平 成 2 9 年 1 2 月 8 日
九 州 電 力 株 式 会社
神戸製鋼所の不適切行為に関する川内原子力発電所2号機
取替用蒸気発生器に対する調査状況等について
1.はじめに
株式会社神戸製鋼所及びグループ会社(以下「神戸製鋼所等」という。
)の不適切
行為に関して、工場製作中である取替用蒸気発生器の材料検査への影響調査を自主的
に行い、問題の無いことを確認し、調査結果を取りまとめました。
2.調査対象
取替用蒸気発生器は、国の使用前検査に先立ち、当社が適合性確認検査において、
実用発電用原子炉及びその附属施設の技術基準への適合を確認しています。取替用蒸
気発生器に関する工事計画に記載しているもののうち、以下の材料は、神戸製鋼所等
の不適切行為により、適合性確認検査の成立性に影響があるおそれがあることから、
調査を実施しました。
・主要仕様表(要目表)に記載された材料
・基本設計方針において設計条件としている材料
・添付説明書(強度計算書、耐震計算書等)において設計条件としている材料
また、関連する溶接材料も対象としました。
3.調査方法
適合性確認検査で用いる検査証明書や図面等により製造メーカを特定し、神戸製鋼
所等で製造されたものであると判断されたものについて不適切行為のあった製品が使
われていないかを確認しています。
確認された対象の製品が神戸製鋼所等製であれば、その製造工場には当社自ら立入
調査を行い、材料検査の検査プロセスの妥当性を確認します。
また、製造工場に検査証明書作成の元となったデータが現存している場合には、検
査証明書との照合も合わせて実施します。
添付資料
4.調査結果及び状況
(1)溶接材料について
取替用蒸気発生器で使用している溶接材料については、適合性確認検査で用い
る検査証明書や図面等により製造メーカを特定した結果、神戸製鋼所等製の溶接
材料を使用していることを確認しました。
神戸製鋼所等製の溶接材料は溶接事業部門(国内4工場)で製造されており、
これらの材料検査に関わる全ての工場に立ち入り調査を実施しました。
その結果、神戸製鋼所等の溶接事業部門の全ての事業所(グループ会社を含
む)の検査プロセスは、各プロセスにおいて自動化が図られたり、複数人による
確認が実施されたりしており、検査データへの人的関与による改ざん等の問題と
なる点は確認されませんでした。そのため、国内4工場(1工場については取替
用蒸気発生器に関係なし)において生産された溶接材料は品質に問題がないと判
断しました。
(別紙1、別紙1-1参照)
また、神戸製鋼所等製であると特定された、取替用蒸気発生器の溶接材料につ
いては、製造工場に検査証明書作成の元となったデータが現存している場合には、
検査証明書との照合を当社が実施し、不適切行為が行われていないことを確認し
ました。
(別紙2参照)
更に、溶接事業部門に係る事業所(株式会社コベルコ科研 加古川事業所及び
神鉄事業所、神鋼溶接サービス株式会社並びに日本高周波鋼業株式会社)につい
ては、11月21日に公益財団法人日本適合性認定協会(第三者機関)により今回の
データ改ざんには関与していないことが確認され公表されています。
(2)溶接材料以外の材料について
溶接材料以外の材料については、適合性確認検査で用いる検査証明書や図面等
により製造メーカを特定した結果、神戸製鋼所等製の材料が使用されていないこ
とを確認しました。
5.評 価
これまでの調査結果より、取替用蒸気発生器に使用している材料については、神戸
製鋼所等の不適切行為の影響はないことを確認しました。
なお、今後川内原子力発電所において実施するその他工事においても、同様に問題
のないことの確認を進めて行きます。
以 上
神戸製鋼所等 溶接材料の製品検査 調査結果 別紙1
藤沢工場
機械試験
成分分析
原 子 力 品-(該当なし)-(該当なし)
西条工場
福知山工場
【試験箇所】
神鋼溶接サービス(株)
【確認結果】
試験結果
自動でシステムに転送
検査証明書への入力は複数人で確認
【分析箇所】
神鋼溶接サービス(株)
【確認結果】
自動分析データ
自動でシステム転送
手分析データ
システム入力は複数人で確認
分析結果
自動判定
検査証明書への入力は複数人で確認
茨木工場
製 品 検 査
製造工場
1-1 1-1
【評 価】
各製造工場の検査プロセス確認の結果、各プロセスにおいて自動化が図られ、一部、自動化していないプロセスに
おいても複数人による分析結果の確認が実施されており、検査データへの人的関与による改ざん等の問題となる点
は確認されなかったことから、3工場(茨木、藤沢、福知山)において生産された取替用蒸気発生器に使用する溶
接材料(原子力品)は品質に問題がないと判断する。
品質保証部門 成分分析
検査会社(神鋼溶接サービス(株))
素材
メーカー
茨木・藤沢・福知山の各工場
製造部門 機械試験
原子力品(茨木・藤沢・福知山工場)の品質確認 1-1
加工 検査指示
成分分析 機械試験
検査証明書
発行
:自動で処理される箇所
:Wチェックが実施される箇所
:システム
製造
システム
結果手入力
(手分析)
自動転送
(自動分析)
自動転送
承認
結果自動判定
手入力
<製品検査プロセス>
【日時】
・10月24日 9:00〜17:00(茨木工場)
・11月16日 9:00〜18:00(藤沢工場、
神鋼溶接サービス)
・11月27日 10:00〜16:30 (福知山工場)
【場所】
・神戸製鋼所 溶接事業部門
茨木・福知山・藤沢の各工場
【実施者】
・当社の保修・品証関係者およびメーカー他
【実施内容】
・製品検査プロセスにおいて、検査データへの人的関
与の状況、データ管理、判定の独立性、チェック・
承認の体制等について確認
【確認結果】
・自動分析データ及び機械試験データ(曲げ試験及び
すみ肉試験データは除く)はシステムに自動転送
・手分析は、判定基準を把握していない要員によって
実施され、結果のシステムへの入力は複数人で確認
・分析結果及び機械試験結果(曲げ試験及びすみ肉試
験データは除く)はシステムで自動判定
・曲げ試験及びすみ肉試験は、製造部門以外の要員に
よって実施され、結果の入力は複数人で確認
・曲げ試験及びすみ肉試験は、試験班とは異なる箇所
の複数人によって結果判定
・検査証明書への入力は複数人で確認
【確認結果】
製造工場の検査プロセスを確認した結果、分析・判定・証明書発行において自動化されており、一部、自動化していないプ
ロセスにおいても、判定基準を把握していない要員により分析が実施され、複数人による分析結果の確認が実施されている。
このため、改ざん等の問題となる点は確認されなかったことから、神戸製鋼所茨木、福知山及び藤沢工場において生産され
た溶接材料(原子力品)は品質に問題がないと判断する。
(注記)
(注記)曲げ試験及びすみ肉試験は、試験結果を複数人で確認し手入力する。その後、試験班とは異なる箇所の複数人で
判定後、品質保証部門が複数人で確認し、手入力。
検査証明書と製造工場の元データとの照合の実施状況
【検査証明書と元データとの照合】
製造メーカが神戸製鋼所等であることが確認されたものについては、製造工場に元データ(注記)が現存してい
る場合は、検査証明書との照合により、不適切行為が行われていないことを確認する。
(注記)品質記録となっている最上流の試験データ
照合の実施状況
確認済
枚数
総枚数2枚2枚
溶接材料-溶接以外の
材料は使用
していない
溶接以外の
材料
検査証明書
イメージ図
神戸製鋼所
製造工場
電力事業者
(当社)
元データ(化学分析)
化学成分
元データ(機械試験)
機械試験
検査証明書
機械試験
化学成分
照合
互いの数値が合致していること
を確認すること
別紙2
【確認結果】
製造工場において、現存する元データと検査証明書とを照合した結果、改ざん等の問題となる点は確認さ
れなかった。

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