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9 九 州 電 力 C S R 報 告 書 2 014
ずっと先まで、
美しい地球を守るために
特 集 2 10九 州 電 力 C S R 報 告 書 2 014
当社は、
1950年代から地熱発電の調査、
研究に着手
して以来、
多くの地熱発電を当社、
グループ会社の一
貫体制で開発してきました。
そのことにより、
地熱資源
の探査・評価、
地下資源の管理・運営、
発電設備の保
守・運営などに関する技術力を蓄積してきました。
その
結果、
日本最大規模の八丁原発電所を含め、
日本全体
の約4割の地熱発電設備量を保有するなど、
当社は地
熱発電の開発に、
積極的に取り組んできました。
現在、
国内初の事業用地熱発電所である大岳発電所
(大分県九重町、
1967年運転開始)の老朽化を踏まえ、
2019年12月までに発電設備の更新を行い、
出力2,000kW
の増加を見込んでいます。
(現在の出力は12,500kW)
また、
地熱資源が賦存する離島で地熱発電を行うこと
も想定し、
海の近くにある山川発電所(鹿児島県指宿市)
の構内で、
小規模バイナリー発電設備(出力250kW)を設
置し、
実証試験を実施しています。
(2012 〜 2014年度)
再生可能エネルギー普及促進の追い風を受け、
各地
で地熱発電への関心が高まっていますが、
地熱開発を
行うためには地域の皆さまのご理解が不可欠です。
これまで蓄積してきた高い技術力を活かしつつ、
地域
のニーズ等も踏まえながら、
地域の方々と一体となった
地熱開発を目指しています。
創業当初から培ってきた地熱の技術
当社は、
2013年4月に、
イン
ドネシア国有の電力会社
と、
地熱発電による30年間の売電契約を締結しており、
2016年に初号機、
2018年に全号機
(計約32万kW)の運転開始に向けて、
現在準備を進めています。
地熱発電は地球の熱を利用して発電するため、
地熱資
源が豊富なインドネシアは、
地熱発電に非常に適した国
です。
しかし、
地下に眠る地熱資源は、
目に見えるわけで
はなく、
30年間にわたって安定した発電を続けるのは、
非常に大変なことです。
地熱資源の管理が非常に難しい地熱発電では、
当社グ
ループに強みがあります。
当社が国内で培ってきた地熱
資源の開発から発電所の建設・運営に亘るノウハウと、
西日本技術開発(株)が持つ世界的にも評価が高い地熱資
源の評価・管理ノウハウです。
今回のプロジェク
トでは、
双方のノウハウを活かし、
建設・運転・保守管理を行って
いきます。
このプロジェク
トでは、
現地の事業会社に当社から数
名の社員が既に出向しており、
発電所の設計段階から携
わっています。
今後、
地熱井の掘削工事、
および建設工事が本格化し
ていきます。
2018年の全号機の運転開始に向けて、工事中の安全はもとより、
設備トラブルが起こらないよう、
徹底した品質管理と工程管理を行っていくことが私たち
の役割です。
この世界最大規模の地熱発電プロジェク
トを成功さ
せ、
地球温暖化防止へ寄与するとともに、
現地スタッフ
への技術力の継承ができればと思います。
イン
ドネシアが持つアジア最大の地熱資源
当社グループの技術力を活かした地熱開発
現地スタッフとともに
地球規模での環境保全に貢献する
国際事業本部
サルーラ・プロジェクトG森山 大道
もりやま だいどう
地熱センター 統括グループ
前田 輝男
まえだ てるお
九州における地熱発電は日本の約4割
今も更なる開発を進めています
インドネシアでも
地熱発電プロジェク
トを進めています
今なお続く、
地熱発電の開発
地熱開発に不可欠な地域との共生
特 集 2
九 州 電 力 C S R ダイジェスト2 014 10
地球温暖化
バイナリー
(発電)
用 語 集 11 九 州 電 力 C S R 報 告 書 2 014
新会社の概要
当社は、
再生可能エネルギーの開発・導入を更に加速
するため、
また、
公共・産業分野等のお客さまからの幅広
いニーズにワンストップで対応するため、
当社グループ大
での開発体制を強化し、
再生可能エネルギー電源全般の
開発を行う新会社
「九電みらいエナジー(株)」を2014年7月
に設立します。
新会社は、
当社と連携のもと、
地域社会に対し責任あ
る事業者として、
再生可能エネルギーの普及拡大に努め
ます。
そのため、
太陽光や風力、
地熱をはじめ、
様々な
再生可能エネルギー電源について調査・計画から建設・
運営管理までの、
一貫した技術・
ノウハウを活用した発
電事業を実施するとともに、
関連するサービスもお客さ
まに提供します。
再生可能エネルギー電源全般の開発を行う
新会社
「九電みらいエナジー(株)」
を設立します
大分県玖珠郡九重町では、
町が菅原地区に所有する地
熱井の有効活用策について当社と九重町が協働で検討・
調査を実施してきました。
その結果、
有効性が確認でき
たことから、
九重町が提供する地熱資源(蒸気・熱水)を利
用した菅原バイナリー発電所(出力5,000kW)を建設し、2015年3月の運転開始を目指しています。
(西日本環境
エネルギー(株)より、
九電みらいエナジー(株)が事業引継)
本事業は、
自治体と企業が協働で取り組む、
国内初の
地熱開発事業となる予定です。
自治体との協働による
再生可能エネルギー発電事業に取り組んでいます
西技工業(株)は、
鹿児島県姶良市と小水力発電事業に関す
る協定を締結し、
2015年6月の運転開始を目指しています。
龍門滝発電所は姶良市が所有する農業用水路を活用した
発電所で、
最大出力は約140kW、
年間発電電力量は一
般世帯約300戸分の電気を発電する予定です。
このほか、
佐賀県鹿島市においても、
佐賀県が所有する
治水ダムの放流水を活用した小水力発電事業を当社・(株)九
電工・西技工業(株)の3社で構成する連合体で行う予定です。
鹿児島県姶良市における小水力発電事業
大分県九重町における地熱バイナリー発電事業
会 社 名
本 社 所 在 地
資 本 金
出 資 比 率
設 立 日
社員数
(設立時)
九電みらいエナジー(株)
福岡市
6億4,545万円
九州電力(株) 100%
2014年 7月 1日
(予定)
100名程度
太陽光
風 力
地 熱(注記)
バイオマス
水 力(注記)
調査 計画
シナジー効果
連携
調査・計画・建設・運営管理まで
一貫した技術・ノウハウを保有
建設 運営管理
発電事業 関連サービス
九電みらいエナジー(株)九州電力
(注記)開発リスクを考慮し、
当面の間は九州電力で調査・計画を実施
龍門滝発電所計画のイメージ
九重町所有の地熱井における噴気試験の様子
水 槽
金山堰
網掛川
龍門滝
龍門滝温泉
板井手の滝
反土灌漑水路
水圧管路
発電所
放水路
反土灌漑水路
龍門滝
板井手の滝
金山堰
バイオマス
バイナリー
(発電)
用 語 集 12
九 州 電 力 C S R 報 告 書 2 0140%0:00 6:00 12:00 18:00 24:0050%100%
発電出力(%)(注記)定格出力を100%とした場合
(時刻)
太陽光
(晴)
風力
太陽光
(曇)
太陽光と風力の1日の発電出力のイメージ
「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」
のイメージ
再生可能エネルギーだけで電気をつくれないの?
再生可能エネルギーに関する疑問にお答えしますQAQA
検針票に書いてある「再エネ賦課金」って何?
再生可能エネルギー発電促進賦課金の略称で、
再エネによって発電された電気を電力会社が買い取る費用を、
国の制度に基づき、電気料金の一部として、電気のご使用量に応じてお客さまにご負担いただくものです。
現時点では困難です。
再生可能エネルギーの設備導入量は、
太陽光を中心に急速に増えていますが、
太陽光や風力は出力が不安定で稼働率が低いことから、
発電電力量は依然として低い状況です。QA
再生可能エネルギーの導入を増やしていくにはどうすればいいの?
太陽光や風力は、
天候などに左右されやすく、
出力が非常に不安定です。
この出力の変化を補うためには、
他の電源との調整や大容量の蓄電池などの技術開発が不可欠です。
対象離島
実証期間
設置設備
壱岐(長崎県)
2012〜2014年度
経済産業省補助事業
環境省補助事業
対馬(長崎県)、
種子島・奄美大島(鹿児島県)
2013〜2016年度
リチウムイオン電池
再エネ賦課金は費用負担調整機
関に納付後、
買取実績に応じて交
付されます。
リチウムイオン電池
(4,000kW)
対馬
(3,500kW)、種子島
(3,000kW)、奄美大島
(2,000kW)
対象離島
実証期間
設置設備
各電源の発電電力量における割合

(2013年度)
太陽光発電の設備量と発電電力量
(2013年度)
発電設備の量...............大型石炭火力 約4 基分
発電した電気の量.........大型石炭火力 約0.6 基分❶❷
❸❹
再エネ電源で発電された電気を電気
事業者が買い取ります。
買取に要した費用は再エネ賦課金と
してお客さまにご負担いただきます。❶❹ ❸❷特 集 2
再エネ電源からの買取
交付 納付
お客さまのご負担
買 取
電気料金
買取費用
買取費用
再エネ
賦課金
再エネ
賦課金
•一般電気事業者
•特定電気事業者
•新電力
再エネ電源
費用負担調整機関
(国)
買取費用負担の調整
•一般のご家庭
•工場・ビル
•商業施設 等
お客さま
電気事業者
•太陽光
•風力
•中小水力
•地熱
•バイオマス
ご家庭の1ヵ月のご負担額は225円(注記)
(使用量300kWh/月の場合)
電気事業者に
買取義務
出力の変化に対応するためには他の
電源や蓄電池での調整が必要です
以下の理由により稼働率が低い
夜間は全く発電できない
天候に左右される
5年間で約7倍に急増
離島で蓄電池の実証試験に取り組んでいます
火力 89%
水力 6%
原子力 0%
地熱・バイオマス 2%
風力 1%
太陽光 2%
再生可能エネルギー
全体で 11%
(注記)2014年度の再エネ賦課金単価:0.75円/kWh
しかし
(272万kW)
(約29億kWh)
ふ か きん
(注記)
(注記)2013年度末の発電設備量を
元にした試算値
バイオマス
用 語 集

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