2015年、
上場会社に対してコーポレートガバナンス・コードが適用されました。
コード適用を
契機に、
監査役会設置会社において社外取締役を選任する動きが急速に高まっています。今回は当社社外取締役である渡辺氏、
菊川氏に、
社外取締役の役割や当社に対する提言などを
伺いました。
社外取締役
菊川 律子
社外取締役
渡辺 顯好
Q1 取締役会等における議論の際に心掛けていることやご自身の役割について
お考えをお聞かせください。
渡辺取締役 社外取締役の主な役割は経営に関し
て外部の視点から率直な意見を述べることです。
業務執行の監督が求められる取締役会において、
私たち社外取締役が積極的に提言を行うことで監
督機能を強めていく必要があります。
取締役会はもとより、
経営会議に出席し、
社内の
情報を共有するとともに、
自動車会社での自らの経
験を活かし、
積極的に意見を提言することを心掛け
ています。
菊川取締役 社外取締役は、
取締役会の実効性を
向上させるために適宜適切に意見を述べ、
合理的
な意思決定に資することが役割の一つではないか
と思います。
また、
社外取締役とは会社の内と外の
境界線に立つ存在ではないかと考えており、
意見
を述べるにあたっては、
会社の外である一般社会
の感覚とずれがないかという視点から発言するこ
とを心掛けています。
ビジネスを支える経営基盤/ 社外取締役インタビュー
九州電力 アニュアルレポート 2017 35
ESG Section役員一覧/社外取締役インタビュー
渡辺取締役 私が社外取締役に就任した8年
前は、
必要な原価に一定の利益を乗せて販売価
格を決める、
いわゆる総括原価方式での経営が
長かったこともあり、
生産性の向上や原価改善へ
の取組みの意識が他の民間企業に比べて希薄だ
という印象を受けました。
しかし、
電力・ガス小売全
面自由化などの電力システム改革を契機に、
積極
的な営業活動や徹底した資機材調達コス
トの削減
に取り組むなど、
企業体質が変わってきたことを実
感しています。
また、
変わらない強みは電力の安定供給に対す
る使命感と技術力であり、
これらは電力システム改
革が進展する中でも決して失ってはいけないと考
えています。
菊川取締役 私が社外取締役に就任した2年前
は、
川内原子力発電所が再稼働しておらず、
翌年に
は電力小売全面自由化を控えるという先の見えな
い厳しい状況下にありましたが、
社員一人ひとりが
難局に対して的確に取り組んだことで、
着実に歩み
を進めることができたと思っています。
現在、
お客さまのライフスタイルに合わせた新
料金プランや新サービスなどを打ち出して電力・ガ
ス小売全面自由化に取り組んでいますが、
女性社
員の能力も活かしながら、
生活者の視点からの提
言を積極的に行うことで、
より高いレベルのサービ
スが提供できるのではないかと考えています。
Q2 電力・ガス小売全面自由化など、
電力システム改革の変革に合わせて、
九州電力が変わってきたところ、
また変わらない強みについてお聞かせください。
ビジネスを支える経営基盤/社外取締役インタビュー
九州電力 アニュアルレポート 201736 Q3 当社の今後の成長に向けての提言をお聞かせください。
渡辺取締役 当社は徹底した経営効率化等によ
り、
旧一般電気事業者の中では低廉な料金水準で
電気を提供しており、
加えて、
60年を超える事業
活動の中で培った電力安定供給に関する技術力や
ノウハウなどを有しています。
これまでの経験や技
術力を活かし、
九州はもちろん、
九州域外や海外で
も電気事業を積極的に展開し、
活躍の場を拡大し
ていくべきだと考えています。
そのためにも、
環境
の変化をチャンスと捉え、
前向きにチャレンジする
タフな人材の育成に注力していくことが必要だと
考えています。
菊川取締役 教育分野に長年携わってきた経験か
ら、
学びや成長への意欲を持ち続けることで、
人の
能力は何歳からでも伸ばすことができると考えて
います。
社員の自主性を尊重し、
能力を最大限に
発揮できる環境を整えることが、
今後予定されて
いる法的分離などの変化を乗り越えるために重要
ではないかと思います。
また、
トップから現場まで共通認識を持つこと
も大事だと考えており、
瓜生社長が社内のテレビ
放送で会社の状況や課題を説明する
「週刊瓜生通
信」
などは、
共通認識を高める優れた取組みだと思
っています。
一人ひとりの社員の能力や創造性を活かしなが
ら、
トップから現場までベク
トルを合わせることで、
今後も当社は成長していけると考えています。
九州電力 アニュアルレポート 2017 37
ESG Section社外取締役インタビュー

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