火山のメカニズムと原子力発電所への影響
火山噴火の前兆現象として、
「火山性地震の発生」、「地盤の膨張」、「地温の上昇」、「火山ガス
の異常」
といった、
主に
4つの変化が現れます。
こうした変化を観測することにより、
噴火の前兆を
とらえることができます。
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地域共生本部 エネルギー広報グループ
〒810‐8720 福岡市中央区渡辺通2‐1‐82
TEL 092‐761‐3031
(代表)
九州電力株式会社
監修:京都大学防災研究所 火山活動研究センター 教授 井口正人
火山のメカニズムと
原子力発電所への影響
2018.06
当社は九州の5つのカルデラ火山の活動状
況に変化がないことを継続的に確認するため、
平成27年度から火山活動のモニタリングを実
施しています。
既存の観測網による、
地殻変動および地震
活動の観測データや公的機関による発表情報
などを収集・分析し、
活動状況に変化がないこ
とを、
定期的に確認しています。
モニタリング結果は、
火山専門家の助言
を得たうえで評価を行い、
毎年、
原子力規制
委員会に報告しています。
平成28年度のモ
ニタリング結果は、
「活動状況に変化は無
い」
とし、
これを原子力規制委員会に報告し
ました
(H29.6)。火山専門家からなる国の
審議会において、
妥当と判断されています
(H29.11)。 モニタリングにより、
破局的噴火へ発展する
可能性があると判断される場合、
当社は原子
炉の停止、
使用済燃料の搬出などの適切な対
応を実施することとしています。
カルデラ火山のモニタリングを行い、
活動状況に
変化がないことを確認しています
火山噴火の前兆現象として、
主に4つの変化が現れます
火山性地震の発生
噴火の前には火山性地震が増加します。
火山
性地震にはマグマの圧力によって岩盤が破壊
される地震と、
地表近くまでマグマが到達し、
マグマや火山ガスが膨張・
収縮して起こる地震
があり、
地震計を用いた
観測が行われています。
地盤の変動
マグマが上昇してくると、
その影響を受けて
地表面が隆起・膨張します。
その観測のために、GPS(人工衛星を利用した位置情報計測システム)による継続的な観測
や、
特定の地点間の傾
斜やひずみを連続的に
計測する機械計測が行
われています。
地熱の温度上昇
噴火の前には火山内部の温度が上昇してい
ます。
温度計による温泉水や地中温度の測定が
行われているほか、
サー
モグラフィー
(物体表面
の温度分布を測定する
装置)
を用いた遠隔測定
などが行われています。
火山ガスの変動
噴火の前には火山のあちこちで火山ガスが噴
出したり、
量や成分に変化が現れることがありま
す。
こうした火山ガスを
採取して、
成分分析が行
われています。
地震計 地盤変動検出のための
観測坑道
サーモグラフ
ィーを用いた
遠隔測定
火山ガスの採取
火山のメカニズムと原子力発電所への影響
九州には5つのカルデラ火山がありますが、
当社は原子力発電所の運用期間中に
破局的噴火が起こる可能性は極めて低いと評価しています
火山の噴火は、
地下のマグマだまりの圧力が上昇することで
起こります マグマは、
地球内の岩石が溶けてできた
およそ800〜1200°Cの高温の液体です。
マグマは、
地下深くにある岩石よりも軽い
(同じ体積で比較)
ため、
次第に上昇し、
深さ
3〜10数kmのところに
「マグマだまり」
をつ
くります。
マグマには、
水など気体になりやすい成分
が含まれており、
これらが発泡すると、
体積が
膨張してマグマだまりの圧力が急激に大きく
なります。
こうした圧力に耐えきれず、
マグマ
だまりから岩盤を突き破って噴出する
現象が
「火山の噴火」
です。
川内原子力発電所に最も近い姶良カルデラ火山の評価例
地下の浅い部分に大規模なマグマだまりが確認できないこと
破局的噴火までには十分な時間的余裕があること
噴火間隔
現在、
破局的噴火の兆候は認められないこと
鹿児島地溝における
「破局的噴火」
の活動間隔は約6万年で、
最新の噴火は約3万年前です
「破局的噴火」
に至るには4つの噴火ステージがありますが、
現在は
「後カルデラ火山噴火ス
テージ」
と考えられます
噴火ステージ
マグマだまり
過去 将来
噴火の間隔6万年以上 噴火の間隔6万年以上
経過時間
約3万年
時間的余裕
3万年以上
将来推定される
破局的噴火
最新の
破局的噴火
過去の
破局的噴火
(注記)多量の火山灰等を噴出する噴火
現在
プリニー式
噴火ステージ
破局的
噴火ステージ
中規模火砕流
噴火ステージ
後カルデラ火山
噴火ステージ
破局的噴火に先行して
プリニー式噴火(注記)
が間欠的に発生
破局的噴火が発生
破局的噴火時の
残存マグマによる
火砕流噴火が発生
多様な噴火様式の
小規模噴火が発生
火 道
か どう
火砕流
溶岩流
マグマだまり
側火口
か こうそっ
火山灰
火山ガス
九州には5つのカルデラ火山が存在しています
九州には、
阿蘇カルデラ、
加久藤・小林カル
デラ、
姶良カルデラ、
阿多カルデラ、
鬼界カル
デラの5つのカルデラ火山があります。
カルデラとは、
地下に溜まったマグマが短
期間に大量噴出し、
火山体の崩壊・陥没によ
りできた広く大きなくぼ地のことです。
(注記)上図の円は、
新規制基準
(火山影響評価ガイド)で定められた
「評価す
べき火山の範囲=原子力発電所から160kmの範囲」
を示し
ています。
(注記)100km3:山手線の内側が東京スカイツリーの2倍を超える高さまで覆われるボリュームに相当。
一般火山
(新燃岳噴火等)
の約100万倍の規模。
凡例
玄海原子力
発電所
カルデラ
川内原子力
発電所
阿蘇
カルデラ
あ そ
あい ら あ た き かい
か く とう こばやし
阿多カルデラ
鬼界カルデラ
160km
160km
加久藤・小林
カルデラ
姶良
カルデラ
マグマだまり
大量のマグマを
短期間で噴出
マグマだまりが
急速に収縮
噴火前
噴 火
陥 没
(注記)
(注記)
カルデラ火山における
「破局的噴火」
とは、
火口から噴出する
火砕流や火山灰の量が100km3
(注記)
を超える巨大な噴火のことです
破局的噴火
約1.3万年前
桜島薩摩噴火
2011年
霧島新燃岳噴火
噴煙高さ
噴出物量10km0.1km3
0.01km31km310km3
100km3
以上30kmしかく噴火履歴の特徴
しかく地下構造

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