九州電力株式会社(9508) 2021年3月期 決算短信-2-1.経営成績等の概況
(1)当期の経営成績の概況
当年度のわが国経済は、新型コロナウイルスの世界的感染拡大により厳しい状況となり、各種政策の効果等により
一時持ち直しの動きも見られましたが、感染の終息は見通せず不透明な状況が続いています。九州経済も、同様に厳
しい状況にありますが、輸出・生産を中心に持ち直しつつあります。
当社グループにおきましては、「九電グループ経営ビジョン2030」の実現に向け、国内電気事業の収益力向上や、
国内電気事業以外の事業・サービスの拡大、種まきを着実に進めるとともに、事業活動全般にわたる徹底した効率化
に、グループ一体となって取り組んでまいりました。
当年度の業績につきましては、今冬の需給ひっ迫に伴う卸電力取引市場の価格高騰や、新型コロナウイルス感染症、
特定重大事故等対処施設の設置工事に伴う川内原子力発電所の運転停止等の影響はありましたが、減価償却方法の変
更により減価償却費が減少したことや、九州外での小売販売電力量等が増加したことなどにより、前年度に比べ増益
となりました。
1収支
当年度の小売販売電力量につきましては、新型コロナウイルス感染症による減少影響はあるものの、グループ会社
である九電みらいエナジー株式会社の九州外での販売電力量が増加したことや前年度が冷夏暖冬であったことによる
反動増などにより、前年度に比べ2.7%増の752億kWhとなりました。また、卸売販売電力量は41.9%増の107億kWhと
なりました。この結果、総販売電力量は6.3%増の858億kWhとなりました。
小売・卸売に対する供給面につきましては、原子力をはじめ、火力・揚水等発電設備の総合的な運用等により、ま
た、エリア需給につきましては、調整力電源の運用及び国のルールに基づく再エネ出力制御の実施等により、安定し
て電力をお届けすることができました。
なお、今冬において、断続的な寒波による電力需要の大幅な増加と全国的なLNG在庫の低下などにより電力需給
がひっ迫しましたが、火力発電や融通・他社受電の増加など最大限の対策を講じたことにより、安定供給を確保する
ことができました。
当年度の連結収支につきましては、収入面では、国内電気事業において、小売販売電力量は増加しましたが、燃料
価格下落に伴う燃料費調整の影響などにより小売販売収入は減少しました。一方で、卸売販売収入や再エネ特措法交
付金が増加したことなどから、売上高は前年度に比べ5.9%増の2兆1,317億円、経常収益は5.8%増の2兆1,484億円と
なりました。
支出面では、国内電気事業において、減価償却費の減少はありましたが、再エネ発電事業者からの買取額の増加や
今冬の卸電力取引市場の価格高騰の影響などにより他社購入電力料が増加したことなどから、経常費用は5.2%増の2
兆927億円となりました。
この結果、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益ともに前年度に比べ増益となり、経常利益は556億円、親会
社株主に帰属する当期純利益は321億円となりました。
九州電力株式会社(9508) 2021年3月期 決算短信-3-報告セグメントの業績(セグメント間の内部取引消去前)は、次のとおりとなりました。
セグメント別の業績(内部取引消去前)
(単位:億円、%)
2020年度 2019年度 増減 増減率
(A) (B) (C=A-B) (C/B)
発電・販売事業
売上高 18,908 - - -
経常損益 しろさんかく5 - - -
送配電事業
売上高 5,992 - - -
経常損益 291 - - -
その他エネルギー
サービス事業
売上高 1,853 1,939 しろさんかく86 しろさんかく4.5
経常損益 176 170 5 3.3
ICTサービス
事業
売上高 1,150 1,126 23 2.1
経常損益 68 39 28 72.5
その他の事業
売上高 294 288 6 2.2
経常損益 42 46 しろさんかく3 しろさんかく7.5
(注1)当年度より報告セグメント及びセグメント利益を変更しています。
(注2)「発電・販売事業」及び「送配電事業」については、前年度のセグメント業績を作成することが困難であるた
め、当年度の業績のみ記載しています。
(注3)しろさんかくは損失を示しています。
【参考】国内電気事業再掲
(単位:億円、%)
2020年度 2019年度 増減 増減率
(A) (B) (C=A-B) (C/B)
国内電気事業
売上高 19,725 18,483 1,241 6.7
経常損益 285 165 119 72.0
(注)「発電・販売事業」と「送配電事業」との内部取引消去後の数値を記載しています。
ア 発電・販売事業
発電・販売事業は、国内における発電・小売電気事業等を展開しています。
売上高は、小売販売収入や再エネ特措法交付金の計上などにより、1兆8,908億円、経常損益は、購入電力料や託
送料、燃料費、再エネ特措法納付金の計上などにより、5億円の損失となりました。
イ 送配電事業
送配電事業は、九州域内における一般送配電事業等を展開しています。
売上高は、託送収益の計上などにより、5,992億円、経常利益は、購入電力料や修繕費、委託費、減価償却費の
計上などにより、291億円となりました。
ウ その他エネルギーサービス事業
その他エネルギーサービス事業は、電気設備の建設・保守など電力の安定供給に資する事業、お客さまのエネル
ギーに関する様々な思いにお応えするため、ガス・LNG販売、再生可能エネルギー事業等を展開しています。ま
た、九電グループが培ってきた技術・ノウハウを活かし、海外事業の強化などにも取り組んでいます。
売上高は、電気計測機器の取替工事の減少や海外LNGプロジェクトにおけるLNG販売価格の低下などによ
り、前年度に比べ4.5%減の1,853億円、経常利益は、持分法による投資利益の増加などにより3.3%増の176億円と
なりました。
九州電力株式会社(9508) 2021年3月期 決算短信-4-エ ICTサービス事業
ICTサービス事業は、保有する光ファイバ網やデータセンターなどの情報通信事業基盤や事業ノウハウを活用
し、データ通信、光ブロードバンド、電気通信工事・保守、情報システム開発、データセンター事業等を展開して
います。
売上高は、光ブロードバンド及びスマートフォンサービスの販売拡大などにより、前年度に比べ2.1%増の1,150
億円、経常利益は、音声端末を活用したIoTサービスの終了に伴う費用の減少などもあり、72.5%増の68億円と
なりました。
オ その他の事業
その他の事業は、不動産、有料老人ホーム、事務業務受託、人材派遣事業等を展開しています。
売上高は、事務業務受託の増加などにより、前年度に比べ2.2%増の294億円、経常利益は、不動産販売及び賃貸
に係る費用の増加などにより、7.5%減の42億円となりました。
九州電力株式会社(9508) 2021年3月期 決算短信-5-2販売及び生産の状況
販売実績 (単位:億kWh、%)
2020年度 2019年度 増減 増減率
(A) (B) (C=A-B) (C/B)
小売販売電力量 751.7 732.1 19.6 2.7
電灯 253.3 251.1 2.2 0.9
電力 498.4 480.9 17.5 3.6
卸売販売電力量 106.5 75.1 31.4 41.9
総販売電力量 858.2 807.1 51.1 6.3
(注1)四捨五入のため、内訳と合計の数値が一致しない場合があります。
(注2)当社及び連結子会社(九州電力送配電株式会社、九電みらいエナジー株式会社)の合計値(内部取引消去後)を記載
しています。
発受電実績 (単位:億kWh、%)
2020年度 2019年度 増減 増減率
(A) (B) (C=A-B) (C/B)発電
水力 47.3 48.1 しろさんかく0.8 しろさんかく1.7
(出水率) ( 95.8 ) ( 94.6 ) ( 1.2 )
火力 326.0 258.9 67.1 25.9
原子力 216.8 286.7 しろさんかく69.9 しろさんかく24.4
(設備利用率) ( 62.4 ) ( 82.0 ) ( しろさんかく19.6 )
新エネルギー等 11.9 11.7 0.2 1.6
計 601.9 605.4 しろさんかく3.5 しろさんかく0.6
融通・他社受電 330.5 271.5 59.0 21.7
(水力再掲) ( 13.5 ) ( 14.5 ) ( しろさんかく1.0 ) ( しろさんかく6.8 )
(新エネルギー等再掲) ( 150.9 ) ( 124.9 ) ( 26.0 ) ( 20.8 )
揚水用等 しろさんかく23.7 しろさんかく22.3 しろさんかく1.4 6.3
合計 908.7 854.6 54.1 6.3
(注1)四捨五入のため、内訳と合計の数値が一致しない場合があります。
(注2)当社及び連結子会社(九州電力送配電株式会社、九電みらいエナジー株式会社)の合計値(内部取引消去後)を記載
しています。
(注3)発電電力量は、送電端の数値を記載しています。
(注4)「新エネルギー等」は、太陽光、風力、バイオマス、廃棄物及び地熱の総称です。
(注5)「融通・他社受電」の当期の電力量は、期末時点で把握している値を記載しています。
(注6)当年度より発受電電力量合計を総販売電力量に対応するよう見直したため、送電電力量は控除していません。
(注7)発受電電力量合計と総販売電力量の差は損失電力量等です。
九州電力株式会社(9508) 2021年3月期 決算短信-6-(2)当期の財政状態の概況
資産は、設備投資による固定資産の増加に加え、現金及び預金や売掛金などの流動資産が増加したことから、前年
度末に比べ1,787億円増の5兆1,268億円となりました。
負債は、有利子負債が増加したことなどにより、前年度末に比べ1,339億円増の4兆4,440億円となりました。有利子
負債残高は、前年度末に比べ1,163億円増の3兆5,226億円となりました。
純資産は、配当金の支払による減少はありましたが、親会社株主に帰属する当期純利益の計上や退職給付に係る調
整累計額の増加などにより、前年度末に比べ447億円増の6,827億円となり、自己資本比率は12.7%となりました。な
お、退職給付に係る調整累計額の増加につきましては、確定給付企業年金資産の運用収益が期待運用収益を上回った
ことなどに伴い、数理計算上の差異が発生したことなどによるものです。
(3)当期のキャッシュ・フローの概況
営業活動によるキャッシュ・フローは、国内電気事業において他社購入電力料支出の増加はありましたが、再エネ
特措法交付金や卸売販売電力料収入の増加に加え、燃料代支出の減少などにより、前年度に比べ266億円収入増の
2,534億円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資による支出の減少などにより、前年度に比べ940億円支出減の
3,305億円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出の減少はありましたが、コマーシャル・ペー
パーの発行・償還による支出の増加などにより、前年度に比べ624億円収入減の955億円の収入となりました。
以上により、当年度末の現金及び現金同等物の残高は、前年度末に比べ184億円増加し、2,239億円となりました。
九州電力株式会社(9508) 2021年3月期 決算短信-7-(4)今後の見通し
1次期の業績予想
売上高につきましては、国内電気事業において、小売・卸売販売電力量増により販売収入は増加しますが、「収
益認識に関する会計基準」等の適用に伴い、再エネ特措法交付金等を売上高に計上しない方法に変更することなど
から、前年度を下回る1兆5,100億円程度となる見通しです。
経常利益につきましては、国内電気事業において、原子力発電所の稼働増による燃料費の減少などから、前年度
を上回る700億円程度となる見通しです。
また、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、前年度を上回る450億円程度となる見通しです。
次 期 業 績 見 通 し
[連 結] (単位:億円)
2021年度 2020年度 増減 収益認識会計基準等
適用影響額再掲(注記)
(A) (B) (A-B)
売上高 15,100 21,317 しろさんかく6,217 しろさんかく7,000
営業利益 1,000 773 227 -
経常利益 700 556 144 -
親会社株主に帰属する
当期純利益
450 321 129 -
(注記)「収益認識に関する会計基準」等の適用に伴う利益への影響は軽微です。
主 要 諸 元 表
2021年度 2020年度 増減
(A) (B) (A-B)
小売販売電力量 766億kWh 752億kWh 14億kWh
卸売販売電力量 124億kWh 107億kWh 17億kWh
総販売電力量 890億kWh 858億kWh 32億kWh
原油CIF価格 60$/b 43$/b 17$/b
為替レート 110円/$ 106円/$ 4円/$
原子力[送電端]
(設備利用率)
315億kWh
(90.5%)
217億kWh
(62.4%)
98億kWh
(28.1%)
(注)販売電力量は当社及び連結子会社(九州電力送配電株式会社、九電みらいエナジー株式会社)
の合計値(内部取引消去後)を記載しています。
2次期の配当予想
当社は、安定配当を維持するとともに、中長期的な観点から株主の皆さまの利益拡大を図ることを利益配分の基
本方針としております。
次期の配当につきましては、業績や中長期的な収支・財務状況などを総合的に勘案し、普通株式1株につき40円
(中間、期末ともに20円)、A種優先株式1株につき2,100,000円(中間、期末ともに1,050,000円)を予定しておりま
す。

AltStyle によって変換されたページ (->オリジナル) /