効率化計画
(2023年度〜2027年度) 1はじめに
当社は、2023年度からのレベニューキャップ制度(注記)導入への対応として、先行き5か
年間(第1規制期間:2023年度〜2027年度)に達成すべき目標を明確化す
るとともに、着実な投資と効率化の実施に向けた具体的取組みを盛り込んだ事業計
画を策定しました。
(注記) 「必要な投資の確保」と「コスト効率化」の両立を目的とした新たな託送料金制度
本書は、第1規制期間における効率化の具体的な取り組み内容等について当該事
業計画から抜粋し取りまとめたものです。 21 推進体制
高経年化設備の更新や再エネ導入拡大等に伴う支出の増加が想定される中、2018年7月に社⻑を
委員⻑とする「効率化推進委員会」を設置し、経営全般における効率化の推進に取り組んでいます。
効率化推進委員会の下には3つのWG(人員関係、設備関係、技術開発)を設置し、分野ごとに
課題の検討を行っています。
また、効率化推進委員会は他産業出身者等の社外専門家を委員とした「調達改革推進委員会
(九州電力)」と連携し、外部知見を活用した調達コスト低減にも努めています。
効率化推進委員会
委員⻑
(社⻑)
副委員⻑
(副社⻑)
委員
(本部⻑)
主な検討事項
人員関係WG 効率的な人員配置、業務効率化 等
設備関係WG 設備形成、保全の効率化 等
技術開発WG
新技術の開発・導入、設備保全の
高度化に資する技術開発の検討 等WG指示報告人員関係 設備関係 技術開発
調達改革推進委員会
(九州電力)
連携
委員⻑ 社内委員 社外委員
メーカ出身者
コンサルタント
・ ・ ・ ・
社外委員
九州電力
資材調達担当
これまでの具体的な取組み事例については、別冊6「経営効率化の取組み」p2〜6参照 31 推進体制
2021年8月からは、「効率化推進委員会」の下、更なる効率化を推進することを目的に「ΣX(シグマ
エックス)プロジェクト」を立ち上げました。
プロジェクトでは、「資機材調達、業務プロセス、間接費、ITシステム、DX」の5つの重点分野を設定し、
部門横断で効率化策の具体化と機動的な実行を進めていきます。
効率化推進委員会
∑Xプロジェクト
∑:数値の総和(=結集する)
X:トランスフォーメーション(=変革)
社⻑ 副社⻑ 本部⻑
業務プロセス
間接費
ITシステムDX資機材調達
・・・
発注方法の工夫等による
調達価格の低減
業務プロセスの最適化
による生産性の向上
ペーパーレス化等による
間接費の低減
要件定義の精査等による
ITシステムの最適化
デジタル技術やデータの
活用による業務の高度化 42 効率化計画(概要)
第1規制期間では、効率化推進委員会を中心としたこれまでの継続的な取組みに加えて、デジタル技術
を活用した業務効率化や資機材調達・工事面での取組み等、最大限の効率化(さんかく305億円)に
取り組みます。
また、収入の見通しに関する国の検証結果の反映によるさんかく98億円の減額を踏まえ、更なる効率化の深掘り
に取り組みます。
区分 過去実績
(2017〜21平均)
効率化額
(2023〜27平均)
主な効率化策
(1) 要員 さんかく13 さんかく81 デジタル技術を活用した業務効率化、業務委託の拡大等
(2) 資機材調達 さんかく73 さんかく129 競争原理の活用、スケールメリットの追求等
(3) 工事 さんかく25 さんかく44 工法の工夫、仕様の見直し等
(4) その他 さんかく14 さんかく50 設備構成の合理化等
合 計 さんかく125 さんかく305
〔(5) 調整力の効率化〕 需給調整市場における調達量の低減効果:さんかく97億⊿kW・h
さんかく 81
さんかく 129
さんかく 44
さんかく 50
効率化計画
(2023〜27年度平均)
要員 資機材調達 工事 その他 更なる効率化
第1規制期間でレベニューキャップに
織込んださんかく305億円(年平均)
に加えて、更なる効率化の深掘りに
取組み
[億円]
[億円] 53 効率化計画(1)要員の効率化
デジタル技術を活用した業務効率化や配電・託送部門の一部業務の委託化等による効率化に
取り組みます。
【要員の効率化】 効率化額さんかく81億円(要員数さんかく812人)(過去実績さんかく13億円)
[億円]
<主な取組み>
効率化策 主な取組み 効率化額
(2023〜27平均)
デジタル技術を活用
した業務効率化
• 画像診断・AI技術、センサ・カメラを活用
した保全業務効率化
• スマートグラスを活用した現地操作業務の
効率化
さんかく81
業務委託の拡大 • 配電・託送部門業務の委託化
業務プロセスの
見直し
• 共架・敷地業務の集中化
具体的な取組み事例(下線部)については、別冊6「経営効率化の取組み」p7〜10参照 63 効率化計画(2)資機材調達の効率化
電力の安定供給に欠かせない資機材の安定調達を確保しながら、新規サプライヤー開拓等による競争発注
の更なる拡大、受注意欲を高めるまとめ発注やサプライヤーとの協働活動等の調達の工夫、仕様統一化等
による効率化に取り組みます。
【資機材調達の効率化】 効率化額さんかく129億円(過去実績さんかく73億円)
[億円]
<主な取組み>
効率化策 主な取組み 効率化額
(2023〜27平均)
競争原理の活用 • 新規サプライヤー開拓等による競争発注拡大
さんかく129
スケールメリットの追求 • 所要数量をまとめた集約購買、仕様統一化
サプライヤーとの協働活動 • サプライヤーの知見やノウハウを活用した共同VE活動
その他 • メンテナンス費用等も含めた総合的な経済性の追求
至近3か年平均
66.6%
70%以上
2019〜21年度平均 目標
具体的な取組み事例(下線部)については、別冊6「経営効率化の取組み」p11〜14参照
しろまる競争発注比率:2027年度までの早期に70%以上を目指して取り組みます。 73 効率化計画(3)工事の効率化
工事の計画・実施段階において、工法の工夫、仕様見直しや設備更新周期の見直し等による効率化に
取り組みます。
【工事の効率化】 効率化額さんかく44億円(過去実績さんかく25億円)
<主な取組み> [億円]
効率化策 主な取組み 効率化額
(2023〜27平均)
工法の工夫
• 無人ヘリコプター運搬の導入
• ケーブル張替工法の見直し
• 高圧線移替工法の開発
さんかく44
仕様の見直し • ポリマー製資機材の導入拡大
設備更新周期の見直し • 設備の劣化状況分析に基づく更新時期見直し
その他
• センサを活用した機器点検効率化
• リサイクル絶縁油の導入
具体的な取組み事例(下線部)については、別冊6「経営効率化の取組み」p15〜19参照 83 効率化計画(4)その他の効率化
【その他の効率化】 効率化額さんかく50億円(過去実績さんかく14億円)
要員・資機材調達・工事以外の分野においても、設備構成の合理化等による効率化に取り組みます。
<主な取組み> [億円]
効率化策 主な取組み 効率化額
(2023〜27平均)
設備構成の合理化 • 直流電源装置の構成見直し
さんかく50
間接費の効率化
• データ処理業務へのRPA導入
• ペーパーレス化の推進
具体的な取組み事例(下線部)については、別冊6「経営効率化の取組み」p20〜21参照 93 効率化計画(5)調整力の効率化
【調整力の効率化】 需給調整市場からの調達量の低減 さんかく97億⊿kW・h
調整力については、今後需給調整市場からの調達が主体となり、市場調達を通じて効率化を図っていく
予定です。
また他の一般送配電事業者及び広域機関とも連携し、調整力コストの低減に資する取組みの検討を
行い、効果が見込まれるものを採用するとともに、継続的に検討を行っていきます。
【具体的な取組み内容】
需給調整市場における⊿kWについて、一次〜三次1調整力の複数商品に入札可能なリソースは、複合的な入札を
許容する「複合約定ロジック」を前提とした調達量を想定しており、各商品の想定調達量を単純加算した場合と比較し、
5割程度低減を図っています。
A:複合約定による調達量 111億⊿kW・h
B:各商品の単純加算量 208億⊿kW・h
C:低減量(A-B) さんかく97億⊿kW・h
単一商品と複数商品の調達イメージ (出典)第22回需給調整市場検討小委員会 資料2(一部編集)>(注記)...入札単価が
同額の場合の例
事業計画(別冊6)
経営効率化の取組み 6-1別冊
1 目標計画
2 費用の内訳
3 投資の内訳
4 リスク量算定対象設備の具体的更新計画
5 送配電ネットワーク次世代化の取組み
6 経営効率化の取組み
• これまでの取組み p2
• 今後の取組み
1要員の効率化 p7
2資機材調達の効率化 p11
3工事の効率化 p15
4その他の効率化 p20 6-26章 効率化計画(これまでの取組み)
20万V以上の主幹系統の運転・監視を行う系統給電制御所については、これまで、系統の特徴により
分割した4つのブロック毎に拠点を設置していました。
50万V日向幹線の運用開始(2022年6月〜)に伴い、主幹系統がループ状となり、一括した運転・
監視による迅速かつ効率的な運用が図れることや計算機性能向上等による集中設置が可能となったことを
踏まえ、予め系統給電制御所を集中化(4拠点から1拠点)し、計算機の設置費用等の削減及び
要員の効率化に取り組んでいます。
系統給電制御所の集中化による効率化
4拠点時
:50万V日向幹線運用開始
(2022年6月)集中化1拠点化後(2021年7月〜)
:50万V日向幹線建設ルート
拠点1 1拠点
拠点2
拠点3
拠点4
拠点1
拠点3
拠点4
拠点2
1拠点 6-36章 効率化計画(これまでの取組み)
22kV配電線路に使用しているがいし(電柱と電線の絶縁を保つもの)については、これまで磁器製のもの
を使用していましたが、ポリマー製がいしを開発し、2018年度から導入を進めています。
ポリマー製がいしの導入により、材料費の低減とがいしの軽量化による作業性向上を図っています。
22kVポリマー製がいしの導入による材料費低減と作業性向上
従来品 導入品
外 観
材 料 磁 器 ポリマー(シリコーン)
重 量 11.0kg 1.5kg
コスト(注記) 1 約2/3
22kV配電線路用がいし
従来品 導入品
軽量化さんかく86%
コスト低減さんかく1/3
(注記)...コストは従来品を1としたときの比較 6-4しろまる 「磁器製」・「ポリマー製」
いずれも採用可能
しろまる 「磁器製」を指定して
使用
6章 効率化計画(これまでの取組み)
変電所の機器に使用しているブッシング(機器と電線等との接続部に用いられる絶縁を保つための部品)
については、これまで磁器製のものを指定して使用していましたが、ポリマー製の技術的評価が確立された
ことから、ポリマー製も採用可能とし、経済性で有利な高電圧のものから導入を進めています。
ポリマー製ブッシングの導入による材料費低減
取組み前 取組み後
磁器製 磁器製 ポリマー製
変電所におけるブッシング適用箇所
経済性で有利な高電圧の
ものから「ポリマー製」を導入
指定
[遮断器外観] 6-56章 効率化計画(これまでの取組み)
コンクリート柱のひび割れ・剥離発生時には、従来、電柱建替にて改修していましたが、補修材を用いた
現地補修技術を開発・導入し、電柱の建替時期の延伸による費用の削減に取り組んでいます。
現地補修技術の概要
ひび割れ・剥離箇所のケレン(注記)
内部鉄筋への防錆材塗布
コンクリート損傷部への補修材
(樹脂)の充填
耐候性塗料(ウレタン)の塗布に
より補修完了
(注記)...汚れや錆を磨き落として表面を整えること
現地補修技術開発による設備更新時期見直し 6-6〔従来〕
6名で点検を実施
〔ドローン活用後〕
3名で点検を実施(注記)
(注記)...更なる人員削減に向けて検討中
6章 効率化計画(これまでの取組み)
従来の送電鉄塔の点検方法は、作業員が鉄塔に昇り、鉄塔上で直接目視確認をしていましたが、より
効率的な点検方法として、ドローンを活用しています。
ドローンに搭載しているカメラを活用することで、鉄塔へ昇ることなく点検が可能となり、点検要員数及び
点検費用の削減を図っています。
ドローンを活用した設備点検の効率化
(実際の点検状況)
ドローン
(点検用カメラ搭載)
点検対象の
送電鉄塔
ドローン
ドローンを活用した鉄塔点検のイメージ 6-76章 効率化計画(今後の取組み)1 要員の効率化
送電設備の高経年化が進展している中、電力の安定供給を維持していくため、送電設備の異常・劣化の
判定に画像診断技術・AI技術を活用し、保全業務の効率化に取り組んでいます。
画像診断技術・AI技術により、送電設備のヘリやドローンの空撮画像を基に電線の異常抽出や鉄塔
塗装の劣化度合い等について自動判定することで効率化を図っています。今後、AI技術の適用範囲を
拡大(異常の抽出・判定から社内報告書作成までを自動化する等)することで、更なる効率化に
取り組みます。
画像診断技術・AI技術を活用した保全業務の効率化
電線の異常判定
o取得した画像データを基に、AI技術等を活用して
電線の異常の有無を自動的に抽出
鉄塔塗装の劣化度判定
o 取得した画像データを基に、AI技術等を活用して
鉄塔塗装の劣化度判定業務の自動的に実施
画像データAI・ビ
塗装の劣化判断
素線切れ
しろまる余寿命(改修時期)の
診断計画策定
P 設備診断計画策定
しろまるドローンやヘリ空撮の活用
D 設備診断データ取得
(ドローン)
鉄塔頂部、
充電部を確認
(ヘリ)
高精度カメラを
搭載
マスター
カーブ
初期値ライン(100%)
経過時間素線強度残存率現地データ
(強度しろまる%,経年25年)
1.0ヶ月
電線寿命ライン
推定寿命
(経年しろいしかくしろいしかく年)
しろまるしろまるヶ月
強度しろまる%
マスター
カーブ
初期値ライン(100%)
経過時間素線強度残存率現地データ
(強度しろまる%,経年25年)
1.0ヶ月
電線寿命ライン
推定寿命
(経年しろいしかくしろいしかく年)
しろまるしろまるヶ月
強度しろまる%
しろまる取得データによる劣化
診断(余寿命評価)実施
C 余寿命評価(定量的)
しろまる全ての設備の⻑期
計画策定
A 改修計画基数
2021 2022 ...
画像診断
取組み事例
4月 5月 6月 7月 8月 ...ABCD... 6-8
6章 効率化計画(今後の取組み)1 要員の効率化
今後の少子高齢化に伴う設備の保全要員確保の困難化や、更なる保全コストの削減等の課題解決に
向け、センサ・カメラを組み合わせた遠隔巡視システムを変電所に導入中であり、巡視点検業務の効率化・
高度化に取り組んでいます。
本システムの導入により、従来、現地出向し実施していた設備の巡視点検を事務所から遠隔で実施し
効率化を図っています。今後、導入変電所を拡大することで、更なる効率化に取り組みます。
センサ・カメラを活用した保全業務の効率化
〔事務所〕
〔変電所〕
〔66kV遮断器の画像データ〕
NWカメラの死角にある
メーター
⇒補助カメラによる画像認識
により数値取得
NWカメラで確認できるメーター
⇒画像認識により数値取得
センサによる
気温取得
サーマルカメラによる
過熱診断
CTを活用し、
動作電流値や
動作回数を測定
NWカメラによる
外観点検
操作箱内メーター、カウンタ
⇒指針センサにより数値取得
システムで取得した数値データや
画像データを基に、巡視点検業務
を机上で実施
〔変電所〕 6-96章 効率化計画(今後の取組み)1 要員の効率化
変電所内配電盤の操作は現在、機器の誤認・誤操作の防止を目的に指示者と操作者の2人1組で
実施しています。
今回、MR(注記)スマートグラスを導入し、指示者に代わって音声ガイダンスが操作対象機器や操作手順を
指示するとともに要注意手順を表示することで1人での現地操作を可能とし、効率化に取り組みます。
(注記)...Mixed Reality:現実世界にバーチャルの映像を投影し、情報操作も可能とする技術
MRスマートグラスを活用した現地操作業務の効率化
2 操作内容を音声で指示
(操作指令伝票を手のひらに投影し必要に
応じて確認)
5 操作終了後、操作員の発声で次の
操作に移行
1 QRコードで操作対象設備を認識
3 グラス上に操作対象箇所、操作内容、
注意事項表示
(動画で操作手順の確認が可能)
4 操作者は操作対象箇所を確認し呼称
後に操作実施15
操作指令伝票
No 名 称 操作内容
1 P C M 盤 盤 確 認
2 4 3 S W 切
3 赤 T . T 電圧確認
4 赤 T . T 外し
5 ・・ ・・
6 ・・ ・・243SWを確認してください
手のひらに
投影4通常手順
PCM盤
PCM盤ロック
盤確認
操作内容
操作対象
次へ
要注意手順
PCM盤
PCM盤ロック
赤T.T外し
操作内容
操作対象
次へ
次へ
動画3MRスマートグラス
6-10
6章 効率化計画(今後の取組み)1 要員の効率化
当社と九電送配
サービスの役割分担
再エネ大量連系等による環境変化が続く中でも、お客さまに満足いただけるサービスを提供し続けるため、
2021年5月に配電・託送部門の業務の一部を担う「(株)九電送配サービス」を設立しました。
(業務開始:2022年7月)
新会社はお客さまサービス業務を一元的に実施し、一方、当社は事業計画・管理や設備関連業務に
特化することで、新たな業務や高度化に的確に対応していきます。
今回の業務運営体制見直しを通じて、効率化の実行と新たな業務への柔軟な対応の両立を図ります。
九電送配サービス設立(への委託化)による業務運営の効率化
6-11
6章 効率化計画(今後の取組み) 2 資機材調達の効率化
設備の形成・保全に係る計画検討や仕様検討等の早期の段階から、主管部門と調達部門が目標や
取組み方針を共有し、品目の特性や市場環境に応じた調達の工夫を図ることで、コスト低減を推進して
いきます。
調達の工夫によるコスト低減
[主な取組み施策]
施 策 概 要
競争原理の
活用
◦新規サプライヤーの開拓・複数社への見積依頼により、サプライヤーの参入機会を確保し、
競争発注の更なる拡大を図る
◦まとめ発注等によるボリューム増等の発注方式の工夫により、サプライヤーの受注意欲向上
につながるようなインセンティブを付与し、競争効果の拡大を図る
総合的有利性の
評価
◦メンテナンス費用等のランニングコストや、耐久性や使用効率の向上等イニシャルコスト
以外の要素等を多面的に評価し、総合的な経済性を追求する
スケールメリットの
追求
◦発注量の集約によるサプライヤーの生産・施工の効率化を通じ、コスト低減を図る
サプライヤーとの
協働活動
◦サプライヤーの持つ専門的な知見やノウハウを積極的に活用し、サプライヤーと協働で仕様
の見直しや現場作業の効率化等に取り組むことで、コスト低減を図る(次スライド参照)
◦明確化したコスト低減水準(ターゲットプライス)をサプライヤーと協議し、目標を共有した
うえで、ターゲットプライスの達成に向けて協働で取り組む
6-12
6章 効率化計画(今後の取組み) 2 資機材調達の効率化
サプライヤーと共同VE(注記)活動体制を構築のうえ、コスト低減に向けた活動に取り組み、仕様の見直し等
を行うことで、コスト低減効果を創出していきます。
調達の工夫(共同VE活動)
資材調達部門(九州電力)
技術部門(当社)
サプライヤー
製造に関する事項
コスト低減に資する提案等
共同での
アイデア出し
アイデアの精査・
優先付け
アイデア実現に
向けた活動
効果の刈取り
活動の評価・
分析
活動体制 主な取組みステップ
(注記)...Value Engineering:一つの目的を達成するための手段は数多くあるという前提にたって、機能を低下させずに
コストが安く済む手段が他にあれば、その手段を積極的に採用していく取組み
技術的知見を要する事項
技術情報の収集
技術確認・検証
仕様見直し等
調達に関する事項
価格情報収集
コスト分析等
6-13
6章 効率化計画(今後の取組み) 2 資機材調達の効率化
2018年度に策定した「調達改革ロードマップ」(調達改革に係る方針)の対象品目の仕様統一化に
ついては2019年度に完了しました。
設備の仕様統一化(1/2)
対象品目 仕様統一化の状況
架空送電線
(ACSR/AC)
架空送電線については、一般的に使用してきたACSRと、より耐食性が高い
ACSR/ACがあるため、全電力大でACSRとACSR/ACの設計上のスペック
比較を行い、ACSR/ACへ統一することで不具合がないかを検証
2019年度に全電力大で仕様統一化を完了
ガス遮断器
(66kV/77kV)
66kV/77kVガス遮断器については、各社の現状仕様を把握し、本体はJEC
等の規格に準拠済であることを確認。ブッシング含め付帯的な部分の仕様に
ついて、全電力大での統一を調整
2019年度に全電力大で仕様統一化を完了
今後、更なる取組みとして、上位電圧向け品目の仕様統一化について検討
地中ケーブル
(6kV/CVT)
地中ケーブルについては、各社の現状仕様を把握し、必要機能の最適化を
図るとともに、製造コストの低減を目的にメーカ要望を反映
2019年度に全電力大で仕様統一化を完了
6-14
6章 効率化計画(今後の取組み) 2 資機材調達の効率化
主要5品目の仕様統一化に向けた取組み状況等は以下のとおりです。
今後も仕様統一化に向けた検討を進めていきます。
設備の仕様統一化(2/2)
品目 規格等 概要 現状と今後
鉄塔
しろまる 鉄塔材は、電気設備の技術基準において、
JIS材を使用することが定められている。
しろまる 鉄塔は下記の規格等により設計している。
・電気設備の技術基準(経済産業省)
・JEC-127「送電用支持物設計標準」
(制定:1965年、至近改正:1979年)
しろまる 鉄塔設計手法(耐震設計)に
ついて全電力大での統一を図るべく、
JEC-127 「送電用支持物設計
標準」を改正する。
しろまる 2017年度より、送電用支持物設計標準特別
委員会及びJEC-127本改正作業会を設置し、
2022年度の規格改正に向けて、全電力で
検討を実施中。
電線
しろまる 下記の規格に基づき、仕様を制定している。
・JIS C 3110「鋼心アルミニウムより線」
・JEC-3406「耐熱アルミ合金電線」
・JEC-3404「アルミ電線」 等
しろまる 架空送電線の付属品について、
全電力大で標準化を進める。
しろまる 全電力大でACSR、ACSR/ACをACSR/AC
に集約した。鉄塔の設備更新等に合わせて、
ACSR/ACを採用し、仕様の統一化を進める。
しろまる 超高圧送電線の付属品の一部について、仕様
統一のため標準規格を制定した。
しろまる その他の付属品についても、対象設備を選定し
実施可能性を調査する。
ケーブル
しろまる 下記の規格(電力用規格)に基づき、仕様
を制定している。
・A-216「22・33kV CVケーブル規格」
・A-261「66・77kV CVケーブル規格」
・A-265「154kV CVケーブル規格」 等
しろまる CVケーブル付属品について、全電力
大で標準化を進める。
しろまる 66kVCVケーブルについて、全電力大で統一を
完了。
しろまる その他の付属品についても、対象設備を選定し
実施可能性を調査する。
変圧器
しろまる 下記の規格に基づき仕様を制定
・JEC-2200「変圧器」
・JEC-2220「負荷時タップ切換装置」
・JEC-5202「ブッシング」
・JIS C 2320「電気絶縁油」 等
しろまる 110〜187kVの上位電圧階級に
ついて、全電力大で付帯的な部分
の仕様統一を検討する(本体は
JECに準拠済み)。
〇 ソフト地中化用変圧器について、
今後の無電柱化路線の狭隘道路
への拡大に備え、供給すべき需要に
見合った中低容量の仕様の統一を
検討する。
〇 220〜275kVクラスについて、付帯的な部分
も仕様統一することとした。
〇 今後、他設備の仕様統一に向けて、対象設備
の選定含め検討する。
〇 6kVソフト地中化用変圧器は、機器の新規
開発を伴う仕様統一の検討のため、試作や
性能評価等を行い、全電力大で統一を完了。
コンクリート柱
しろまる 以下の規格に基づき、当社仕様を制定
・電力用規格C101「プレストレストコンクリートポール」
・JIS A 5373「プレキャストプレストレストコンクリート製品」
・JIS A 5363「プレキャストコンクリート製品­性能
試験方法通則等」
〇 他社との比較により付属品も含めた
仕様精査検討を実施。
〇 電力10社での仕様統一作業会
にて検討を実施。
〇 電力各社の仕様比較結果を踏まえ必要機能
の最適化を図るとともに、製造コストの低減を
目的にメーカ要望を規格へ反映して、全電力
大で統一を完了。
6-15
6章 効率化計画(今後の取組み) 3 工事の効率化
山間地の送電設備における小規模な改修工事については、費用面から大規模な運搬設備を設置できず、
人力運搬を適用する等、作業員にとって非常に過酷な作業であり、運搬コストの低減や労働環境改善の
ため、無人ヘリコプター運搬を導入しています。
従来の人力運搬では、作業員が山間部の工事現場まで何往復もする必要があり、時間と労力を要して
いましたが、無人ヘリコプターを導入することで、運搬効率化を図っています。今後、運搬能力の向上により
適用対象工事を拡大することで、更なる効率化に取り組みます。
無人ヘリコプター導入による運搬の効率化
〔従来:人力による運搬〕
小規模な改修工事
では人力運搬が基本
〔導入後:無人ヘリコプターによる運搬〕
荷受け場
荷降し場
無人ヘリコプター
無人ヘリコプターは、数分で1往復
するため、人力運搬よりも短時間で
多くの資機材運搬が可能
6-16
6章 効率化計画(今後の取組み) 3 工事の効率化
ケーブルの張替工事については、既設の人孔及び管路を流用することから、新設時と同様に中間人孔で
接続箱を設けていましたが、人孔内に設置するボールローラーにより、ケーブルの送出しを補助しながら延線
する多径間(2径間)布設工法を採用しています。
従来の延線工法では、人孔毎に中間接続箱を設ける必要があり、接続箱の材料費及び接続工事費を
要していましたが、多径間布設工法を採用することで、工事の効率化とコスト低減を図っています。今後、
3径間布設にも適用することで、更なる効率化に取り組みます。
地中ケーブル多径間(2径間)布設工法の採用による張替工事の効率化
ドラム場 中間人孔 エンジン場
中間接続箱が不要
中間接続箱を削減することで、
接続箱の材料費及び接続
工事費の低減が可能
延線
ボールローラー
ボールローラー ボールローラー
ボールローラー
(ケーブル押出)
ロードセル
(荷重計測)
中間接続箱
6-17
6章 効率化計画(今後の取組み) 3 工事の効率化
これまで、変電機器の点検は作業員が現地出向のうえ機器を停止して各種データ測定を行い、機器の
状態を確認していました。
今後、機器に設備状態(ガス圧、モータ電流、開閉ストローク等)を把握するセンサを設置し、停止せず
にオンラインで機器の状態監視を行うことで点検費用を削減し、機器保全の高度化を図ります。
センサを活用した機器点検の効率化
温度センサ
ガス圧センサ
データ処理(A/D変換)
伝送装置(MU)
開閉ストロークセンサ
電流センサ
(投入・遮断回路用)
(DS電動モータ用)
電流センサ
(主回路電流用)
操作箱
電流センサ
(油ポンプモータ回路用)
ライン側DSPT、Ar
部分放電センサDSESCTGCBCT制御盤DSAr:避雷器
CT:変流器
DS:断路器
ES:接地開閉器
GCB:ガス遮断器
PT:計器用変成器
6-18
6章 効率化計画(今後の取組み) 3 工事の効率化
電柱建替等で電線を移し替える際は、無停電で工事するために工事用バイパスケーブル(以下、ケーブル)
を敷設しますが、多大な労力と時間を要していました。
そのため、省力化と効率化を目的に、ケーブル敷設径間を最大限に縮減して電線を移し替える工法を開発
しました。
高圧線移替工法(引留一括・1線毎)の開発による効率化
従来は、相手柱の先の径間にケーブルを敷設[1]し、
径間を開放[2]していた。新工法は、作業柱と相手柱
間にケーブルを敷設[1]し、同径間を開放[2]する
ことで、ケーブル敷設範囲を縮減でき、労力軽減と
効率化を実現
ケーブル
引留アーム 引留アーム
新柱
旧柱
従来(分岐等を含め広範囲にケーブルを敷設)
新工法(ケーブルの縮減)
相手柱
相手柱2 21 1
作業柱2 21 11ケーブル敷設2径間開放2高圧線を3線一括で移替えを行う「引留一括移替工法」と、同工法の適用が困難な箇所(大サイズ
電線や⻑径間等電線張力が大きい箇所)に用いる「1線毎移替工法」を開発1「高圧線引留一括移替工法」のイメージ図
6-19
6章 効率化計画(今後の取組み) 3 工事の効率化
6kV柱上変圧器の絶縁油について、これまでは使用済絶縁油は売却していましたが、リサイクル処理し
再利用しています。
リサイクル絶縁油の導入により、材料費のコスト低減を図るとともに、資源の有効活用による循環型社会の
構築に貢献していきます。
6kV柱上変圧器へのリサイクル絶縁油の導入による材料費低減
[絶縁油リサイクル処理装置]
新品絶縁油
注油
抜油
撤去
変圧器修理または廃棄
設置
使用済絶縁油
売 却
柱上変圧器
リサイクル
絶縁油
( 従来のフロー リサイクルフロー【導入後】 )
注油
リサイクル処理タンク
リサイクル処理
リサイクル絶縁油を
約7割使用予定
6-20
6章 効率化計画(今後の取組み) 4 その他の効率化
【現状の設備構成】 【合理化後の設備構成】
整流器・蓄電池が重複 重複した整流器・蓄電池の統合
(注記)...DC100VをDC24
または48Vに変換
DC/DC
コンバータ(注記)
変電所等に設置している機器への直流電源供給にあたっては、変電機器用(DC100V)と通信機器用
(DC24Vまたは48V)で使用電圧が異なっていることから、これまでは、各々に直流電源装置(整流器、
蓄電池)を設置してきました。
この設備構成では、整流器と蓄電池が重複していることに着目し、これら機能を統合することで、直流
電源装置の仕様を合理化し、設備投資の抑制に取り組んでいます。
変電所等における直流電源装置の構成見直し
直流電源装置の設備構成
変電設備 通信設備 変電設備 通信設備
AC所内盤 AC所内盤
DC所内盤 DC所内盤
整流器 整流器 整流器200V100V200V100V
蓄電池 蓄電池 蓄電池DC24V48VDC24V48V
6-21
6章 効率化計画(今後の取組み) 4 その他の効率化
働き方改革や間接費低減に向けた取組みの一環として、ペーパーレス化を積極的に推進しています。
先行して実施している職場では、これまでに従来比さんかく50%以上の印刷物削減を実現しており、今後も
好事例の水平展開等により、取組みを継続していきます。
ペーパーレス化の推進
プリンタ毎の印刷枚数を見える化し、週単位で周知
ペーパーレスの取組みに関するアンケートの実施・好事例の周知 等
意識改革
ペーパーレスを前提とした会議資料の様式見直し
文書関係システムを活用した決裁処理(伺書への押印省略)等
打合せスペースへの資料投影用モニター設置 等
ハード面の整備
ルールづくり
会議資料の様式を見直し、大型モニター
や出席者が持参するPCに資料を投影
会議のペーパーレス化 打合せスペースへのモニター設置
しろまるしろまるG しろさんかくしろさんかくG
プリンタ1 プリンタ2
印刷枚数の見える化
過去3か月平均
6/6〜12
6/13〜19
6/20〜26
・・・
・・・

AltStyle によって変換されたページ (->オリジナル) /