2016年4月に開始された電力小売全面自由化によ
り、
当社は本格的な競争の時代に突入いたしました。
お客さまは単に価格が安いだけで電力会社を選ぶの
ではなく、
価格に加え、
「サービス」、「地域への貢献」、「信
頼感」
などを総合的に判断されるのではないかと考えて
おります。
当社は、
九州に本店を置く企業であり、
九州地域の皆
さまとともに歩んでいくことを基本姿勢として、
電気事
業を60年以上にわたり運営してまいりました。
このたびの電力小売全面自由化の開始にあたり、
お客さまのライフスタイルに応じてお選びいただける
「料金プラン」
や、
毎日の生活に
「あんしん」
をお届け
する新サービス
「九電あんしんサポート」
などを開始
いたしました。
これらをご案内するため、
お客さまと直接ふれあい、
お話しさせていただく
「顔の見える営業」
を積極的に展
開しております。
また、
2015年の秋に再稼働した川内原子力発電所
事業環境が大きく変化する中、
確かな一歩を踏み出した1年でした。Q1A1
2016年度を振り返ってどのように総括しますか
代表取締役社長
瓜生 道明
社長インタビュー
九州電力 アニュアルレポート 201712 1、
2号機につきましては、
再稼働をゴールではなくスタ
ートであると認識し、
日々の運転管理などに努めた結
果、
大きなトラブルもなく、
安全・安定運転を継続するこ
とができました。
また、
1日も早い再稼働を目指している
玄海原子力発電所3、
4号機につきましても、
原子炉設置
変更許可を受領するなど、
再稼働へのステップは確実に
進展したと実感しております。
業績につきましては、
熊本地震に伴う特別損失の計上
はありましたが、
現行の電気料金の前提である玄海原
子力発電所3、
4号機が再稼働に至っていない中、
グル
ープ一体となって費用削減に取り組んだことや、
川内原
子力発電所1、
2号機の安定稼働により燃料費が減少し
たことなどから、
2期連続の黒字を達成することができ
ました。
このように、
2016年度は、
苦しみながらも、
当社グル
ープ一体となって、
課題を一つひとつ着実に乗り越え、
新たな時代に向かって確かな一歩を踏み出すことがで
きたと感じております。
当社は電力小売全面自由化開始以降、
九州に50ある
営業所が中心となって
「顔の見える営業」
を展開しており
ますが、
当社から他社への離脱は継続しております。
2017年4月にガスの小売全面自由化が開始され
たことを受け、
当社も電気とガスのセッ
ト販売を開始
いたしました。
電力需要の離脱防止や、
当社から離脱したお客さま
に再度当社をお選びいただけるよう、
電気とガスのセッ
ト販売をお客さまにしっかりとお伝えしてまいります。
2017年6月30日時点で、
約3万件のガス契約の申込
みをいただいており、
目標とする2017年度4万件の早
期達成に向け、
これまで以上に
「顔の見える営業」
を積極
的に展開してまいります。
電気とガスのセッ
ト販売を有効な武器として活用し、
離脱防止と離脱したお客さまの取戻しを目指します。Q2A2
2017年度はガス小売全面自由化が開始されましたが、
競争の進展にどのように対応されるのか、
お考えをお聞かせください
玄海原子力発電所3、
4号機につきましては、
原子炉
設置変更許可
(基本設計)
を2017年1月に受領し、
同年4、6、
7月に3号機の工事計画認可申請
(詳細設計)
に係
る補正書を、
同年4月に保安規定変更認可申請
(運転管理・
体制)
に係る補正書を提出しました。
現在、
工事計画認可申請、
保安規定変更認可申請に
係る原子力規制委員会の審査に引き続き対応してお
りますが、
審査やその後の使用前検査にかかる時期は
はっきり
しないため、
再稼働の具体的な時期は見通せな
い状況です。
当社は、
玄海原子力発電所3、
4号機の一日も早い再
稼働を目指して、
グループ一体となって、
引き続き審査・検査に真摯かつ丁寧に対応してまいります。
玄海原子力発電所3、
4号機の一日も早い再稼働を目指して、
引き続き審査・検査に真摯かつ丁寧に対応してまいります。Q3A3
玄海原子力発電所再稼働に向けた進捗状況をお聞かせください
九州電力 アニュアルレポート 2017 13
Our Strategy社長インタビュー
地域の皆さまへのご説明
火災防護対策、
内部溢水対策、
津波対策など
保安検査
保安規定変更認可審査
使用前検査
工事計画認可審査認可許可認可
補正
申請
補正
申請
補正
申請
原子炉設置変更許可審査申 請適合性審査関係安全対策工事地元のご理解営業運転
パブコメ
発電
再開
再稼働プロセス
社長インタビュー
当社グループは、
「ずっと先まで、
明るくしたい。」をブ
ランドメッセージとする
「九州電力の思い」
のもと、
低廉
で良質なエネルギーをお客さまへ安定してお届けする
ことを通じて、
お客さまの生活や経済活動を支え、
九州
とともに成長を続けてまいりました。
近年では、
2015年4月に、
お客さまから信頼され、選ばれ続けるために目指す経営の方向性として
「九州電力
グループ中期経営方針」
を策定し、
原子力発電所の早期
再稼働、
あらゆる収支改善対策、
電力・ガスの小売全面
自由化を勝ち抜くための取組みなどに、
最大限の努力
を傾注してまいりました。
エネルギー事業を取り巻く環境が変化し続ける中、お客さまや投資家の皆さまに対して、
当社グループの経
営姿勢を更に明確にし、
経営革新への取組みを一段と
加速していく必要があると考え、
このたび、
中期経営方
針に掲げた
「2030年のありたい姿」
の実現に向けて、
くろまる 財務基盤の回復・強化の観点から
「自己資本比率」
くろまる 成長の源泉となる利益拡大の観点から
「経常利益」
くろまる 更なる成長の追求の観点から
「成長投資」
の3つを、
今後5か年の財務目標として設定することとい
たしました。
事業環境が変化し続ける中、
当社グループの経営姿勢を更に明確にし、経営革新への取組みを一段と加速化していく必要があると考え、
今後5か年の財務目標を設定いたしました。Q4A4
「九州電力グループ中期経営方針における財務目標」
を2017年6月に公表されましたが、
策定に至った背景や目標達成に向けたビジョンをお聞かせください
九州電力 アニュアルレポート 201714 (%)25.419.711.910.5
9.0 10.112.0’22.3’17.3’16.3’15.3’
11.3 ’
12.3 ’
13.3 ’14.3原子力発電所の長期停止に伴う
自己資本の毀損
20%程度
2017〜2021平均20162008〜2010平均
1,100以上940620
(億円)
ありたい姿の実現に向けた財務目標
まず、
「自己資本比率」
につきましては、
東日本大震災前(2010年度末)
は25%程度の水準でしたが、
その後
の原子力発電所の長期停止に伴い、
2014年度末には
9.0%まで下落しました。
川内原子力発電所1、
2号機再稼働後、
徐々に回復し
ているものの、
電力・ガス市場における競争激化など経
営環境が厳しさを増す中、
今後、
安定したグループ経営
を行っていくためには、
毀損した財務基盤の回復が急務
であることから、
震災前水準を念頭に置きつつ、2021年度末で、
まずは20%程度の自己資本を確保すること
を目標といたしました。
次に、
「経常利益」
につきましては、
自己資本比率20%
目標の達成及び更なる成長に向けた源泉確保に必要な
水準を1,100億円程度とし、
これ以上の利益を確保して
いきたいという思いで2017年度から2021年度平均
1,100億円以上を目標といたしました。
最後に、
持続的に利益を創出し、
更なる成長を目指し
ていくための
「成長投資」
につきましては、
2017年度か
ら2021年度累計で4,200億円という目標を設定いたし
ました。
海外電気事業につきましては、
当社グループは早い
時期から取り組んでいることから、
ビジネスパートナー
との信頼関係や技術力の面で強みがあると考えており、
今後も投資することで、
2021年度に70億円、
2030年
度に100億円の経常利益を目指してまいります。
また、
再生可能エネルギー事業につきましては、グループ会社の九電みらいエナジー
(株)
や西日本技術
開発
(株)
と協力しながら今後も投資することで、2021年度に20億円、
2030年度に90億円の経常利益を目指
してまいります。
更に、
2021年度以降も引き続き積極的な投資を行う
ことで、
こうした成長事業での利益を更に拡大し、
経常
利益に占める成長事業のシェアを現状の20%程度から
30%程度に拡大することを目指してまいります。
自己資本比率 経常利益
(年度)
1自己資本比率
財務基盤の回復
・強化
20%程度
(2021年度末)
1,100億円以上
(2017〜 2021年度平均)
4,200億円
(2017〜 2021年度累計)
2経常利益
成長の源泉となる利益の拡大
3成長投資
更なる成長の追求
成長に向けた取組み
取組みの加速
「ありたい姿」
の実現20212017 2030...
財務目標
現状
ありたい姿
九州電力 アニュアルレポート 2017 15
Our Strategy社長インタビュー
海外
再生可能
エネルギー
情報通信
域内電源
その他(注記)
(注記)その他は
域外電源、
燃料権益 など
(億円)
4,200
2017〜2021
累計
2012〜2016
累計6001,100
1,100850550
2,880950520
1,04032050
社長インタビュー
配当につきましては、
安定配当の維持を基本として、
業績などを総合的に勘案し、
決定することと
しております。
2017年3月期の配当につきましては、
財務体質の改
善を図るとともに、
株主の皆さまへの利益の還元を図
る観点から、
当該年度の業績や中長期的な収支・財務状
況などを総合的に勘案の上、
前期の5円から10円増配
し、
15円の配当とさせていただきました。
将来の配当水準につきましては、
自己資本の回復状
況や中長期的な収支・財務状況などを踏まえて検討して
まいりますが、
可能な限り速やかに震災前の水準に回復
できるよう努めてまいります。
なお、
2018年3月期の配当につきましては、
現時点で
は玄海原子力発電所3、
4号機の具体的な再稼働時期が
見通せないことなどから
「未定」
とさせていただいており
ますが、
引き続き一定程度の配当ができるよう、
前向き
に検討しているところです。
引き続き、
一定程度の配当ができるよう、
玄海原子力発電所3、
4号機の
早期再稼働に向けた取組みや、
経営全般にわたる更なる効率化の徹底
などに努めます。Q5A5
2017年3月期は前期から増配となりましたが、
今後の配当については
どのようにお考えですか010203040502017期末
中間
(円)2016201520142012 20135150 003020
(3月31日終了事業年度)
配当金の推移 普通株式
成長投資0(億円)
(年度)20302012〜2016
平均
2021年までの
投資による利益2021102090
2021年以降の
投資により更に拡大
海外電気事業の経常利益の見通し
再生可能エネルギー事業の経常利益の見通し0(億円)
(年度)20302012〜2016
平均
2021年までの
投資による利益20212070100
2021年以降の
投資により更に拡大
(年度)
九州電力 アニュアルレポート 201716 2017年度を更なる成長・飛躍に向けたゆるぎない土
台を構築する1年にするべく、
「原子力の安全性・信頼性
の向上と玄海原子力発電所の再稼働」、「競争を踏まえ
た迅速・的確な取組み」
そして
「人と組織の変革」
という
課題に取り組んでまいります。
まず、
原子力発電につきましては、
原子力の安全性・信頼性の向上を経営の最重要課題として、
自主的かつ
継続的に、
より高みを目指した取組みを進めていくとと
もに、
現行の電気料金の前提である玄海原子力発電所3、4号機の早期再稼働に向けて、
当社グループ一体と
なって対応してまいります。
また、
電力小売全面自由化により厳しい競争環境下
にある電力小売事業につきましては、
2016年度以上に
九州各地の営業所ネッ
トワークを活かした
「顔の見える
営業」
を積極的に展開し、
離脱拡大防止に努めてまいり
ます。
そして、
2017年4月から全面自由化が始まったガ
ス事業につきましても、
ご家庭向けに
「きゅうでんガス」
の販売を開始しており、
今後、
オール電化に加え、
お客さ
まのご要望に応じて、
ガスも組み合わせた多様なエネル
ギーサービスを展開してまいります。
更に、
2017年4月に、
事業環境が大きく変化する中、
事業分野ごとの特性に応じた最適な事業戦略のもとで
自律的な業務運営を推進するために、
これまでの本部な
どを統括する
「統括本部」
を新たに設置するとともに、送配電事業において、
組織上も、
高い独立性・中立性を実
現する
「送配電カンパニー」
を設置する大規模な組織・業
務運営体制の見直しを行いました。
今回の組織改正を、
更なる変革の絶好のチャンスと捉え、
企業グループとし
ての成長性・マネジメン
ト強化を目指してまいります。
これらの取組みを当社グループ一体となって進める
ことにより、
持続的な成長を目指すとともに、
ステークホ
ルダーの皆さまへの価値提供を果たしてまいります。
中期経営方針5か年の折返しにあたる今年度を、
更なる成長・飛躍に向けた
「ゆるぎない土台を構築する1年」
にするべく取り組んでまいります。Q6A6
最後に、
2017年度の抱負をお聞かせください
九州電力 アニュアルレポート 2017 17
Our Strategy社長インタビュー

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