1玄海3号機 今後の地震に備えるために実施した
特別点検に関する報告の概要について
しろまる実施体制の構築
当社は、特別点検の実施にあたり、社長をトップとし、関係本部長以下、安全・
品質保証部長を総括責任者とした全社を挙げた体制を構築した。
この体制の下、本店から発電所へ派遣する社員及びプラントメーカ等の専門家
(以下「エキスパート」という)からなる特別点検チームを編成した。
特別点検チームは、特別点検の点検計画、点検実施の管理、記録管理、報告書管
理を実施し、発電所管理職の管理のもと発電所員、協力会社社員が点検を実施し、
プラントメーカ等のエキスパートが専門的な視点で助言・確認する体制にて特別点
検を実施した。なお、特別点検は延べ 265 人で実施した。
しろまる特別点検の結果
平成29年8月28日から平成30年3月25日の期間で特別点検を実施した結
果、いずれの点検項目においても、異常は確認されなかった。
特別点検項目 期 間 点検結果
1原子炉圧力容器の点検
平成 29 年 8 月 31 日
〜平成 30 年 2 月 13 日
異常なし
2格納容器の点検 平成 29 年 8 月 29 日〜8 月 30 日 異常なし
3使用済燃料ピットの点検 平成 29 年 9 月 4 日〜10 月 24 日 異常なし
4低レベル放射性廃棄物保管容器の
固縛状態の点検
平成 29 年 8 月 29 日〜9 月 1 日 異常なし
5ポンプ等基礎ボルト及び配管支持
装置の点検
平成 29 年 9 月 12 日〜9 月 13 日 異常なし
6原子炉の安全確保の機能を持つ設
備の作動試験
平成 29 年 10 月 18 日
〜平成 30 年 3 月 25 日
異常なし
7原子炉停止用地震計等の点検 平成 29 年 8 月 30 日〜8 月 31 日 異常なし
8非常用電源装置や給水装置などの
バックアップ設備の点検又は作動
試験
平成 29 年 9 月 11 日 異常なし
9緊急時の通信に使用する通信機器
の点検及び機能確認
平成 29 年 8 月 30 日〜9 月 1 日 異常なし
10モニタリングステーション・ポス
トの点検
平成 29 年 9 月 8 日 異常なし
11玄海原子力発電所の特性を考慮し
た点検
平成 29 年 8 月 29 日〜9 月 12 日 異常なし
別 紙 21原子炉圧力容器の点検
安全確保の基本である「原子炉を止める」
「原子炉を冷やす」
「放射性物質を閉じ
込める」機能を直接果たす原子炉圧力容器について、今後の地震に備えるため異常
のないことを確認した。
o原子炉圧力容器内の点検
脱落した部品など異物が原子炉圧力容器の底部(炉底)に落ちていないか、原
子炉圧力容器炉内構造物(炉心バッフル取付板、下部炉心板及び炉心バッフル)
の変形がないかを水中カメラを投入し確認した結果、異常は確認されなかった。
【原子炉圧力容器1基】
o制御棒駆動装置及び制御棒位置指示装置のコネクタの点検
原子炉圧力容器の頂部に設置する制御棒駆動装置及び制御棒位置指示装置の通常
の点検では切離しを実施しないコネクタ部について、変形、割れがないことを記
録を用いて確認した結果、異常は確認されなかった。
【コネクタ部265箇所】
o支持構造物の点検
原子炉圧力容器の支持構造物、原子炉圧力容器に1次冷却材配管で接続する蒸
気発生器、1次冷却材ポンプ及び加圧器の支持構造物全体について、外観上の有
害な欠陥の有無、ボルト類の脱落、変形がないこと、また、他の隣接配管、ダク
ト、トレイ及び構築物等と相互干渉の有無などを目視又は記録にて確認した結果、
異常は確認されなかった。
【原子炉圧力容器1基、蒸気発生器4基、1次冷却材ポンプ4台、加圧器1基】
2格納容器の点検
安全確保の基本である「放射性物質を閉じ込める」機能を直接果たす格納容器に
ついて、今後の地震に備えるため異常のないことを確認した。
o格納容器スプレイ配管の点検
格納容器に設置されている格納容器スプレイ系統のスプレイ配管が支持装置から
外れていないこと、また、当該支持装置に変形、割れがないことを記録を用いて
確認した結果、異常は確認されなかった。 【配管支持装置281箇所】
o格納容器貫通部の点検
格納容器外から冷却水を送水するための配管などが貫通する格納容器貫通部につ
いて、変形、割れがないことを記録を用いて確認した結果、異常は確認されなかった。
【貫通部152箇所】
3使用済燃料ピットの点検
使用済燃料を安全に保管するための、使用済燃料ピットラックセル及び使用済燃
料ピットの冷却系統について、今後の地震に備えるため異常のないことを確認した。
また、新燃料貯蔵庫についても、今後の地震に備えるため異常のないことを確認
した。 3o使用済燃料ピットラックセルの点検
使用済燃料ピット内に水中カメラを投入し、カメラ撮影映像にて使用済燃料を
収納するラックセルの形状に変形、割れのないことを確認した結果、異常は確認
されなかった。また、建物と使用済燃料ラックセルを接続している連接板につい
ても形状に変形、割れのないことを確認した結果、異常は確認されなかった。
【ラックセル1,064箇所、連接板186箇所】
o使用済燃料ピット冷却系統の点検
使用済燃料ピットポンプ、冷却器の基礎ボルトについて、外観上の有害な欠陥
の有無、テストハンマを使用したハンマリングによるボルト類の脱落、変形がな
いことを確認した結果、異常は確認されなかった。また、使用済燃料ピット冷却
系統の配管の支持装置について、外観上の有害な欠陥の有無、他の隣接配管、ダ
クト、トレイ及び構築物等と相互干渉の有無などを記録を用いて確認した結果、
異常は確認されなかった。
【ポンプ2台、冷却器2基、配管支持装置200箇所】
o新燃料貯蔵庫ラックの点検
新燃料貯蔵庫内にある新燃料を収納するラックについて、ラックに変形、割れ
がないことを記録を用いて確認した結果、異常は確認されなかった。また、建物
と新燃料貯蔵庫ラックを接続している連接板についても変形、割れがないことを
記録を用いて確認した結果、異常は確認されなかった。
【ラック198箇所、連接板42箇所】
4低レベル放射性廃棄物保管容器の固縛状態の点検
固体廃棄物貯蔵庫に保管している低レベル放射性廃棄物保管容器(ドラム缶)の
うち、最上段のドラム缶がベルトによって固縛され、転倒を防止できる状態が維持
されていることを記録を用いて確認した結果、異常は確認されなかった。
【固縛2,128箇所】
5ポンプ等基礎ボルト及び配管支持装置の点検
安全確保の基本である「原子炉を止める」
「原子炉を冷やす」
「放射性物質を閉じ
込める」機能を持つ安全上重要な設備のポンプ等の基礎ボルトについて、外観上の
有害な欠陥の有無、テストハンマを使用したハンマリングによりボルト類の締め付
けが確実で緩んでないことを確認した結果、異常は確認されなかった。また、関係
するすべての配管支持装置について、外観上の有害な欠陥の有無、他の隣接配管、
ダクト、トレイ及び構築物等と相互干渉の有無などを記録を用いて確認した結果、
異常は確認されなかった。
【ポンプ等40台、配管支持装置4,435箇所】
6原子炉の安全確保の機能を持つ設備の作動試験
安全確保の基本である「原子炉を止める」
「原子炉を冷やす」
「放射性物質を閉じ
込める」機能を持つ設備について、作動試験を実施し、各設備の運転状態(振動、 4異音、異臭の有無及びパラメータ指示値が適切であること)の確認や配管接続部か
らの漏えいの有無を確認した結果、異常は確認されなかった。
【作動試験24項目】
7原子炉停止用地震計等の点検
o原子炉停止用地震計の点検
原子炉停止用地震計(原子炉停止用地震感知器及び原子炉停止用地震感知器か
ら原子炉を停止させる回路への信号を送信するシステム)について、感知器にテ
スト信号を入力し、原子炉停止用地震計が原子炉を停止させる回路へ信号を発信
することを記録を用いて確認した結果、異常は確認されなかった。
【原子炉停止用地震計12台】
o安全上重要な計装機器の点検
原子炉停止用地震感知器の信号を受け原子炉を停止させる計装機器(回路)に
ついて、テスト信号により、原子炉トリップ(停止)信号を発信することを記録
を用いて確認した結果、異常は確認されなかった。 【計装機器4系統】
o広報用地震計の点検
広報用地震計について、センサテストにより、広報用地震感知器に異常がない
こと及び当該装置が震度情報を表示することを記録を用いて確認した結果、異常
は確認されなかった。 【広報用地震計3台】
8非常用電源装置や給水装置などのバックアップ設備の点検又は作動試験
非常用電源装置である大容量空冷式発電機及び給水装置である常設電動注入ポンプ
並びにその他可搬の重大事故等対処設備について、作動試験にて運転状態(振動、
異音、異臭の有無及びパラメータ指示値が適切であること)の確認や配管接続部か
らの漏えいの有無又は外観点検にて変形、割れのないことを記録を用いて確認した
結果、異常は確認されなかった。 【バックアップ設備175台】
9緊急時の通信に使用する通信機器の点検及び機能確認
重大事故等が発生した場合などの緊急時に、社内及び国や自治体などの社外関係
機関へ迅速かつ確実に連絡するための通信機器について、外観点検を実施するとと
もに、通話及び通信確認を実施していることを記録を用いて確認した結果、異常は
確認されなかった。 【通信機器2,012台】
10モニタリングステーション・ポストの点検
発電所から放出される放射性物質の濃度や発電所敷地境界付近の放射線量(空間
線量)を測定するためのモニタリングステーション及びモニタリングポスト等につ
いて、外観点検にて各部のネジの緩みや機能に悪影響を与える錆の発生や破損等が無
いことを確認するとともに、検出器に標準線源を照射することにより、当該設備が
適切な線量を示すことを記録を用いて確認した結果、異常は確認されなかった。
【モニタリングステーション・ポスト等4台】 511玄海原子力発電所の特性を考慮した点検
oプレストレストコンクリート製格納容器の点検
玄海原子力発電所3/4号機の格納容器は、当社保有の他原子力発電所と異な
り、格納容器内のコンクリート壁体内部にテンドン(PC鋼材)を使用したプレ
ストレストコンクリート製(PCCV)を採用している。
PCCVのテンドンの定着部を保護するすべてのグリースキャップに変形がない
ことを目視にて確認した結果、異常は確認されなかった。
【グリースキャップ510箇所】
oMOX燃料保管状況の点検
MOX燃料を保管している使用済燃料ピット内に水中カメラを投入し、カメラ
撮影映像にてMOX燃料が指定された場所に適切に保管されていることを確認し
た結果、異常は確認されなかった。 【MOX燃料36体】
o重大事故等対処設備保管庫の点検
重大事故等対処設備のうち、屋外設備の一部を保管している重大事故等対処設
備保管庫について、目視にて外観上の有意な欠陥の有無を確認した結果、異常は
確認されなかった。 【重大事故等対処設備保管庫3箇所】
o警備施設の点検
玄海原子力発電所は、玄海町北部の半島の先端部に位置する立地特性を有して
いる。このため、海域からの侵入を考慮し設置している侵入防止柵、センサー、
監視カメラ及び海域レーダについて、目視にて外観上の有害な欠陥の有無を確認
した結果、異常は確認されなかった。
しろまる総合設備点検
入念かつ十分な確認を行うため、1次系設備、2次系設備、電気設備、制御設
備、建物等の設備全般について、総合設備点検を実施した。
具体的には、運転している機器については、その運転状態(振動、異音及び異臭
の有無)の確認を行うとともに、その他、配管接続部からの漏えいの有無、地震に
よる変形・損傷の有無及び指示計器の指示異常の有無などを目視又は記録にて確認
した。
また、建物等についても、目視又は記録にてコンクリート構造物の有意なひび割
れ、剥脱の有無や鉄骨構造物の有意な変形の有無などを確認した。その結果、異常
は確認されなかった。
以 上

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