1 九電グループの概要 2 価値創造ストーリー 3 戦略とパフォーマンス 4 事業を通じた価値創出 5 価値創出の基盤 6 データセクション
目次 59
KYUDEN GROUP INTEGRATED REPORT 2023
エネルギーの安定供給
国の新規制基準では、
テロ等への対
処機能を備える特定重大事故等対処施
(注記)1
の設置が義務づけられています。
川内原子力発電所については、
日本
で初めて新規制基準適合審査に合格し、
2020年より運用を開始しています。ま
た、
玄海原子力発電所においても設置工
事が完了し、
現在運用中です。
(3号機:2022年12月、
4号機:2023年2月)
運転開始後40年を超過して原子力発電所を運転する場合は、
原子力規制委員会に運転
期間延長認可申請を行い、
認可を受ける必要があります。
当社は、
川内原子力発電所1,
2号機について、
2022年10月に運転期間延長認可申請を
行っており、
認可に向けて適切に対応していきます。
原子力発電所におけるあらゆる事態に速やかに対応できるよう、
緊急時の体制整備に加え、
原子力災害発生を想定した訓練を積み
重ね、
対応能力を向上させています。
また、国・
自治体の原子力防災訓練や原子力事業者間での相互
訓練への参加等を通じ、
関係機関・事業者間連携を強化しています。
原子力発電について地域の皆さまに
「安心できる」
と感じていただ
けるよう、
発電所の安全性・信頼性向上への取組み等について、
わか
りやすい情報発信に努めるとともに、
訪問活動や見学会等、
様々な機
会を設け、
双方向のコミュニケーション活動を全社で実施しています。
原子力発電所周辺において放射線量を連続して監視
・測定し、
九州電力のホームページ
でリアルタイムにデータを公開しています。
また、
定期的に土・海水・農作物・海産物等の環
境試料に含まれる放射能を測定しており、
現在まで、
原子力発電所の運転による環境への
影響は認められていません。
なお、
原子力発電所周辺の人が受ける放射線量は、
年間0.001ミリシーベルト未満で、法定線量限度の年間1ミリシーベルト及び旧原子力安全委員会が定める目標値の年間0.05ミ
リシーベルトを大きく下回っています。
特定重大事故等対処施設の設置
川内原子力発電所1、
2号機における運転期間延長申請
原子力災害の防止への取組み
原子力に関する地域の皆さまとのコミュニケーションの充実
原子力発電所周辺の環境放射線管理
地域の方々との対話
しかく 延長しようとする期間
九州電力の原子力発電所は、
福島第一原子力発電所の事故後、
他社に先駆けて、
国の
「新
規制基準」
に適合し、
再稼働を果たしています。
今後も、
規制の枠組みに留まらず、
最新の技
術的知見やデータの収集に努めながら、
継続的な安全性・信頼性の向上に取り組んでいきます。
電気事業においては、
安全を最優先に、
環境にやさしいエネルギーを低廉かつ安定的
にお届けし続けることが私たちの基本的使命であり、
最大の社会的責任と認識しています。
そのため、
電力需要の動向に的確に対応し、
効率的な設備形成を図るとともに、
停電減少
に向けた取組みや設備運用・管理の高度化、
大規模災害時における早期停電復旧に向け
た取組み等を通じて、
これまで高めてきた供給信頼度水準を引続き維持していきます。 玄海原子力発電所の重大事故を想定した
社内原子力防災訓練
(2023年2月)
運転期間延長開始日 運転期間延長満了日 延長期間
1号機 2024年 7月 4日 2044年 7月 3日 20年間
2号機 2025年11月28日 2045年11月27日 20年間
しかく 原子力の安全性・信頼性向上に向けた取組み
〔エネルギーサービスの高度化〕
エネルギーサービスの高度化
しかく 日常生活と放射線の量
(単位:ミリシーベルト)
(注記)1:原子炉補助建屋等への故意による大型航空機の衝突その他のテロリズ
ムにより、
原子炉を冷却する機能が喪失して炉心が著しく損傷した場合
に備え、
原子炉格納容器の破損を防止するための機能を有する施設
玄海原子力発電所の重大事故を想定した
社内原子力防災訓練
(2021年10月)
原子力発電所からの
放出実績
(年間)
出典:電気事業連合会
「放射線Q&A」をもとに作成
0.001未満
0.08〜0.112.1(日本平均)0.30.990.330.48
宇宙から
大地から
食物から
空気
(呼吸)
から
東京〜ニューヨーク
航空機旅行
(往復)
1人あたりの自然放射線
(年間)1001010.10.010.001
安全上放射性物質と
して
扱う必要性のない放射線の量クリアランス
レベル
(年間)0.01胸のエックス線
集団検診
(1回)0.06原子力発電所周辺の
線量目標値
(年間)0.05CT検査
(1回)
2.4〜12.9
( )50発電所等で働く
作業者に対する制限
(年間)
5年間につき100ミリシーベル
トかつ
1年間につき50ミリシーベルトを超えない
100 全身被ばく
これよ
り低い線量では
臨床症状が確認されていません
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エネルギーサービスの高度化
送電線や配電線の停電事故の未然防止のた
め、
設備巡視による危険箇所の事前把握及び
対策の実施や、
鳥獣の営巣防止等に取り組んで
います。
また、
電線への樹木接触による停電事
故や設備破損防止のため、
電線との離隔調査
や樹木伐採等について、
関係者の方々のご理解・ご協力を得ながら継続的に実施しています。
その他、
雷や台風等の自然災害による停電
事故の低減に向けた設備強化や、
設備状態に
応じたきめ細かいメンテナンス等にも取り組ん
でいます。
九州電力送配電では、
公衆感電事故の防止に向け、
定期的に土木・建築及びクレーン会社、
小中学校・教育委員会、
自治体、
警察署・消防署等へのPR活動や協力依頼を行っています。
また、
電力設備への接触による
公衆感電事故を防止するための設
備対策を実施し、
安全対策を強化
しています。
災害時の迅速な復旧対応に向けて、
関係機関等との連携強
化を進めており、
陸上・海上自衛隊に加え、
海上保安本部
(第七
管区、
第十管区)
や九州エリアの全自治体
(7県、
233市町村)と災害時の連携協定を締結しました。
こうした連携協定に基づき、
関係機関と大規模災害に備えた
訓練等を行い、
相互協力体制の維持に努めています。
このほか、
緊急車両等の通行、
支援物資の調達手段の多様化、
復旧拠点となる敷地の確保等を目的とした、
西日本高速道路(株)、
(株)ローソン、
イオン(株)との相互協力に関する協定を締結するなど、
他企業との連携強化にも取り組んでいます。
経済成長に伴う電力需要の伸びにあわせて建設した設備の高経年化の進展を見据え、経年の進んだ設備の重点的な点検
・補修や、
計画的な設備更新を進め、
設備機能の長期的か
つ安定的な維持を図っています。
なお、
設備の劣化データ等の分析による設備の寿命推定
精度の向上にも取り組み、
高経年設備の更新計画に反映させています。 「現在の防災無線では放送内容を隅々まで届けにくい」
という
課題の解決を目指し、
電柱にスピーカーを取り付け、
自治体か
らの防災情報を聞こえやすい音声でお届けする
「防災情報伝達
事業」
に取り組んでいます。
2020年1月から福岡県東峰村で実証を行い、
良好な結果が
得られたことから、
2022年3月に東峰村で本格導入を開始して
います。現在、
九州の多くの自治体へ積極的に訪問し、
導入提
案を実施中です。
台風や集中豪雨等による大規模災害時には、
九州電力と九州電力送配電が一体となった
災害対応体制を構築し、
協力会社や行政機関等と連携を図りながら、
停電の早期解消と迅
速な情報発信に努めています。
2022年9月、
台風14号の影響により、
南部エリアを中心に最大約35万戸が停電しました
が、
比較的被害の小さかった北部エリアから南部へ応援派遣等を行うなど、
最大約5,900名
を動員し、
自治体等と緊密に連携しながら、
早期復旧に取り組みました。
停電事故の未然防止
公衆感電事故防止
災害対応体制の強化
計画的な高経年設備の更新
電柱を活用した防災情報伝達事業
(防災電柱)
大規模災害時の対応
九州電力送配電では、
安定した質の高い電気をお客さまにお届けし、
安心してお使いいた
だくため、
日頃から設備の巡視・点検・補修、
安全かつ効率的な運用、
及び工法の開発・改善
に取り組んでいます。
しかく 公衆感電事故件数
(死亡または入院件数)
年度 2018 2019 2020 2021 2022
件数 1 1 0 0 0
しかく 供給信頼度の維持・向上
しかく 安全で災害に強いまちづく
りの推進
しかく 災害対応力の向上
第七管区との協定締結式の様子停電時間(分)停電回数(回)1970561
(分)3.13(回)
1980 199001002003004005006000.00.51.01.52.02.53.03.5(年度)
停電時間
(分)
停電回数
(回)
台風・地震等の
影響2018115
(分)0.15(回)20202019 2021 2022
しかくお客さま1戸あたりの年間停電時間・停電回数の推移
電柱への設置状況
スピーカー
子局
海上保安本部との人員・資機材搭載訓練
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エネルギーサービスの高度化
低廉なエネルギー エネルギーサービスを核としたソリューションの提供
お客さまの多様なニーズや課題に的確に対応し、より豊かで快適な生活や経済活動につな
がるよう、九電グループ一体となって、商品やサービスを提供しています。
お客さまから信頼され選ばれ続けるために、これからもお客さまの声をもとにサービスの拡
充に取り組みます。
九州電力では、
燃料調達方法の多様化等を通じた燃料費低減や、
資機材調達コストの低
減など、
発電原価の低減に向けた経営効率化に取り組んでいます。
2022年度は、
資機材調達コスト低減の取組みにより、
208億円の費用削減を達成しました。
取組み事項 概要
競争見積の拡大 ・競争見積の更なる拡大により、
燃料本体の価格、
輸送費、
輸入代行手数料等を削減
供給ソースの多様化・高品位石炭に比べ安価な亜瀝青炭や標準品位炭の使用拡大、
さらに経済性が見込まれる
高灰分炭の導入
・欧州向けに出荷されていた南米炭や中央アジア炭等の導入による供給ソース分散化
他社とのアライアンス ・他事業者と連携し、
所要量変動に柔軟に対応することで、
需給運用を最適化
価格決定方式の多様化・固定価格方式や市場価格連動方式など価格決定方式を多様化・最適化することで、
価格
変動リスクを抑制するとともに燃料調達費用を削減・LNGについて、
調達価格の変動抑制や経済性を踏まえ、
新たな指標を用いた価格決定方式
を導入
市況動向を踏まえた
経済性の追求
・市況を踏まえた長期・短期・スポット契約の適切な組合せや交渉による調達コスト低減
燃料バリューチェーンへの
参画強化・上流権益の取得
(燃料の安定調達、
柔軟性確保及び生産者情報取得による調達力強化等
に貢献)
・保有する自社船の輸送コストの管理徹底と最大限の活用による輸送費の低減
・受入・払出が可能な海外LNG基地の利用契約による自社需給調整
施 策 概要
競争原理の活用
・新規サプライヤーの導入や分離発注、
順位配分など、
受注意欲の向上による競争効果の 拡大・強化 など
総合的有利性の
評価
・メンテナンス費用等のランニングコストや効率性・耐久信頼性等、
イニシャルコスト以外の 要素の多面的な評価による総合的な経済性の追求 など
発注方式の工夫
・他社との共同調達や複数件名のまとめ発注によるスケールメリットの追求
・安定調達とコスト低減の両立に向けた最適な発注方式の適用 など
サプライヤーとの
協働、
知見活用
・VE
(バリューエンジニアリング)
提案、
技術提案等、
サプライヤー知見の積極的活用
・サプライヤーと協働での仕様見直し、現場作業効率化等の原価低減活動 など
仕様・工法の見直し ・要求仕様の緩和、
工法の工夫等による効率化 など
しかく 燃料費低減に向けた取組み
しかく 資機材調達コスト低減に向けた取組み
(ご家庭向け)
九州電力は、
毎月定額
(500円)
で、
ご家庭でも再エネ由来の電気を使いたいというニーズに
対応する
「まるごと再エネプラン」
や、
毎月定額
(300円)
の寄附金で、
九電みらい財団が実施
する環境保全活動に貢献できる
「みらいの森を育てようプラン」
をご提供しています。
(法人のお客さま向け)
九州電力は、
お客さまの再エネニーズの高まり・多様化や、
非化石価値取引市場の見直し等の環
境変化を踏まえ、
お客さまのニーズにきめ細や
かにお応えするため、
法人お客さま向けに3つの
再エネ・CO2フリープランを提供しています。
2019年2月から、
自治体や企業を対象に、
九電グループの様々な商品・
サービスを
「ウィズキュー」
として販売しています。
2021年には、
社会的関心が高まっている
「脱炭素」
をテーマに、
電化・再エネ・省エネに関するグループ商品・サービスをパッケージ化し、お客さまに提案しています。
また、
地域・社会の関心が高い
「防災対策」
「猛暑対策」
「情報セキュ
リティ」
「LED化」
の4つのカテゴリーと
「医療機関」
「オフィス」
「製造
現場」
といったお客さまごとの切り口で関連商品を取り揃え、
それぞれ
のお客さまの課題解決につながる最適な提案をしています。・しかく 地域・社会の課題解決に貢献する九電グループの多様な商品・サービス
しかく お客さまの脱炭素ニーズを踏まえた料金プランのご提供

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