1.経営成績等の概況
(1) 当期の経営成績の概況
平成29年度のわが国経済は、生産・設備投資の増加や輸出などの持ち直しにより、緩や
かな回復基調が続きました。九州経済は、生産・輸出が高水準で推移しているほか、設備
投資・個人消費の増加もあり、緩やかに拡大しました。
当社におきましては、電力システム改革等により、電力・ガス小売全面自由化や、送配
電部門の法的分離などへの対応が必要であることなどから、安全確保・法令遵守・安定供
給を前提に、グループ一体となって徹底した費用削減に努めるとともに、ガス小売事業に
参入するなど収益獲得に積極的に取り組んでまいりました。
平成29年度の業績につきましては、川内原子力発電所の発電電力量増加による燃料費の
抑制などはありましたが、競争の進展に伴う販売電力量の減少や、電力システム改革等に
伴う諸経費の増加などから、前年度に比べ経常利益は 21.8%の減益となりました。一方、
玄海原子力発電所3号機の稼働状況等を踏まえ、繰延税金資産の回収可能性について検討
した結果、繰延税金資産を追加計上し、法人税等が減少したことなどから、親会社株主に
帰属する当期純利益は 9.3%の増益となりました。
1収支
当年度の連結収支につきましては、収入面では、電気事業において、販売電力量の減少
はありましたが、燃料費調整の影響による料金単価の上昇などにより電灯電力料が増加し
たことや、再エネ特措法交付金が増加したことなどから、売上高(営業収益)は前年度に比
べ 7.3%増の1兆9,603億円、経常収益は 7.1%増の1兆9,762億円となりました。
一方、支出面では、グループ一体となって費用削減に取り組んでいますが、電気事業に
おいて、再生可能エネルギー電源からの他社購入電力料が増加したことや、燃料価格の上
昇などにより燃料費が増加したことに加え、諸経費が増加したことなどから、経常費用は
8.6%増の1兆9,025億円となりました。
以上により、経常利益は前年度に比べ 21.8%減の 736億円となりました。
また、平成28年度の熊本地震に伴う特別損失の反動減や、繰延税金資産の追加計上によ
る法人税等の減少などから、親会社株主に帰属する当期純利益は 9.3%増の 866億円とな
りました。
九州電力株式会社(9508) 平成30年3月期 決算短信-2- 事業の種類別セグメントの業績(セグメント間の内部取引消去前)は、次のとおりとなり
ました。
セグメント別の業績(内部取引消去前)
(単位:億円、%)
29年度 28年度 増 減 前年度比
( A ) ( B ) ( A-B ) ( A/B )
売 上 高 1,232 107.3
営業利益 しろさんかく 169 82.8
売 上 高 62 103.4
営業利益 16 116.3
売 上 高 52 105.2
営業利益 しろさんかく 11 86.1
売 上 高 6 102.7
営業利益 2 106.5
(注)「電気事業」は、当社事業から附帯事業を除いたものです。
ア 電気事業
売上高は、販売電力量の減少はありましたが、燃料費調整の影響による料金単価の上
昇などにより電灯電力料が増加したことや、再エネ特措法交付金が増加したことなどか
ら、前年度に比べ 7.3%増の1兆8,083億円となりました。一方、営業費用は、グルー
プ一体となって費用削減に取り組んでいますが、再生可能エネルギー電源からの他社購
入電力料が増加したことや、燃料価格の上昇などにより燃料費が増加したことに加え、
諸経費が増加したことなどから、8.8%増の1兆7,268億円となりました。以上により、
営業利益は 17.2%減の 814億円となりました。
イ エネルギー関連事業
エネルギー関連事業は、電気設備の建設・保守など電力の安定供給に資する事業、お
客さまのエネルギーに関する様々な思いにお応えするため、ガス・LNG販売、再生可
能エネルギー、エネルギーサービス事業等を展開しています。また、九電グループが培
ってきた技術・ノウハウを活かし、海外エネルギー事業の強化や九州域外におけるエネ
ルギー事業の展開などにも取り組んでいます。
売上高は、スマートメーター販売の減少などはありましたが、ガス・LNG販売の増
加や海外LNGプロジェクトにおける生産開始などにより、前年度に比べ 3.4%増の
1,914億円、営業利益は、ガス小売事業参入に伴うシステム構築に係る委託費の増加な
どはありましたが、海外LNGプロジェクトにおける生産開始や海外発電事業における
利益の増加などにより、16.3%増の 117億円となりました。
関連事業
情報通信事業
その他の事業
エネルギー 1,914 1,852
電気事業
18,083 16,850
814 98348100
1,0148424945117
1,06673255
九州電力株式会社(9508) 平成30年3月期 決算短信-3- ウ 情報通信事業
情報通信事業は、保有する光ファイバ網やデータセンターなどの情報通信事業基盤や
事業ノウハウを活用し、データ通信、光ブロードバンド、電気通信工事・保守、情報シ
ステム開発、データセンター事業等を展開しています。
売上高は、情報システム開発受託や電気通信機器販売の増加などにより、前年度に比
べ 5.2%増の 1,066億円、営業利益は、スマートフォンサービスに係る販売費の増加な
どにより、13.9%減の 73億円となりました。
エ その他の事業
その他の事業は、不動産、住宅関連サービス、有料老人ホーム事業等を主たる事業と
する生活サービス事業と、環境・リサイクル事業を展開しています。
売上高は、人材派遣事業や有料老人ホーム事業に係る収入の増加などにより、前年度
に比べ 2.7%増の 255億円、営業利益は、賃貸建物の減価償却費の減少などにより、
6.5%増の 48億円となりました。
九州電力株式会社(9508) 平成30年3月期 決算短信-4- 2販売及び生産の状況
当年度の販売電力量につきましては、契約電力の減少などから 768億kWhとなり、前年
度に比べ 2.3%の減少となりました。
販 売 電 力 量 比 較 表
(単位:百万kWh、%)
電 灯 28,603 28,535 68 100.2
電 力 48,173 50,084 しろさんかく 1,912 96.2
合 計 76,775 78,619 しろさんかく 1,844 97.7
(注)百万kWh未満は四捨五入のため、合計の数値が一致しない場合があります。
供給面につきましては、川内原子力発電所1、2号機の安定稼働に加え、新エネルギー
等の増加に対して火力、揚水等の発電設備の総合的な運用を行うことにより、安定した電
力をお届けすることができました。
発 受 電 電 力 量 比 較 表
(単位:百万kWh、%)
水 力 4,653 4,788 しろさんかく 135 97.2
( 出 水 率 ) ( 101.2 ) ( 115.0 ) ( しろさんかく 13.8 )
火 力 43,260 45,615 しろさんかく 2,355 94.8
原 子 力 14,339 12,455 1,884 115.1
(設 備 利 用 率) ( 36.7 ) ( 31.9 ) ( 4.8 )
新エネルギー等 1,092 1,133 しろさんかく 41 96.3
計 63,344 63,991 しろさんかく 647 99.0
18,511 19,993 しろさんかく 1,482 92.6
( 9,994 ) ( 8,590 ) ( 1,404 ) ( 116.4 )
揚 水 用 しろさんかく 1,627 しろさんかく 1,306 しろさんかく 321 124.7
合 計 80,228 82,678 しろさんかく 2,450 97.0
(注1)自社の発電電力量は、送電端の数値を記載しています。
(注2)「新エネルギー等」は、太陽光、風力、バイオマス、廃棄物及び地熱の総称です。
(注3)「融通・他社」には、期末時点で把握している電力量を記載しています。
前年度比
( A/B )
( A ) ( B ) ( A-B )
29年度 28年度 増 減
( A/B )
29年度 28年度 増 減 前年度比
( A ) ( B ) ( A-B )自 社
(新エネルギー等再掲)
融 通・他 社
九州電力株式会社(9508) 平成30年3月期 決算短信-5- (2) 当期の財政状態の概況
資産は、現金及び預金などの流動資産は減少しましたが、原子力安全性向上対策工事等
に伴う固定資産仮勘定の増加や核燃料の増加に加え、繰延税金資産の回収可能性について
検討した結果、繰延税金資産を追加計上したことなどにより固定資産が増加したことから、
前年度末に比べ 1,226億円増の4兆7,101億円となりました。
負債は、有利子負債の減少などはありましたが、未払税金や支払手形及び買掛金、その
他の流動負債が増加したことなどから、前年度末に比べ 432億円増の4兆561億円となり
ました。有利子負債残高は、前年度末に比べ 701億円減の3兆2,438億円となりました。
純資産は、配当金の支払による減少はありましたが、親会社株主に帰属する当期純利益
の計上などにより、前年度末に比べ 793億円増の 6,539億円となり、自己資本比率は
13.4%となりました。
(3) 当期のキャッシュ・フローの概況
営業活動によるキャッシュ・フローは、消費税等や法人税等の支払額の減少や、前年度
において「原子力発電における使用済燃料の再処理等のための積立金の積立て及び管理に
関する法律の一部を改正する法律」の施行に伴い支出した未払使用済燃料再処理等拠出金
が減少したことなどにより、前年度に比べ 1,679億円収入増の 3,559億円の収入となりま
した。
投資活動によるキャッシュ・フローは、投融資の回収による収入の増加はありましたが、
設備投資の増加などにより、前年度に比べ 467億円支出増の 3,217億円の支出となりまし
た。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前年度は転換社債型新株予約権付社債を発行し
たことなどから有利子負債が増加しましたが、当年度は社債の償還額が発行額を上回った
ことなどから有利子負債が減少したことなどにより、前年度に比べ 1,687億円減少し、
903億円の支出となりました。
以上により、当年度末の現金及び現金同等物の残高は、前年度末に比べ 539億円減少し、
3,658億円となりました。
九州電力株式会社(9508) 平成30年3月期 決算短信-6- (4) 今後の見通し
1次期の業績予想
売上高につきましては、電気事業において、前年度が気温影響により需要が増加した
ことによる反動減や競争の進展などによる契約電力の減少などから電灯電力料は減少す
るものの、他社販売電力料や再エネ特措法交付金が増加することなどから、前年度を上
回る2兆50億円程度となる見通しです。
経常利益につきましては、電気事業において、玄海原子力発電所3、4号機の発電再
開による収支改善は見込まれるものの、川内原子力発電所1、2号機の定期検査により
燃料費や修繕費が増加することや、電灯電力料が減少することなどから、引き続き事業
活動全般にわたる徹底した効率化等にグループ一体となって取り組み、前年度を上回る
800億円程度となる見通しです。
また、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、前年度に繰延税金資産を追
加計上したことによる影響で、法人税等が増加することなどから、前年度を下回る
550億円程度となる見通しです。
次 期 業 績 見 通 し
[連 結] (単位:億円)
30年度
( A )
29年度
( B )
増 減
( A-B )
20,050 19,603 447
[102.3%] [107.3%]
1,050 1,031 19
[101.8%] [ 84.1%]
800 736 64
[108.6%] [ 78.2%]
550 866 しろさんかく 316
[ 63.5%] [109.3%]
(注) [ ]は前年度比
[個 別] (単位:億円)
30年度
( A )
29年度
( B )
増 減
( A-B )
18,650 18,235 415
[102.3%] [107.5%]
850 812 38
[104.7%] [ 81.6%]
550 482 68
[114.1%] [ 70.0%]
400 690 しろさんかく 290
[ 58.0%] [113.0%]
(注) [ ]は前年度比
主 要 諸 元 表
30年度
( A )
29年度
( B )
増 減
( A-B )
730億kWh 768億kWh しろさんかく38億kWh
[95.1%] [97.7%]
65$/b 57$/b 8$/b
110円/$ 111円/$ しろさんかく1円/$
73.4% 36.7% 36.7%
(注) [ ]は前年度比
経 常 利 益
原 油 C I F 価 格
当 期 純 利 益
営 業 利 益
売 上 高
経 常 利 益
営 業 利 益
売 上 高
親会社株主に帰属する
当 期 純 利 益
為 替 レ ー ト
販 売 電 力 量
原 子 力 設 備 利 用 率
九州電力株式会社(9508) 平成30年3月期 決算短信-7- 2次期の配当予想
当社は、安定配当を維持するとともに、中長期的な観点から株主の皆さまの利益拡大
を図ることを利益配分の基本方針としております。
次期の配当につきましては、業績や中長期的な収支・財務状況などを総合的に勘案し、
普通株式1株につき30円(中間、期末とも15円)、A種優先株式1株につき3,500,000円
(中間、期末とも1,750,000円)を予定しております。
九州電力株式会社(9508) 平成30年3月期 決算短信-8-

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