特集2
紡織業界省エネ普及
スキーム検討 中国
紡織業界省エネ普及
スキーム検討 中国
エネルギー基礎調査
ウクライナ
再エネ導入基礎調査
カーボヴェルデ
地熱発電運営維持調査
ケニア
地熱 / 電力開発計画調査
ルワンダ
イリハン
イリハン
トゥクスパン
トゥクスパン
(注記)海外コンサルティング実績は近年の主な案件
IPP等投資事業
海外コンサルティング事業
火力発電所建設準備調査
インド
再エネ導入基礎調査
キューバ
太陽光システム詳細設計調査
マーシャル
内蒙古
内蒙古
内蒙古 IPP
(風力)
総 出 力:5万kW
持分出力:1.5万 kW 中国
新桃
新桃
新桃電力 IPP
(ガス)
総 出 力:60万kW
持分出力:19.9万kW 台湾
トゥクスパン2号・5号 IPP
(ガス)
総 出 力:49.5万k×ばつ2
持分出力:24.8万k×ばつ2 メキシコ
イリハン IPP
(ガス)
総 出 力:120万kW
持分出力:9.6万kW フィリピン
フーミー
フーミー
フーミー3号 IPP
(ガス)
総 出 力:74.4万kW
持分出力:19.9万kW ベトナム
サルーラ
サルーラ
セノコ
セノコ
セノコ
・エナジー社
(ガス
・石油)
総 出 力:330万kW
持分出力:49.5万kW シンガポール
サルーラ IPP
(地熱)
〔一部稼働建設中〕
総 出 力:32万kW
持分出力:8.0万kW インドネシア
当社グループは、
九州から世界に向けて、
「ずっと先まで、
明るくしたい。」という思いを胸に、
海外エネルギー事業を通じて皆さまとともに成長します。
九州電力グループの海外エネルギー事業の取組みに
ついて、
(株)
キューデン・インターナショナルの代表取
締役社長を兼任されている掛林常務執行役員にお話
をうかがいました。
掛林常務執行役員へのインタビュー
2030年の目標
500万kW
海外発電事業持分出力
153万kW
(総出力699万kW)
19カ国・地域 68件
(2017年6月末)
IPP等投資事業 海外コンサルティング事業
海外エネルギー事業の実績
特集2 海外エネルギー事業の強化に向けた取組み
常務執行役員兼(株)
キューデン・インターナショナル
代表取締役社長
掛林 誠
九州電力 アニュアルレポート 201724 九州電力グループ中期経営方針
(2015年4月公表)
及びその中期経営方針における
財務目標
(2017年6月公表)
において打ち出された海外エネルギー事業に関する目標
(右下グラフ)
について、
実現に向けた思いと戦略を教えてください。
当社の2017年現在の持分出力153万kWは、
約20年間の努力の成果です。
今後5年間でその約6割に相当
する約90万kWを新たに積み上げなければなりません。
更に、
2030年目標の500万kWを実現するには、
2022年度以降の9年間で260万kWを獲得しなければな
らず、
これから開発スピードを2倍、
3倍に引き上げなければいけません。
チャレンジングな目標であるということがお分かりいただけると思いますし、
正直、
私自身が圧倒されてしま
いそうな数値目標です。
ただし、
世界には電化率が依然として低い国、
地域がたくさんあ
り、
例えばOECDの
「World Energy Outlook 2016」
によると、世界の電力需要は今後もアジア、
アフリカ、
中南米などを中心に伸び
続け、
2040年の設備容量は、
2015年比の倍近い112億kWにま
で増えると予測されています。
したがって、
目前の世界の旺盛な電力需要を好機と捉えてプロ
の電力・エネルギー事業者として最善を尽く
して、
目標に向かってひ
た走りに走るということです。
また、
人材と技術をフル活用し、
未知
の困難と格闘しながら国際貢献ができる事業はやりがいがあります
し、
九州人として意気にも感じております。0300600(万kW)
2030年時点
2017年時点 2021年時点153500240海外持分出力の目標
2017年3月、
インドネシア・北スマトラでサルーラ地熱発電所初号機が営業運転を開始しましたが、
九州電力グ
ループにとって初の海外地熱発電事業であるサルーラ地熱IPPプロジェク
トの意義と展望をお聞かせください。
サルーラ地熱IPPプロジェク
トは全号機が運転開始すれば世界
最大級の地熱発電所
(32万kW)
になります。
参画してから約10年の月日が経っており、
その間には海外投資
事業を控えざるを得ない時期もありましたが、
本プロジェク
トだけ
は例外的に仕掛り案件として検討を継続し、
当社グループの地熱発
電の技術とノウハウを惜しみなく投入してきました。
本プロジェク
トは、
当社グループの海外投資事業の巻き返しの象
徴であり、
ここから得られた知見は、
次の国内外での地熱プロジェク
トの開発に活かされます。
また、
地熱発電は再生可能エネルギーの中でも安定供給という面で優れているため、
今後も開発されるべき電
源の一つとして、
世界的にニーズが高まっています。
当社グループは、
国内地熱の開発と発電所の運営実績は相当ありますが、
国際的な知名度はこれからだと思
います。
サルーラ地熱IPPプロジェク
トをきちんと仕上げ、
長期安定運転の道筋をつけることが、
世界の地熱IPP
市場で本格的に名乗りを上げるチャンスになると考えています。
更に2016年には、
海外コンサルティング事業として、
ケニア・オルカリア地熱発電所の運営・保守に関する調査
(国際協力機構
(以下、
JICA))を受託しました。
当社が地熱分野で取り組んだ初めてのコンサル案件で、
グルー
プ会社の西日本技術開発
(株)、西日本プラン
ト工業
(株)
も参画しています。
このように、
地熱分野でIPPとコン
サルティングを同時並行で進めてきたことが、
当社にとっての大きな自信となっていますし、
次のチャンスへの
備えはできていると言えます。
2017年3月、
サルーラ地熱発電所初号機が営業運転
を開始
九州電力 アニュアルレポート 2017 25
Our Strategy特集2海外エネルギー事業の強化に向けた取組み
特集2:海外エネルギー事業の強化に向けた取組み
海外コンサルティング事業については、
IPP事業に比べると社内でもあまり知られていないようですが、
どのような役割を果たすものなのでしょ
うか。
続きまして、
サルーラを含め、
現在営業運転を行っている8つのIPPプロジェク
トの状況と
今後の海外エネルギー事業の展開における役割をお聞かせください。
当社グループは海外コンサルティング事業に長
年取り組んできており、
2000年から2017年6月末
までの間に、
19ヶ国・地域において68件を受託して
います。
しかしながら、
海外事業として本格的に展開
し始めたのは2012年頃からで、
案件数、
受託額とも
に以前の倍のスピードで取り組んでいます。
海外コンサルティング事業は、
競争入札が基本で
すので、
過去の実績や人材、
実施体制、
プロポーザ
ルの質等、
幅広い観点で評価されます。
初めは失注続きの試行錯誤でしたが、
ここ数年で
努力が実り、
地熱や離島供給、
電力基本計画、
石炭火
力など幅広く案件を受注しており、
当社グループの
強みをいかんなく発揮できたと思います。
電力やエネルギー設備は、
経済・産業や暮らしに直
結する重要な社会インフラであり、
一旦発電所や電
力網等の基本計画ができると容易には方向転換はできません。
したがって、
コンサルティングでは、
計画段階から
相手国の課題やニーズをしっかりと理解し、
最適ソリューションを追求、
提案します。
一方でコンサルティングを通
じ、
当社の海外事業戦略を考えていく上でのヒン
トも得られます。
コンサルティングが
「将来のための種まき」
と言
われる所以です。
コンサルティングのポイントは、
自分たちの目線ではなく、
相手目線で課題を見ることだと思います。
先進国
の技術を一方的に押し付ける姿勢や態度では決して上手く行きません。
何よりも相手が納得し、
継続できること
が重要です。
その点、
当社のコンサルティングチームは、
素朴な好奇心で真正面から相手と向き合い、
ソリュー
ションの提供に努め、
大きく成長していると評価しています。
8つのIPPプロジェクト(うちシンガポールのセノコ・エナジー社は発電・小売事業であり、
発電専門のIPPとは
異なる事業形態)
は、
これからの海外エネルギー事業の展開において基礎となる重要なものです。
当社は、
建設から運転に至るまでハンズオン方式、
いわゆる現場主義を大事にしてきました。
例えばベトナムやメキシコでは、
現地従業員の育成や運転技術の移転にも力を注ぎ、
現場力を総合的に高め
るなど、
ユーティリティ
(=公益事業者)
として、
電力安定供給のミッションのもと、
人材育成でも手を抜かないと
いうコミッ
トメントを海外でも守り抜いています。
このほか、
IPPではコンソーシアムのパートナー企業やプロジェク
トファイナンスの融資銀行をはじめ、
多くの
関係者との信頼関係が海外事業の礎として大きな資産になっています。
また、
この積み重ねが次の新たなプロ
ジェク
トに結びつくこともあり得ると思っています。
このような流れからも、
既存プロジェク
トは過去の遺産ではなく、
未来への発射台という意味合いが強いと思
いますし、
これからも大事にしていきます。
くろまる 新たな研究
・技術開発等の機会創出
研究・技術開発
海外IPP事業
海外コンサルティング
国内電気事業
くろまる 国際貢献
くろまる 
ネッ
トワーク構築、
将来事業への種まき
くろまる グローバル人材育成や技術力向上
くろまる 
新たな知見
・技術力の
習得
くろまる 人材育成や動機づけ
くろまる 新規事業機会の創出
海外コンサルティング事業による技術・ノウハウの
好循環のイメージ
くろまる 新たな研究
・技術開発等の機会創出
九州電力 アニュアルレポート 201726 2017年4月の組織改正が今後の海外エネルギー事業の展開に対
し、
どのような効果を有することになるのでしょ
うか?2017年4月、
当社の国際事業本部が発展的に解消し、
海外
事業部門は社長直轄組織の
「国際室」と「
(株)
キューデン・イン
ターナシ
ョナル
(以下、
インター)」に分かれました。
国際室は、
中長期的な視点に立って、
情報収集や国際協
力、
社内外を
「海外エネルギー事業」
というキーワードで連携
させるプラッ
トフォームの機能を果たし、
インターはこれまで
の海外投資事業のアセッ
トマネジメントや新規案件の開発、
更には海外コンサルティングなど、
当社グループの海外事業
をコアとなって推進する
ドライビングフォースです。
インターは、
当面は小規模ですが、
身軽で小回りが利く今
こそ、
臆することのないチャレンジと変革を意識した行動志向の組織づくりを実現できます。
過去には、
有望と思われる発電事業や海外コンサルティング案件の獲得に腐心し、
結果として失注も積み上げ
ましたが、
「失敗は成功のもと」
です。
これからも海外事業に果敢に取り組むことによって、
人が育ち、
ノウハウが蓄
積されるとともに、
「次のプロジェク
トがプロジェク
トの報酬になる」
といったような価値の連鎖が起こると信じて
います。
国際室とインターは、
変化の早い時代にふさわしい、
開発力と発想力、
人材を循環させるハイブリッ
ド型の海
外事業ビークルとして、
前に向かって進みます。
グループ総合力で
"国際ソリューション"
ルワンダ 地熱/電力マスタープラン支援プロジェクト(記:九州電力
(株)
国際室 国際ソリューショングループ 課長 吉田 勝美)
当社がアフリカで最初に挑んだ本格的な海外コンサルティングはル
ワンダの地熱/電力マスタープランです。
ルワンダは、
エネルギー資源に乏しく、
地熱開発を進めるも上手くい
かないなどの問題を抱えていました。
そこでJICAは地熱・電力両面の開発計画調査
(マスタープラン)
の策
定を支援するプロジェク
トを計画し、
当社とグループ会社の西日本技術
開発
(株)
(以下、
西技開発)
が共同でこれを受託しました。
当社が需要想
定、
電源/系統の基本計画
(マスタープラン)
を、
西日本技術開発
(株)が地熱マスタープランを担当しました。
例えば、
需要想定の更新をルワンダ自身が行えるよう、
分析には汎用の表計算ソフ
トを用い、
手順書やワーク
ショ
ップなどで相手の理解を促すなど、
知識だけでなくスキルも相手に根づかせるキャパシティ・ビルディング
(能力開発)
の要素もプロジェク
トに盛り込みました。
ルワンダの現状に合わせたいわゆる
"手づくり"
の報告書は、
ルワンダ、
JICAの双方から高い評価を受け、私にとって忘れ得ないコンサルティング初航海の修練場となりました。
ルワンダでの経験も活かし、
今後もグループの総合力で新天地での新たなソリューションに挑戦します。
海外
コンサルティング
紹介
当社グループのルワンダ調査団
(筆者:左端)
九州電力 アニュアルレポート 2017 27
Our Strategy特集2海外エネルギー事業の強化に向けた取組み

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