別 紙


「事故時等における記録及びその保存の徹底について」
に対する報告書
九 州 電 力 株 式 会 社
平成24年9月21日 目 次
1.はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
2.記録装置及び保守・運用状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
2.1 記録装置 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
(1)記録装置 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
(2)アラームプリンタのバックアップ機能 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2
(3)アラームプリンタの電源構成 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2
2.2 保守・運用状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2
(1)保守状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2
(2)運用状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2
3.信頼性向上対策の実施要否の検討 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3
3.1 福島第一原子力発電所1号機における事象の発生原因 ・・・・・・ 3
3.2 信頼性向上対策の必要性 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3
(1)プラント計算機 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3
(2)アラームプリンタ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
(3)アラームプリンタ電源 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
4.まとめ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4 1
1.はじめに
平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震による東京電力株
式会社福島第一原子力発電所事故について、地震発生直後において、東京電
力株式会社福島第一原子力発電所1号機の非常用ディーゼル発電機(A)や
主蒸気逃がし安全弁の作動に係る警報の記録がないことから、事故の実態把
握に影響が生じている。
本報告書は、これを受け原子力安全・保安院から出された指示文書(注記)1
に基
づき、事故時においても核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する
法律第34条に基づく実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則第7条
第1項第2号リの要求(以下、「法令要求」という。)が満足されるよう、
現状の装置及びその運用について確認するとともに、管理面を含めた信頼性
向上対策の必要性について検討した結果をまとめたものである。 (注記)1:「事故時等における記録及びその保存の徹底について(指示)」
(20120822 原院第3号、平成24年8月23日)
2.記録装置及び保守・運用状況
法令要求に係る記録は、発電用原子力設備に関する技術基準を定める省令
(第62号第21条第1項)に規定する範囲の警報に係る記録であり、毎日
24時に自動的にプラント計算機(注記)2
からの出力信号を印字し、警報記録とし
て取りまとめている。 東京電力株式会社における事象に鑑み、事故の実態把握の観点より、以下
のとおり、玄海原子力発電所及び川内原子力発電所における現状の記録装置
及びその保守・運用状況について確認を行った。 (注記)2:プラント計算機とは、プラントの状態監視を行い、各種データを
集約し運転員に情報を提供し、プラント運転の安全性を向上させ
るシステムである。 2.1 記録装置
(1)記録装置 (添付資料−1、2)
玄海原子力発電所及び川内原子力発電所では、警報内容を記録する装
置として、プラント計算機の記憶媒体、アラームプリンタ(注記)3
等を有して
いる。 2プラント計算機の記憶媒体は、警報内容に係るプラント計算機からの
出力信号(以下、「プラント計算機からの出力信号」という。)を一定
期間保存することが可能であり、1日分の保存容量が上限に達すると、
それ以上の情報は書き込まれない。また、記憶媒体に保存されている警
報内容は、表示装置により確認できるとともに、印字要求により紙に出
力することができる。
アラームプリンタは、プラント計算機から出力要求を受け、自動的に
プラント計算機からの出力信号を印字する。 (注記)3:アラームプリンタとは、警報メッセージ印字用のプリンタのこと
であり、汎用プリンタをいう。 (2)アラームプリンタのバックアップ機能 (添付資料−3)
アラームプリンタのバックアップ機能として、アラームプリンタが故
障した場合は、他のアラームプリンタへ切り替え、プラント計算機から
の出力信号を印字する。 (3)アラームプリンタの電源構成 (添付資料−4)
全てのアラームプリンタの電源は、供給元の異なる安全系電源から供
給されている。 2.2 保守・運用状況 (添付資料−5)
(1)保守状況
点検内容・頻度を計画的に定め、これに従い保守を実施している。 1 点検内容
・ 清掃、状態確認、印字確認(動作確認)
2 点検頻度
・ 精密点検:定期検査ごと
・ 簡易点検:プラント運転中に各発電所で計画的に実施
3 至近の点検実績
・ 平成23年〜平成24年(玄海1〜4号機、川内1、2号機) (2)運用状況
運転員が、毎日24時のアラームプリンタの印字状況を確認し、アラ
ームプリンタの故障が確認された場合は、他のアラームプリンタへ切り 3替え、プラント計算機からの出力信号を印字させるとともに、必要な処
置を行っている。
3.信頼性向上対策の実施要否の検討
3.1 福島第一原子力発電所1号機における事象の発生原因
平成24年9月3日に東京電力株式会社が原子力安全・保安院へ提出
した報告書によれば、福島第一原子力発電所1号機のアラームタイパ
(シリアルプリンタ)(当社のアラームプリンタ同様の機能を有す
る。)が警報の内容を記録していなかった原因は、記録用紙が何らかの
理由でガイドローラ(紙送り部分)から外れ、紙のずれによる印字不良
が発生したことと推定されている。
また、アラームタイパの出力元であるプロセス計算機はデータ収録機
能を有しておらず、警報発生記録等データの再出力機能もないため、デ
ータの復元もできなかった。 3.2 信頼性向上対策の必要性
玄海原子力発電所及び川内原子力発電所の現状の装置及び福島第一原
子力発電所における事象の発生原因を踏まえ、事故時にアラームプリン
タが故障した場合において、現状の装置及び運用で記録の採取並びにデ
ータの保存機能が十分であるか否かを以下のとおり確認した。 (1)プラント計算機
玄海原子力発電所及び川内原子力発電所のプラント計算機は、福島第
一原子力発電所1号機と異なり記憶媒体を備えている。そのため、プラ
ント計算機からの出力信号は、他のアラームプリンタを含め印字が実施
できない場合においても、プラント計算機の記憶媒体に、10,000
行/日(注記)4
までの情報が自動保存されており、データの再印字が可能であ
る。 (注記)4:警報保存容量については、以下の設計根拠に基づき設定している。
(a)従来のプラント計算機設備の経験を踏まえ、2回/分の警報
の発生・復帰が 1 日継続したと想定し、通常時の警報出力分
として2,880行/日としている。
(b)事故時の警報出力分は、設計最大負荷事象(安全注入信号+
外部電源喪失シーケンス)等の警報多発時においても、警報 4発生点数は800点以下であることから、発生・復帰を踏ま
え、1,600行(×ばつ2)としている。
(c)上記(a)、(b)の合計値の2倍に余裕を見て、10,0
00行/日としている。 (2)アラームプリンタ
アラームプリンタが故障した場合は、他のプリンタへ切り替えること
により、プラント計算機からの出力信号の印字は継続される。
玄海原子力発電所及び川内原子力発電所のアラームプリンタは、当該
のアラームタイパ(シリアルプリンタ)のようなガイドローラ(紙送り
部分)を使用していないため、不具合は発生し難いと考えられる。 (3)アラームプリンタ電源
全てのアラームプリンタ電源は、供給元の異なる安全系電源から供給
されており、1系列の電源喪失時においてもアラームプリンタは使用可
能である。
以上のとおり、アラームプリンタが故障した場合においては、他のアラー
ムプリンタに切り替えることにより、プラント計算機の出力信号の印字は継
続される。
万が一、全てのアラームプリンタに故障が生じ印字されなかった場合にお
いても、プラント計算機の記憶媒体に一定期間自動で保存されており、いず
れかのアラームプリンタを復旧する時間程度の情報は再印字が可能であるこ
とから、更なる対策は不要と判断した。
4.まとめ
現状の装置及び運用を確認した結果、事故時等における記録及びその保存
を確実に実施できることを確認した。
なお、今後新たな知見が確認された場合においては、必要に応じ適切な対
応を検討し実施していく。
以 上 添 付 資 料 添付資料−1 プラント計算機 機器構成
添付資料−2 プラント計算機、プリンタの仕様及びプリンタの出力内容
添付資料−3 アラームプリンタバックアップ順序
添付資料−4 プラント計算機無停電電源構成図
添付資料−5 至近の点検実績
プラント計算機 機器構成
アラーム
プリンタ
演算処理装置 表示装置
プラントデータ 警報発信履歴の確認
(10,000行/日)
警報メッセージ印字
(他1台でバックアップ)
添付資料−1
プラント計算機、プリンタの仕様及びプリンタの出力内容
号 機 計算機仕様 アラームプリンタ 通常出力する内容 プリンタ仕様
汎用プリンタ−1 ・警報(発生・復帰)
・プリンタ給紙方法
:給紙トレイ(A3)
玄海1号機
・プラント計算機で警報発信履歴
情報を電子保存可能な期間
:3日間
(10,000行/日) 汎用プリンタ−2 ・警報(発生・復帰)
・プリンタ給紙方法
:給紙トレイ(A3)
汎用プリンタ−1 ・警報(発生・復帰)
・プリンタ給紙方法
:給紙トレイ(A3)
玄海2号機
・プラント計算機で警報発信履歴
情報を電子保存可能な期間
:3日間
(10,000行/日) 汎用プリンタ−2 ・警報(発生・復帰)
・プリンタ給紙方法
:給紙トレイ(A3)
汎用プリンタ−1 ・警報(発生・復帰)
・プリンタ給紙方法
:給紙トレイ(A3)
玄海3号機
・プラント計算機で警報発信履歴
情報を電子保存可能な期間
:3日間
(10,000行/日) 汎用プリンタ−2 ・警報(発生・復帰)
・プリンタ給紙方法
:給紙トレイ(A3)
汎用プリンタ−1 ・警報(発生・復帰)
・プリンタ給紙方法
:給紙トレイ(A3)
玄海4号機
・プラント計算機で警報発信履歴
情報を電子保存可能な期間
:3日間
(10,000行/日) 汎用プリンタ−2 ・警報(発生・復帰)
・プリンタ給紙方法
:給紙トレイ(A3)
汎用プリンタ−1 ・警報(発生・復帰)
・プリンタ給紙方法
:給紙トレイ(A3)
川内1号機
・プラント計算機で警報発信履歴
情報を電子保存可能な期間
:3日間
(10,000行/日) 汎用プリンタ−2 ・警報(発生・復帰)
・プリンタ給紙方法
:給紙トレイ(A3)
汎用プリンタ−1 ・警報(発生・復帰)
・プリンタ給紙方法
:給紙トレイ(A3)
川内2号機
・プラント計算機で警報発信履歴
情報を電子保存可能な期間
:3日間
(10,000行/日) 汎用プリンタ−2 ・警報(発生・復帰)
・プリンタ給紙方法
:給紙トレイ(A3)
添付資料−2
添付資料−3
アラームプリンタバックアップ順序
号 機 プ リ ン タ バックアッププリンタ
名 称 汎用プリンタ−2 汎用プリンタ−1
通常電源
1号計算機用電源装置
(1C2原子炉コントロールセンタ)
1号計算機用電源装置
(1C2原子炉コントロールセンタ)
玄海1号機
予備電源
1号計算機用電源装置
(1D2原子炉コントロールセンタ)
1号計算機用電源装置
(1D2原子炉コントロールセンタ)
名 称 汎用プリンタ−2 汎用プリンタ−1
通常電源
2号計算機用電源装置
(2C2原子炉コントロールセンタ)
2号計算機用電源装置
(2C2原子炉コントロールセンタ)
玄海2号機
予備電源
2号計算機用電源装置
(2D2原子炉コントロールセンタ)
2号計算機用電源装置
(2D2原子炉コントロールセンタ)
名 称 汎用プリンタ−1 汎用プリンタ−2
通常電源
3K2計算機電源盤
(3D2原子炉コントロールセンタ)
(3D直流コントロールセンタ)
3K2計算機電源盤
(3D2原子炉コントロールセンタ)
(3D直流コントロールセンタ)
玄海3号機
予備電源
3K計算機後備電源盤
(3C4原子炉コントロールセンタ)
3K計算機後備電源盤
(3C4原子炉コントロールセンタ)
名 称 汎用プリンタ−1 汎用プリンタ−2
通常電源
4K2計算機電源盤
(4D2原子炉コントロールセンタ)
(4D直流コントロールセンタ)
4K2計算機電源盤
(4D2原子炉コントロールセンタ)
(4D直流コントロールセンタ)
玄海4号機
予備電源
4K計算機後備電源盤
(4C4原子炉コントロールセンタ)
4K計算機後備電源盤
(4C4原子炉コントロールセンタ)
名 称 汎用プリンタ−1 汎用プリンタ−2
通常電源
1K計装用電源装置
(1C1原子炉コントロールセンタ)
1EF計装用電源装置
(1D1原子炉コントロールセンタ)
予備電源
1K計装用電源装置
(1C直流コントロールセンタ)
1EF計装用電源装置
(1C2原子炉コントロールセンタ)
川内1号機
予備電源
1K計装用電源装置
(1D2原子炉コントロールセンタ)―名 称 汎用プリンタ−1 汎用プリンタ−2
通常電源
2K計装用電源装置
(2C1原子炉コントロールセンタ)
2EF計装用電源装置
(2D1原子炉コントロールセンタ)
予備電源
2K計装用電源装置
(2C直流コントロールセンタ)
2EF計装用電源装置
(2C2原子炉コントロールセンタ)
川内2号機
予備電源
2K計装用電源装置
(2D2原子炉コントロールセンタ)― 添付資料−4(1/3) プラント計算機無停電電源構成図(玄海1/2号機) (C)非常用低圧母線 (D)非常用低圧母線
計算機用分電盤
汎用プリンタ―1
汎用プリンタ―2
計算機用電源装置
添付資料−4(2/3) プラント計算機無停電電源構成図(玄海3/4号機)
(注記):低電圧により、自動で予備電源に切替り
(C)非常用低圧母線 (D)非常用低圧母線 (D)直流母線
計算機後備電源盤
(予備電源)
切 替 盤(注記)
プラント計算機用分電盤
汎用プリンタ―1
汎用プリンタ―2
計算機電源盤
(通常電源)
添付資料−4(3/3) プラント計算機無停電電源構成図(川内1/2号機) 計装用交流分電盤
K計装用電源装置 EF計装用電源装置
汎用プリンタ−1
(C)非常用低圧母線 (D)非常用低圧母線
(C)直流母線
計装用交流分電盤
汎用プリンタ−2
(D)非常用低圧母線 (C)
非常用低圧母線
至 近 の 点 検 実 績
号 機 アラームプリンタ 点検内容 至近の点検日 点検結果
精密点検 平成23年12月 5日 良
汎用プリンタ−1
簡易点検 平成24年 6月14日 良
精密点検 平成23年12月 5日 良
玄海1号機
汎用プリンタ−2
簡易点検 平成24年 6月14日 良
精密点検 平成23年 2月 2日 良
汎用プリンタ−1
簡易点検 平成24年 6月 8日 良
精密点検 平成23年 2月 2日 良
玄海2号機
汎用プリンタ−2
簡易点検 平成24年 6月 8日 良
精密点検 平成23年 1月20日 良
汎用プリンタ−1
簡易点検 平成23年 8月 2日 良
精密点検 平成23年 1月20日 良
玄海3号機
汎用プリンタ−2
簡易点検 平成23年 8月 2日 良
精密点検 平成23年12月27日 良
汎用プリンタ−1
簡易点検 平成23年 6月29日 良
精密点検 平成23年12月27日 良
玄海4号機
汎用プリンタ−2
簡易点検 平成23年 6月29日 良
精密点検 平成23年 5月19日 良
汎用プリンタ−1
簡易点検 平成24年 9月11日 良
精密点検 平成23年 5月19日 良
川内1号機
汎用プリンタ−2
簡易点検 平成24年 9月11日 良
精密点検 平成23年 9月15日 良
汎用プリンタ−1
簡易点検 平成24年 9月13日 良
精密点検 平成23年 9月15日 良
川内2号機
汎用プリンタ−2
簡易点検 平成24年 9月13日 良
添付資料−5

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