1.経営成績

(1) 経営成績に関する分析
当期のわが国経済は、雇用情勢に厳しさが残るものの、輸出や生産の増加等を背景とし
て企業収益が改善し、設備投資も持ち直すなど緩やかな回復基調が続きましたが、3月の
東日本大震災により景気の先行きの悪化が懸念されるようになりました。
1当期の経営成績
ア 収支
このような経済情勢のもと、当期の連結収支につきましては、収入面では、エネルギ
ー関連事業は減収となりましたが、電気事業において、販売電力量が増加したことなど
から、売上高(営業収益)は前期に比べ 2.8%増の1兆4,860億円、経常収益は 2.9%増
の1兆4,982億円となりました。一方、支出面では、電気事業において、修繕費の減少
などはありましたが、販売電力量の増加や燃料価格の上昇などにより燃料費が増加した
ことなどから、経常費用は 3.1%増の1兆4,315億円となりました。
経常利益は、電気事業は増益となりましたが、エネルギー関連事業が減益となったこ
となどから、1.3%減の 667億円となりました。
また、「資産除去債務に関する会計基準」を適用し、特別損失に 184億円を計上した
ことから、当期純利益は 31.3%減の 287億円となりました。
事業の種類別セグメントの業績(セグメント間の内部取引消去前)は、次のとおりとな
りました。
セグメント別の業績(内部取引消去前)
(単位:億円、%)
22年度 21年度 増 減 前年比
( A ) ( B ) ( A−B ) ( A/B )
売 上 高 442 103.4
営業利益 36 104.4
売 上 高 しろさんかく 57 96.5
営業利益 30 74 しろさんかく 43 40.8
売 上 高 962 991 しろさんかく 29 97.0
営業利益 64 63 1 101.9
売 上 高 260 265 しろさんかく 4 98.3
営業利益 33 32 1 105.1
(注)「電気事業」は、当社事業から附帯事業を除いたものです。
電気事業
13,563 13,121
865 829
エネルギー 1,580 1,638
関連事業
情報通信事業
その他の事業
九州電力株式会社(9508) 平成23年3月期 決算短信
−2−
(ア)電気事業
売上高は、燃料費調整の影響などによる料金単価の低下はありましたが、販売電力量
が増加したことなどから、前期に比べ 3.4%増の1兆3,563億円となりました。営業利
益は、燃料費の増加などはありましたが、売上高の増収や、修繕費など経営全般にわた
る徹底した効率化に努めたことなどから、4.4%増の 865億円となりました。
(イ)エネルギー関連事業
売上高は、プラント建設及び補修工事の完成高の減少などにより、前期に比べ 3.5%
減の 1,580億円となりました。営業利益は、LNG購入価格上昇の影響などもあり
59.2%減の 30億円となりました。
(ウ)情報通信事業
売上高は、ブロードバンドサービスの契約回線数の増加や、電気通信工事の増加はあ
りましたが、情報システム開発の大口案件の減少などにより、前期に比べ 3.0%減の
962億円となりました。営業利益は、コスト削減などにより 1.9%増の 64億円となりま
した。
(エ)その他の事業
売上高は、シニアマンションの新規地点開業による増加はありましたが、不動産関連
収入の減少などにより、前期に比べ 1.7%減の 260億円となりました。営業利益は、コ
スト削減などにより 5.1%増の 33億円となりました。
イ 生産及び販売の状況
当期の販売電力量につきましては、電灯、業務用電力などの一般需要は、気温が前年
に対し夏季は高めに、冬季は低めに推移したことによる冷暖房需要の増加などから、前
期に比べ 4.3%の増加となりました。
また、大口産業用需要は、鉄鋼や化学、非鉄金属などの生産が増加したことから、前
期に比べ 6.4%の増加となりました。
この結果、当期の総販売電力量は 874億7千万kWhとなり、前期に比べ 4.9%の増加
となりました。
販 売 電 力 量 比 較 表
(単位:百万kWh、%)
31,151 29,172 1,979 106.8
56,323 54,220 2,103 103.9
販売電力量合計 87,474 83,392 4,082 104.9
再 63,636 60,985 2,651 104.3
掲 23,838 22,407 1,431 106.4
一 般 需 要
大 口 電 力
増 減
( A−B )
前年比
( A/B )
電 力
電 灯
21年度
( A ) ( B )
22年度
九州電力株式会社(9508) 平成23年3月期 決算短信
−3−
供給面につきましては、原子力をはじめとする発電設備の総合的な運用により、安定
した電力をお届けすることができました。
発 受 電 電 力 量 比 較 表
(単位:百万kWh、%)
水 力 4,051 3,291 760 123.1
( 出 水 率 ) ( 90.0 ) ( 76.1 ) ( 13.9 )
火 力 37,711 34,191 3,520 110.3
原 子 力 37,375 39,079 しろさんかく 1,704 95.6
(設 備 利 用 率) ( 81.1 ) ( 84.8 ) ( しろさんかく 3.7 )
新エネルギー等 1,443 1,459 しろさんかく 16 98.9
計 80,580 78,020 2,560 103.3
15,708 14,045 1,663 111.8
( 1,456 ) ( 1,289 ) ( 167 ) ( 113.1 )
融 通 しろさんかく 71 6 しろさんかく 77 −
揚 水 用 しろさんかく 778 しろさんかく 541 しろさんかく 237 143.8
合 計 95,439 91,530 3,909 104.3
(注)「新エネルギー等」は、太陽光、風力、バイオマス、廃棄物及び地熱の総称です。
2次期の見通し
東日本大震災とそれに伴う福島第一原子力発電所の事故の影響により、今後の電力需要
の動向及び原子力発電所の運転再開時期が不透明なことなどから、現時点で業績を予想す
ることは困難な状況です。このため、売上高及び利益を未定としております。
今後、業績予想が可能となった時点で、速やかにお知らせします。
増 減自 社
(新エネルギー等再掲)
他 社
前年比
( A/B )
( A ) ( B ) ( A−B )
22年度 21年度
九州電力株式会社(9508) 平成23年3月期 決算短信
−4−
(2) 財政状態に関する分析
1資産、負債、純資産及びキャッシュ・フローの状況に関する分析
ア 資産、負債及び純資産の状況
資産は、使用済燃料再処理等積立金や長期投資の増加などにより固定資産が増加した
ことに加え、現金及び預金などの流動資産が増加したことから、前期末に比べ 1,312億
円増の4兆1,854億円となりました。
負債は、有利子負債の増加や資産除去債務の計上などにより、1,406億円増の3兆
1,057億円となりました。有利子負債残高は、846億円増の2兆894億円となりました。
純資産は、当期純利益の計上はありましたが、配当金の支払や、その他有価証券評価
差額金の減少などにより、93億円減の1兆796億円となり、自己資本比率は 25.4%とな
りました。
イ キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは、電気事業において電灯電力料収入の増加はあ
りましたが、燃料代支出の増加などにより、前期に比べ 500億円減の 3,013億円の収入
となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資の増加や、有価証券の取得による支
出の増加などにより 606億円増の 2,960億円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、529億円の収入(前期は 1,359億円の支出)と
なりました。
以上により、当期末の現金及び現金同等物の残高は、前期末に比べ 578億円増加し
1,259億円となりました。
2キャッシュ・フロー関連指標の推移
自 己 資 本 比 率 (%) 26.8 26.3 25.7 26.4 25.4
時 価 ベ ー ス の 自 己 資 本 比 率 (%) 39.2 28.4 25.4 23.7 18.4
6.7 7.6 8.5 5.7 6.9
7.9 7.0 7.0 9.9 8.7
(注) 自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
(注記)各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しています。
(注記)×ばつ期末発行済株式数(自己株式控除後)により計算しています。
(注記)営業キャッシュ・フロー及び利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッ
シュ・フロー及び利息の支払額をそれぞれ使用しています。
(注記)有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、社債、長期借入金(いずれも1年
以内に期限到来のものを含む)、短期借入金及びコマーシャル・ペーパーを対象としています。
なお、社債については、連結貸借対照表価額ではなく社債金額を使用しています。
21年度 22年度
キャッシュ・フロー対有利子負債比率
インタレスト・カバレッジ・レシオ
18年度 19年度 20年度
九州電力株式会社(9508) 平成23年3月期 決算短信
−5−
(3) 利益配分に関する基本方針及び当期・次期の配当
当社は、安定配当を維持するとともに、中長期的な観点から株主の皆さまの利益拡大を
図ることを利益配分の基本方針としております。
内部留保資金につきましては、電気事業における設備投資や新規事業への投資などに充
当し、持続的な企業価値向上を目指すこととしております。
期末の配当につきましては、中間配当と同じく1株につき30円とし、年間60円とする剰
余金の処分案を株主総会に付議する予定です。
次期の配当につきましては、中間配当は1株につき30円を予定しており、期末配当は今
後、業績予想が可能となった時点で、速やかにお知らせします。
(4) 事業等のリスク
「事業等のリスク」については、昨年6月に提出した有価証券報告書の内容のとおりで
すが、本年3月に発生した東日本大震災及び福島第一原子力発電所の事故により、当社グ
ループの業績は影響を受ける可能性があります。
九州電力株式会社(9508) 平成23年3月期 決算短信
−6−

AltStyle によって変換されたページ (->オリジナル) /