基幹系統への
再給電方式(一定順序)の導入について
2 0 2 2 年 7 月 2 9 日
九州電力送配電株式会社
 2022年12月下旬より基幹系統の平常時の混雑(注記)1を解消するため、一般送配電事業者
が調整力契約をしている調整電源を活用した再給電方式を導入します(2022年1月25
日お知らせ済)。
 加えて、2023年中に、基幹系統のさらなる混雑回避を目的に調整電源以外の電源も
抑制対象とする再給電方式(一定の順序)を導入することとします。
 具体的には、従来ご案内してきた先着優先の考え方による後着者(ノンファーム型接続適
用電源)の出力制御に替えて、一般送配電事業者が混雑系統内の調整電源をメリット
オーダー(注記)2に従い出力制御するのに加えて調整電源以外の電源を出力制御し、非混雑
系統の調整電源の上げ調整により、混雑回避及び電力の同時同量を確保します。
 本資料では現在検討を進めている再給電方式(一定の順序)の概要及び現在全国で
導入されているノンファーム型接続との関係について説明します。
 なお、送電線の利用ルールは全電源を対象としたメリットオーダーを追求していく方針であり、
将来的な対応(市場主導型への見直し)について、引き続き国にて検討中です。1はじめに
(注記)1 混雑:送電線や変圧器の過負荷が予見される状況
(注記)2 メリットオーダー:運転コスト(燃料費、起動費等)の低い電源から順番に稼働することにより電源全体の運転コストを
最小化すること。 22021年2月5日 第55回制度設計専門会合 資料3より抜粋
1.再給電方式の概要について(2022年1月25日当社ホームページでお知らせ済み)
 基幹系統の平常時の混雑処理について、系統混雑時には電源の出力制御を行うことを前提としたノン
ファーム型接続が全国にて開始されています(2021年1月13日に全国で申込受付開始)。
 ノンファーム型接続は、系統混雑時に後着者であるノンファーム型接続適用電源(以下、ノンファーム電
源)が一律で出力制御されますが、ノンファーム電源には再エネが多く含まれることが予想され、再エネの
電源価値を活用しきれない課題があることから、ノンファーム型接続をした新規電源のみ出力制御を行う
ノンファーム制御(先着優先)から、 先着・後着関係なくメリットオーダーに従い出力制御を行う再給
電方式(注記)に変更することとなります。 (注記)S+3Eや運用の容易さ、安定供給の視点も踏まえたメリットオーダーに従い、出力制御を実施。 32.再給電方式(調整電源の活用、一定の順序)の導入スケジュールについて
 再給電方式については、早期に再エネの出力制御量を減らすことを目的に、まずは電源の制御環境(シ
ステム面・契約面)が整っている調整電源(注記)1を活用する再給電方式(調整電源の活用)を2022年
12月末までに開始します(2022年1月25日当社ホームページでお知らせ済み)。
 また、調整電源が接続していない系統での混雑や調整電源だけでは混雑が解消できない場合に備え、
調整電源以外の電源(注記)2も含め一定の順序で出力制御する再給電方式(一定の順序)を2023年
12月末までに開始します。 (注記)1 一般送配電事業者が調整力契約をしている電源
(注記)2 抑制対象はP8(7.再給電(一定の順序)の出力制御対象について)参照
2021年11月30日 第37回 再生可能エネルギー
大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会
資料2より抜粋 43.再給電方式の適用系統について
 再給電方式は、基幹系統の平常時の混雑処理方法であり、原則、基幹系統およびローカル系統(特別
高圧)の電源の出力制御を行うことで混雑の解消を行います。
 また、接続する系統がローカル系統であっても基幹系統の混雑に影響する場合があり、その場合には、
接続している系統に関わらず、出力制御が発生する可能性があります。
2022年7月13日 第43回
再エネ大量導入小委 資料2より抜粋
基幹系統
(特別高圧)
ローカル系統
(特別高圧)
配電系統
(高圧)
(低圧)
混雑 54.再給電方式(一定の順序)の運用方法について
 再給電方式(一定の順序)では、原則、ゲートクローズ(注記)後の実需給断面で、一般送配電事業者が、
基幹系統の混雑系統において調整電源及び調整電源以外の電源も含め一定の順序により出力制御
することで混雑を解消し、出力制御に伴い不足した電力を非混雑系統の調整電源をメリットオーダーに
従い上げ調整することで電力の同時同量を確保します。
 一般送配電事業者が一定の順序による出力制御にて混雑を解消させるため、ノンファーム電源の一律
制御のように系統混雑の状況に応じて発電契約者が発電計画を変更する必要はありません。
(注記) ゲートクローズ:発電事業者および小売り電気事業者による需給計画の提出締切(実需給1時間前) 65.再給電方式(一定の順序)とノンファーム型接続との関係について
 ノンファーム型接続は、系統混雑時の出力制御を前提に系統増強なしで系統接続を行うという接続
面の考え方であり、再給電方式はその接続面の考え方を前提とした、運用面(混雑処理)の考え方
です。
 今回の再給電方式(一定の順序)については、系統混雑時には一般送配電事業者が調整電源
および非調整電源を出力制御するもので、混雑処理の考え方を先着優先からメリットオーダーに変更
するものであり、接続面の考え方であるノンファーム型接続は引き続き継続します。
 このため、混雑する基幹系統や基幹系統の混雑に影響を与えるローカル系統などに連系申込を希望
される場合には、従来と同様にノンファーム型接続の同意書を提出していただくことが必要になります。
 この変更に伴い、既にノンファーム型接続の同意書を提出された発電事業者さままたは発電契約者
さまにおかれましては、同意書の再提出等の手続きは不要です。
 また、需給バランス維持のための出力制御に対しては、再給電方式(一定の順序)の開始は影響
しません。 76.再給電方式(一定の順序)の出力制御順および出力制御方法について
 再給電方式(一定の順序)については、再給電方式(調整電源の活用)の対象となる電源(調整
電源)に加え、調整電源以外の電源も出力制御対象となります。
 再給電方式(一定の順序)では、調整電源と電源IIIを活用しても混雑が解消できない場合について
は、ノンファーム型接続の再エネ電源を出力制御することとなります。(ファーム型の再エネ電源は原則、
出力制御の対象外(注記)1です。)
 また、その出力制御順は需給バランス維持のための出力制御ルール同様バイオマス電源(専焼、地域
資源(出力制御困難なものを除く))を制御した上で、自然変動電源(太陽光・風力)を出力制御
することとなります。
(注記)1 ファーム型接続の調整電源や一般送配電事業者からオンラインでの調整ができない火力発電等及びノンファーム型接続の電源を全て出力制御しても
混雑が解消されない場合を除く
(注記)2 ⻑期固定電源:水力、原子力、地熱
出力制御順 出力制御方法
1 調整電源の出力制御 メリットオーダー
2 ノンファーム型接続の一般送配電事業者からオンラインでの調整ができない電源の出力制御 一律
3 ファーム型接続の一般送配電事業者からオンラインでの調整ができない電源の出力制御 メリットオーダー
4 ノンファーム型接続のバイオマス電源(専焼、地域資源(出力制御困難なものを除く))の出力制御 一律
5 ノンファーム型接続の自然変動電源(太陽光、風力)の出力制御 一律
6 ノンファーム型接続の地域資源バイオマス電源(出力制御困難なもの)及び⻑期固定電源(注記)2の出力制御 一律 87.再給電方式(一定の順序)の出力制御対象について
2021年11月30日 第37回 再エネ大量導入小委
資料2より抜粋
 制御対象については、2023年の開始時においては特別高圧の電圧階級で接続される電源が原則
該当します。 98.受電地点ごとの発電計画値の提出について
 現在、発電契約者さまから提出頂く発電計画については、BG単位での合計値が正しければインバラ
ンス料金精算上は問題ないとしています(下表(2)のパターン) 。
 一方、再給電方式(一定の順序)においてインバランス料金精算を正しく行うためには、下表(1)
のパターンのように発電契約者さまから個別(受電地点毎)の発電計画値を広域機関に提出してい
ただく必要があります。
 また、再給電方式による出力制御(下げ指令)に対して逆応動となった場合は、その応動量をインバ
ランスとして扱いますが、過応動となった場合は出力制御された全量を再給電方式(一定の順序)に
よる精算対象とします。 109.再給電方式(一定の順序)による出力制御における下げ調整のkWh価格
および精算について
 ファーム型接続の一般送配電事業者からオンラインでの調整ができない電源IIIの火力発電等は、需給
調整市場ガイドラインで示されている以下の式を準用した下げ調整のkWh価格の登録が必要となります
ので、当社から別途個別に、下げ調整のkWh価格を確認いたします。(調整電源については、下げ調
整力契約にて下げ調整単価を登録済みであるため不要です)
下げ調整のkWh価格 ≧ 当該電源等の限界費用 ー 一定額
一定額 = 当該電源等の固定費回収のための合理的な額
(当年度分の固定費回収が済んだ電源等については、一定額 = ×ばつ10%程度)
 ノンファーム型接続の電源(調整電源以外の電源)については、精算単価としてスポット市場価格を
基本といたします。
 出力制御時は、出力制御量と出力制御時の精算単価に基づき精算いたします。
2022年7月13日 第43回
再エネ大量導入小委 資料2より抜粋 11(参考)プロラタ制御について
 ノンファーム型接続の電源(調整電源以外の電源)は、出力制御をプロラタ方式で実施することを
基本とします。
 プロラタとは、比例按分の意味であり、混雑地域内のノンファーム型接続の電源の発電計画の比で必要
な抑制量を配分し、算出された抑制量を加味した発電量で運転していただきます。
【ノンファーム型接続の電源IIIで6.8MWhの抑制が必要となった場合】
発電計画値(100%)
A B C D E
10MWh8MWh5MWh6MWh5MWh
抑制対象となる電源の発電計画値
(発電計画の書き換えは不要)
A B C D E
10MWh8MWh5MWh6MWh5MWh8MWh6.4MWh4MWh4.8MWh4MWh実需給断面での発電量
(抑制指示による)
実需給段階(80%)
合計発電計画量
10 +たす 8 +たす 5 +たす 6 +たす 5
=34(MWh)
抑制割合
6.8 ÷ 34 = 20(%)
電源Aの抑制量
10 ×ばつ 20(%) = 2(MWh) 1210.再エネの出力制御見通しの事前公表について
 系統制約によって再エネの出力制御が発生する可能性がある場合には、事前に当社のホームページ上に
て出力制御の見通し及び出力制御指示を公表いたします。
2022年7月13日 第43回
再エネ大量導入小委
資料より抜粋 13(参考)国において議論中の将来的な対応について
2021年11月30日 第37回 再生可能エネルギー大量導
入・次世代電力ネットワーク小委員会 資料2より抜粋 14(参考)市場主導型(ゾーン制・ノーダル制)の特徴と課題

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