「経営成績」

1 「当期の概況」
当期のわが国経済は、前半は輸出や民間設備投資が増加し、緩やかな景気回復が続きま
したが、後半は原油・原材料価格の高騰や円高、米国経済の減速などの影響から、景気回
復は足踏み状態となりました。
(1)連結収支
このような経済情勢のもとで、主に電気事業の業績の影響により、売上高(営業収益)は
前期に比べ 5.3%増の1兆4,823億円、経常収益は 5.4%増の1兆4,935億円、経常費用は
9.5%増の1兆4,212億円、経常利益は 39.0%減の 723億円、当期純利益は 36.7%減の
417億円となりました。
事業の種類別セグメントの業績(セグメント間の内部取引消去前)は、次のとおりとなり
ました。
セグメント別の業績(内部取引消去前)
1電気事業
売上高は、販売電力量の増加などにより、前期に比べ 4.2%増の1兆3,657億円となり
ました。営業利益は、燃料費や修繕費の増加などにより 34.6%減の 943億円となりまし
た。
2エネルギー関連事業
売上高は、当期に連結子会社が3社増加したことなどにより、前期に比べ 14.6%増の
1,470億円となりました。営業利益は、発電所補修工事の完成高の増加などにより 24.5%
増の 85億円となりました。
(単位:億円、%)
19年度 18年度 増 減 前年比
( A ) ( B ) ( A−B ) ( A/B )
売 上 高 555 104.2
営業利益 しろさんかく 499 65.4
売 上 高 187 114.6
営業利益 85 68 16 124.5
売 上 高 884 764 120 115.7
営業利益 しろさんかく 16 しろさんかく 13 しろさんかく 3 −
売 上 高 248 259 しろさんかく 10 95.8
営業利益 34 42 しろさんかく 7 81.8
(注)「電気事業」は、当社事業から附帯事業を除いたものです。
情報通信事業
その他の事業
エネルギー 1,470 1,283
関連事業
電気事業
13,657 13,101
943 1,442
九州電力株式会社(9508) 平成20年3月期決算短信 3 3情報通信事業
売上高は、当期に連結子会社が1社増加したことや、ブロードバンドサービスの利用回
線数の増加などにより、前期に比べ 15.7%増の 884億円となりました。営業利益は、電
気通信機器製造販売に係る売上原価の増加などにより3億円減少し 16億円の損失となり
ました。
4その他の事業
売上高は、不動産販売に係る収入が減少したことなどにより、前期に比べ 4.2%減の
248億円、営業利益は 18.2%減の 34億円となりました。
(2)個別収支
1生産及び販売の状況
当期の販売電力量につきましては、電灯、業務用電力などの一般需要は、厳しい残暑及
び前期の暖冬の反動による冷暖房需要の増加や、オール電化住宅の増加、商業施設の新規
出店などから、前期に比べ 3.6%の増加となりました。
また、大口産業用需要は、輸送用機械や鉄鋼、化学などで生産が堅調に推移したことや、
原油価格の高騰を受け、自家発電から当社買電への切替えがあったことなどから、前期に
比べ 6.4%の増加となりました。
この結果、当期の総販売電力量は 880億8千万kWhとなり、前期に比べ 4.4%の増加と
なりました。
販 売 電 力 量 比 較 表
(単位:百万kWh、%)
19年度 18年度 増 減 前年比
( A ) ( B ) ( A−B ) ( A/B )
29,550 28,203 1,347 104.8
58,532 56,196 2,336 104.2
販売電力量合計 88,082 84,399 3,683 104.4
再 一 般 需 要 62,873 60,706 2,167 103.6
掲 大 口 電 力 25,209 23,693 1,516 106.4
電 灯
電 力
九州電力株式会社(9508) 平成20年3月期決算短信 4 供給面につきましては、原子力などの順調な運転により、安定した電力をお届けするこ
とができました。
発 受 電 電 力 量 比 較 表
(単位:百万kWh、%)
19年度 18年度 増 減 前年比
( A ) ( B ) ( A−B ) ( A/B )
水 力 3,550 4,000 しろさんかく 450 88.8
( 出 水 率 ) ( 81.1 ) ( 103.5 ) ( しろさんかく 22.4 )
火 力 36,727 34,925 1,802 105.2
原 子 力 39,641 37,836 1,805 104.8
(設備利用率) ( 85.8 ) ( 82.1 ) ( 3.7 )
計 79,918 76,761 3,157 104.1
他 社 17,205 15,887 1,318 108.3
融 通 しろさんかく 367 しろさんかく 154 しろさんかく 213 238.2
揚 水 用 しろさんかく 647 しろさんかく 250 しろさんかく 397 257.7
合 計 96,109 92,244 3,865 104.2
2収支の状況
収入面では、販売電力量が増加したことなどから、売上高(営業収益)は前期に比べ
4.4%増の1兆3,920億円、経常収益は 4.6%増の1兆4,014億円となりました。
一方、支出面では、燃料価格の高騰や販売電力量の増加などにより燃料費・購入電力料
が増加したことや、原子力発電所の定期検査費用などの修繕費が増加したことなどから、
経常費用は 8.7%増の1兆3,414億円となりました。
以上により、経常利益は 43.2%減の 600億円、当期純利益は 39.8%減の 356億円とな
りました。自 社九州電力株式会社(9508) 平成20年3月期決算短信 5 収 支 比 較 表(個別)
(単位:億円、%)
1 9 年 度 1 8 年 度 増 減 前年比 構 成 比
( A ) ( B ) ( A−B ) ( A/B ) 19年度 18年度
電 灯 料 5,763 5,510 253 104.6 41.1 41.1
電 力 料 7,632 7,354 278 103.8 54.5 54.9
( 小 計 ) ( 13,395 ) ( 12,864 ) ( 531 ) ( 104.1 ) ( 95.6 ) ( 96.0 )
そ の 他 618 530 87 116.6 4.4 4.0
[ 売 上 高 ] [ 13,920 ] [ 13,330 ] [ 590 ] [ 104.4 ] [ 99.3 ] [ 99.5 ]
合 計 14,014 13,395 619 104.6 100.0 100.0
人 件 費 1,383 1,448 しろさんかく 64 95.5 10.3 11.7
燃 料 費 2,799 2,113 686 132.5 20.9 17.1
修 繕 費 1,849 1,707 141 108.3 13.8 13.9
減 価 償 却 費 1,973 1,890 83 104.4 14.7 15.3
購 入 電 力 料 1,232 1,126 106 109.5 9.2 9.1
支 払 利 息 344 357 しろさんかく 13 96.2 2.5 2.9
公 租 公 課 887 887 − 100.0 6.6 7.2
原子力バックエンド費用 720 652 68 110.5 5.4 5.3
そ の 他 2,223 2,154 68 103.2 16.6 17.5
合 計 13,414 12,337 1,076 108.7 100.0 100.0
[ 939 ] [ 1,437 ] [しろさんかく 498 ] [ 65.3 ]
600 1,057 しろさんかく 457 56.8
− − しろさんかく 1 −
− 56 しろさんかく 56 −
601 1,000 しろさんかく 399 60.1
244 408 しろさんかく 163 59.9
356 592 しろさんかく 235 60.2
(注)「原子力バックエンド費用」:使用済燃料再処理等費、使用済燃料再処理等準備費、
原子力発電施設解体費及び特定放射性廃棄物処分費の合計額
( 参 考 )
1 9 年 度 1 8 年 度 増 減
( A ) ( B ) ( A−B )
114.4円/$ 117.0円/$ しろさんかく 2.6円/$
為 替 レ ー ト
78.7$/b 63.5$/b 15.2$/b
原 油 C I F 価 格
経 常 利 益
渇 水 準 備 金
法 人 税 等
当 期 純 利 益
特 別 損 失
税 引 前 当 期 純 利 益
[ 営 業 利 益 ]経常費用経 常 収 益九州電力株式会社(9508) 平成20年3月期決算短信 6 (3)資産、負債及び純資産の状況(連結)
資産は、減価償却の進捗などにより固定資産が減少しましたが、たな卸資産などの流動資
産が増加したことにより、前期末に比べ 209億円増の4兆597億円となりました。
負債は、退職給付引当金が減少しましたが、買掛金や原子力発電施設解体引当金が増加し
たことなどにより、 293億円増の2兆9,755億円となりました。有利子負債残高は、83億円増
の2兆400億円となりました。
純資産は、当期純利益の計上はありましたが、剰余金の配当や、その他有価証券評価差額
金の減少などにより、 83億円減の1兆842億円となり、自己資本比率は 26.3%となりました。
(4)キャッシュ・フローの状況(連結)
営業活動によるキャッシュ・フローは、電気事業において燃料費や修繕費が増加したこと
などにより、前期に比べ 12.2%減の 2,675億円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資の増加などにより 15.2%増の 2,335億円
の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、74.3%減の 263億円の支出となりました。
以上により、新規連結に伴う増加額5億円などを加えた、当期末の現金及び現金同等物の残
高は、前期末に比べ 80億円増加し 587億円となりました。
(5)キャッシュ・フロー関連指標の推移(連結)
自 己 資 本 比 率 (%) 22.1 24.2 25.7 26.8 26.3
時 価 ベ ー ス の 自 己 資 本 比 率 (%) 22.1 26.7 30.6 39.2 28.4
6.0 5.1 7.8 6.7 7.6
4.8 8.4 6.5 7.9 7.0
(注) 自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
(注記)各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しています。
(注記)×ばつ期末発行済株式数(自己株式控除後)により計算してい
ます。
(注記)営業キャッシュ・フロー及び利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動による
キャッシュ・フロー及び利息の支払額をそれぞれ使用しています。
(注記)有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、社債、長期借入金(いずれ
も1年以内に期限到来のものを含む)、短期借入金及びコマーシャル・ペーパーを対象と
しています。なお、社債については、連結貸借対照表価額ではなく社債金額を使用してい
ます。
(注記)17年度までの自己資本比率の数値については、従来の株主資本比率を記載しています。
19年度
インタレスト・カバレッジ・レシオ
15年度 17年度 18年度
16年度
キャッシュ・フロー対有利子負債比率
九州電力株式会社(9508) 平成20年3月期決算短信 7 2 「次期(平成21年3月期)の見通し」
【連結業績の通期見通し】
販売電力量は、産業用電力のお客さまの堅調な生産活動による増加は見込まれますが、
前期の猛暑の反動による冷房需要の減少などにより、前期に比べ 0.3%減少する見通しで
す。
売上高は、電気事業において、販売電力量は減少しますが、燃料費調整制度による収入
の増加が見込まれることなどから、増加する見通しです。
営業利益、経常利益及び当期純利益は、燃料価格の高騰による燃料費の増加などにより、
減少する見通しです。
次 期 業 績 見 通 し
(単位:億円)
第2四半期
連結累計期間
通 期 通 期
7,500 15,230 7,100 14,370
[ 102.4%] [ 102.7%] [ 102.6%] [ 103.2%]
460 820 455 750
[ 60.9%] [ 77.7%] [ 64.3%] [ 79.8%]
300 510 290 400
[ 48.8%] [ 70.5%] [ 52.5%] [ 66.6%]
180 300 170 230
[ 48.0%] [ 71.9%] [ 50.0%] [ 64.5%]
(注) [ ]は前年同期比
主 要 諸 元 表(個別)
第2四半期
累計期間
通 期
440億kWh 879億kWh
[ 99.9%] [ 99.7%]
79.3% 83.0%
(注) [ ]は前年同期比
(参考)20年度収支変動影響額(個別)
通 期
原 油 C I F 価 格 1$/b 25億円
為 替 レ ー ト 1円/$ 30億円
原子力設備利用率 1% 35億円
為 替 レ ー ト
原 子 力 設 備 利 用 率
出 水 率
経 常 利 益
当 期 純 利 益
販 売 電 力 量
原 油 C I F 価 格
連 結
第2四半期
累計期間
93$/b
105円/$
100.0%
個 別
売 上 高
営 業 利 益
九州電力株式会社(9508) 平成20年3月期決算短信 8 3「利益配分に関する方針及び当期・次期の配当」
当社は、安定配当を維持するとともに、中長期的な観点から株主の皆さまの利益拡大を図
ることを利益配分の基本方針としております。
内部留保資金につきましては、電気事業における設備投資や新規事業への投資、有利子負
債の削減などに充当し、持続的な企業価値向上を目指すこととしております。
期末の配当につきましては、中間配当と同じく1株につき30円とし、年間60円とする剰余
金の処分案を株主総会に付議する予定です。
次期の配当につきましては、1株につき年間60円(中間、期末とも30円)を予定しています。
4「事業等のリスク」
当社グループ(連結)の経営成績、財務状況等に影響を及ぼす可能性のある主なリスクに
は、以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、本資料の発表日現在において判断したものです。
(1)電気事業制度改革
電気事業については、昨年4月から、総合資源エネルギー調査会電気事業分科会において、
安定供給及び環境適合を効率的に達成しうるシステムの構築に向けた制度の検討が行われて
います。
また、原子力発電に係る費用については、国際的な状況変化や新たな科学的知見等を踏ま
えた原子力に関する安全規制の見直しなどにより、負担が増加する可能性があります。
このような電気事業における制度改革の内容や他社との競合状況によっては、当社グルー
プの業績は影響を受ける可能性があります。
(2)電気事業以外の事業
当社グループは、グループ各社の保有する経営資源を最大限に活用し、電気事業以外の事
業についても積極的な事業開発を展開していくことにより、収益基盤の拡大・強化を図って
います。事業運営にあたっては、収益性を重視し、効率性の向上と成長性の追求に努めてい
ますが、事業環境の悪化等により計画どおりの収益が確保できない場合には、当社グループ
の業績は影響を受ける可能性があります。
(3)経済状況及び天候状況
電気事業における販売電力量は、景気動向や気温の変化によって増加又は減少します。こ
うした経済状況や天候状況によって、当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。
(4)燃料価格の変動
電気事業における燃料費は、火力発電燃料であるLNG、石炭などを国外から調達してい
るため、CIF価格及び為替レートの変動により影響を受けます。一定の燃料価格の変動を
電気料金に反映させる燃料費調整制度はありますが、燃料価格が著しく変動した場合などに
は、当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。
九州電力株式会社(9508) 平成20年3月期決算短信 9

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