輸入燃料体検査(ペレット(注記)2
)・・・安全性確認のための、法令に基づく検査
項 目 内 容 目 的 結果 235U(注記)2
濃度 235U 濃度を測定し、設計値を基準
とする範囲内であることを確認す
る。
局所的な出力の上昇につながるような濃度
のばらつきがないかを確認するため。 良
プルトニウム含
有率
プルトニウム含有率を測定し、そ
の分布の度合いが範囲内であるこ
とを確認する。
局所的な出力の上昇につながるような濃度
のばらつきがないかを確認するため。 良
プルトニウム組
(注記)2 プルトニウム同位体(注記)2
の濃度を
測定し、範囲内であることを確認
する。
プルトニウムの種類(239
Pu、240
Pu など)ご
とに、定められた濃度であることを確認す
るため。これを基にプルトニウム含有率の
範囲が決まる。良 (Pu+U+241
Am) (注記)2
含有率
プルトニウム、ウラン、241Am(ア
メリシウム)の合計の含有率を測定し、
下限値以上であることを確認す
る。
炉心性能(炉心(注記)2
での各々の燃料の燃え方
のバランス)に影響を及ぼすことなく、必
要な出力を得ることができる濃度であるか
を確認するため。良 O/M 比(注記)2
酸 素 原 子 数 と 金 属 原 子
(Pu+U+241Am)数の比を測定し、範囲内であることを確認する。
原子数の比の違いによる燃料ペレットの性
質(熱の伝わり方等)の変化によって、燃
料ペレットが高温になりすぎないか等を確
認するため。良 プルトニウムス
ポット(注記)2径 燃料ペレットのプルトニウムスポ
ット径の最大値を測定し、上限範
囲内であることを確認する。
局所的な出力の上昇につながるような大き
さのプルトニウムスポットがないことを確
認するため。良 不純物 炭素、フッ素、水素などの不純物
濃度を測定し、上限範囲内である
ことを確認する。
不純物が含まれることによって被覆管(注記)2
内面が腐食する可能性があることから、被
覆管の健全性に問題がないか等を確認する
ため。良 外径 燃料ペレット外径を測定し、範囲
内であることを確認する。
被覆管の中に燃料ペレットを封入したと
き、燃料ペレットで発生した熱が被覆管へ
伝わりやすい間隔となる大きさか、また、
適切な間隔があり燃料棒の内圧等に問題が
ないかを確認するため。良 割れ・きず等 燃料ペレット表面の割れ、きず等
を確認する。
燃料ペレットに発生した表面の割れ等によ
って、燃料ペレットで発生した熱が被覆管
に伝わりにくくなる可能性があることか
ら、燃料の温度に問題がないかを確認する
ため。良 表面の汚れ 燃料ペレット表面の汚れを確認す
る。
製造工程においては、汚れが付着しないよ
うに管理されているが、万が一、汚れが付
着していた場合は、被覆管へ影響を及ぼす
可能性があることから、被覆管の健全性に
問題がないかを確認するため。良 密度 燃料ペレット密度を測定し、範囲
内であることを確認する。
局所的な出力の上昇につながる密度のばら
つきがないことを確認するため。良 自主検査(ペレット)・・・均質な製品の安定供給のための、独自の取り組み
項 目 内 容 目 的 結果 235U濃度 235U濃度の設計値を確認す
る。
製造段階の仕様が、契約で定めた範囲内である
ことを確認するため。 良
ウ ラ ン 同 位 体
組成
234U、236U、238Uの濃度を測
定する。
原料として使用したウランが、契約どおりのもの(劣化ウラン(注記)2)であることを確認するため。
契約どお
りの組成
であった
プルトニウム含
有率
プルトニウム含有率の平均値
を測定し、範囲内であること
を確認する。
平均値を確認し、それを過去の製造実績と比較
することで、粉末混合工程(注記)1
において同程度の
品質の製品が安定して製造されていることを確
認するため。良 プルトニウム均
一度
プルトニウムスポットの内、
径が小さいものの占める割合
が下限値以上であることを確
認する。
最大値だけでなく、小さいプルトニウムスポッ
トも確認し、それを過去の製造実績と比較する
ことで、粉末混合工程において同程度の品質の
製品が安定して製造されていることを確認する
ため。良 不純物 国の検査項目以外の不純物濃
度を測定し、上限範囲内であ
ることを確認する。
より多くの不純物濃度の測定値を過去の製造実
績と比較することで、粉末混合工程、プレス工
(注記)1
において同程度の品質の製品が安定して
製造されていることを確認するため。良 ガス含有率 燃料ペレットからのガス(気
体)の放出量を測定し、上限
範囲内であることを確認す
る。
測定値を過去の製造実績と比較することで、粉
末混合工程、プレス工程、焼結工程(注記)1
において
同程度の品質の製品が安定して製造されている
ことを確認するため。良 再焼結密度(注記)2
燃料ペレットを高温にした後
の密度変化を測定し、範囲内
であることを確認する。良 結晶粒径 燃料ペレットを構成する組織
(結晶)の粒径を観察する。
測定値を過去の製造実績と比較することで、焼
結工程において同程度の品質の製品が安定して
製造されていることを確認するため。 過去の実
績と同等
の粒径で
あった
溶解度 薬品中での溶け方を測定す
る。
今後の参考としてデータ収集を行うため。― 寸法 燃料ペレットの高さ等を測定
し、範囲内であることを確認
する。
測定値を過去の製造実績と比較することで、プ
レス工程において同程度の品質の製品が安定し
て製造されていることを確認するため。良 外観 燃料ペレット表面のなめらか
さ等を観察する。
測定値を過去の製造実績と比較することで、プ
レス工程、研削工程(注記)1
において同程度の品質の
製品が安定して製造されていることを確認する
ため。良
(注記)1:添付1(
「燃料ペレット製造の流れ」
)参照
(注記)2:添付2(
「用語説明」
)参照
玄海3号機のプルサーマルで使用するMOX燃料については、メロックス工場において製造段階から徹底した品質保証活動を行っています。このMOX燃料は法令に
基づく輸入燃料体検査が行われ、国によりその安全性が確認されています。また、均質な製品が安定的に供給されることを目的として自主検査を行っています。
平成21年11月
九州電力株式会社
玄 海 原 子 力 発 電 所 3 号 機 の M O X 燃 料 の 検 査 に つ い て 燃料ペレット製造の流れ
粉末混合工程 : 二酸化ウラン粉末と二酸化プルトニウム粉末等を
混ぜ合わせ、プルトニウム含有率を調整する工程。
プ レ ス 工 程 : 混合された粉末をプレス機により押し固め、
円筒状の成型体(ペレット)にする工程。
焼 結 工 程 : プレス工程で成型したペレットを焼 結 炉 に お い
て 高 温 で 時 間 を か け て 焼 き 固 め る 工 程 。
研 削 工 程 : 焼結したペ レ ッ ト の 外 周 を 研 削 し 、 寸 法 を
調 整 す る 工 程 。
添付1
<<用 語 説 明>>
1 235
U(ウラン235)
・ ウラン235は、核分裂しやすい(燃えやすい)ウランであり、天然ウランの中に
約0.7%含まれている。
2 ペレット
・ 燃料であるウランやプルトニウムの酸化物を粉状にしたものを、約1センチ四方の
円筒形に成形し、焼き固めたもの。
3 燃料被覆管
・ ペレットを封入した金属の細長い筒。
4 同位体
・ ウランやプルトニウムには、それぞれ重さや性質の異なる種類があり、それらを
同位体という。
・ 例えば、
ウランの同位体には、
ウラン235(核分裂しやすい)やウラン238(核
分裂しにくい)などがあり、プルトニウムの同位体には、プルトニウム239(核
分裂しやすい)やプルトニウム240(核分裂しにくい)などがある。
5 プルトニウム組成
・ MOX 燃料中の、全てのプルトニウムの量に対する、各プルトニウム同位体(プル
トニウム239やプルトニウム240など)の割合。
6 Pu、U、241
Am(プルトニウム、ウラン、アメリシウム241)
・ MOX 燃料に含まれる主な金属成分。
7 炉心
・ 原子炉内の燃料が納められた部分。
8 O/M比(オーバイエム比)
・ 燃料中に含まれる、酸素(O)とウランやプルトニウムなどの金属(Metal)成分の
比率。
9 プルトニウムスポット
・ MOX 燃料は、二酸化ウランと二酸化プルトニウムの粉末を混ぜて作られるが、
一部に、プルトニウムの濃度が高い部分ができる。これをプルトニウムスポットと
いう。
・ プルトニウムスポットでは、他の部分より熱の発生が高くなる(局所的に出力が上
昇する)可能性がある。
10 劣化ウラン
・ ウラン燃料を製造する際に残った原料のウラン。核分裂しやすいウラン235の割
合が天然ウランより少なくなっている。
(核分裂しにくいウラン238の割合が多く
なっている。)11 再焼結密度
・ 一度高温で焼き固めた(焼結した)ペレットを、再度、高温状態にした後の密度。
添付2

AltStyle によって変換されたページ (->オリジナル) /