1.経営成績

(1) 「当期の概況」
当期のわが国経済は、前半はエネルギー・原材料価格高騰の影響などから景気が足踏み
状態となり、後半は米国に端を発した金融危機に伴う世界的な景気後退により、経済環境
が急速かつ大幅に悪化し、かつてない厳しい景気後退局面で推移しました。
1収支
このような経済情勢のもと、当期の連結収支につきましては、収入面では、電気事業に
おいて、販売電力量の減少はありましたが、燃料費調整制度などにより、電灯電力料が増
加したことから、売上高(営業収益)は前期に比べ 2.8%増の1兆5,241億円、経常収益は
2.7%増の1兆5,346億円となりました。一方、支出面では、電気事業において、年度前半
の燃料価格の高騰などにより、燃料費や購入電力料が増加したことなどから、経常費用は
4.4%増の1兆4,841億円となりました。
以上により、経常利益は 30.3%減の 504億円となりました。
また、有価証券売却益 54億円を特別利益に計上したことから、当期純利益は 18.5%減
の 339億円となりました。
事業の種類別セグメントの業績(セグメント間の内部取引消去前)は、次のとおりとなり
ました。
セグメント別の業績(内部取引消去前)
(ア)電気事業
売上高は、電灯電力料の増加により、前期に比べ 2.6%増の1兆4,007億円となりまし
た。営業利益は、燃料費や購入電力料の増加などにより、 21.4%減の 741億円となりま
した。
(単位:億円、%)
20年度 19年度 増 減 前年比
( A ) ( B ) ( A−B ) ( A/B )
売 上 高 350 102.6
営業利益 しろさんかく 201 78.6
売 上 高 101 106.9
営業利益 75 85 しろさんかく 9 88.6
売 上 高 927 884 43 104.9
営業利益 7 しろさんかく 16 24 −
売 上 高 244 248 しろさんかく 4 98.3
営業利益 16 34 しろさんかく 18 47.5
(注)「電気事業」は、当社事業から附帯事業を除いたものです。
電気事業
14,007 13,657
741 943
エネルギー 1,572 1,470
関連事業
情報通信事業
その他の事業
九州電力株式会社(9508) 平成21年3月期決算短信
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(イ)エネルギー関連事業
売上高は、前年の第2四半期末に連結子会社が2社増加したことなどにより、前期に比
べ 6.9%増の 1,572億円となりました。営業利益は、プラント工事に係る売上原価の増加
などにより、 11.4%減の 75億円となりました。
(ウ)情報通信事業
売上高は、ブロードバンドサービスの利用回線数の増加などにより、前期に比べ 4.9%
増の 927億円、営業利益は 24億円改善し、7億円となりました。
(エ)その他の事業
売上高は、前期に比べ 1.7%減の 244億円となりました。営業利益は、賃貸用ビルの建
替えに伴う費用の増加などにより、 52.5%減の 16億円となりました。
2生産及び販売の状況
当期の販売電力量につきましては、電灯、業務用電力などの一般需要は、気温が前年に
比べ夏季は低めに、冬季は高めに推移したことによる冷暖房需要の減少などから、前期に
比べ 1.6%の減少となりました。
また、大口産業用需要は、上期に輸送用機械や化学、非鉄金属などで生産が堅調に推移
したものの、下期に電気・輸送用機械や鉄鋼など主要業種で大幅に生産が減少したことな
どから、前期に比べ 4.7%の減少となりました。
この結果、当期の総販売電力量は 858億8千万kWhとなり、前期に比べ 2.5%の減少と
なりました。
販 売 電 力 量 比 較 表
(単位:百万kWh、%)
20年度 19年度 増 減 前年比
( A ) ( B ) ( A−B ) ( A/B )
29,254 29,550 しろさんかく 296 99.0
56,629 58,532 しろさんかく 1,903 96.7
販売電力量合計 85,883 88,082 しろさんかく 2,199 97.5
再 一 般 需 要 61,859 62,873 しろさんかく 1,014 98.4
掲 大 口 電 力 24,024 25,209 しろさんかく 1,185 95.3
電 灯
電 力
九州電力株式会社(9508) 平成21年3月期決算短信
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供給面につきましては、原子力発電所などの順調な運転により、安定した電力をお届け
することができました。
発 受 電 電 力 量 比 較 表
(単位:百万kWh、%)
20年度 19年度 増 減 前年比
( A ) ( B ) ( A−B ) ( A/B )
水 力 4,566 3,550 1,016 128.6
( 出 水 率 ) ( 99.7 ) ( 81.1 ) ( 18.6 )
火 力 34,979 36,727 しろさんかく 1,748 95.2
原 子 力 38,968 39,641 しろさんかく 673 98.3
(設備利用率) ( 84.6 ) ( 85.8 ) ( しろさんかく 1.2 )
計 78,513 79,918 しろさんかく 1,405 98.2
他 社 16,423 17,205 しろさんかく 782 95.4
融 通 しろさんかく 70 しろさんかく 367 297 19.1
揚 水 用 しろさんかく 948 しろさんかく 647 しろさんかく 301 146.6
合 計 93,918 96,109 しろさんかく 2,191 97.7自 社九州電力株式会社(9508) 平成21年3月期決算短信
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【 参 考 】
収 支 比 較 表(個別決算)
(単位:億円、%)
2 0 年 度 前年比 構 成 比
( B ) ( A−B ) ( A/B )
電 灯 料 5,849 5,763 85 101.5 40.7 41.1
電 力 料 7,933 7,632 300 103.9 55.2 54.5
( 小 計 ) ( 13,782 ) ( 13,395 ) ( 386 ) ( 102.9 ) ( 95.9 ) ( 95.6 )
そ の 他 590 618 しろさんかく 28 95.5 4.1 4.4
[ 売 上 高 ] [ 14,301 ] [ 13,920 ] [ 381 ] [ 102.7 ] [ 99.5 ] [ 99.3 ]
合 計 14,373 14,014 358 102.6 100.0 100.0
人 件 費 1,367 1,383 しろさんかく 15 98.9 9.8 10.3
燃 料 費 3,056 2,799 256 109.2 21.8 20.9
修 繕 費 1,978 1,849 128 107.0 14.1 13.8
減 価 償 却 費 1,952 1,973 しろさんかく 21 98.9 14.0 14.7
購 入 電 力 料 1,499 1,232 266 121.6 10.7 9.2
支 払 利 息 334 344 しろさんかく 9 97.1 2.4 2.5
公 租 公 課 901 887 13 101.5 6.4 6.6
原子力バックエンド費用 511 720 しろさんかく 209 71.0 3.7 5.4
そ の 他 2,384 2,223 161 107.3 17.1 16.6
合 計 13,985 13,414 571 104.3 100.0 100.0
[ 748 ] [ 939 ] [しろさんかく 191 ] [ 79.6 ]
387 600 しろさんかく 213 64.5
− − − −
54 − 54 −
441 601 しろさんかく 159 73.4
172 244 しろさんかく 72 70.5
269 356 しろさんかく 87 75.4
(注)「原子力バックエンド費用」:使用済燃料再処理等費、使用済燃料再処理等準備費、
原子力発電施設解体費及び特定放射性廃棄物処分費の合計額
( 参 考 )
1 9 年 度
( A ) ( B ) ( A−B )
19年度
( A )
1 9 年 度 増 減
増 減
20年度
100.7円/$ 114.4円/$ しろさんかく 13.7円/$
11.8$/b
為 替 レ ー ト
90.5$/b 78.7$/b
原 油 C I F 価 格
税 引 前 当 期 純 利 益
経 常 利 益
渇 水 準 備 金
特 別 利 益
[ 営 業 利 益 ]
2 0 年 度
法 人 税 等
当 期 純 利 益経常費用経 常 収 益九州電力株式会社(9508) 平成21年3月期決算短信
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3資産、負債及び純資産の状況(連結)
資産は、使用済燃料再処理等積立金の増加などにより固定資産が増加したことや、現金及び
預金などの流動資産が増加したことから、前期末に比べ 511億円増の4兆1,108億円となりま
した。
負債は、買掛金や退職給付引当金が減少しましたが、有利子負債が増加したことなどにより、
629億円増の3兆385億円となりました。有利子負債残高は、705億円増の2兆1,106億円となり
ました。
純資産は、当期純利益の計上はありましたが、剰余金の配当や、その他有価証券評価差額金
の減少などにより、 118億円減の1兆723億円となり、自己資本比率は 25.7%となりました。
4キャッシュ・フローの状況(連結)
営業活動によるキャッシュ・フローは、電気事業において燃料費や購入電力料が増加したこ
となどにより、前期に比べ 7.6%減の 2,470億円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資や投資有価証券の取得による支出の増加な
どにより 11.2%増の 2,598億円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前期に比べ 684億円増の 420億円の収入となりまし
た。
以上により、当期末の現金及び現金同等物の残高は、前期末に比べ 293億円増加し 881億円
となりました。
5キャッシュ・フロー関連指標の推移(連結)
自 己 資 本 比 率 (%) 24.2 25.7 26.8 26.3 25.7
時 価 ベ ー ス の 自 己 資 本 比 率 (%) 26.7 30.6 39.2 28.4 25.4
5.1 7.8 6.7 7.6 8.5
8.4 6.5 7.9 7.0 7.0
(注) 自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
(注記)各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しています。
(注記)×ばつ期末発行済株式数(自己株式控除後)により計算してい
ます。
(注記)営業キャッシュ・フロー及び利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動による
キャッシュ・フロー及び利息の支払額をそれぞれ使用しています。
(注記)有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、社債、長期借入金(いずれ
も1年以内に期限到来のものを含む)、短期借入金及びコマーシャル・ペーパーを対象と
しています。なお、社債については、連結貸借対照表価額ではなく社債金額を使用してい
ます。
(注記)17年度までの自己資本比率の数値については、従来の株主資本比率を記載しています。
20年度
インタレスト・カバレッジ・レシオ
16年度 18年度 19年度
17年度
キャッシュ・フロー対有利子負債比率
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(2) 「平成21年度(平成22年3月期)業績見通し」
【連結業績の通期見通し】
販売電力量は、前期の夏季の気温が平年に比べ高めに推移したことによる冷房需要の反動
減や、電気・輸送用機械や鉄鋼など大口産業用電力の主要なお客さまの生産減少が見込まれ
ることなどから、前期に比べ 1.3%減少する見通しです。
売上高は、電気事業において、販売電力量が減少することに加え、燃料費調整制度による
電灯電力料収入の減少が見込まれることなどから、減少する見通しです。
営業利益、経常利益及び当期純利益は、燃料価格の低下による燃料費や購入電力料の減少
などにより、増加する見通しです。
次 期 業 績 見 通 し
(単位:億円)
第2四半期
連結累計期間
7,350 14,480 6,860 13,500
[ 96.7%] [ 95.0%] [ 96.0%] [ 94.4%]
660 900 615 790
[ 227.0%] [ 106.2%] [ 249.4%] [ 105.6%]
490 570 450 450
[ 363.8%] [ 113.0%] [ 491.8%] [ 116.1%]
300 350 270 270
[ 268.5%] [ 103.0%] [ 305.0%] [ 100.3%]
(注) [ ]は前年同期比
主 要 諸 元 表
第2四半期
累計期間
426億kWh 847億kWh
[ 96.3%] [ 98.7%]
82.4% 83.3%
(注) [ ]は前年同期比
(参考)21年度変動要因影響額
通 期
原 油 C I F 価 格 1$/b 14億円
為 替 レ ー ト 1円/$ 18億円
原子力設備利用率 1% 21億円
為 替 レ ー ト
原 子 力 設 備 利 用 率
出 水 率
経 常 利 益
当 期 純 利 益
販 売 電 力 量
原 油 C I F 価 格
連 結
累計期間
55$/b
100円/$
100.0%
個 別
通 期
通 期 通 期
第2四半期
売 上 高
営 業 利 益
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(3)「利益配分に関する方針及び当期・次期の配当」
当社は、安定配当を維持するとともに、中長期的な観点から株主の皆さまの利益拡大を図
ることを利益配分の基本方針としております。
内部留保資金につきましては、電気事業における設備投資や新規事業への投資などに充当
し、持続的な企業価値向上を目指すこととしております。
期末の配当につきましては、中間配当と同じく1株につき30円とし、年間60円とする剰余
金の処分案を株主総会に付議する予定です。
次期の配当につきましては、1株につき年間60円(中間、期末とも30円)を予定しています。
(4)「事業等のリスク」
当社グループ(連結)の経営成績、財務状況等に影響を及ぼす可能性のある主なリスクには、
以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、本資料の発表日現在において判断したものです。
1経済状況及び天候状況
電気事業における販売電力量は、景気動向や気温の変化によって増加又は減少します。こ
うした経済状況や天候状況によって、当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。
2燃料価格の変動
電気事業における燃料費は、火力発電燃料であるLNG、石炭などを国外から調達してい
るため、CIF価格及び為替レートの変動により影響を受けます。
ただし、燃料価格の変動を電気料金に反映させる燃料費調整制度により、燃料価格の変動
による当社グループの業績への影響は限定的と考えられます。
3原子燃料サイクルに関するコスト
原子燃料サイクル事業は超長期の事業であり不確実性を伴いますが、国の制度措置等によ
り事業者のリスクは低減されています。しかしながら、将来費用の見積額の変更などによっ
ては費用負担が増加し、当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。
4電気事業以外の事業
当社グループは、グループ各社の保有する経営資源を最大限に活用し、電気事業以外の事
業についても積極的な事業開発を展開していくことにより、収益基盤の拡大・強化を図って
います。事業運営にあたっては、収益性を重視し、効率性の向上と成長性の追求に努めてい
ますが、事業環境の悪化等により計画どおりの収益が確保できない場合には、当社グループ
の業績は影響を受ける可能性があります。
5金利の変動
当社グループの有利子負債残高は、平成21年3月末時点で2兆1,106億円(総資産の51%に
相当) であり、今後の市場金利の変動により、当社グループの業績は影響を受ける可能性が
あります。
ただし、有利子負債残高の94%が社債や長期借入金であり、その大部分を固定金利で調達
していることなどから、金利の変動による当社グループの業績への影響は限定的と考えられ
ます。
九州電力株式会社(9508) 平成21年3月期決算短信
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6個人情報の流出
当社グループは、グループが保有する個人情報について、厳格な管理体制を構築し、情報
セキュリティを確保するとともに、情報の取扱い等に関する規定類の整備・充実や従業員等
への周知・徹底を図るなど、個人情報の保護を徹底しています。しかしながら、個人情報の
流出により問題が発生した場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。
7自然災害等
当社グループにおいては、お客さまに電力を安定的に供給するため、設備の点検・修繕を
計画的に実施し、トラブルの未然防止に努めています。しかしながら、台風、集中豪雨、地
震等の自然災害、又は事故や不法行為等により、設備の損傷や発電所の長期停止などが発生
した場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。
また、当社グループにおいては、危機管理体制の整備に努めていますが、不測の事態に対
する不適切な対応などが発生し、当社グループに対する社会的信用が低下した場合には、当
社グループの業績は影響を受ける可能性があります。
このほか、地球温暖化に関する環境規制強化などにより、当社グループの業績は影響を受
ける可能性があります。
2.企業集団の状況
最近の有価証券報告書(平成20年6月27日提出)における「事業系統図」及び「関係会社の状況」
から重要な変更がないため開示を省略します。
九州電力株式会社(9508) 平成21年3月期決算短信
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