2 0 1 9 年 7 月
九州電力株式会社
経 営 概 況
(収支概況と経営効率化への取り組み) 1《目 次》
1 収支概況 ........................................................................ P2
2 収支実績の推移 ............................................................... P5
3 修繕費および諸経費の推移 ................................................ P6
4 経営効率化への取り組み ................................................... P7
〔参考〕10電力会社の料金水準(家庭用) .................................... P8
〔参考〕経営効率化への取り組みの具体例 ................................. P9 29,210 9,166 8,482 7,722 8,141 8,978 9,658 10,016 10,890
4,219
7,263 9,493 10,694 10,509
7,515 6,734
7,804
7,529
13,970 14,144 14,575
17,044 17,719 17,237 17,081
18,302 18,744
541 さんかく2,285 さんかく3,399 さんかく1,372 さんかく930 743 688 482 325
1 収支概況
〔経常収益、経常費用、経常損益の推移〕
(億円)
経常収益
経常費用(燃料費等以外)
経常費用(燃料費等)
しろまる 2018年度の収支は、販売電力量の減少、川内原子力発電所の定期検査や送配電設備における安定供給に
必要な保全工事実施による修繕費、諸経費などの費用増などにより、前年度に比べ減益となり、経常利益は
325億円、当期純利益は234億円となりました。
しろまる 2018年度の利益については、東日本大震災以降、著しく毀損した財務基盤の改善などに充当しています。
2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018
経常損益(さんかくは損失を示す)
年度 33,277
6,397
4,389
1,015 136 574 1,087 1,610 1,680
19,681
23,601
27,890
29,838
31,682
30,200
31,005
30,242 30,03324.918.710.28.17.38.910.511.6 11.6(5)05101520250
10,000
20,000
30,000
2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018
さんかく54
純資産
9,675
4,292 3,414 3,222 3,851 4,364 4,887
優先株式
1,000
4,957
7,667
〔参考〕 純資産および有利子負債残高の推移
(億円)
有利子負債残高
〔純資産および有利子負債残高、自己資本比率の推移〕
その他利益剰余金
その他資本剰余金等
資本金等
資本金 +
法定準備金
自己資本比率
年度末(%) 4
しろまる 2019年度の売上高は、電気料金の値下げによる減収はありますが、競争力強化に伴う販売電力量の増加を見込
んでいることや、再エネ特措法交付金が増加することなどから、前年度を上回る1兆9,150億円程度となる見通しで
す。
しろまる 経常利益については、松浦発電所2号機の運転開始により燃料費が減少することなどから、前年度を上回る500
億円程度となる見通しです。
〔2019年度業績予想〕 (参考:実績)
年度 2019 2018
売 上 高 (億円) 19,150 18,671
経 常 損 益 (億円) 500 325
当 期 純 損 益 (億円) 350 234
〔主要諸元〕 (参考:実績)
年度 2019 2018
販 売 電 力 量 ( 億 k W h ) 734 722
原 油 C I F 価 格 ( $ / b ) 70 72
為 替 レ ー ト (円/$) 110 111
1 収支概況(つづき) 5年度 2014 2015 2016 2017 2018経常収益
電 灯 電 力 料 15,461 14,379 13,425 13,919 13,701
そ の 他 2,258 2,858 3,656 4,382 5,043
合 計 17,719 17,237 17,081 18,302 18,744経常費用
人 件 費 1,131 1,310 1,326 1,370 1,410
燃 料 費 6,784 3,647 2,635 3,120 2,417
購 入 電 力 料 3,724 3,868 4,098 4,683 5,111
修 繕 費 1,266 1,444 1,527 1,426 1,619
減 価 償 却 費 1,647 1,670 1,763 1,702 1,790
支 払 利 息 386 370 334 301 266
公 租 公 課 860 852 857 869 890
原 子 力バックエンド費 用 214 217 282 358 703
そ の 他 2,634 3,112 3,566 3,988 4,209
合 計 18,650 16,494 16,392 17,820 18,419
経 常 損 益 さんかく930 743 688 482 325
当 期 純 損 益 さんかく1,190 653 610 690 234(参考)
販 売 電 力 量 ( 億 k W h ) 813 792 786 768 722
原 油 C I F 価 格 ( $ / b ) 90 49 48 57 72
為 替 レ ー ト ( 円 / $ ) 110 120 108 111 111
(億円)
2 収支実績の推移 61,782
1,659 1,728 1,753
1,552 1,520
1,419
1,294
1,423
1,544 1,504
1,607
1,7250500
1,000
1,500
2,000
1995 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018
2,034
1,849
1,978 1,951
1,759 1,760
1,479
1,031
1,266
1,444
1,527
1,426
1,6190500
1,000
1,500
2,000
1994 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018
3 修繕費および諸経費の推移
〔諸経費の推移〕
注: 諸経費とは、廃棄物処理費、消耗品費、補償費、賃借料、委託費、普及開発関係費、養成費、研究費、
諸費(通信運搬費、旅費、寄付金、雑費、雑損)の合計
年度
(億円)
過去最大
〔修繕費の推移〕
年度
過去最大
(億円) 7主な取り組み内容
2018年度
実績
人件費
・確定拠出年金導入など退職金・年金制度の見直し
・委託検針・集金費の削減236修繕費
・仕様見直しなど資機材調達の効率化
・点検周期や工事の実施時期などの見直し396燃料費
購入電力料
・受入品位緩和など燃料調達コストの低減
・競争見積の拡大によるコスト低減308設備投資
関連費用
・工事の実施時期や内容などの見直し 299
その他
(諸経費等)
・委託費の効率化
・賃借料の効率化222合 計 - 1,461
(億円)
4 経営効率化への取り組み
注:燃料費、購入電力料の効率化額(実績)は、需給バランスが料金原価の想定と大きく
異なるため、一定の前提を置いて算定。
しろまる 料金値上げ時に計画した効率化(1,437億円)に対し、恒常的な効率化の実施により、1,461億円の費用
削減(24億円の深掘り)を実施しました。
しろまる 2019年度は、2019年4月の料金値下げ時に織込んだ151億円の効率化深掘りの達成に向け、更なるコスト
低減に取り組んでいきます。
2013.5
値上げ時
効率化
1,437億円
(3か年平均)
2019.4
値下げ時
深掘り
151億円
(3か年平均)
〔2018年度効率化実績〕 〔2019年度以降の効率化〕 86,428 6,467 6,522 6,609
6,759 6,763
6,905
7,093
7,331
8,222
5,000
6,000
7,000
8,000
9,000
北 陸 九 州 関 西 中 部 四 国 中 国 東 京 東 北 沖 縄 北海道
9電力会社(当社以外)の単純平均
従量電灯、契約電流:30A
使用電力量:250kWhとして試算
2019年8月分の電気料金
(円/月)
(注1)2019年8月分燃料費調整額および再生可能エネルギー発電促進賦課金(2.95円/kWh)を含む
(注2)東京・中部・北陸・関西・中国・四国・九州は口座振替割引を含む
6,959
(さんかく492)
〔参考〕 10電力会社の料金水準(家庭用) 91年目 2年目 3年目 4年目 5年目 6年目
ガス
タービン 定期
点検
定期
点検
〔ガスタービン点検周期の延伸〕
o コンバインドサイクル発電用のガスタービンは、極めて高い温度で使用するため、劣化が進行することから、従来、
2年毎のガスタービン本体と燃焼器の定期点検に加えて、燃焼器のみ1年おきに中間点検を実施してきました。
o 近年の再生可能エネルギー導入拡大に伴い、火力発電所が再エネの出力変動を吸収する調整力としての役割を
増していることも踏まえ、発電所の稼働率および運用性向上の観点から、より耐久性の高い燃焼器に更新するな
どの対策を実施することにより、設備保安の確保を大前提に、中間点検および定期点検のインターバル延伸を
行っていきます。
〔ガスタービン点検周期延伸のイメージ〕 〔ガスタービン〕
〔参考〕 経営効率化への取り組みの具体例
1年目 2年目 3年目 4年目 5年目 6年目
ガス
タービン 中間
点検
定期
点検
中間
点検
定期
点検
中間
点検
定期
点検
[従来]
[延伸後] 10〔参考〕 経営効率化への取り組みの具体例(つづき)
1年目 2年目 3年目 4年目 5年目 6年目
ボイラー 法定点検
タービン 法定点検
1年目 2年目 3年目 4年目 5年目 6年目
ボイラー
法定点検 法定点検 法定点検
タービン
法定点検
[従来]
[システムS]
ボイラー:2年毎、タービン:4年毎の法定点検が必要
ボイラー、タービンの法定点検周期を最大6年に延伸
[火力発電所での常時監視]
o 2017年4月の電気事業法改正に伴い、定期安全管理審査制度が見直され、高度な運転管理(常時監視・予兆把握
技術など)を行っていると認定(システムS)された発電所については、法定点検の周期を最大6年に延伸することが
可能となりました。
o 当社は、2018年度までに全ての石炭・LNG火力発電所でシステムSの取得を完了しており、今後、法定点検周期の
延伸に努めることにより、運転可能日数の更なる向上を図ります。
o また、今後IoTやAI等の先進的な技術を導入し、更なる保安の強化や運転管理の高度化を進めていきます。
〔火力発電所運転可能日数の更なる向上への取り組み〕 11〔松浦発電所2号機開発の概要〕
所在地 長崎県松浦市 発電出力 100万kW
発電方式 超々臨界圧(USC)(注記)微粉炭火力 燃 料 石 炭
熱効率(発電端) 46%(低位発熱量基準) 運転開始年月 2019年12月
〔松浦発電所2号機の開発〕
o 競争力と安定性を備えた電源を確保するため、2019年12月の営業運転開始に向け、松浦発電所2号機(石炭火
力)の試運転に取り組んでいます。
o 最高水準の技術を導入し、環境負荷の低減を図るとともに、再生可能エネルギーの出力変動にも柔軟に対応して
いきます。
(注記)超々臨界圧(USC:Ultra Super Critical):発電に使用する蒸気を高温高圧化することにより、熱効率を向上させ、環境負荷を低減した高効率の発電方式
〔参考〕 経営効率化への取り組みの具体例(つづき) 12o 燃料トレーディングの強化等、需給調整機能を高度化することで、電源の最経済運用を実現し、燃料費・購入電
力料の低減を図っています。
o また、九電グループが保有するノウハウや他社とのアライアンスを活用し、需要増が見込まれるアジア新興国を
中心に、燃料供給から発電までの一体型プロジェクト(Gas-to-Power)などにも取り組んでいきます。
〔燃料事業における取り組み〕
方策
時期の最適化
多様化
需給運用の最適化
バリューチェーン
への積極関与
効率化
柔軟性
(数量調整)
安定性他社とのアライアンス
トレーディング
(売買両建て)
標準・低品位燃料
の使用拡大
供給源の多様化
電源の経済運用
(メリットオーダー)
開発
生産
(上流権益)
輸送
物流
受入
貯蔵
トレーディング
・数量調整
・価格管理
消費
販売
燃料供給から発電までの一体型プロジェクト
価格決定方式の多様化
市況軟化(購入)
市況高騰(販売)
〔参考〕 経営効率化への取り組みの具体例(つづき)
バリューチェーン間のシナジー効果 13〔 2018年度の主な補修日数縮減実績〕(注記)
o 市場から安価な電力を調達して自社電源との差替えを行うなど、最も経済的な需給運用を日々追求することに
よって、燃料費を最大限抑制しています。
o また、日々の天候に応じた太陽光の出力予測や需要想定の精度向上に努め、発電設備の運転台数を最適化す
ることにより高効率で発電を行い、燃料消費量の低減に取り組んでいます。
〔出力と燃料消費量の関係(LNG火力の場合)〕
出力
25% 50% 75% 100%
出力当り
燃料消費量少多
高出力⇒出力当り燃料消費量少
=高効率
低出力⇒出力当り燃料消費量多
=低効率
o 経済性に優れた石炭・LNG火力の補修について、休日・夜間の活用や時期の見直しなどにより、補修期間を
縮減し、最大限の活用に取り組んでいます。
石炭火力 松浦:さんかく5日
〔需給運用・電力取引面における取り組み〕
LNG火力 新大分:さんかく130日
(注記)ユニット毎の補修縮減日数の合算
〔参考〕 経営効率化への取り組みの具体例(つづき) 14o 従来、送電鉄塔の点検は、作業員が昇塔して部材を目視確認することにより行ってきましたが、より効率的な点検
方法として、ドローンを活用した点検方法の導入を進めています。
o 現在、当社管内の一部エリア(佐賀・鹿児島)でドローンを活用した鉄塔点検を試行実施中であり、本格運用後は、
2千基/年程度の鉄塔点検に適用する予定です。
〔ドローンを活用した送電鉄塔点検の実施〕
<ドローンを活用した鉄塔点検のイメージ>
(実際の点検状況)
ドローン
(中央にカメラ搭載)
点検対象の
鉄塔
ドローン
カメラ操作者は、設備
の劣化が懸念される
箇所を写真撮影
従来の点検は6名(点検
員4名、塔上監視者1名、
地上監視者1名)で実施し
ていたが、ドローン活用に
より3名(注記)で点検可能
(注記)現在、更なる人員削減に向
けて検討中
〔参考〕 経営効率化への取り組みの具体例(つづき)
ドローン操作者
カメラ操作者
監視者 15o 変電所の機器に使用しているブッシング(機器と電線等との接続部に用いられる絶縁を保つための部品)について
は、これまで磁器製のものを指定して発注していましたが、近年ポリマー製のものについても技術的評価が確立さ
れたため、2018年度から採用対象に追加し、設備投資の削減を図っています。
〔ポリマー製ブッシングの採用〕(変電設備)
効率化の取り組み前 効率化の取り組み後
o技術的評価が確立されている
「磁器製」を指定して発注
o技術的評価が確立された「ポ
リマー製」も採用対象に追加
指定
(変電所におけるブッシング適用箇所)
ブッシング
[遮断器外観]
磁器製 磁器製 ポリマー製
ブッシング
経済性で有利な高電圧の
ものから「ポリマー製」を適用+〔参考〕 経営効率化への取り組みの具体例(つづき) 16現行品 導入品
外 観
材 料 磁 器 ポリマー(シリコーン)
重 量 11.0kg 1.5kg
コスト(注記) 1 約2/3
o 22kV配電線路に使用しているがいし(電柱と電線の絶縁を保つための部品)はこれまで磁器製のものを使用して
いましたが、ポリマー製がいしの開発を完了し、2018年度から導入しています。
o これにより材料費の大幅な低減とがいしの軽量化による作業性向上により、設備投資の削減を図っています。
〔22kVポリマーがいしの導入〕(配電設備)
さんかく86%軽量化
さんかく1/3コスト低減
22kV配電線路用がいし
(注記)コストは現行品を1としたときの比較
〔参考〕 経営効率化への取り組みの具体例(つづき) 17[競争発注比率]
o 競争発注の拡大や他の電力会社との共同調達などによる資機材調達コストの低減に取り組んだ結果、2018年度のコ
スト低減率は、震災前水準からさんかく15%となりました。また、競争発注比率は、震災前の約2倍の30%となりました。
[コスト低減率]
〔資機材調達コスト低減への取り組み〕14%19%
26% 25%
(31%) 30%23%30%50%0%10%20%30%40%50%2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018
2011年度
(震災前)
の水準
【主な取り組み】
・競争発注の拡大、競争原理を活用した
発注方式の工夫
・集約購買、共同調達
・お取引先の提案や社外専門家からの
助言を通じた外部知見の活用 など
≪ 実 績 ≫
2018年度
コスト低減
さんかく15%
(注記) ( )内は大型の
特殊件名を除く
[事例] 共同調達
o 変電所など当社設備における非常用電源として用い
る蓄電池・整流器等について、他電力との共同調達に
取り組んでいます。
o 共同調達にあたっては、2017年度に遮断器、2018年度
にVCT(計器用変成器)を加えるなど、順次対象品目を
拡大しています。
[蓄電池] [整流器] [避雷器]
[遮断器]
<共同調達対象品目の例>
[VCT]
〔参考〕 経営効率化への取り組みの具体例(つづき) 18(注記)1 対象品目の原価を構成する要素や変動要因を可視化し、コスト改善や
価格交渉のベースとするもの
(注記)2 製品やサービスの価値を機能とコストで把握し、システム化された手順で価値
の向上を図る活動
(注記)3 現場調査を実施し、コストの可視化や改善項目の抽出を通じてコスト低減
につなげる活動
(注記)4 (サプライヤー リレーションシップ マネジメント)サプライヤーとの関係の最適化を図り、
協働や競争によりコスト低減につなげる活動
[調達機能強化の構造]
原価低減活動SRM発注方法の工夫 サプライヤーとの協働
による取り組み
競争力強化
への貢献
原価低減目標
調達方針
(注記)4
コスト
テーブル
VE活動
多様な
発注方式
(注記)1
(注記)2
上流(計画・検討)段階
からの取り組み
フィールド
スタディ
(注記)3
原価低減活動を支えるツール
o 他産業出身者などの社外専門家を委員とした「調達改革推進委員会」を設置し、外部知見も活用しながら、更なる調達
コスト低減に向け、調達機能の強化を推進しています。
o 特に発注規模の大きな資機材や工事等については、現地・現物で原価改善活動を行う専任者を配置し、主管部門や
サプライヤーと協働した活動を展開しています。
〔資機材調達コスト低減への取り組み〕
助言・指導・評価 報告・相談
資材調達分科会
主査 委員 委員
・・・・・
社内関係部長
調達改革推進委員会
委員長 社内委員 社外委員
・・
・・
メーカー出身者
コンサルタント
常務
執行役員
関係役員
執行役員
[資機材調達効率化の推進体制図]
〔参考〕 経営効率化への取り組みの具体例(つづき)

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