平成29年12月 4日
九州電力株式会社
神戸製鋼所の不適切行為に関する当社の原子力発電所に対する
調査状況等について
1.はじめに
原子力施設の機器に対する株式会社神戸製鋼所及びグループ会社(以下「神戸製
鋼所等」という。
)において不適切行為のあった製品については、当社の原子力発電
所には使用されていないと神戸製鋼所から発表されており、問題は認められていま
せん。
(別紙1参照)
しかし、当社ではこの事象を受け、原子力発電所の安全性の観点から安全上重要
な部位や燃料集合体について調査を進めており、調査対象は以下のとおりです。
2.調査対象
当社の原子力発電所の内、運転中の川内1、2号機と使用前検査中の玄海3、4
号機を優先で、順次進めていきます。対象は、以下の(1)、(2)のとおりです。
(1)安全上重要な部位
事故発生防止の観点から「原子炉冷却材圧力バウンダリ」及び事故の影響緩和
の観点から「原子炉格納容器バウンダリ」を構成する部位を調査対象としていま
す。
(2)燃料集合体
川内1、2号機に装荷中及び玄海3、4号機に装荷予定の燃料集合体を調査対
象としています。
また、神戸製鋼所等が行う不適切行為に対する外部調査委員会の結果等も踏まえ、
順次調査を実施しています。
なお、使用前検査中の玄海3、4号機では、適合性確認検査を実施する材料に対
しても、当社による不適切行為に係る調査を実施しています。
(添付資料2参照)
添付資料1
3.調査方法
(1)安全上重要な部位
材料の製造メーカを特定するため、建設時の使用前検査記録等に添付されてい
る検査証明書等から製造メーカを特定し、神戸製鋼所等の不適切行為のあった製
品は使われていないことを確認します。
(2)燃料集合体
燃料集合体に使用されている部材の製造メーカを特定し、神戸製鋼所等の不適
切行為のあった製品は使われていないことを確認します。さらに、神戸製鋼所等
の製品については、製造工場に当社自ら立入調査を行い、検査プロセスの妥当性
を確認します。
また、製造工場に検査証明書作成の元となるデータが現存している場合には、
検査証明書との照合も合わせて実施します。
4.調査結果・状況及び評価
(1)安全上重要な部位
川内1、2号機、玄海3、4号機の「原子炉冷却材圧力バウンダリ」及び「原
子炉格納容器バウンダリ」を構成する主要な部位について調査をした結果、別紙
2のとおり神戸製鋼所等で製造された部材が認められました。
これらのいずれの部位についても、検査記録より、不適切行為のあった製品で
ないことが確認できました。
また、発電所建設時には、当社による品質調査や、設計・製作・据付の各段階
においても検査(溶接検査や使用前検査による耐圧試験等)を行っていることに
加え、これまでの運転実績において特に異常は認められていません。
したがって、当社としては、これらの部材は発電所の安全性に影響を与えるも
のではないと評価しています。
なお、平成29年12月中旬を目処に、残る川内1、2号機、玄海3、4号機の
「原子炉冷却材圧力バウンダリ」では弁を、
「原子炉格納容器バウンダリ」では主
蒸気・主給水管以外の貫通部(配管・弁)について、調査を進めていきます。
(2)燃料集合体
燃料集合体について調査をした結果、別紙3のとおり神戸製鋼所等で製造され
た部材が確認されました。
これらの部材については、不適切行為のあった製品でないことを燃料メーカか
ら直接確認しています。
また、加工時には品質管理や燃料体検査を行っていることに加え、これまでの
運転実績においても特に異常は認められていません。
したがって、当社としては、これらの部材は燃料集合体の安全上の問題となる
ものではないと評価しています。
なお、これまでに製造工場で実施した検査プロセスの妥当性確認、検査証明書
と元データとの照合では、不適切行為が行われていることは確認されておらず、
引き続き、調査を進めていきます。
以上のとおり、当社の原子力発電所のうち、運転中並びに使用前検査実施中の発
電所の安全上重要な部位及び燃料集合体については、現状で確認している範囲にお
いて、不適切行為のあった製品は使われておらず、原子力安全に影響を与えるもの
ではないものと判断しています。
以 上
神戸製鋼所による調査の状況 別紙1
・神戸製鋼所においては、2016年9月から
2017年8月の間に出荷した製品の自主点
検・緊急監査による調査を概ね終了し、不
適合製品を納入した会社に連絡し、安全性
確認を進めている。
・これまで不適合製品の即時使用停止や回収
を必要とするような安全上問題となる事案
は確認されていない。
・原子力事業者に対し、不適合製品納入の連
絡が2件あったが、いずれも未使用品である。
東京電力HD福島第二発電所:
倉庫で保管中の熱交換器の交換用チューブ
(10/13公表)
日本原燃 濃縮工場:
今後製作する新型遠心機に使用予定部品
(10/26公表)
2017年11月24日 神戸製鋼所公表資料より
しかく不正が行われたことが確認された神戸製鋼所等の製品は、現在供用中の原子力施設におい
て使用されていない。
1安全上重要な部位に対する調査結果及び状況
しかく安全上重要な部位について調査を行った結果、下表のとおり神戸製鋼所等で製造さ
れた部材を確認しているが、不適切行為のあった製品は使用されていない。
・12月 4日時点での状況 (注記)安全上重要な部位として、事故発生防止、事故影響緩和の観点から対象を選定
・調査中のものについては12月中旬完了予定
主要設備
神戸製鋼所等製品
使用有無(しろまる×ばつ:無し)
川内1、2号機(運転中) 玄海3、4号機(使用前検査段階)RCSバウンダリ
原子炉容器 ×ばつ ×ばつ
加圧器 ×ばつ
*但し、マンホール六角ボルト
はあり(4号機のみ)
蒸気発生器 ×ばつ
*但し、マンホール六角ボルトは
あり(2号機のみ)×ばつ
1次冷却材ポンプ ×ばつ ×ばつ
1次冷却材管 ×ばつ ×ばつ ×ばつ
弁 調査中 調査中CVバウンダリ原子炉格納容器 ×ばつ
*但し、機器搬入口両ねじボル
ト・六角ナットはあり(2号機
のみ)
しろまる 鉄筋・テンドン
主蒸気/主給水管 ×ばつ ×ばつ
貫通部(配管・弁)
(上記以外)
調査中 調査中
上記主要設備の溶接部 しろまる 溶接継手、肉盛溶接 しろまる 溶接継手、肉盛溶接
別紙2
2燃料集合体についての調査結果及び状況
しかく×ばつ
上部・下部ノズル、
支持格子等
上記以外の部材
コベルコ鋼管製
しろまる
コベルコ鋼管製
しろまる
スリーブ等の
ステンレス製小部品
ジルコプロダクツ製
しろまる
ジルコプロダクツ製
しろまる
計装用案内シンブル
ジルコプロダクツ製
しろまる
ジルコプロダクツ製
しろまる
制御棒案内シンブル
ジルコプロダクツ製
しろまる
ジルコプロダクツ製
しろまる
燃料被覆材
玄海3、4号機
川内1、2号機
使用有無(しろまる×ばつ:無)
制御棒案内シンブル
スリーブ
(支持格子等の接合に使用)
計装用案内シンブル
燃料被覆材
別紙3

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