防災訓練実施結果報告書の要旨
○しろまる玄海原子力発電所における総合訓練(複数の訓練を組み合わせて行う訓練)
訓練実施日 2020年12月11日
参加人数 502名(協力会社110名を含む)
想定した原子力
災害の概要
○しろまる1,2号機は廃止措置段階中に全交流動力電源喪失
○しろまる3,4号機で原子力災害対策特別措置法第 15 条事象に至る原子力災害を想定
・定格熱出力一定運転中に、地震発生により、3号機は原子炉手動停止、4
号機は原子炉自動停止、その後、外部電源を喪失。
・3号機は、全交流動力電源喪失、その後、蒸気発生器給水機能喪失等によ
り、原子炉冷却機能喪失。
・4号機は、原子炉冷却材漏えい時における非常用炉心冷却装置による注水不能事
象が発生。
訓練の内容
以下の項目を「シナリオ非提示」にて実施
【玄海原子力発電所】
(1)AM訓練
(2)緊急時対応訓練
(3)通報訓練
(4)モニタリング訓練
(5)避難誘導訓練
(6)原子力災害医療訓練
(7)原子力防災要員等の動員訓練
(8)オフサイトセンター連携訓練
(9)火災対応訓練
【後方支援拠点】
(1)設置・運営訓練
(2)発電所支援に係る本店即応センターとの連携訓練
訓練の評価
○しろまる今年度の訓練テーマ「防災訓練と連動した現場実働の習熟」及び「一部の対
応要員喪失による対応」並びに中期計画見直しに係る評価・分析結果におけ
る「新型コロナ感染症対策を踏まえた対策本部要員を分散した対応での連携
確認」及び「新EALを使用した適切な通報訓練の実施」について、原子力
災害対策活動に支障を与えることなく対応できていることを確認。
○しろまる発電所、本店、後方支援拠点及び各支社等が連携し、原子力災害発生時に原
子力防災組織があらかじめ定められた機能を有効に発揮できることを確認。
○しろまる昨年度訓練の主な改善項目への対応状況は、以下の通り。
・ERCに対し、プラント状況説明の役割を担っている発話者がERCから
の質問を抱え込み、プラント状況等の報告に支障をきたす場面があったた
め、発話者の役割分担を、プラント状況説明者とERCからの質問回答者に
見直した。
⇒発話者は役割分担に基づく発話ができており、役割分担したことでERC
への滞りない情報共有に効果的であり、ERCへの情報提供能力が向上
し、確実な報告を行うことができた。
・発電所が立てた優先する戦略に向けた、具体的な対策が容易に把握できる
ように「設備状況・戦略シート」を見直した。
⇒見直したシートを用いたことにより、発電所が優先する戦略に向けた、具
体的な対策を容易に把握することができ、本店即応センター内やERCに
対して分かり易い説明を行うことができた。これにより、本店即応センタ
ー内及びERCへの情報提供能力が向上し、確実な情報共有を行うことが
できた。
今後に向けた
改善点等
○しろまる更なる情報共有の充実を図る観点から、今後の訓練に反映する主な内容
・初動時にERCに対して説明するプラント状況について、チェックシート等
の様式に、初動報告の情報等が明確となるよう検討する。
・発話ポイントの発話例に15条認定会議時とその後の「設備状況・戦略シー
ト」を用いた説明時の戦略説明方法を明記することについて検討する。
別 紙
【本店即応センター】
(1)通報訓練
(2)緊急事態支援組織対応訓練
(3)モニタリング訓練
(4)ERCとの連携訓練
(5)原子力防災要員等の動員訓練
(6)原子力事業者間協力協定に
基づく対応訓練
(7)発電所支援対応訓練
(8)プレス対応訓練
(9)住民避難支援対応訓練
○しろまる玄海原子力発電所における要素訓練(作業手順の習熟を図る個々の訓練)
・対象期間:2019年10月16日〜2021年1月18日
実施日
参加
人数
訓練の概要 今後に向けた改善点緊急時対応訓練2019 年 10 月 16 日、
11 月 14 日、
2020 年 1 月 30 日、
2 月 5 日、18 日、
19 日、20 日
75 名
〇発電所において全交流動力電源
が喪失したことを想定し、重大
事故等時における緊急時対応訓
練を実施する。
・なし
今後も、訓練において状
況を確認し、更なる改善
を検討していく。
2020 年 10 月
27 日、12 月 14
日、15 日、16 日
66 名
・1 号機冷却用水源の確保手
順において、1号機大型油
分離槽へ送水ホースを布設
した後に、ホ-スブリッジ
を1号機ディーゼル発電機
室前に16個設置したが、
当該箇所は車両が通行しな
い こ と が明 確と なっ た た
め、設置は不要とし、手順
の見直しを行った。通報訓練
2020 年
9 月9 日
38 名
〇通報連絡要否判断、通報連絡文
の確実な作成及び社内外関係
箇所へ迅速かつ確実な通報連絡
ができることを確認する。
○しろまる玄海2号機について、新規制
基準未適合炉として、現状の
設備状態で適用されるEAL
及び現在使用できる設備を認識
した対応ができることを確認
する。
・FAX送付先にてFAX送
信枚数が不明であり、受信
者がページ抜けに気付かな
い可能性があるため、通報
文右下に「〇/△しろさんかく(〇:該
当ページ数、△しろさんかく:全ページ
数)を記入する。原子力災害医療訓練2020 年
10 月 30 日
20 名
〇管理区域内で負傷者が発生した
ことを想定し、負傷者の搬出、
汚染の除去、応急措置等の訓練
を行う。
・なし
今後も、訓練において状
況を確認し、更なる改善
を検討していく。AM訓練
2020 年
11 月 10 日、11 日
49 名
〇アクシデントマネジメントガイ
ド ラ イ ン を 用 い た 事 象 進 展
防止 、影響緩和措置の判断・
選択 が適切に行われることを
確認する。
・なし
今後も、訓練において状
況を確認し、更なる改善
を検討していく。モニタリング訓練
2020 年
11 月 27 日
16 名
〇緊急時モニタリング(放射性物
質濃度、放射線量の測定等)に
係る対応能力向上を図る。
・中央制御室のチェンジング
エリア設置、可搬型照明設
置において、資機材運搬の
動線を考慮した設置手順の
見直しについて検討する。
実施日
参加
人数
訓練の概要 今後に向けた改善点避難誘導訓練
2021 年
1 月 18 日
17 名
〇見学者来訪時に緊急事態が発生
したことを想定し、関係者への
迅速な連絡及び避難誘導ができ
ることを確認する。
・なし
今後も、訓練において状
況を確認し、更なる改善
を検討していく。
以 上
用語等の解説
○しろまるAM(Accident Management)
アクシデントマネジメントのこと。原子炉の燃料が重大な損傷を受ける事
故への拡大防止や万が一拡大した場合の影響を緩和するための対策。
○しろまるERC(Emergency Response Center)
原子力規制庁緊急時対応センターのこと。原子力施設で災害が発生した場
合に、政府の活動拠点となる機関。
○しろまるEAL(Emergency Action Level)
緊急時活動レベルのこと。事故の進展に応じて避難の準備等を行うため、
原子力施設の事故の状況に応じて3段階に区分(警戒事態、施設敷地緊急事
態、全面緊急事態)し、その判断基準として設定したもの。
以 上