当社原子力発電所の安全性向上への取組み

平 成 2 5 年 1 1 月
九 州 電 力 株 式 会 社
資料3-1参考 1目 次
1.当社の基本姿勢
2.福島第一原子力発電所の事故からの教訓
3.原子力規制委員会の新規制基準の概要
4.新規制基準適合審査への対応
5.安全性向上への取組み
6.最後に2356723 21.当社の基本姿勢
【はじめに】
o 当社は、従来から『もともと原子力は危険なもの。だからこそ、私たち
は、皆さまに安心して電気を使っていただけるよう、あらゆる努力をして
いるのです。(平成9年新聞広告)』 という認識を基本に、最新技術の導入
や、国内外で発生した事故・故障の情報を反映した原子力発電所の建設・
改良、徹底した運転員の訓練などに取り組み、原子力発電所の安全性向上
に努めてまいりました。
[原子力発電の活用]
o 福島第一原子力発電所の事故後も、原子力発電は、エネルギーセキュリ
ティ面や地球温暖化対策の観点から、安全の確保を大前提として、その重
要性は変わらないものと考えています。
[安全を確保する]
o 当社は、福島第一原子力発電所のような事故は決して起こさないという
固い決意のもと、原子力規制委員会の新たな基準に積極的に対応するとと
もに、規制要求にとどまることなく、世界最高水準の安全性を目指して、
自主的かつ継続的に、原子力発電所の更なる安全性向上の取り組みを進め
ています。 3(1)福島第一原子力発電所での事故の概要
想定を超える大津波襲来
非 常用ディーゼル発電機
鉄塔
1 福島第一原子力発電所では、大地震を感知し、原子炉が自動停止しました。
2 地震で鉄塔が倒壊、発電所内の開閉所が損傷し、外部からの電源供給が無くなりました。
そのような場合を想定し設置していた、非常用ディーゼル発電機で冷却システム(ポンプ等)に給電し、
燃料を安定して冷やしていました。
3 しかし、地震発生から約40分後に襲来した大津波(約15m)により、非常用ディーゼル 発電機が水
没し故障したことにより、全ての電源を失い、燃料を冷やせなくなりました。
海水ポンプ
開閉所
2.福島第一原子力発電所の事故からの教訓
4 原子燃料を包む被覆管の材料であるジルコニウムが高温(約900度以上)になり、水と反応し、大量
の水素が発生しました。その水素が、格納容器の配管貫通部等のシール部から建屋に漏れ、水素爆
発を起こしました。水素とともに漏れていた、放射性物質が外部へ放出されました。 42.福島第一原子力発電所の事故からの教訓
(2)福島第一原子力発電所の事故からの教訓
しかく 想定を超える地震や津波などに対する万全の備えが必要
しかく 重大事故(シビアアクシデント)に関し、設計想定外の事象への
対応は、深層防護の考え方にたった頑強なものとし、また、重要な
安全機能維持のために、複数手段を策定すること
しかく 安全確保の徹底には、設備面(ハード面)の対策に加え、緊急時
対応能力の向上や緊急時対応体制の強化などの運用管理面
(ソフト面)の充実が必要 53.原子力規制委員会の新規制基準の概要
本年7月8日に、原子力規制委員会は、新規制基準を施行しました。
従来と比較すると、重大事故(シビアアクシデント)を防止するための基準を強化するとともに
万一重大事故(シビアアクシデント)やテロが発生した場合に対処するための基準を新設
<新規制基準>
<従来の安全基準>
[平成25年7月3日原子力規制委員会公表資料を用いて作成]
耐震・耐津波性能
その他の設備の性能
電源の信頼性
火災に対する考慮
自然現象に対する考慮
格納容器破損防止対策
耐震・耐津波性能
その他の設備の性能
電源の信頼性
火災に対する考慮
自然現象に対する考慮
(火山・竜巻・森林火災を新設)
内部溢水に対する考慮(新設)
炉心損傷防止対策
(複数の機器の故障を想定)
放射性物質の拡散抑制
意図的な航空機衝突への対応(注記)
炉心損傷に至らない状態を想定した
設計上の基準(設計基準)
(単一の機器の故障のみを想定等)+(注記) 基準で要求されている特定重大事故等対処施設については、
経過措置として、適合までに5年の猶予期間が設定設計基準【強化又は新設】(テロ対策・シビアアクシデント対策)重大事故【新設】
アクシデントマネジメント策として
自主保安の観点で対策を実施 6申請書
約100ページ(玄海3,4号)
約100ページ(川内1,2号)
約7,000ページ(玄海3号)
約5,000ページ(玄海4号)
約5,000ページ(川内1号)
約4,000ページ(川内2号)
約1,400ページ(玄海3,4号)
約1,800ページ(川内1,2号)
ページ数
重大事故等対策に係る体制
及び設備の運用管理等を記載
重大事故等対策に求められる
機能を満たすために必要な、
ポンプの容量、揚程、台数等
の詳細な設計内容を記載
重大事故等対策の基本的な
設計方針や、有効性評価結果
を記載
記載内容
3 保安規定変更認可
(運転管理、体制)
2 工事計画認可
(詳細設計)
1 原子炉設置変更許可
(基本設計)
申請書名
川内
1,2号機の例
4.新規制基準適合性審査への対応(申請書の内容) 75.安全性向上への取組み[ハード・ソフト面]
当社の原子力発電所は、万一事故が発生した場合を想定し、大きな事故にならないよう、食い
止める手段を幾重にも準備しています。
原子力発電所から放出される放射性物質が人や周辺環境に影響を及ぼすことのないよう、安全
対策や防災対策に万全を期していきます。 8幾重もの対策による原子力発電所の安全確保
5.安全性向上への取組み[ハード・ソフト面] 95.安全性向上への取組み[ハード面](1/5)
・運転員が誤って機器を動かそうとしても動か
ないシステムを採用しています。
・大きな地震にも耐えられる強度をもった設計
です。
・火山や竜巻等の自然現象が起きても、発電
所の安全が確保されることを確認しています。
地震・津波等の自然現象に より、発電所で
異常が発生してしまった場合でも、それを「事
故」に拡大させないような対策をとっています。
・地震の揺れ等を感知して、原子炉は自動で
停止(制御棒を挿入)します。 10それでも、事故に至ったら
原子炉の中にある燃料が損傷(注記)し、大きな
事故に至ることがないよう、燃料を冷やすた
めのさまざまな対策をとっています。
・原子炉の中の燃料を冷やすための、
もともとあった複数の装置に加え、さら
にいくつもの冷やす方法を追加しました。
5.安全性向上への取組み[ハード面](2/5) 11【参 考】第3段階 炉心損傷防止
新たに配備した炉心損傷防止機器の例
移動式大容量ポンプ車 可搬型ディーゼル注入ポンプ
移動式大容量発電機 直流電源用発電機(可搬型代替電源)
新たに配備した電源機能の確保の例 12それでも、燃料の損傷を想定
放射性物質が外部に放出されることがない
よう、格納容器内に閉じ込める対策をとってい
ます。
・格納容器の破損を防ぐための、もともと
あった複数の装置に加え、さらにいくつもの
圧力を下げる方法を追加しました。
5.安全性向上への取組み[ハード面](3/5) 13新たに配備した格納容器破損防止機器の例
【参 考】第4段階 格納容器破損防止
静的触媒式水素再結合装置
空気、
水蒸気
水素、空気、水蒸気
触媒
プレート
移動式大容量ポンプ車 可搬型ディーゼル注入ポンプ 14それでも、格納容器の破損を想定
格納容器の漏えい箇所へ放水することに
より、放射性物質の周辺環境への放出を極
力低く抑えます。
5.安全性向上への取組み[ハード面](4/5) 15新たに配備した放射性物質の拡散抑制機器の例
【参 考】第5段階 放射性物質の拡散抑制
移動式大容量ポンプ車 放水砲 16それでも、放射性物質の周辺への拡散を想定
国、自治体及び当社が連携し、適切な避難
や緊急時の放射線測定を実施する等、地域
の皆さまの安全を確保するために最善を尽く
します。
・当社と、国(首相官邸・原子力規制庁) や
自治体との情報共有システム(TV会議)が
強化されました。
・国や自治体、事業者等の連携のもと、毎年、
訓練が実施され、避難の手順等の習熟が図
られています。
5.安全性向上への取組み[ハード・ソフト面](5/5) 17地域の皆さまの安全確保の例
【参 考】第6段階 放射性物質の拡散抑制
緊急時対策所の
テレビ会議システム
モニタリングポスト用
非常用発電機設置 185.安全性向上への取組み [ソフト面]
原子力災害対策特別措置法第13条に基づき、川内原子力発電所を事故発生箇所と想定して、
国主催の平成25年度(第11回)原子力総合防災訓練(注記)が実施されました。
1.目 的
福島第一事故の教訓を反映した、新たな原子力防災体制のもとで、実際の
災害場面に合わせた実時間実動訓練により、住民避難など原子力災害対応
体制を検証する。
2.日 時
平成25年10月11日(金) 10時00分 〜 17時30分
平成25年10月12日(土) 11時00分 〜 16時30分
3.参加者
国 :内閣総理大臣、官房長官、環境大臣、原子力規制委員長 他
鹿児島県 :知事、薩摩川内市長、いちき串木野市長 他
当 社 :社長、副社長、発電本部長 他、約400人
参加機関 :約130機関、 参加人数:約3,400人
4.訓練の特徴(事故調査委員会等での指摘等を踏まえた訓練を実施)
・実際の災害場面に近似させた状況において、発話集に頼らず、その場での
対応を訓練する「実時間実動訓練」を実施。
・国、地方自治体、事業者を同時に訓練し、事故進展に連動させた関係機関
の連携を確認。
(注記)国主催の原子力総合防災訓練は、原子力施設立地道県の中から、国が選定し、1回/年実施。
(玄海については、平成15年度実施済)
本店原子力施設事態即応センター
発電所 代替緊急時対策所
鹿児島県原子力防災センター 19福島第一事故の調査報告書や燃料損傷を回避できた福島第二の成功事例などから得られた
教訓を踏まえ、運用管理面での充実を図っています。
5.安全性向上への取組み[ソフト面]
[緊急時対応体制の強化]
万が一の原子力災害に備え、原子力災害特別措置法に基づき、国や自治体、事業者などの関係機関を
中心に、対応体制が整備されています。
当社は、国や自治体と連携のもと、みなさまの安全確保に万全を期します。そのため、原子力災害発生
及び拡大を防止し、復旧を図るために当社が実施する必要な業務を定めた原子力事業者業務計画を、関
係自治体の地域防災計画と整合を図りながら、策定しています。
原子力災害発生時の対応体制
原子力災害発生時の対応体制
[平成25年度原子力総合防災訓練の例] 20[発電所における訓練の実施]
夜間や雨天等の厳しい条件下での実践的な訓練を実施するなど、いかなる場合でも迅速かつ
着実に対応できるよう、緊急時対応能力の維持・向上に努めています。
にじゅうまる全交流電源喪失訓練
にじゅうまる仮設ポンプによる冷却水供給訓練 にじゅうまる外部電源復旧訓練
にじゅうまるがれき撤去訓練
全交流電源喪失に至っ
た場合を想定し、訓練
シミュレータで、照明を
消灯した中での緊急時
運転操作訓練
原子炉を継続して冷却
するための仮設ポンプ
による冷却水供給訓練
通常の送電線ルートが
機能しなくなった場合を
想定し、移動用変圧器を
発電所内に設置して別
ルートから電力を供給
する訓練
高圧発電機車等の
通行障害となるがれき
等をホイールローダに
より撤去する訓練
5.安全性向上への取組み[ソフト面] 21[緊急時対応能力の向上]
・全交流電源喪失時に重要となる中央制御室の原子炉の状態
などを表示する計器の識別の明確化
(蛍光テープ、蛍光ラベル貼付)
・照明がない現場の操作対象機器へ迅速にアクセスできる
よう、現場の通路や機器へ蛍光テープを貼付
5.安全性向上への取組み[ソフト面]
[危機管理意識の高揚]
・強いリーダーシップの発揮と事象の進展を予測した指示の
重要性を認識・向上させるための、発電所上層部への教育
・安全確保に対して強い使命感が持てるように、「何よりも
安全を最優先とする」意識の高揚を図る原子力安全教育、
安全についての部門間のコミュニケーションを図る安全文
化懇談会の実施
蛍光テープの貼付状況
安全文化懇談会 225.安全性向上への取組み[ソフト面]
[安全協定の締結]
発電所周辺地域の皆さまの安全の確保及び環境保全を図るため、既に安全協定を締結している
立地自治体に加え、関係周辺自治体とも協定締結を進めており、地域の皆さまの安全と安心の確保を
図っています。
安全協定では、発電所の通常運転中の情報提供や異常時における連絡等が定められております。
原子力発電所に対する不安がある中で、少しでも住民の皆さまの安心につなげるために、これらの
協定をしっかりと運用してまいります。
【川内原子力発電所】
立地自治体:鹿児島県、薩摩川内市
周辺自治体:いちき串木野市、阿久根市
鹿児島市、出水市、日置市、姶良市、さつま町、長島町
熊本県、宮崎県(覚書を締結)
【玄海原子力発電所】
立地自治体:佐賀県、玄海町
周辺自治体:佐賀県内17市町、唐津市(伊万里市については、協議中)
福岡県、糸島市、福岡市、長崎県、松浦市、
佐世保市、平戸市、壱岐市
熊本県(覚書を締結)
玄 海
川 内 236.最後に
[お客様に安心し、信頼していただく]
・当社は、当社の原子力発電所の安全性向上への取組みを、お客さまにご
理解いただき、安心・信頼していただくことが何よりも大切と考えます。
・当社は、想定を超える地震や津波などに対して、緊急安全対策等により
安全を確保していますが、万が一の重大事故(シビアアクシデント)に備
えるため、世界最高水準の安全性を目指して更なる、自主的かつ継続的
に、安全性向上対策についての取組みを全社を挙げて進めてまいります。
・また、こうした取組みについて、さまざまな機会を捉えて、丁寧でわか
りやすい説明に努めてまいります。

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