1.経営成績等の概況

(1) 当期の経営成績の概況
平成28年度のわが国経済は、輸出など一部に弱い動きがみられたものの、設備投資が増
加するなど緩やかな回復基調が続きました。九州経済は、4月の平成28年熊本地震で生じ
た需要減少等の影響が和らぐもとで、生産・住宅投資・公共投資の増加、輸出の持ち直し
の動きなどにより、緩やかに回復してきました。
平成28年度の業績につきましては、平成28年熊本地震に伴う特別損失の計上はありまし
たが、玄海原子力発電所3、4号機が発電再開に至っていないなか、グループ一体となっ
て費用削減に取り組んだことや、平成27年8月以降に発電を再開した川内原子力発電所の
安定稼働などにより燃料費が減少したことなどから、黒字となりました。これに加え、連
結子会社において、海外電気事業からの受取配当金の増加などもあり、増益となりました。
1収支
当年度の連結収支につきましては、収入面では、電気事業において、再エネ特措法交付
金や他社販売電力料の増加はありましたが、燃料費調整の影響による料金単価の低下や販
売電力量の減少などにより電灯電力料が減少したことなどから、売上高(営業収益)は前年
度に比べ 0.4%減の1兆8,275億円となりました。また、エネルギー関連事業において、
受取配当金が増加したことなどにより、経常収益は 0.3%減の1兆8,456億円となりまし
た。
一方、支出面では、電気事業において、再生可能エネルギー電源からの他社購入電力料
は増加しましたが、グループ一体となって費用削減に取り組んだことや、川内原子力発電
所の安定稼働や燃料価格の下落などにより燃料費が減少したことなどから、経常費用は
0.5%減の1兆7,514億円となりました。
以上により、経常利益は前年度に比べ 3.6%増の 942億円となりました。
また、平成28年熊本地震に伴う特別損失の計上はありましたが、法人税等の減少などか
ら、親会社株主に帰属する当期純利益は 7.9%増の 792億円となりました。
なお、玄海原子力発電所3、4号機は新規制基準への適合性審査が続いており、当社は
引き続きグループ一体となって、安全確保・法令遵守・安定供給を前提に、徹底した費用
削減に努めるとともに、玄海原子力発電所の早期再稼働に向けた取組みを進めてまいりま
す。
九州電力株式会社(9508) 平成29年3月期 決算短信
−2−
事業の種類別セグメントの業績(セグメント間の内部取引消去前)は、次のとおりとなり
ました。
セグメント別の業績(内部取引消去前)
(単位:億円、%)
28年度 27年度 増 減 前年度比
( A ) ( B ) ( A−B ) ( A/B )
売 上 高 しろさんかく 72 99.6
営業利益 21 102.3
売 上 高 5 100.3
営業利益 100 108 しろさんかく 7 93.0
売 上 高 1,014 1,035 しろさんかく 21 98.0
営業利益 84 102 しろさんかく 17 82.7
売 上 高 249 268 しろさんかく 18 93.0
営業利益 45 43 2 104.6
(注)「電気事業」は、当社事業から附帯事業を除いたものです。
ア 電気事業
売上高は、再エネ特措法交付金や他社販売電力料は増加しましたが、燃料費調整の影
響による料金単価の低下や販売電力量の減少などにより電灯電力料が減少したことなど
から、前年度に比べ 0.4%減の1兆6,850億円となりました。一方、営業費用は、再生
可能エネルギー電源からの他社購入電力料は増加しましたが、グループ一体となって費
用削減に取り組んだことや、川内原子力発電所の安定稼働や燃料価格の下落などにより
燃料費が減少したことなどから、0.6%減の1兆5,867億円となりました。以上により営
業利益は 2.3%増の 983億円となりました。
イ エネルギー関連事業
エネルギー関連事業は、電気設備の建設・保守など電力の安定供給に資する事業、お
客さまのエネルギーに関する様々な思いにお応えするため、ガス・LNG販売、再生可
能エネルギー、エネルギーサービス事業等を展開しています。また、九電グループが培
ってきた技術・ノウハウを活かし、海外エネルギー事業の強化や九州域外におけるエネ
ルギー事業の展開などにも取り組んでいます。
売上高は、スマートメーター導入に伴う従来型計器の整備受託の減少はありましたが、
発電所補修工事の増加などにより、前年度に比べ 0.3%増の 1,852億円、営業利益は、
スマートメーター導入に伴う従来型計器の整備受託の減少などにより、7.0%減の
100億円となりました。
ウ 情報通信事業
情報通信事業は、保有する光ファイバ網やデータセンターなどの情報通信事業基盤や
事業ノウハウを活用し、データ通信、光ブロードバンド、電気通信工事・保守、情報シ
ステム開発、データセンター事業等を展開しています。
売上高は、光ブロードバンドサービスに係る収入の増加などはありましたが、情報シ
ステム開発受託の減少などにより、前年度に比べ 2.0%減の 1,014億円、営業利益は、
光ブロードバンドサービス拡大に伴う租税公課や減価償却費の増加などにより、17.3%
減の 84億円となりました。
エネルギー 1,852 1,846
電気事業
16,850 16,923
983 961
関連事業
情報通信事業
その他の事業
九州電力株式会社(9508) 平成29年3月期 決算短信
−3−
エ その他の事業
その他の事業は、不動産、住宅関連サービス、介護事業等を主たる事業とする生活
サービス事業と、環境・リサイクル事業を展開しています。
売上高は、不動産販売に係る収入の減少などにより、前年度に比べ 7.0%減の
249億円、営業利益は、賃貸建物の減価償却費の減少などにより、4.6%増の 45億円と
なりました。
九州電力株式会社(9508) 平成29年3月期 決算短信
−4−
2販売及び生産の状況
当年度の販売電力量につきましては、電灯は、6月から10月の気温が前年に対し高めに
推移したことによる冷房需要の増加などから、前年度に比べ 1.5%の増加となりました。
また、電力は、一部工場における生産の減少などから、2.0%の減少となりました。
この結果、総販売電力量は 786億2千万kWhとなり、0.7%の減少となりました。
販 売 電 力 量 比 較 表
(単位:百万kWh、%)
電 灯 28,535 28,100 434 101.5
電 力 50,084 51,110 しろさんかく 1,025 98.0
合 計 78,619 79,210 しろさんかく 591 99.3
(注)百万kWh未満は四捨五入のため、合計の数値が一致しない場合があります。
供給面につきましては、川内原子力発電所1、2号機の安定稼働に加え、新エネルギー
等の増加に対して火力、揚水等の発電設備の総合的な運用を行うことにより、安定した電
力をお届けすることができました。
発 受 電 電 力 量 比 較 表
(単位:百万kWh、%)
水 力 4,788 4,776 12 100.3
( 出 水 率 ) ( 115.0 ) ( 111.4 ) ( 3.6 )
火 力 45,615 45,768 しろさんかく 153 99.7
原 子 力 12,455 8,108 4,347 153.6
(設 備 利 用 率) ( 31.9 ) ( 20.7 ) ( 11.2 )
新エネルギー等 1,133 1,199 しろさんかく 66 94.4
計 63,991 59,851 4,140 106.9
19,969 23,912 しろさんかく 3,943 83.5
( 8,590 ) ( 7,081 ) ( 1,509 ) ( 121.3 )
揚 水 用 しろさんかく 1,306 しろさんかく 677 しろさんかく 629 192.8
合 計 82,654 83,086 しろさんかく 432 99.5
(注1)自社の発電電力量は、第1四半期より送電端の数値を記載しています。
(注2)「新エネルギー等」は、太陽光、風力、バイオマス、廃棄物及び地熱の総称です。
(注3)「他社・融通」には、期末時点で把握している電力量を記載しています。自 社
(新エネルギー等再掲)
他 社・融 通
( A/B )
28年度 27年度 増 減 前年度比
( A ) ( B ) ( A−B )
前年度比
( A/B )
( A ) ( B ) ( A−B )
28年度 27年度 増 減
九州電力株式会社(9508) 平成29年3月期 決算短信
−5−
(2) 当期の財政状態の概況
資産は、原子力安全性向上対策工事等に伴う固定資産仮勘定などの増加はありましたが、
「原子力発電における使用済燃料の再処理等のための積立金の積立て及び管理に関する法
律の一部を改正する法律」(以下「改正法」という。)の施行に伴う使用済燃料再処理等
積立金の取崩しにより固定資産が減少したことなどから、前年度末に比べ 1,606億円減の
4兆5,875億円となりました。
負債は、転換社債型新株予約権付社債の発行による増加はありましたが、改正法の施行
に伴う使用済燃料再処理等引当金及び使用済燃料再処理等準備引当金の取崩しなどにより、
前年度末に比べ 2,353億円減の4兆129億円となりました。有利子負債残高は、前年度末
に比べ 890億円増の3兆3,139億円となりました。
純資産は、配当金の支払による減少はありましたが、親会社株主に帰属する当期純利益
の計上などにより、前年度末に比べ 746億円増の 5,745億円となり、自己資本比率は
12.0%となりました。
(3) 当期のキャッシュ・フローの概況
営業活動によるキャッシュ・フローは、電気事業において燃料代支出の減少はありまし
たが、電灯電力料収入が減少したことや他社購入電力料支出が増加したことに加え、改正
法の施行に伴い未払使用済燃料再処理等拠出金を支出したことなどにより、前年度に比べ
1,414億円収入減の 1,880億円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資が減少したことなどにより、前年度に
比べ 132億円支出減の 2,750億円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の発行による収入が増加したことなどによ
り、前年度の 1,261億円の支出から 783億円の収入に転じました。
以上により、当年度末の現金及び現金同等物の残高は、前年度末に比べ 99億円減少し、
4,198億円となりました。
九州電力株式会社(9508) 平成29年3月期 決算短信
−6−
(4) 今後の見通し
1次期の業績予想
売上高につきましては、電気事業において、販売電力量が減少するものの、燃料費調
整の影響による料金単価の上昇などから電灯電力料が増加することなどにより、前年度
を上回り1兆9,600億円程度となる見通しです。
利益につきましては、玄海原子力発電所3、4号機の具体的な再稼働時期を見通せな
いことから燃料費などの費用を合理的に算定できないため、未定としております。
今後、予想が可能となった時点で、速やかにお知らせします。
次 期 業 績 見 通 し
[連 結] (単位:億円)
29年度
( A )
28年度
( B )
増 減
( A−B )
19,600 18,275 1,325
[107.2%] [99.6%]
(注) [ ]は前年度比
[個 別] (単位:億円)
29年度
( A )
28年度
( B )
増 減
( A−B )
18,250 16,967 1,283
[107.6%] [99.5%]
(注) [ ]は前年度比
主 要 諸 元 表
29年度
( A )
28年度
( B )
増 減
( A−B )
763億kWh 786億kWh しろさんかく23億kWh
[97.0%] [99.3%]
60$/b 48$/b 12$/b
115円/$ 108円/$ 7円/$
(注) [ ]は前年度比
2次期の配当予想
当社は、安定配当を維持するとともに、中長期的な観点から株主の皆さまの利益拡大
を図ることを利益配分の基本方針としております。
次期の配当につきましては、玄海原子力発電所3、4号機の具体的な再稼働時期を見
通せないことなどから、普通株式、A種優先株式ともに未定としております。
今後、予想が可能となった時点で、速やかにお知らせします。






当 期 純 利 益
営 業 利 益
経 常 利 益
売 上 高
為 替 レ ー ト
販 売 電 力 量
− 610
経 常 利 益 − 688

営 業 利 益
原 油 C I F 価 格

売 上 高995 親会社株主に帰属する
当 期 純 利 益
1,226 942 −
−792 九州電力株式会社(9508) 平成29年3月期 決算短信
−7−

AltStyle によって変換されたページ (->オリジナル) /