参 考 資 料
参考資料1 地震、津波及び地震と津波の重畳時における原子炉及び使用済燃料ピ
ットの冷却継続時間の評価について
参考資料1
地震、津波及び地震と津波の重畳時における原子炉及び使用済燃料ピットの
冷却継続時間の評価について
1.評価実施事項
福島第一原子力発電所事故で発生した事象をふまえ、地震、津波及び地震と津
波の重畳の各評価において、全交流電源喪失(以下、
「SBO」という。
)及び最終
ヒートシンク喪失(以下、
「LUHS」という。
)の影響を考慮した、燃料の重大な
損傷を防止するための原子炉及び使用済燃料ピットの冷却継続時間の評価を行う。
2.評価方法
地震、津波及び地震と津波の重畳時の冷却継続時間の各評価では、SBO及び
LUHSの単独の評価に対し、クリフエッジの地震動(1.61Ss)又は津波高さ
(T.P.+13.0m)を考慮し、緊急安全対策による給水機能等を果たす設備の使用可否
の検討を行う。なお、冷却に使用可能な水量、燃料の貯蔵量等の評価条件につい
ては以下のとおりとした。
(1)地震時はクリフエッジより裕度が低い設備及び耐震Sクラスより下位の設備
は使用できないものとする。使用可能な水源は原子炉で復水タンク及び海水
とし、使用済燃料ピットで海水とした。また、使用可能な燃料設備は、非常
用ディーゼル発電機貯油槽(A重油)及びドラム缶(ガソリン)とした。
(2)津波時は津波によるすべり評価を行い耐性が評価されたものを除いては、ク
リフエッジとなる津波高さより低い位置にある設備は使用できないものとす
る。使用可能な水源は、原子炉では復水タンク、2次系純水タンク、ろ過水
貯蔵タンク、海水とし、使用済燃料ピットでは2次系純水タンク、ろ過水貯
蔵タンク、海水とした。また、使用可能な燃料設備は、非常用ディーゼル発
電機貯油槽(A重油)及びドラム缶(ガソリン)とした。
(3)地震及び津波の重畳時は、上記(1)、(2)をふまえ、使用可能な水源は原
子炉で復水タンク及び海水、使用済燃料ピットで海水となる。また、使用可
能な燃料設備は、非常用ディーゼル発電機貯油槽(A重油)及びドラム缶
(ガソリン)となる。
(注記) 八田浦貯水池は耐震Sクラスとして設計された設備ではないため、地震時
は期待できない。また、八田浦貯水池はクリフエッジとなる津波高さより
低い位置にあることから津波時も期待できない。なお、事前に八田浦貯水
池の状態を確認し使用可能であれば取水する。
3.評価結果
地震、津波及び地震と津波の重畳におけるクリフエッジ評価では、外部電源、
非常用ディーゼル発電機及び海水ポンプの機能状態は表1に示すとおりとなる。
地震の場合はSBO及びLUHSに至らないが(注記)
、評価においてはSBO及びLUHSの
重畳の条件でも冷却が成立することを確認する。
また、津波及び地震と津波の重畳の場合はいずれもSBO及びLUHSの重畳状態
となる。
(注記) 地震の場合は、非常用ディーゼル発電機、海水ポンプの使用による冷却も可
能であるが、評価においては緊急安全対策シナリオに基づく評価を実施した。
表1 プラントのクリフエッジの場合の機能状態
交流電源 最終ヒートシンク
外部電源 非常用ディーゼル発電機 ×ばつSs×ばつ
(耐震Sクラスより下位)
しろまる しろまる×ばつ
(主変圧器:11.3m)
(起動変圧器:11.3m)×ばつ
(海水ポンプ:6.6m)×ばつ
(海水ポンプ:6.6m)
地震と津波の重畳 ×ばつ ×ばつ ×ばつ
注:括弧内は機能喪失する要因
これらのクリフエッジの場合のいずれの事故シナリオも、原子炉においては緊
急安全対策による蒸気発生器を介した2次系からの冷却、使用済燃料ピットにお
いては緊急安全対策による使用済燃料ピットへの給水により冷却を行うことがで
きる。
地震、津波及び地震と津波の重畳の各評価において、それぞれの事象発生後、
燃料の重大な損傷に至るまでの時間評価結果は以下のとおりとなる(図1〜図4
参照)
。なお、これらの評価は、プラント外部からの支援がない場合であり、十
分な時間余裕と考えている。
使用済燃料ピット
原子炉
(運転時) 運転時 停止時
地震 約63日後 約63日後 約64日後
津波 約65日後 約65日後 約65日後
地震と津波の重畳 約63日後 約63日後 約64日後
以 上
起因事象発生からの時間(日数)
設備・資源 分類
設備の
使用可否
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 ... 15 16 17 18 ... 62 63 64 ... ...
蒸気発生器
給水
復水タンク イ) しろまる
2次系純水タンクイ)ロ)×ばつ
ろ過水貯蔵タンク
(仮設ポンプを使用)
ハ) ×ばつ
海水
(仮設ポンプを使用)
ハ) しろまる
エンジンポンプ ハ) しろまる
蒸気発生器+使用済燃料
ピット
給水
仮設ポンプ用
ディーゼルエンジン発電機
ハ) しろまる
蓄電池 イ) しろまる
電源供給
高圧発電機車 ハ) しろまる
【ガソリン】
ドラム缶
ハ) しろまる
燃料供給
【A重油】
非常用ディーゼル
発電機貯油槽
ハ) しろまる
図1 プラント運転時の給水及び電源機能の継続時間評価(地震、地震と津波の重畳)
起因事象発生からの時間(日数)
設備・資源 分類
設備の
使用可否
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 ... 63 64 65 ... ...
2次系純水タンク イ) ×ばつ
ろ過水貯蔵タンク
(仮設ポンプを使用)
ハ) ×ばつ
海水
(仮設ポンプを使用)
ハ) しろまる
使用済燃料
ピット
給水
仮設ポンプ用
ディーゼルエンジン発電機
ハ) しろまる
蓄電池 イ) しろまる
電源供給
高圧発電機車 ハ) しろまる
燃料供給
【A重油】
非常用ディーゼル
発電機貯油槽
ハ) しろまる
図2 プラント停止時の給水及び電源機能の継続時間評価(地震、地震と津波の重畳)
約5時間後
ガソリン使用
A重油使用
約5時間後
A重油使用
約15.3
日後
約63日後
イ) 工事計画で対象とした設備
ロ) 実施済みのアクシデントマネジメント設備
ハ) 緊急安全対策(短期)
クリフエッジ発生
イ) 工事計画で対象とした設備
ロ) 実施済みのアクシデントマネジメント設備
ハ) 緊急安全対策(短期)
A重油使用
約5時間後
A重油使用
約64日後
クリフエッジ発生
ガソリン枯渇後
予備水中ポンプへ切替
起因事象発生からの時間(日数)
設備・資源 分類
設備の
使用可否
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 ... 16 17 18 19 ... 64 65 66 67 68 ... ...
蒸気発生器
給水
復水タンク イ) しろまる
2次系純水タンクイ)ロ)
しろまる
ろ過水貯蔵タンク
(仮設ポンプを使用)
ハ) しろまる
海水
(仮設ポンプを使用)
ハ) しろまる
エンジンポンプ ハ) しろまる
蒸気発生器+使用済燃料
ピット
給水
仮設ポンプ用
ディーゼルエンジン
発電機
ハ) しろまる
蓄電池 イ) しろまる
電源供給
高圧発電機車 ハ) しろまる
【ガソリン】
ドラム缶
ハ) しろまる
燃料供給
【A重油】
非常用ディーゼル
発電機貯油槽
ハ) しろまる
図3 プラント運転時の給水及び電源機能の継続時間評価(津波)
起因事象発生からの時間(日数)
設備・資源 分類
設備の
使用可否
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 ... 64 65 66 67 68 ... ...
2次系純水タンク イ) しろまる
ろ過水貯蔵タンク
(仮設ポンプを使用)
ハ) しろまる
海水
(仮設ポンプを使用)
ハ) しろまる
使用済燃料
ピット
給水
仮設ポンプ用
ディーゼルエンジン
発電機
ハ) しろまる
蓄電池 イ) しろまる
電源
供給
高圧発電機車 ハ) しろまる
燃料供給
【A重油】
非常用ディーゼル
発電機貯油槽
ハ) しろまる
図4 プラント停止時の給水及び電源機能の継続時間評価(津波)
イ) 工事計画で対象とした設備
ロ) 実施済みのアクシデントマネジメント設備
ハ) 緊急安全対策(短期)
イ) 工事計画で対象とした設備
ロ) 実施済みのアクシデントマネジメント設備
ハ) 緊急安全対策(短期)
A重油使用
約5時間後
約2.6日後
A重油使用
約5時間後
約65日後
クリフエッジ発生
ガソリン使用
約17.7
日後
A重油使用
約4日後
約11日後
A重油使用
約5時間後
約65日後
クリフエッジ発生
ガソリン枯渇後
予備水中ポンプへ切替
約8日後

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