三根電力事情考え原子力重要資源の有効利用には一理寺田市民パネリスト発言木元 私が委員を務める原子力委員会は、国民がどう考えているかをまず広聴で知った上で、広報するべきと考えている。討論会もまず市民パネリストの意見や疑問を聞き、専門家に答えてもらう形にしたい。岩下 日本のエネルギー源は石油や石炭、天然ガス、ウランなど、ほぼ%輸入に頼っており、技術立国の日本は原子力の平和利用を推進するべきと考える。しかし、危険なものでもあり、立地地域選定は困難を極める。地盤が強固で地震が少なく、住民の理解がある玄海町に立地し、1号機の運転開始から三十年。九電の努力と住民の協力で安全に推移し、信頼関係を築いてきた。 そんな中でプルサーマルの計画表明があった。技術的な面は素人なのでよく分からないが、国の責任で安全審査が行われており、審査終了後には町長が考えを町議会に提案。私たち議員で審議することになる。住民の安全安心を前提に、総合的に審議したいと思う。坂本 プルサーマルは危険性が高く、経済的にも国民負担を増やすので反対である。計画は高速増殖炉もんじゅが行き詰まってプルトニウムが余ったため、代わって軽水炉でプルトニウムを消費するためだともいわれる。その辺りははっきりするべき。また、制御棒の効き方が悪くなるなどの指摘があり、専門家の間で議論が分かれる。公の場で専門家同士が議論するのを聞いて、納得できるか考えたいと思う。 プルサーマルは四十年間に四千五百体のMOX燃料使用実績があるとされる。しかし、実際には一番長いベルギーで二十五年間。次は十七年。一年しか使っていないのが七基ある。四十年間と強調されるが、乱暴な説明だと思う。 ウラン燃料の実績と比較しても、四千五百体は多いとは言えず、世界の原発四百三十四基、うち軽水炉は三百五十二基の中で、MOX燃料を使ったのは五十五基、二〇〇〇年時点で使用中は三十五基にすぎない。丁寧に説明してほしい。九電は説明会を回以上開いたというが、都合の良い数字だけ切り取るような説明では、国民は判断を誤る。危険性を隠しているのですから。 多くの課題があるプルサーマルについて、今日だけで論じ尽くすことはできない。今回を第一歩として、賛否をつき合わせる機会を数多く持っていただきたい。寺田 豊かな自然の玄海町で生まれ育ち、美しい町を子孫に残すことが責務だと思い、リサイクルに関心を持っている。現代社会は多くのエネルギーを必要とし、クリーンエネルギーの風力や太陽光を利用し、海洋温度差発電や燃料電池などの研究が進んではいるものの、社会を担うほどではない。 資源の乏しい日本は、CO2を排出せずに電力を安定供給する観点から原子力を利用してきた。原子力に依存するのであればフランスやドイツなどのように、プルトニウムを燃やして資源の有効利用を図り、廃棄物を減らすことは一理ある。 婦人会でリサイクルに取り組んでいるが、手間も、コストもかかる。それでも取り組むのは限られた資源を大切にし、環境悪化を防ぐため。コストだけで判断することはできない。プルサーマルはエネルギー資源のリサイクルとされる。一理あると言ったのはそういう意味である。県はCO2を一人1%削減する目標を立てている。一人ひとりが意識を持って取り組み実現したいものである。今後クリーンエネルギーで賄われる時代が訪れることを願っている。冨田 第二次世界大戦終戦後、日本は高度成長を続け、発展した。この何一つ不自由のない快適な暮らしを、後世に伝える責務があると思う。しかし、資源の乏しい日本が将来も豊かな暮らしを維持するには、海外の政情に左右されないエネルギー源を確保しなければならず、現状では、原子力かなと思う。ただし、必要性のみで即、プルサーマルとはいかない。事故の際に過大な影響があるのか、武力攻撃やテロへの対策はどうか、などの疑問や不安がある。 一方、原発に反対する人は原発を全廃し自然エネルギーを使うべきと言うが、電気に依存した生活を自然エネルギーのみで維持できるか、疑問だ。プルサーマルは資源の有効利用とされるが、最も大切な問題は安全かどうか。近くで暮らす私たちには、万に一つの危惧がある限りは、やめてもらいたいと思う。三浦 私が配布した資料に本当にこれはリサイクルなのか。もう一度慎重に考えようと書いている。説明ではプルサーマルで%以上のリサイクルが可能とされたが、実際は1%のプルトニウムを再利用する目途しかない。海外や日本で使用済MOX燃料を再処理したとも説明されたが、計画されているような高濃度での実績はないだろう。中間貯蔵施設や最終処分場が整っていない中で、プルサーマルを進める姿勢に疑問を感じている。 また、放射性物質の処理ではたくさんごみが出る。高レベル廃棄物は%減少すると説明されるが、高レベルだけを考えて良いものか。 日本は国と地方で七—八百兆円の借金を抱え、地球温暖化など多くのツケを残している。これ以上借金やツケを重ねる計画はやめてほしい。再処理事業は、半分の量の処理に十二兆円かかるという。新品のウラン燃料だと九千億円程度で済む。日本では電気料金の一・五%という大金が原子力に使われているが、ドイツなどのように自然エネルギー推進のために使うべきではないのか。 玄海原発の計画では、炉心に二のプルトニウムが入る。燃焼度は四万五千MWd/tメガワット・デー/トン。これは世界の中で高い方だ。高燃焼度の燃料を一気に使うことについて説明がほしい。使用済みMOX燃料は冷却に五百年かかるといわれる。玄海原発にたまり続けないことを願う。三根 何気なく使っている電気がどのようにできるのか興味があり、玄海原発を見学したことがある。見学以前は原子力に対して何かしらの不安があり、見学に行くことさえも抵抗があったが、見学を終えるころになると、9・テロのような予測不可能な事故がない限り安全だろうという安心感を持った。今の電力事情を考えると、原子力は必要だし、無くなると今の生活を維持できない。また、限られた資源を有効活用するプルサーマルは今の日本には必要だろう。 ただ、やはり聞き慣れない計画であり、住民の不安は根強い。今の電力事情と向き合うためには、プルサーマルを含めた原子力に対する各個人の理解が不可欠であり、こうした討論会の機会は有効。次世代に受け継いでいく者の責任としてプルサーマルを含めた原子力の安全性の問題や、今後のエネルギーはいかにあるべきなのかなどを探りたい。

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