原子力発電所の安全


安心に向けた取組み
特集1
これらの取組みを通じて、
常に世界最高水準の安全性を目指していく
しかく 当社はこれまでも原子力の危険性を常に自覚し、
原子力発電所の安全確保に努めてまいりました。
東日本大震災以
降、
福島第一のような事故を決して起こさないという強い決意のもと、
新規制基準も踏まえ、
原子力の安全確保に万
全を期すための対策を実施しているところです。
しかく 今後につきましても、
原子力のリスクを経営の最重要課題と位置づけ、
規制の枠組みに留まることなく、
原子力の自主
的な安全性向上の取組みを継続・改善していくことが何より重要と考えております。
しかく そのために、
経営ト
ップが主導するリスクガバナンスの枠組みのもと、
以下の取組みを推進してまいります。
原子力の自主的・継続的な安全性向上への取組みについて
地域の皆さま 聴き手
コミ
ュニケーション
(充実)
リスクマネジメント(強化)
原子力発電所の安全性向上
当社Do(実行)
Check
(評価)Plan(計画)
Action
(改善)
安全文化
(更なる醸成)1234
リスクガバナンスの枠組みの概念図
安全文化の更なる醸成
安全性向上の自主的・継続的な取組みの土台となる安全文化を醸成していく1原子力発電所の安全性向上への取組み
原子力発電所の安全性向上に向け、PDCAを繰り返し、
ハード・ソフ
トの対策に取り組む3地域の皆さまとのコミュニケーションの充実
上記の取組みを地域の皆さまとのコミ
ュニケーショ
ンによって共有するとともに、
皆さまの声をお聴きし、
当社の取組みに反映していく4リスクマネジメントの強化
PDCAサイクルを通じたリスクマネジメン
トにより、
安全性を高めていく2
1. 原子力発電所の安全・安心に向けた取組み 2. 再生可能エネルギーの積極的な開発・導入
Section 1
九州電力早わかり
Section 2
マネジメントメッセージ
Section 4
経営基盤
Section 5
財務情報
16/74 九州電力 Annual Report 2014
Section 3
特集
しかく 当社は、
2013年7月に川内1、
2号機、
玄海3、
4号機において実施している安全対策について国が定めた新規制基準
への適合性確認のための申請を行いました。
しかく また、
川内1、
2号機については、
これまでの適合性審査内容を反映した原子炉設置変更許可申請の補正書を、
2014年
4月30日及び6月24日に原子力規制委員会へ提出しました。
しかく 原子力規制委員会は、
7月16日、
当社の原子炉設置変更許可に関する申請内容が新規制基準に適合しているとする
審査書案を了承し、
公表しました。
その後、
審査書案に対する科学的・技術的意見の募集が、
7月17日より8月15日ま
での期間
(30日間)
で行われました。
しかく 当社としては引き続き、
ハード・ソフ
ト両面から安全性・信頼性向上への取組みを自主的・継続的に進め、
原子力発電所
の安全確保に万全を期していきます。
新規制基準を踏まえた当社の安全対策
従来 新規制基準
シビアアクシデン
ト対策等
(事業者の自主保安)
従来の安全基準
炉心損傷に至らない状態を
想定した設計上の基準
(設計基準)
(単一の機器の故障のみを想定等)
自然現象に対する考慮
火災に対する考慮
電源の信頼性
その他の設備の性能
耐震・耐津波性能
自然現象に対する考慮
(火山・竜巻・森林火災を新設)
内部溢水に対する考慮
(新設)
火災に対する考慮
電源の信頼性
意図的な航空機衝突への対応
放射性物質の拡散抑制対策
格納容器破損防止対策
炉心損傷防止対策
(複数の機器の故障を想定)
その他の設備の性能
耐震・耐津波性能2重大事故等対策新設(テロ対策・シビアアクシデント対策)強化又は新設強化1設計基準新規制基準の全体像
1. 原子力発電所の安全・安心に向けた取組み 2. 再生可能エネルギーの積極的な開発・導入
Section 1
九州電力早わかり
Section 2
マネジメントメッセージ
Section 4
経営基盤
Section 5
財務情報
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Section 3
特集
基準地震動
しかく 広範囲にわたる詳細な地震や地質に関わる調査結果、
新たな知見等に基づき、
安全側の評価を実施
【敷地ごとに震源を特定して策定する地震動】・ 地震調査研究推進本部の活断層評価結果等を踏まえても、
基準地震動Ss‐1
(540ガル)
は変わらないことを確認
【震源を特定せず策定する地震動】・ 北海道留萌支庁南部地震を考慮した結果、
新たな基準地震動Ss‐2
(620ガル)
を追加
【免震重要棟用基準地震動】・ ゆったりとした長い揺れの影響を受ける可能性がある免震構造を採用する、
免震重要棟の耐震設計に用いる基準地震動Ss‐L(400ガル)
を追加
基準津波
しかく 現在の知識・データが全てとせず、
安全意識として、
これを超えることが起こりうるとの観点で、
安全側の評価を実施・ 基準津波について、
琉球海溝におけるプレー
ト間地震
(Mw9.1)
を考慮して見直し
発電所
(取水口付近)
の最高水位は、
海抜5
m(注記)
程度
(満潮時)
(注記)地盤沈下や潮位のばらつきを含めた発電所の最大遡上高さは海抜約6m・
海抜5
mに位置する海水ポンプエリアの防護壁や引き波時にも取水可能となるよう取水口前面に貯留堰を設置
設計基準への対応
(川内原子力発電所の主な取組み)
川内原子力発電所の基準地震動
加速度
(cm/s2)
1,800
1,500
1,20090060030001010.10.01 周期
(秒)
基準地震動Ss‐1
(540ガル)
北海道留萌支庁南部地震を考慮
した基準地震動Ss‐2
(620ガル)
北海道留萌支庁南部地震の概要
琉球海溝
(今回の想定区間)
川内原子力発電所
長崎海脚断層
くろまる 発生日:
2004 年12月14日
留萌
くろまる マグニチュード:
Mw5.7
基準津波策定位置
津波の伝播
津波の発生
取水口付近の津波の高さ
海抜5m程度
(満潮時)
敷地の高さ
海抜13m
地震
約8km
津波評価で想定した津波発生源 津波評価の概要
海水ポンプエリアの防水対策
1. 原子力発電所の安全・安心に向けた取組み 2. 再生可能エネルギーの積極的な開発・導入
Section 1
九州電力早わかり
Section 2
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Section 4
経営基盤
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Section 3
特集
火山影響評価
しかく 過去に破局的噴火があったカルデラについて、
モニタリングを実施・ 火山の状態に変化がないことを定期的にモニタリング
(地殻変動・地震活動の観測データ、
公的機関の公表情報等を収集・分析)・ 破局的噴火に発展する可能性がある場合、
原子炉の停止、
燃料体
等の搬出を実施
しかく モニタリングに係る委員会を立ち上げるなど、
具体的な仕組みを構
築するとともに、
専門家の意見等も取り入れながら、
継続的な取組
みを実施
炉心損傷防止対策
しかく 原子炉にある燃料
(炉心)
を損傷させないために、
可搬型
注入ポンプや移動式大容量ポンプ車などによる原子炉
内の冷却対策等を実施
重大事故等対策への対応
(川内原子力発電所の主な取組み)
玄海原子力発電所
川内原子力発電所
160km
160km
阿蘇山 阿蘇カルデラ
加久藤・小林カルデラ
阿多カルデラ
鬼界カルデラ
池田
桜島
開聞岳
薩摩硫黄島
姶良カルデラ
霧島山
若尊
モニタリング対象火山
使用済燃料貯蔵プールの冷却対策
しかく 使用済燃料貯蔵プールにある燃料を損傷させないため
に、
水中ポンプによる冷却対策等を実施
現地対策本部としての機能を維持する緊急時対策所
しかく 代替緊急時対策所の設置
しかく 免震重要棟の設置
(2015
年度)
移動式大容量ポンプ車
代替緊急時対策所
使用済燃料ピット補給用水中ポンプ
可搬型
注入ポンプ
可搬型注入ポンプ
によるスプレイ
中間受槽
淡水池・海
使用済燃料
貯蔵プール
格納容器破損防止対策
しかく 放射性物質を閉じ込める役割を持つ格納容器の破損を
防止するために、
可搬型注入ポンプなどによる格納容器
内の冷却・減圧対策や、
水素爆発防止対策等を実施
放射性物質拡散抑制対策
しかく 格納容器が破損した場合など
に、
放射性物質の外部への拡
散を抑える放水砲による放水
等の対策を実施
電源のサポート機能
しかく 電源供給手段を多
様化
放水砲による放水試験
大容量空冷式発電機
(交流)
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Section 3
特集
川内原子力発電所 緊急時対策所での訓練
(首相官邸等とのテレビ会議による連携) Q. 現在の発電所の雰囲気は、
また、
今後の取組みはA. 原子力規制委員会において、
川内原子力発電所の
「審査書案」
が公表
され、
今は再稼働に向けて、
全所員のモチベーションが高まっていると
同時に、
大きなプレッシャーを感じています。 新規制基準で示した安全対策の現場への実践化に向け緊張感を持っ
て業務に取り組んでおり、
安全を最優先に所員・協力会社が一体と
なって、
「一致団結・総合力」
で準備を進めているところです。 今後は、
一人ひとりが、
自分の持ち場を守り、
いつ、
どんな状況におい
ても適切に対応できるよう、
繰り返し訓練を行っていくことが必要不
可欠と考えています。
再稼働に向け、
所員一丸となって安全対策や訓練を行っています
執行役員
川内原子力発電所長
藤原伸彦
(単位:人)
訪問活動 説明会
発電所
見学会
合計
2013年度 約33,000 約39,000 約9,000 約81,000
2012年度 約23,700 約28,800 約10,500 約63,000
コミュニケーション活動の実績
(九州全域)
Q. 所長として心がけていることはA. どんなに設備を強化しようとも、
安全を確保していくためには、
それを取り扱う所員の
「力」
はもちろんのこと、
五感に基づく「直感」
が大事だと思っています。
そのため、
「目配り、
気配り、
思いやり」
で所員のわずかな変化も見落とさないようにし
ています。 また、
原子力発電所は協力会社の方を含め多くの方が働いています。
その中で、
相手のことを理解し、
人と人との思いを
つなぎ、
組織の一員として力を発揮してもらうためには
「声を出して自分の思いを伝える」
「相手の思いに耳を傾ける」といったコミュニケーションが大切と考えています。 私自身、
毎日、
事務所を含めて現場を見廻りながら、
所員一人ひとりの顔色や雰囲気などに留意するとともにコミュニ
ケーションの機会をできるだけ多く持てるよう心がけています。
川内原子力発電所長インタビュー
コミュニケーション活動の実施状況
当社原子力発電所の安全対策について全九州における説明訪
問や発電所見学会など、
フェイス・トゥ・
フェイスのコミュニケーショ
ン活動を実施しています。
また、
国、
関係自治体や関係機関との緊密な連携が図れるよう
に、
適宜・的確な情報発信に努めています。
国や自治体と連携した訓練の実施
昨年10月、
福島第一事故の教訓を反映した新たな原子力防災
体制のもとでは初めてとなる、
国主催の原子力防災訓練が実施さ
れました。
1. 原子力発電所の安全・安心に向けた取組み 2. 再生可能エネルギーの積極的な開発・導入
Section 1
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