平成17年2月20日
経 済 産 業 省
エネルギー政策及び原子力政策の推進について
(プルサーマルのエネルギー政策上の必要性等) 1日本の最終エネルギー消費の推移 日本の一次エネルギー供給の推移
出典:総合エネルギー統計 出典:総合エネルギー統計
最近のエネルギー情勢(1) 2諸外国に比べ低い日本のエネルギー自給率020406080100120140160イタリア 日本 ドイツ フランス アメリカ イギリス カナダ
エネルギー自給率(原子力含む)
エネルギー自給率(原子力除く)
世界のエネルギー資源確認可採年数
石油 石炭 天然ガス ウラン
出典:ENERGY BALANCES of OECD COUNTRIES,
2001‐2002(2004), IEA/OECD
出典:石油、石炭、天然ガス:BP統計2004、
ウラン:OECD/NEA‐IAEA URANIUM 2003
41年
192年
67年
85年
15.4%
19.0%
38.9%
50.1%
72.8%
113.8%
154.1%
146.3%
103.7%
63.6%7.8%26.5%4.1%最近のエネルギー情勢(2) 3エネルギーの需給に関する施策についての基本方針(第2条〜第4条)
しろまる 安定供給の確保 (供給源の多様化、自給率の向上、エネルギー分野における安全保障)
しろまる 環境への適合 (地球温暖化の防止、地域環境の保全、循環型社会の形成)
しろまる 市場原理の活用 (上記2点の政策目的を十分考慮しつつ、規制緩和等の施策を推進)
しろまる 安定供給の確保 (供給源の多様化、自給率の向上、エネルギー分野における安全保障)
しろまる 環境への適合 (地球温暖化の防止、地域環境の保全、循環型社会の形成)
しろまる 市場原理の活用 (上記2点の政策目的を十分考慮しつつ、規制緩和等の施策を推進)
エネルギー政策基本法は、エネルギー政策の大きな方向性を示すことを目的として、議員立法と
して国会に提出され、2002年6月7日に成立、同月14日に公布・施行されました。
しろまる エネルギー政策基本法において明らかにされた「安定供給の確保」、「環境への適合」及びこれらを十分考慮し
た上での「市場原理の活用」という基本方針に則り、10年程度を見通して、エネルギーの需給全体に関する施
策の基本的な方向性を定性的に示すもの。
しろまる 平成15年10月7日、閣議決定、同日国会報告。
しろまる エネルギー政策基本法において明らかにされた「安定供給の確保」、「環境への適合」及びこれらを十分考慮し
た上での「市場原理の活用」という基本方針に則り、10年程度を見通して、エネルギーの需給全体に関する施
策の基本的な方向性を定性的に示すもの。
しろまる 平成15年10月7日、閣議決定、同日国会報告。
エネルギー基本計画(第12条)
第1章 エネルギーの需給に関する施策についての基本的な方針 第2章 エネルギーの需給に関し、長期的、総合的かつ計画的に講ずべき施策
第3章 エネルギーの需給に関する施策を長期的、総合的かつ計画的に推進する
ために重点的に研究開発のための施策を講ずべきエネルギーに関する技術
及びその施策
第4章 エネルギーの需給に関する施策を長期的、総合的かつ計画的に
推進するために必要な事項
エネルギー政策基本法及びエネルギー基本計画の概要 4カザフスタン18%カナダ10%南アフリカ9%その他11%ブラジル3%ウズベキスタン3%ニジェール5%アメリカ7%ロシア6%ナミビア6%オーストラリア22%原子力の開発、導入及び利用
3⁄4 原子力発電は、ウラン資源の安定供給面、二酸化炭素を排出しないという地球温暖化対策面
等で優れた特性を有し、安全確保を大前提に基幹電源として推進します。
我が国の電源別発電電力量の推移(一般電気事業用)
出典:電源開発の概要、平成15年度電力供給計画の概要
注:石油等には、LPG、その他ガス及び瀝青質混合物を含む。01,000
2,000
3,000
4,000
5,000
6,000
7,000
8,000
9,000
10,000
1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2003
年度
億kWh
原子力25.7%LNG(液化天然ガス)
27.9%
石炭24.0%
石油等11.2%
水力10.4%
地熱および新エ
ネルギー0.9%
出典:URANIUM 2003 Resources, Production and Demand
ウラン資源確認可採埋蔵量(2003年)
確認可採埋蔵量
459万t‐U
原子力の開発、導入及び利用の基本方向 5プルトニウム
核分裂
生成物
燃えにくいウラン
(ウラン238)4%1%
96% 93%1%5%
ウラン燃料 使用済燃料
燃えやすいウラン
(ウラン235)
(注記) 加圧水型軽水炉(PWR)、濃縮度 4.1 %、燃焼度 44,000 MWd/t の例
発電によるウラン燃料の組成変化 63⁄4 原子力発電所で使用した燃料を再処理して、プルトニウム等の有用資源をとりだし、燃料とし
て再利用することは、長期的なエネルギーの安定供給の確保や、放射性廃棄物の適切な処
理処分の観点から重要です。
<軽水炉燃料サイクル>
<高速増殖炉燃料サイクル>
ウラン
濃縮
MOX燃料
成型加工
使用済燃料
再処理
軽水炉
高速増殖炉
高速増殖炉燃料
再処理
ウラン系
ウランと
プルトニウムを
含む系
使用済燃料
高レベル放射性廃棄物天然ウランMOX燃料
ウラン燃料
使用済燃料(プルサーマル)
中間貯蔵施設
使用済
燃料
使用済
燃料
ウラン燃料成型加工
低レベル
放射性
廃棄物
処分
2010年頃までに
操業開始予定
2006年
操業開始予定
平成40年代後半
操業開始予定
もんじゅ停止中
商業炉計画なし
プルトニウム・ウラン
計画中
稼働中
稼働中
国内なし
核燃料サイクルについてMOX燃料高レベル
放射性
廃棄物
処分 7エネルギー基本計画(平成15年10月、閣議決定)
しろまる 核燃料サイクルは、原子力発電所から出る使用済燃料を再処理し、有用資源を回収して再
び燃料として利用するものであり、供給安定性等に優れているという原子力発電の特性を一
層改善するものである。
しろまる このため、我が国としては核燃料サイクル政策を推進することを国の基本的考え方として
おり、これらのプロセスのひとつひとつに着実に取り組んでいくことが基本となる。
しろまる その際、安全の確保と核不拡散が前提となることは言うまでもなく、さらに、原子力発電全
体の経済性や国民の理解の確保が重要な要素であることから、これらを踏まえ的確に、核
燃料サイクルを進めることとする。
しろまる なお、長期的観点からは、エネルギー情勢、ウラン需給動向、核不拡散政策、プルトニウム
利用の見通し等を勘案して、その進め方は硬直的ではなく、柔軟性を持ちつつ着実に取り組
むことが必要である。
エネルギー基本計画における核燃料サイクルの位置付け 8【今回の特徴】
しろまる 全て公開のもと、核燃料サイクルについて集中的に検討し、小委員会も含めて延べ18回、
計 45時間にわたり徹底的に議論。
しろまる 再処理以外の選択肢もタブー視せず、4つの「基本シナリオ」を、10項目の視点で評価。こ
の一環として再処理以外の選択肢についてのコスト試算も実施する等、各選択肢につい
ての評価視点毎の情報を徹底的に公開。
しろまる その上で、評価の視点毎に、各選択肢について長所短所を分析した上で、総合的な評価
を実施。
3⁄4 原子力委員会は、ほぼ5年毎に原子力長期計画を策定しており、現行長期計画は平成12年11
月に策定しました。
3⁄4 平成16年6月から原子力委員会に「新計画策定会議」を設置して、原子力の新長期計画の検討
を開始しました。
先ずは核燃料サイクル政策について集中的に審議し、同年11月12日に「核燃料サイクル政策
についての中間取りまとめ」を取りまとめました。
原子力委員会における議論(1) 9【4つの基本シナリオ】
1 全量再処理 (現行の政策の考え方)
2 部分再処理 (六ヶ所処理工場の能力を超える使用済燃料については中間貯蔵後
直接処分)
3 全量直接処分
4 当面貯蔵 (当面、中間貯蔵し、その後直接処分か再処理かを決定)
原子力委員会における議論(2)
【10項目の評価の視点】
1 安全の確保
2 エネルギーセキュリティ
3 環境適合性
4 経済性
5 核不拡散性
6 技術的成立性
7 社会的成立性
8 選択肢の確保
9 政策変更するとした場合の課題
10 海外の動向 10【基本方針】
核燃料サイクル政策に関する中間取りまとめについて(その1)
我が国における原子力発電の推進にあたっては、経済性の確保のみならず、循環
型社会の追究、エネルギーセキュリティの確保、将来における不確実性への対応能
力の確保などを総合的に勘案するべきとの観点から、核燃料資源を合理的に達成
できる限りにおいて有効に利用することを目指すものとし、「安全性」、「核不拡散性」、
「環境適合性」を確保するとともに、「経済性」にも留意しつつ、使用済燃料を再処理
し回収されるプルトニウム、ウラン等を有効利用することを基本方針とする。 11【再処理路線を選択した主な理由】
【当面の施策の基本的方向】
核燃料サイクル政策に関する中間取りまとめについて(その2)
しろまる 再処理路線は直接処分路線に比較して「経済性」の面では劣るが、「エネルギーセキュリティ」、「環境適
合性」、「将来の不確実性への対応能力」等の面で優れる。
しろまる 長年かけて蓄積してきた社会的財産(技術、立地地域との信頼関係、我が国において再処理を行うこと
に関して獲得してきた様々な国際合意等)は、維持するべき大きな価値を有している。
しろまる 再処理路線から直接処分路線に政策変更を行った場合、原子力発電所からの使用済燃料の搬出が困
難になり原子力発電所が順次停止する事態が発生することや、中間貯蔵施設と最終処分場の立地が進
展しない状況が続くことが予想される。
しろまる 利用可能になる再処理能力の範囲で使用済燃料の再処理を行うこととし、これを超えて発生する使用済
燃料は中間貯蔵とする。
しろまる 中間貯蔵された使用済燃料の処理の方策は、2010年頃から検討を開始する。この検討は基本方針を踏
まえ柔軟性にも配慮して進めるものとし、六ヶ所再処理工場の操業終了に十分に間に合う時期までに結
論を得る。
しろまる 国においては、必要な研究開発体制、所要の経済的措置の整備を行うとともに、安全の確保や核不拡散
に対する取組み、国民や立地地域との相互理解を図るための広聴・広報等の取組みを行うべきである。
特に、プルサーマルの推進や中間貯蔵施設の立地について一層の努力を行う必要がある。
しろまる 民間事業者には、安全性、信頼性の確保と経済性の向上に配慮しつつ、核燃料サイクル事業を責任をもっ
て推進することが期待される。
しろまる 国及び民間事業者は、それぞれにあるいは協力して、将来の不確実性に対応するために必要な調査研
究を進めていくべきである。 12エネルギー基本計画(平成15年10月、閣議決定)
エネルギー基本計画におけるプルサーマルの位置づけ
核燃料サイクルの重要な前提である使用済燃料の再処理によって発生するプルトニウ
ムの確実な利用という点で、当面の中軸となるプルサーマルを着実に推進していくものと
する。このため、電気事業者は、関係住民等の理解を得つつ、プルサーマルを計画的か
つ着実に進めることが期待される。これと併せて、国としても国民の理解を得る活動を前
面に出て実施すること等により、プルサーマルの実現に向けて政府一体となって取り組
むこととする。 133⁄4 軽水炉においてプルトニウムを利用することをプルサーマルと呼びます。
3⁄4 プルトニウムは、ウランと混合した燃料(MOX燃料)として軽水炉に装荷されます。
3⁄4 ウラン燃料でも、発電中にその一部がプルトニウムに変化して燃えており、このプルトニウム
による発電量は全体の約3割になります。
プルサーマルとは
ウラン燃料とMOX燃料の比較 炉心におけるプルトニウムの発電への寄与割合
95〜97%
燃えにくい
ウラン
(ウラン238)
91〜96%
燃えにくい
ウラン
(ウラン238)
ウラン燃料 MOX燃料
3〜5%
燃えやすい
ウラン
(ウラン235)
4〜9% プルトニウム 14020040060080010001200140016001800PWRBWR„ 関西電力(株)美浜発電所一号機(PWR)、日
本原子力発電(株)敦賀発電所一号機(BWR)
でプルサーマルの実証試験が行われ、試
験後も燃料が健全であったことが確認さ
れています。
„ 我が国が独自に開発した新型転換炉「ふ
げん」(1979〜2003.3)においては、24
年間でMOX燃料を770体以上利用しました
(1基当たりの装荷体数では世界最高)。
„ 世界でも、10ヶ国で40年以上にわたる
MOX燃料の利用実績があります(累積装
荷体数:約4,500体)。
„ 以上のプルサーマルの利用実績を積み重
ねている間に、プルトニウムを起因とす
る事故は生じていません。
日本における軽水炉でのMOX燃料利用実績
出典:関西電力ホームページ
出典:資源エネルギー庁資料
3⁄4 プルサーマルは、海外では既に相当数の実績があります。
3⁄4 現在の原子力発電所でも、MOX燃料を原子炉の3分の1程度以内で用いるのであれば、現在
と同等の安全性を確保しながら運転できます。
プルサーマルの実績、安全性
世界のMOX燃料使用実績使用した燃料体数
フランス ドイツ スイス ベルギー アメリカ イタリア インド オランダ 日本 スウェーデン
2003年12月末現在2030958686304 2977318628
10 7 243 15【検討範囲】 【検討結果】
【結論】
発電用軽水型原子炉施設に用いられる混合酸化物燃料について
(安全審査指針 平成7年6月19日 原子力安全委員会了承)
MOX燃料は取替燃料の一部として使用し、MOX燃料を装荷した炉心の特性を従来のウラン
燃料炉心のそれと大幅に変えない設計方針とする。
(例:基本構造はウラン燃料と同一、MOX燃料の炉心装荷率は 1/3 程度まで)
検討範囲としたMOX燃料の特性、挙動は、ウラン燃料と大きな差はなく、また、 MOX燃料及
びその装荷炉心は従来のウラン燃料炉心と同様の設計が可能であると認められるので、安全
評価に当たって、従来ウラン炉心に用いている判断基準及びMOX燃料の特性を適切に取り込
んだ安全設計手法、安全評価手法を適用することは差し支えない。
1 MOX燃料の軽水炉における核的特性などは把握されており、これまでに得られている経
験、データなどから、安全に係わる特段の問題は生じていない。
2 MOX燃料の使用についてはこれまでに相当の実績があり、また、安全上の課題も特に見
あたらないことから、今後、軽水炉において取替燃料の一部としてMOX燃料を使用する上
で基本的な技術は確立されている。
3 MOX燃料集合体の装荷率が 1/3 程度であれば、ウラン燃料炉心と同等の特性を有する
炉心設計は可能。
など。 16安全審査
電気事業者 国
意思表明
原子炉設置変更許可申請
原子力安全・保安院
による審査
原子力委員会及び
原子力安全委員会
によるダブルチェック
輸入燃料体検査申請
燃料加工
燃料輸送
加工時のチェック
許可
審査及び検査
(品質保証)
(記録確認・外観検査)
合格
使用前検査
燃料装荷
認可
工事計画認可申請
審査(品質保証等)
使用前検査申請
合格
プルサーマル計画の法令上の主要手続き

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