
このように経営環境が大きく変化する中、
当社が自律的・安定的
な経営を行っていくための拠り所として、
新たに
「九電送配 経営理
念」
を2023年4月に制定しました。
経営理念には、
当社が
「九州にパワーを届け、
社会を元気にする」という存在意義
(パーパス)
のもと、
「信頼」
「進化」
「共創」
の価値観(バリュー)
を大切にした事業活動を展開し、
「技術力とデジタル変革で、
日本を代表する先進的なインフラ企業になる」
ことを目指していき
たい、
という思いを込めています。
経営理念の
「目指す姿
(ビジョン)」の実現に向けて、
組織の抜本的
変革への早期着手が必要であると認識しており、
当社のコア技術力
(災害復旧能力、
ネットワークインフラの建設・保全技術力、
再エネ拡
大にも対応した需給・系統運用技術力)
とデジタル変革(DX)を組み
合わせた取組みを推進していきます。
経常収益は、
再エネからの買取増に伴う卸売販売電力量の増や、
インバラ
ンスに係る収益の増及び需給調整市場に係る調整交付金の単価増、
最終
保障供給の増などにより、
前期に比べ18.5%増の7,110億円
経常費用は、
インバランスや最終保障供給に係る費用の増及び再エネから
の買取増などにより17.6%増の6,969億円
九州の電力供給を支える送配電事業設備・運用
・送電線:11,223km、
配電線:144,198km
・変電所:653か所
・内燃力発電所:29か所
・再エネ連系量:1,582万kW
世界トップクラスの電力品質
・停電回数:0.15回/軒 (台風等災害除き:0.04回/軒)
・停電時間:115分/軒 (台風等災害除き:3分/軒)
九電送配 経営理念
九州にパワーを届け、
社会を元気にする
安定的・効率的に電力をお届けすることを使命
(ミッション)
に、
「お客さまの豊かさ」や「社会課題の解決」
に貢献する
信 頼
進 化
共 創
技術力とデジタル変革で、
日本を代表する先進的なインフラ企業になる
ステークホルダーからの信頼を、
何よりも大切にします
変化を先取りし、
自律的に組織を変革していきます
多様性を活かし、
より高い価値を創造します
存在意義
(パーパス)
価値観
(バリュー)
目指す姿
(ビジョン)
事業別戦略
国内電気事業
(送配電)
1 九電グループの概要 2 価値創造ストーリー 3 戦略とパフォーマンス 4 事業を通じた価値創出 5 価値創出の基盤 6 データセクション
目次 30
KYUDEN GROUP INTEGRATED REPORT 2023
しかく 環境認識 しかく 事業戦略
しかく 企業価値創出に向けた取組み
関連する主なマテリアリティ
成長率
利益
資本コスト企業価値
(経済価値) = ­
マテリアリティ解決への取組み
1短期の機会最大化
2中長期の機会拡大 3リスクの
低減 「九電送配 経営理念」
に掲げる
「目指す姿
(ビジョン)」の実現に向けて、
以下に取り組んでいきます。
・情報漏えい事案の再発防止に向けた取組み
今回の事案を、
一般送配電事業者としての社会的信頼を大きく損なう事態と重く受け止め、
二度とこのような事態を引き起こすことがないよう、
再発防止に取り
組み、
信頼回復に努めていきます。
・安定供給とコスト低減の両立
基本的使命である安定供給とコスト低減の両立に着実に取り組んでいきます。
・カーボンニュートラルの実現に向けた送配電ネットワークの次世代化
カーボンニュートラルの実現に向け、
九州の再生可能エネルギーのポテンシャルを最大限活用するため、
ネットワークの次世代化を進めていきます。
・技術力や資産を活用した需要創出と収益拡大
当社及びグループ会社でこれまで培った技術や資産等を活用して、
需要創出や事業領域拡大に挑戦していきます。
・経営基盤の強化
ステークホルダーの皆さまからの信頼を何よりも大切にし、
自律的に組織を改革しながら、
より高い価値を創造していきます。
・カーボンニュートラル実現に
向けた再エネ拡大と需要創出
・新たな託送料金制度の導入に
よる投資の確保
・AI、
IoT等のデジタル化技術の
進展
・情報漏えい
・託送電力需要の穏やかな減少
・設備高経年化の進展
・自然災害の激甚化
機会
リスク
脱炭素社会の牽引
エネルギーサービスの高度化
1短期の機会最大化 [利益の向上]・新技術の活用やDXの推進による保全・工事業務の高度化・効率化・効率的な設備形成・保全による安定供給の確保
2中長期の機会拡大 [成長率
(将来の
成長期待)
の向上]
脱炭素社会の牽引
エネルギーサービスの高度化・再エネポテンシャルの最大限活用に向けた送配電ネットワークの次世代化・カーボンニュートラル実現に向けた業務上のあらゆる接点を活用した需要創出活動
(電化・企
業誘致)
の展開・保有技術・資産の活用やグループ会社間の連携強化による新規ビジネスの創出及び海外事業の
促進
エネルギーサービスの高度化
ガバナンスの強化
3リスクの低減 [資本コストの低下]・中立性・信頼性確保に向けた内部統制の抜本的強化・需要の伸びの鈍化等を踏まえた設備のスリム化など効率的な設備形成・高経年化対策を含めた供給設備の効率的かつ適切な保全・更新・早期の停電復旧や迅速な情報発信に向けた社内外の連携強化
事業別戦略
国内電気事業
(送配電)
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