3.

経営方針
当社はこれまで、「中期経営方針」(平成17〜21年度)のもと、電力の安定供給に取り組む
とともに、価格競争力の強化やオール電化による需要の創出、プルサーマル計画などの原子
力の推進などに努め、成果を上げてまいりました。
しかしながら、当社グループをとりまく経営環境は、原油価格の大幅な変動、金融情勢の
不安定化や世界的な景気の後退など、先行きの不透明感が急速に強まっております。さらに、
長期的には、世界的なエネルギー需要の増大やエネルギー資源の制約の強まり、地球環境問
題の重要性の高まりなど、大きく変化していくものと考えられます。
当社は、このような経営環境の大きな変化と、設備の形成に長期間を要する電気事業の特
性を踏まえ、中長期的な観点から"今、着手しないと手遅れになるおそれがある"課題への
取り組みを推進していくため、本年3月、長期的な経営の方向性を示す「長期経営ビジョン」
を策定いたしました。このビジョンの実現に向けて、また、至近の急激な情勢変化を踏まえ、
これまでの中期経営方針に代わるものとして、当面の施策の方向性を示す「中期経営方針」
(平成21〜23年度)を策定いたしました。
今後とも、お客さまの快適で環境にやさしい毎日に貢献していくために、これらのビジョ
ン・方針に基づき、以下のような諸課題に積極的に取り組んでまいります。
〇 将来を見すえた電力の安定供給への取り組みと地球環境問題への対応
エネルギーセキュリティや地球環境問題の重要性の高まりを踏まえ、原子力を中核とし
たバランスのとれた電源開発を推進していくとともに、設備の高効率化や高経年化への対
応など、長期的に安定した効率的な設備形成を進めてまいります。
特に、原子力につきましては、安全・安定運転を徹底するとともに、2019年度を目途と
する川内原子力発電所3号機の開発に向け、地元理解の形成と着実な開発の推進に取り組
んでまいります。また、本年度を目途に玄海原子力発電所3号機においてプルサーマルを
実施してまいります。さらに、使用済燃料貯蔵施設の増強や中間貯蔵施設の設置に向けた
調査・検討に取り組んでまいります。
また、風力・太陽光・水力・地熱など、再生可能エネルギーの積極的な開発や導入に取
り組むとともに、更なる普及に向けて協力してまいります。
〇 快適性・環境性の両立した付加価値の高いサービスの提供
ライフラインとしての電力の重要性の高まりを踏まえ、設備の的確な運転・保全の徹底
などによる質の高い電力をお届けするとともに、お客さまの期待に応えるサービスを提供
してまいります。
また、お客さまの省エネルギーを積極的にサポートし、快適で環境にやさしい新たなラ
イフスタイルを提案するなど、お客さまのCO2排出量削減に貢献してまいります。
〇 九州やアジア、世界における持続可能な社会づくりへの貢献
当社の保有する技術やノウハウを活用し、エネルギー・環境問題などに率先して取り組
むとともに、地域の特色を活かした再生可能エネルギーの開発など、お客さまや地域・社
会との協働による取り組みを進めてまいります。さらに、アジアを中心に発電事業や省エ
ネルギー・環境関連コンサルティング事業などを展開し、エネルギーの安定供給や地球規
模でのCO2排出量削減に貢献してまいります。
〇 情勢変化に対応できる収支構造を目指した取り組み
原子力の安全・安定運転の徹底や設備の高効率化などへの取り組みに加え、燃料コスト
などの低減に努めてまいります。さらに、リスクマネジメントの一層の充実による適切な
九州電力株式会社(9508) 平成21年3月期決算短信
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経営資源の配分や設備投資などにおける効率性の向上を通じ、情勢変化に柔軟に対応でき
る収支構造を目指してまいります。
こうした取り組みにより、業界トップクラスの原価水準の確保や安定配当の継続に努め
てまいります。
〇 次代のニーズに対応した働き方の改革や組織づくり
少子高齢化や従業員の年齢構成など、これからの業務運営に影響を与える変化を踏まえ
た業務運営・組織体制の構築に取り組んでまいります。
また、ワーク・ライフ・バランスの充実や女性の活躍推進など、社会や従業員の新たな
ニーズに対応するとともに、従業員一人ひとりが能力を最大限に発揮し、働きがいを得て、
成長していく組織を目指してまいります。
当社は、「ずっと先まで、明るくしたい。」をブランド・メッセージとする「九州電力の
思い」の実現に向け、大きな時代の変化に的確に対応し、CSR(企業の社会的責任)の観点
に基づいた経営を推進することにより、当社の事業活動に関わる全ての方々の価値を持続的
に生み出してまいります。
(参考)
<中期経営方針(平成17〜21年度)で定めた目標と実績>
[収益性・財務安定性]
(注) FCF=当期純利益+減価償却費等+売掛金等の増減−設備投資
ROA=税引後営業利益/総資産
( ) 内は個別
[成長性]
電気事業の新規需要創出量
平成21年度、対15年度
37億kWh
平成20年度、対15年度
39億kWh
電気事業以外のグループ外売上高
平成21年度、対15年度
1,000億円増
平成20年度、対15年度
1,199億円増
自己資本比率
平成21年度末
30% (30%)
平成20年度末
25.7% (25.6%)
目 標 実 績
経 常 利 益
平成17〜21年度平均
1,100億円 (1,000億円)
平成17〜20年度平均
916億円 (797億円) ROA(総資産営業利益率)
平成17〜21年度平均
3% (3%)
平成17〜20年度平均
2.0% (2.0%)
目 標 実 績 FCF(フリーキャッシュフロー)
平成17〜21年度平均
1,200億円 (1,000億円)
平成17〜20年度平均
465億円 (403億円)
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