エネルギー政策及び原子力政策の推進について野口哲男・経済産業省大臣官房参事官ウラン資源の有効活用を 現在、国内のエネルギー消量量は、一九七三年のオイルショック時と比べ、生活に密着した民生や運輸部門で二倍以上に増えた。世界では今後、中国やインドなどの国々の経済発展により、エネルギー消費はさらに増えるだろう。エネルギー資源には限りがあり、エネルギー自給率が4・1%原子力を含めると%の日本は、世界の情勢に左右されやすい立場にある。 このため国は、エネルギー政策の方向性を示すエネルギー政策基本法を〇二年に成立させた。安定供給の確保環境への適合市場原理の活用—が大きな柱。それを具体化したエネルギー基本計画も〇三年に閣議決定した。 国は、原子力発電をウラン資源の安定供給、地球温暖化対策などで優れた特性があり、安全確保を大前提に基幹電源とすると位置付けている。原子力発電所から出る使用済燃料を再処理する核燃料サイクルについても、同計画では供給安定性を一層改善するとして推進を基本方針にしている。 使用済み燃料の再処理は原子力開発初期からの一貫した方針だが、ここにきて地層への直接処分の方がコストが安いのではもう少し慎重に検討すべきではとの指摘や意見が出てきた。このため、昨年六月から原子力長期計画の五年ごとの改定作業で、国の原子力委員会が集中的に審議を行った。 審議は全て公開のもと計十八回、四十五時間にわたった。全量再処理部分再処理全量直接処分当面貯蔵—の四つの選択肢を用意。安全性、エネルギー安全保障、経済性などさまざまな視点で長所短所を分析し、総合的に評価した。 その 結果、再処理路線を維持す るとの中間報告を十一月に まとめた。直接処分と比べ て経済性では劣るが、エネ ルギー安全保障や環境への 適合性の面で優れているこ となどが主な理由。報告で はまた、核燃料サイクルの 当面の中軸となるプルサー マルについて推進のた め一層の努力を行う必要 があるとした。 プルサーマルの安全性については、国内では関電・美浜原発と日本原電・敦賀原発で実証試験を行い、試験後も燃料の健全性が確認されている。世界でも十カ国で四十年以上のMOX燃料の使用実績累積約四千五百体があり、現在でもフランスなど欧州四カ国の三十五基で実施している。技術的基盤は十分に整っている。 国の原子力安全委員会は九五年、MOX燃料の装荷率が三分の一まで玄海原発の計画では四分の一ならば、従来のウラン燃料炉心と同様に安全を確保できるとの指針を取りまとめている。資源の乏しい日本は、核燃料サイクルを着実に推進しなければならず、プルサーマルは安全に実施できる。

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