安全性と環境問題
三浦高額な再処理費は強制負担全原発で環境放射能測定出光豊島 放射能放出の問題がある。玄海原発周辺と六ケ所村周辺を比べてどうか。六ケ所事業所の申請によると、年間の希ガス排出量が原発の百万倍、ヨウ素などもかなり高くなる。再処理では使用済み燃料を切り刻むのでそうならざるを得ないのではないか。木元 放出の可能性はあるが、放出される場合でも、希釈され人体に影響はないと聞くが。松下 六ケ所村のデータは、自然放射能と比べても十分低い安全なレベルとされている。工藤 安全の考え方を話したい。国としてどこまで安全を確保するかということで、原子力安全委員会が指針を決めている。問題は安全を測る物差し指針の範囲にとどまるのか、規制値を超えるのかということで判断することが必要でしょう。放射性物質も人体に影響のないレベルで余裕があれば、放出されても大丈夫といえる。リスクゼロということはないが、他の産業の廃棄物と同じように考えていいと思う。豊島 イギリスやフランスの再処理工場周辺では、白血病の発生率が高いという報道がある。三浦 九電の説明は急性毒性のことしか言ってない。体内畜積による発ガンなどの危険性は認識されているのか。出光 環境放射能に関しては、どの原発周辺でも定期的にサンプリングして測定している。佐賀県も三カ月に一度、専門家会議に報告され、公開されている。松下 発電所の中で働く人間は安全を確信し、安心して働いている。これ以上ないというくらい厳重に管理しており緊張感どころの話ではない。三浦 六ケ所村の日本原燃施設で設計ミスがあったが、国の安全審査は通っている。緊張感を持ってやってほしい。岩下 慎重派の方に聞きたいのは、原発そのものがだめなのか、それともプルサーマルがだめなのか。吉岡先生は安全性には大きな差異はないということだったが。吉岡 何が何でも原発はダメだとは思っていない。私の考えは自然エネルギーは最大限に伸ばし、それ以外の在来エネルギーは放射能や炭素ガスなど害毒を出しているので罰則措置を取る。その上で、事業者がどのエネルギーを選ぶか、経営判断で決定する。自由化の時代になれば、原子力は選ばれず、再処理はますます選ばれないだろう、という理論構成だ。 ガチンコ勝負で選択した結果としておのずと未来が選ばれ、原発は三十年ぐらいの間に廃止される。そこに政府が介入し、保護も与えて廃止を進めようとしているのがドイツだ。もちろん火力発電にも環境税という罰則を決めればいいのではないか。野口 経産省で二〇三〇年のエネルギー需給を検討している。石油は四割程度になり、自然エネルギーは一割ぐらいとみている。原子力は1次エネルギーの—%。やはり必要なエネルギーである。坂本 原子力開発の光と影という本では、論文がすり替えられた話が紹介してある。溶融塩炉の研究もある。 プルトニウムの毒性ではガンマ線や中性子線もある。それらもデータを示すべきだ。一昨年の原子力防災訓練では放射性物質の異常漏洩などの想定だった。五重の壁があり大丈夫というが、安心できるのか。説明図に放射性物質放出とある。原子炉格納容器圧力が最高使用圧力を超えれば放射性物質を放出するのであれば壁とはいえないのではないか。松下 確かにプルトニウムだけでなく、ほかのものもある。プルトニウム239と241は核分裂しやすく、240や242は中性子を吸収しやすい、238やアメリシウムはガンマ線を出す。それらの性質は十分承知した上での計画だ。坂本 危ないものは隠さずに出すべきだ。木元 あまりに専門的なので出さなかったのだろうが、専門家の議論では当然出るデータだ。坂本 そういう危険なものについては、専門的であっても国民にきちんと説明するべきだ。木元 オープンにできるものは徹底的にオープンにという意見だ。よろしくお願いしたい。工藤 一昨年の玄海原子力発電所について行われた防災訓練の想定は、原発を壊しまくるような、考えられない仮想事故だ。プルサーマルでも、安全審査の申請書にはそうした事態を考えた計画になっている。公開されており、閲覧できるので参考にして欲しい。三浦 ドイツが政策として取り組んでいる環境税の話をしたい。ドイツでは自然エネルギーへの投資は必ず元が取れる。環境に負荷がかかるものには環境税がかかる。企業や市民は環境に負荷のないものを選択できる。自分自身で未来の選択ができる。木元 〇七年から人口は減少に転じるが、一五年まではエネルギー消費が伸びるという予測。その後は減少基調だが、電力だけは伸びるとされる。生活レベルをどこに置くのか、視点は意識改革だと思うが。三浦 高額な再処理費用は強制負担。環境に優しいことに社会のお金が流れるように政策をつくるのが国の仕事だ。木元 再処理費用は四十年間で一八・八兆円かかる試算で、一世帯では一年間に六百円から八百四十円の負担増になる。一方、環境省が試算した環境税は一世帯年間三千円。私はこのように経済性だけで議論するのはあまり意味がなく、安全性、供給安定性について徹底的に議論するべきだと思うが。野口 本年度の経済産業省予算で比較すると、新エネルギー関係は千六百十三億円、原子力関係は千七百二十九億円。原子力には文部科学省予算もあるが、経産省予算でいえば新エネも原子力もほぼ同じレベルで、さらに省エネ対策に千四百億円。岩下 孝嗣さん
坂本 洋さん
冨田 隆明さん
三浦 正之さん
三根 慶三さん
寺田 信子さん

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