坂本試験不十分との指摘も...「再処理」と関連し判断を吉岡国内外での実績は坂本 国や電力会社の宣伝で、資源の乏しさが強調される。しかし、よく引き合いに出されるドイツもそんなに資源はないのではないか。それでも、原子力に頼らず、自然エネルギーに力を入れているようだ。そもそも、資源に乏しいという前提は正しいのか。木元 やはり日本は資源がない。ドイツは今も石炭が豊富だ。また、フランスをはじめEU諸国と送電線がつながり、電気を融通できる点も大きい。発電の%を占める原子力を段階的にやめるが、生活レベルは下げない。電力自由化のもと、風力エネルギーに力を入れ、選択できるようにしている。ただ、自由化で参入した電力は値段が高く、原子力はやめると言いつつもフランスから購入している現状だ。坂本 日本の石炭産業は、援助がなくてつぶされた。日本の石炭はドイツの褐炭かったんより質が良いはずだ。吉岡 私がまず指摘したいのは九電の資料は肝心なことが分からないことだ。詳細な事業計画がない。海外にどれくらいプルトニウムを預け、九電の原子炉六基で運転すればどのくらいたまり、一基でのプルサーマルで需給バランスが取れるのかなど、計画を見なければ判断できない。 私はプルサーマルに関しては必ずしもノーではない。使用済燃料の発生事業者が自社発生分でそれぞれ実施するかどうか判断すればよい。実施計画は民間の自主性に委ねる。ただし、固定化プルサーマル以外のプルトニウム処分法で、使用済燃料と混ぜたり、密着させて処分することもできるよう法整備を行い、選択してもらうという意見だ。 再処理には反対で、今の計画は再処理を前提としているのでノーなのだが、事業計画が納得いくものであれば歩み寄る余地はある。安全性に関しては、きちんとやる限りは大きな差はない。問題はプルサーマルと連動して再処理をやる場合だ。予定通りに%の操業率でやっても、半量の再処理で十数兆円余分にかかるという数字が出ている。中小の事故が起きて事業が進まず、事業者が破産した場合はエネルギー安定供給に重大な支障が及ぶ。だから、余剰プルトニウムをさばけるまでは再処理はやめるべきだという意見になる。 既に抽出されたプルトニウムの場合、プルサーマルか、固定化かの選択肢があると思う。ドイツは再処理をやめ、原発も将来的にはやめるが、プルサーマルはやるという選択。いずれにしても、再処理をどうするかという点と関連づけて考えることが、総合判断する上で必要だ。松下 事業計画についての指摘があった。当社の原発で出たプルトニウムはイギリスとフランスに二・六預け、東海村に〇・三。合計二・九ある。3号機のプルサーマルでは年間〇・六を使う計画。引き取る義務がある海外に預けたものは、五年ぐらいで使い切れる。 一方、六ケ所村の再処理工場は年間八百の処理能力。九電は処理能力の一割程度で処理してもらう考えだ。ただ、そのすべてを九電がMOX燃料にして使うのではなくて、MOX燃料専用に計画されている大間原発青森県などでも使い出すと、ちょうど使い切るような計算だ。野口 MOX燃料の使用実績について質問があった。日本では一九八〇年代後半に六体の実証試験の実績がある。各国もまずMOX燃料が使えるかを試す実証試験を行っており、試験は四十年以上前から、商業的に使い出したのが約二十年前である。坂本 日本は六体試験したが、不十分という専門家桜井淳氏の指摘もある。専門家同士で議論をしていただきたい。それを聞いて判断できるようにしてもらいたい。出光 実績について疑問とのことですが、ではどのくらい使っていれば実績として認められるのか、どういう実績を出せば納得されるのか、伺いたい。燃焼度でいえば、九電は四万五千MWd/tメガワット・デー/トンで計画しているが、スイスは五万二千、フランスでは五万一千などの実績がある。 日本の基準はMOX燃料を炉心の三分の一まで入れるとするが、九電は四分の一までの計画。スイスでは%まで、ドイツは約%まで入れて、不具合はなかった。これでも実績として足りないのだろうか。三浦 玄海3号機規模の出力で、高燃焼度の実績はあるのか。松下 3号機の出力は百十八万。ドイツでは百四十五万など七基が3号機より大きい原発で実績がある。三根 MOX燃料をつくる、再処理過程の安全対策はどうなのか。木元 国際原子力機関IAEAのエルバラダイ事務局長が新たな再処理施設建設を五年間凍結する考えを表明した。再処理が核兵器に転用可能なプルトニウムを抽出するからで、日本の場合は絶対平和利用と宣言していることはIAEAも認めている。日本はプルトニウムを単体では持たず、ウランと混ぜなければならない決まりだ。松下 再処理は使用済燃料を刻み、取り出したプルトニウムとウランを必ず%ずつ混ぜる。これで爆弾にならない。安全対策で大事なことは臨界にならないことで、再処理過程では容器の大きさなどが決まっており、量を間違えない工夫がある。出光 再処理工場は非常に厚いコンクリートや遮へいガラスに覆われた工場で、遠隔操作している。高濃度の放射性物質を取り除き、ウランとプルトニウムだけになると、グローブボックスの中に手を入れて作業ができる。プルトニウムを直接吸入すれば大変なので、絶対吸入しないような設備になっている。

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