2.経営方針

(1) 会社の経営の基本方針、中長期的な会社の経営戦略
当社は、「ずっと先まで、明るくしたい。」をブランド・メッセージとする「九州電力
の思い」のもと、責任あるエネルギー事業者として、安定した電力・エネルギーをお客さ
まにしっかりとお届けすることを使命に、事業活動を進めております。
こうした中、福島第一原子力発電所における深刻な事故を契機に、当社におきましても、
全ての原子力発電所が停止し、厳しい収支・財務状況、需給状況となりました。
このため、当社は、徹底した経営の効率化や様々な需給対策に加えて、電気料金の値上
げや優先株式の発行を実施いたしました。
しかしながら、原子力発電所の停止が想定した以上に長期化しており、依然として厳し
い経営状況が続いております。
当社といたしましては、安全の確保を大前提に、国の審査や検査にグループを挙げて対
応し、原子力発電所の一日も早い再稼働を目指してまいります。
また、あらゆる収支改善対策等を講じることによって、こうした状況を打開すべく最大
限の努力を傾注してまいります。具体的には、業務委託範囲・内容の見直しや、燃料調達
価格の低減努力、高効率火力発電所の優先運転の徹底による経済的な需給運用などの経営
効率化に取り組んでまいります。なお、安全確保・法令遵守・安定供給に十分配慮した上
で、当面は、修繕工事等の短期限定の規模縮小や中止・繰延べにも努めます。
一方、平成28年には電力システム改革に伴う小売全面自由化が予定されており、今後、
本格的な競争時代を迎えます。
このような状況のもと、お客さまから信頼され、選ばれ続けるためには、グループ一体
となった変革を加速させていく必要があります。このため、本年4月に新たな「グループ
中期経営方針」を策定し、「2030年のありたい姿」と、その実現に向けた3つの戦略の柱
を定め、平成27〜31年度の5か年において重点的に取り組むべき施策を示しました。
2030年のありたい姿
「日本一のエネルギーサービス」を提供する企業グループ
〜やっぱり!エネルギーは九電グループ〜
ありたい姿に向けた3つの戦略の柱
I 基盤である九州において、「電気をお届けする」会社から「エネルギーサービ
スを提供する」企業グループとなり、お客さまのエネルギーに関する様々な思
いにお応えし、地域・社会とともに発展していく
II 九電グループが培ってきた強みを活かして、海外エネルギー事業、九州域外エ
ネルギー事業、再生可能エネルギー事業で成長していく
III 戦略実行に必要な組織力を強化し、強固な事業基盤を築く
成長事業の目標
現 状 2030年
海外電気事業(発電事業持分出力) 150万kW 500万kW
九州域外電気事業(電源開発量) ― 200万kW
再生可能エネルギー事業(開発量) 150万kW 400万kW
九州電力株式会社(9508) 平成27年3月期 決算短信
−11−
(2) 会社の対処すべき課題
今後、以下の取組みを推進してまいります。 1九州のお客さまのエネルギーに関する様々な思いにお応えしてまいります
しろまる 電力の安定供給の確保
依然として厳しい需給状況が続く中、電力設備の安全・安定運転を徹底し、安定供給
の使命を果たしてまいります。
原子力発電につきましては、福島第一原子力発電所のような事故は決して起こさない
という固い決意のもと、更なる安全性向上のための自主的かつ継続的な取組みを進めて
まいります。
また、電力システム改革に伴う競争環境を見据えて、競争力と安定性を備えた電源を
確保するため、新大分3号系列第4軸及び松浦2号の開発を着実に進めるとともに、燃
料トレーディングの導入や上流権益投資の推進などにより、燃料調達における柔軟性の
向上と競争力の強化を図ってまいります。
さらに、将来の環境変化にも柔軟に対応できるよう、原子力、石炭、LNG及び水力・
地熱等の再生可能エネルギーによるバランスの取れた供給体制を構築してまいります。
なお、太陽光など気象条件等による出力変動の大きい再生可能エネルギーにつきまし
ては、電力の安定供給を前提として、導入に努めてまいります。
しろまる 多様なエネルギーサービスの提供
当社グループの基盤である九州において、「電気をお届けする」会社から「エネルギ
ーサービスを提供する」企業グループとなり、エネルギーに関するお客さまニーズにお
応えした様々なサービスの最適な組合せを、ワンストップでお届けしてまいります。
小売が全面自由化されるガス事業につきましても、これまでの卸供給に加え、小売事
業に本格的に参入してまいります。
2九電グループの強みを活かして、成長市場で発展してまいります
しろまる 海外電気事業の強化
海外電気事業につきましては、2030年時点での発電事業持分出力 500万kWを目標に、
これまで国内外で蓄積した技術・ノウハウを活かして、市場の成長性が高いアジアを中
心に発電事業を拡大してまいります。
また、新興国における高効率石炭火力発電所建設に係る事業性調査など、海外コンサ
ルティングについても積極的に展開してまいります。
しろまる 九州域外における電気事業の展開
九州域外における電気事業につきましては、九州域内からの供給に加え、他社とのア
ライアンス等により、域外における電源開発にも取り組んでまいります。具体的には、
関東エリアにおける石炭火力発電所の共同開発について、検討を進めております。
しろまる 再生可能エネルギー事業の拡大
世界的な成長分野である再生可能エネルギー事業につきましては、安定供給や環境へ
の影響を考慮しながら、地熱や水力を中心に国内外で積極的に展開してまいります。
九州電力株式会社(9508) 平成27年3月期 決算短信
−12−
3強固な事業基盤を築いてまいります
しろまる 競争力の源泉となる人材と組織の強化
今後の競争環境を見据え、情熱を持って変革をリードする人材や、創意工夫を凝らし
て業務の改善・改革を実践できる人材の育成に取り組んでまいります。
また、環境が大きく変化する中においても、スピード感をもって、柔軟に対応できる
組織・業務運営体制を構築してまいります。
しろまる 九電グループ一体となった財務基盤・競争力強化
事業活動全般にわたる徹底した効率化に努め、競争力を強化することで、収支の改善、
財務基盤の回復に努めてまいります。
具体的には、外部知見を活用した資機材調達改革や、継続的な原価低減に向けた原価
意識の向上及び原価管理の強化に取り組んでまいります。
また、競争優位性の構築に向け、グループ一体となった技術開発の推進やこれまで培
ってきた技術力・スキルの維持・継承に取り組んでまいります。
しろまる 安全・安心の追求
全ての事業活動の基本として、安全・安心を最優先に取り組んでまいります。
特に、原子力につきましては、安全への取組みに終わりがないことを強く自覚し、経
営トップの強いリーダーシップのもと、リスクマネジメントの強化に努めてまいります。
また、地域の皆さまとのフェイス・トゥ・フェイスの対話活動を進め、皆さまの声を当
社の取組みに反映させてまいります。
しろまる CSR(企業の社会的責任)経営の徹底
法令遵守はもとより、社会から信頼される行動による誠実かつ公正な事業運営を徹底
してまいります。
また、社会とのコミュニケーションを強化し、いただいた声を事業運営に的確に反映
してまいります。併せて、迅速で分かりやすい情報公開を徹底し、事業活動の透明性を
高めてまいります。
さらに、ボランティア活動など地域の皆さまとの協働を通じて、社会的課題の解決に
貢献し、ともに発展してまいります。
当社といたしましては、これらの取組みをグループ一体となって進めることにより、持
続的な成長を目指すとともに、ステークホルダーの皆さまへの価値提供を果たしてまいり
ます。
九州電力株式会社(9508) 平成27年3月期 決算短信
−13−

AltStyle によって変換されたページ (->オリジナル) /