原子力の安全性・信頼性向上に係る
今後の主な取組み
2023年5月17日
九州電力株式会社
第9回原子力に係る安全性・信頼性向上委員会資料 資料1
目 次
1.震源を特定せず策定する地震動に係る対応状況・今後の取組み
2.他プラントの不具合情報を活用した未然防止処置に係る取組み1 1.震源を特定せず策定する地震動に
係る対応状況・今後の取組み2 3
1.震源を特定せず策定する地震動に係る対応状況・今後の取組み(1/9)
(1)審査への対応状況
〇 2021年4月の標準応答スペクトルを考慮した地震動に関する基準の改正
後、原子炉設置変更許可申請を提出。
【川内原子力発電所】2021年4月申請
【玄海原子力発電所】2021年8月申請
〇 これまで、川内原子力発電所12回、玄海原子力発電所11回の審査
会合を実施。
〇 2022年7月までは、主に地震基盤相当面の妥当性について議論。
議論の結果、当社は、申請時に設定した地震基盤相当面の見直しを実施。
〇 その後は、主に地下構造モデルの妥当性について議論中。
(参考1)原子力発電所における地震動評価の概要(1)
震源断層 震源断層
震源を特定して策定する地震動
地表に地震の痕跡が現れる
震源断層
震源を特定せず策定する地震動
地表に地震の痕跡が明確に現れず
事前に把握するのが難しい
〇原子力発電所の耐震評価に用いる基準地震動は、「震源を特定して策定する地震
動」と「震源を特定せず策定する地震動」により策定。
1.震源を特定せず策定する地震動に係る対応状況・今後の取組み(2/9) 4
〇「震源を特定せず策定する地震動」は、地震の規模に応じて、「地域性を考慮
すべき地震動」と「全国共通に考慮すべき地震動」を策定。
〇今回、原子力規制委員会において、全国共通に考慮すべき地震動(標準応答スペ
クトル)が策定され、これまでの留萌支庁南部地震を基に策定していた地震動に
加え、標準応答スペクトルを用いた地震動の評価が求められた。
Ss-1 540ガル
Ss-2 268ガル
Ss-3 524ガル
震源を特定して策定する地震動 震源を特定せず策定する地震動
Ss-4 620ガル
Ss-5 531ガル 審査中
全国共通に考慮
(Mw6.5程度未満)
Ss-1 540ガル Ss-2 620ガル
該当なし 審査中玄海川内
活断層調査結果を考慮
留萌支庁
南部地震
標準応答
スペクトル
地域性を考慮
(Mw6.5程度以上)
1.震源を特定せず策定する地震動に係る対応状況・今後の取組み(3/9)
(参考1)原子力発電所における地震動評価の概要(2)5 6
1.震源を特定せず策定する地震動に係る対応状況・今後の取組み(4/9)
しろまる STEP1 地震基盤相当面の位置(深さ)を設定
・国が定めた地震動を入力する位置(深さ)を設定。
・地震の波が伝わる速度(Vs)の値が2,200m/s以上の位置に設定することを
法令で規定。
しろまる STEP2 地下構造モデルを設定
・地盤の揺れが減少する程度を表す地盤減衰や地震の波が伝わる速度(Vs)等
を深さ方向に沿って設定。(Vsの深さ方向の変化により地盤の揺れが増幅)
しろまる STEP3 基準地震動を策定
・国が定めた地震動を地震基盤相当面の位置に入力し、STEP2で作成した地下
構造モデルを用いて基準地震動を策定。
国が定めた地震動
基準地震動
定義位置
解放基盤表面
原子力発電所
地盤モデル
地震基盤相当面
(Vs=2,200m/s以上)計算
地下構造モデル
地盤減衰(%)
速度Vs(m/s) 【STEP1】
【STEP2】
【STEP3】
基準地震動
(参考2)今回の基準改正に伴う地震動作成イメージ 71.震源を特定せず策定する地震動に係る対応状況・今後の取組み(5/9)
(参考3)審査会合の実績
[川内] 2021年4月26日設置変更許可申請後、計12回の審査会合を実施
[玄海] 2021年8月23日設置変更許可申請後、計11回の審査会合を実施
〔2023年2月10日 第1113回審査会合における主なコメント〕
[玄海] 観測事実との整合性は水平方向で概ね確認できたことから、鉛直方向の観測事実との
整合性に係る検討等を追加のうえ、全体取り纏めにあわせて説明すること。
[川内] 観測事実との整合性を確認できないことから、地下構造モデルの妥当性が確認できない。
現実的な方法で見直しを検討し、地下構造モデルの設定方針を速やかに説明すること。
2021年4月26日 川内原子力発電所 設置変更許可申請
2021 2022 20236/112021年8月23日 玄海原子力発電所 設置変更許可申請5/201/21 7/1 12/210/710/28 12/162/10審査会合
川内
のみ2024設置変更許可取得迄の
経過措置期限 4/20
追加調査(ボーリング)
主に地震基盤相当面の妥当性
地下構造モデルの妥当性について
3/17 4/144/28 8
1.震源を特定せず策定する地震動に係る対応状況・今後の取組み(6/9)
(2)今後の取組み(1/2)
【全体責任者】
社長
地震動・地盤・建屋応答解析対応 機器耐震評価対応 設備改造対応
ゼネコン・メーカー等協力会社
【統括責任者】
原子力発電本部長(プラント)
テクニカルソリューション統括本部長(土建)
【統括】
原子力発電本部 副本部長(プラント)
土木建築本部長(土建)
〇 先行して審査可能な項目についてご説明するとともに、地下構造モデルに対する
審査会合でのご指摘については、1回程度/月のペースでご説明するなど、迅速
かつ丁寧な対応を行っているところ。
〇 これまでも経営層と審査対応者との間で逐次情報共有を図りながら対応を行って
きたが、審査対応のより一層の迅速化を目的に、社長をトップとしたプロジェク
トチームを本年1月に設置し、社長自らがタイムリーに状況を把握し、迅速な経
営判断の反映ができる体制を整備。
〇 更に、当社経営層から協力会社へ審査対応に係る人員の増強等を直接要請し、対
応を強化。 91.震源を特定せず策定する地震動に係る対応状況・今後の取組み(7/9)
(2)今後の取組み(2/2)
〇 前回審査会合(2023年2月10日 第1113回)のご指摘(参考3)を踏まえ、
・玄海について、鉛直方向の観測事実との整合性に係る検討を追加したうえで、
地下構造モデルの取り纏めを説明。(2023年4月28日第1142回)
説明の結果、玄海の地下構造モデルについては妥当となったことから、今後、
基準地震動を策定し、国へ説明。
・川内については、 速度構造を含め地下構造モデルを見直すこととし、具体的
な設定方針を早急に取り纏めて説明する。
〇 地震動評価後に説明予定の基礎地盤及び周辺斜面の安定性評価については、
評価方針について先行してご説明(2022年12月2日 第1097回審査会合)。
今後、品質を確保したうえで短期間で評価可能となるよう、解析技術者の増員
を図るなど、協力会社と密に連携し評価及び審査期間の短縮を図る。
〇 当社としては、経過措置期限までに許可を頂けるよう、必要な経営資源を最大
限投入し全社一丸となって対応していく所存。 101.震源を特定せず策定する地震動に係る対応状況・今後の取組み(8/9)
(3)更なる安全性向上に向けた取組み
しろまる地震動評価については、再稼働後も自主的な取組みとして、地震観測点を増設し
地震観測体制の強化を図るなど知見の拡充に努めてきた。
今後も安全性・信頼性の向上を図ることを目的に、最新の技術的知見の収集・
分析・評価を実施。
〔具体的な取組み〕
o 広域的な地震観測[継続]
o 敷地内地下構造の把握
・地震計の増設(EL.-200m)[2023年度]
・大深度ボーリング及び
地下深部の地震観測の実施に
ついても検討中
九電常設観測点
防災科学技術研究所
活断層
気象庁
川内原子力発電所
大学-凡例
九電臨時観測点 (注記)図中以外に1箇所(種子島)設置
地震観測点配置図(川内原子力発電所の例)
当社観測点
・川内 33箇所
・玄海 23箇所 111.震源を特定せず策定する地震動に係る対応状況・今後の取組み(9/9)
(4)むすび
しろまる 標準応答スペクトルを考慮した地震動への対応は、発電所の安全性をより一層
向上させることに資するため、安全を最優先に、速やかに進めて行くことが重要
と認識。
しろまる 取組み状況について、地域をはじめ社会の皆さまに安心していただけるよう、
積極的な情報発信と丁寧な説明に努めていく。
2.他プラントの不具合情報を活用した
未然防止処置に係る取組み12 13
2.他プラントの不具合情報を活用した未然防止処置に係る取組み(1/5)
【概 要】
当社は、国内外の原子力発電所等における不具合事象等の情報を幅広く収集し、
その原因や当社の原子力発電所の状況等を踏まえて、運用面・設備面での必要
な対策を講じることにより、同様の不具合事象の発生を防止する未然防止処置
を実施し、原子力発電所の更なる安全性の向上に取り組んでいる。
【未然防止処置の仕組み】
〇国内外原子力発電所における発生事象
・高浜発電所4号機 原子炉自動停止事象
〇当社原子力発電所における発生事象
〇その他原子力施設における発生事象
〇自社他部門における発生事象
〇原子力規制検査の指摘事項
〇原子力安全推進協会の提言文書 など
〇設備改造による物理的対策
〇規定文書の改正によるルールの明確化
〇手順書の具体化による確実な作業実施
〇周知、教育による意識向上 など
改 善 例
主な収集情報
【年間約100〜150件程度】
情報入手
事象の原因分析
当社状況の確認
処置方針の決定
(CAP会議(注記)で審議)
設備面・運用面
の改善[必要時]
原子力発電所の
安全性向上
(注記) 主要な管理職が業務横断的観点で、CAP(Corrective Action Program:改善措置活動)に関する審議・確認を行う会議体 12
1と2のラッチ(爪)を交互に動かすこと
により制御棒を上下に動かす。通常運転中
制御棒は、本ラッチにより保持され、炉心
から引き抜かれた状態にある。142.他プラントの不具合情報を活用した未然防止処置に係る取組み(2/5)
(注記) 運転中(出力領域)の中性子検出器4つのうち、2つの中性子束
検出に異常があった場合に発信する原子炉停止に係る警報
制御棒駆動装置のイメージ図
(2023年2月15日 関西電力(株)プレスリリース(抜粋)に補足事項等を追記)
原子炉容器
中性子
検出器
制御棒
駆動装置
【高浜発電所4号機 原子炉自動停止事象】
しろまる 状 況
2023年1月30日に、高浜発電所4号機(以下「高浜4号機」という。)で発生した原子炉
自動停止事象について、2023年3月22日の原子力規制委員会において、関西電力(株)による
推定原因及び再発防止対策が妥当であることが了承されたことを踏まえ、現在、当社原子力
発電所と本店で連携し、未然防止処置を実施中である。
〇 事象概要
高浜4号機は、定格熱出力一定運転中、
2023年1月30日 15時21分に、中央制御室に
「出力領域中性子束急減トリップ」警報(注記)
発信、原子炉が自動停止した。
〇 推定原因
・制御棒駆動装置の電気ケーブルに接触不良
が発生したことにより、制御棒を保持する
ラッチのコイル電流が低下し、制御棒1本が炉内に挿入。
・その結果、中性子検出器の指示値が「出力領域中性子束
急減トリップ」設定値に至り、原子炉が自動停止。 152.他プラントの不具合情報を活用した未然防止処置に係る取組み(3/5)
〇 再発防止対策
・高浜4号機において、電流低下が認められたケーブルを別の格納容器貫通部のルートに変更。
・覆いかぶさっていたケーブルの不要な余長の切断・再整線。
・本事象を踏まえた点検・保守方法、敷設時の注意事項を社内マニュアルに反映。
・運転中プラントは、次回定期検査時に、格納容器貫通部から端子箱までのケーブルについて
同様の荷重を受けていないことを確認する。
電気ケーブル状態のイメージ図(2023年3月22日 原子力規制委員会資料(抜粋)に補足事項等を追記)
〇 推定原因(続き)
・制御棒駆動装置の電気ケーブルの接触不良は、貫通部出口側のケーブルにコイル側のケーブル
が覆いかぶさっていたことにより、格納容器貫通部内のケーブル接続部に引張力が作用し、
はんだ付けが剥離したことによる。 162.他プラントの不具合情報を活用した未然防止処置に係る取組み(4/5)
【当社の対応状況】
高浜4号機の原子炉自動停止事象に係る推定原因及び再発防止対策を踏まえ、
当社において以下の対応を実施している。
〇 対応内容
川内原子力発電所1号機の定期検査(2023年2月16日〜4月23日)において、
1 格納容器貫通部端子箱内のケーブルについて、
余長ケーブル等の荷重がかかっていないかを確認
2 制御棒駆動装置用の格納容器貫通部ケーブルについて、
連続通電試験を実施
〇 対応結果
上記対応により、同様の事象が生じるような問題がないことを確認した。
1 接触不良を起こすような荷重がかかっていないことを確認した。
2 通電状態が正常であることを確認した。
当社他プラントにおける至近の対応として、定期検査(注記)中の川内原子力発電所
2号機において、1号機と同様の対応を実施する。
(注記) 2023年5月13日〜7月18日(計画) 172.他プラントの不具合情報を活用した未然防止処置に係る取組み(5/5)
【参 考】
〇 関係設備のイメージ図(2023年2月15日 関西電力(株)プレスリリース(抜粋))
< 原子炉格納容器 > < 原子炉容器 > < 制御棒駆動装置 >

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