113 九州電力 CSR 報告書 2012
2011年度決算概要
連結収支概況
2011年度の連結収支については、
収入面では、
電気
事業において、販売電力量の減少はありましたが、燃
料費調整の影響などにより料金単価が上昇したことな
どから、
売上高
(営業収益)
は前期に比べ1.5%増の1兆
5,080億円、経常収益は1.6%増の1兆5,219億円とな
りました。
一方、
支出面では、
電気事業において、
原子力発電所
の運転再開延期の影響や燃料価格の上昇などにより、
火力燃料費や購入電力料が増加したことなどから、経
常費用は21.2%増の1兆7,355億円となりました。
以上により、
経常損益は2,135億円の損失、
当期純損
益は1,663億円の損失となりました。
▼連結収支概況 (単位:億円、%)2011年度 2010年度 増 減 前年比
営業収益
(売上高) 15,080 14,860 220 101.5
営 業 外 収 益 139 122 16 113.8
経 常 収 益 15,219 14,982 236 101.6
営 業 費 用 16,929 13,871 3,057 122.0
営 業 外 費 用 425 443 さんかく17 96.0
経 常 費 用 17,355 14,315 3,039 121.2
(営業利益又は営業損失
(さんかく)
)(さんかく1,848) (989)(さんかく2,837) ―
経常利益又は経常損失
(さんかく) さんかく2,135 667 さんかく2,802 ―
特 別 損 失 ― 184 さんかく184 ―
法 人 税 等 さんかく487 192 さんかく680 ―
少 数 株 主 利 益 4 3 ― 116.5
当期純利益又は当期純損失
(さんかく) さんかく1,663 287 さんかく1,951 ―
連結収支における事業別の業績
くろまる電気事業
売上高は、販売電力量の減少はありましたが、燃料
費調整の影響などによる料金単価の上昇などにより、
前期に比べ1.0%増の1兆3,695億円となりました。営業損益は、
火力燃料費や購入電力料の増加などにより、
2,865億円減の1,999億円の損失となりました。
くろまるエネルギー関連事業
売上高は、ガス販売価格の上昇による収入増などに
より、前期に比べ4.1%増の1,645億円、営業利益は、
減価償却費の減少などもあり、58.1%増の47億円と
なりました。
くろまる情報通信事業
売上高は、携帯電話事業者向けデータ伝送サービス
の収入増などにより、前期に比べ0.8%増の969億円、
営業利益は、
2.2%増の66億円となりました。
くろまるその他の事業
売上高は、新たに連結対象とした子会社の影響など
により、前期に比べ4.6%増の273億円、営業利益は、
賃貸建物等の修繕費用の増加などにより7.0%減の31
億円となりました。
▼セグメント別の業績
(内部取引消去前)
(単位:億円、%)2011年度 2010年度 増 減 前年比
電気事業
売 上 高 13,695 13,563 132 101.0
営業損益 さんかく1,999 865 さんかく2,865 ―
エネルギー
関連事業
売 上 高 1,645 1,580 65 104.1
営業損益 47 30 17 158.1
情報通信
事業
売 上 高 969 962 7 100.8
営業損益 66 64 1 102.2
その他の
事業
売 上 高 273 260 12 104.6
営業損益 31 33 さんかく2 93.0
(注1)
「電気事業」
は、
当社事業から附帯事業を除いたものです。
(注2)
さんかくは損失を示しています。
厳しさを増す経営環境を踏まえ、
費用・投資について、
安全・法令遵守・安定供給を確保しつつ、
徹底した効率化・コスト削減にグループ一体となって取り組んでいます。
財務ハイライト 114九州電力 CSR 報告書 2012財務ハイライト2012 Corporate Social Responsibility Report
九州電力単体の最近の収支状況
当社はこれまで、
支払利息の低減や設備投資、
人員の
削減などの徹底した効率化に努め、
その成果をもとに、
2000年の電気事業制度改革以降、
5回の料金見直しを
実施し、
電気料金の低廉化を進めるとともに、
財務体質
の改善や安定配当に必要な利益水準の確保に努めてき
ました。
2011年度については、収入面では、燃料費調整の
影響などにより、売上高が増加しましたが、支出面
では、原子力発電所の運転再開延期の影響などによ
り、
火力燃料費が増加したことなどから、
経常損益は
2,285億円の損失、
当期純損益は1,749億円の損失と
なりました。
▼電気料金の改定状況
2000年
10月
2002年
10月
2005年1月2006年4月2008年9月料金改定率 さんかく6.12% さんかく5.21% さんかく5.46% さんかく3.71% さんかく1.18%
(注)
料金改定率は、
供給約款料金
(燃料費調整額を含む)
における数値
経営概況
経営効率化の取組み
くろまる設備投資の効率化
2011年度の設備投資額は、原子力発電所の安全対
策や設備の高経年化対策などによる増要因はあるも
のの、
工事の対策時期や範囲の見直しなどの効率化に
加え、
原子力発電所の運転再開延期の影響などによる
燃料費等のコスト増へ対応するため、工事の中止・繰
延べ・規模縮小などを行った結果、前年度から384億
円の減、当初計画から320億円減の1,985億円となり
ました。
くろまる修繕費・諸経費の効率化
修繕費については、設備の高経年化対策などによる
増要因はあるものの、
設備の点検・修繕内容の見直しな
どの効率化に加え、燃料費等のコスト増へ対応するた
め、工事の中止・繰延べ・規模縮小などを行った結果、
前年度と同程度の1,760億円となりました。
また、
諸経費については、
システム開発や業務委託範
囲の見直しなどの業務全般にわたる効率化に加え、燃
料費等のコスト増へ対応するため、広告宣伝等の普及
開発関係費や委託費、
研究費などを中心に件名の中止・繰延べ・規模縮小などを行った結果、前年度から31億
円減の1,520億円となりました。
▼経常収益、
経常費用、
経常利益の推移03,000
6,000
9,000
18,000
15,000
12,000
(億円)
さんかく3,000
さんかく1,0000さんかく2,000
3,000
2,000
1,000
経常利益
(億円)
2007 2008 2009 2010 (年度)
13,414
13,985
12,968
14,014
14,373
13,472 13,429
13,970
経常収益 経常費用 経常利益201116,429
14,144600600 387
387 503
503 541541さんかく2,285
さんかく2,285
▼設備投資額の推移2011484797704
1,985
(注)
設備投資は附帯事業を含む
2007 2008 2010
2009 (年度)
(億円)
3,000
1,000
2,0000その他
流通
電源5946386756509879849378057882,3695882,2107162,3286912,146
(注)
諸経費は、
廃棄物処理費、
消耗品費、
補償費、
賃借料、
委託費、
普及開発関係費、
養成費、
研究費、
諸費の9費目の合計
2007 2008 2010
2009 (年度)
(億円)
2,000
1,0005001,5000修繕費 諸経費
1,849
1,659
1,978
1,728
1,951
1,753 1,759
1,55220111,760
1,520
▼修繕費・諸経費の推移
115 九州電力 CSR 報告書 2012
再生可能エネルギーICT用語集
くろまる業務運営の効率化・高度化
業務運営については、設備の高経年化対策などの安
定供給上必要な取組みや再生可能エネルギーの利用拡
大への対応などに取り組む一方、
ICT(注記)
を活用した業務
プロセス改革などにより業務運営の効率化・高度化な
ど労働生産性
(従業員1人あたり販売電力量)
の向上に
取組んできました。
しかし、東日本大震災以降の原子力発電所の運転再
開延期に伴い、お客さまの節電へのご協力により販売
電力量が減少したこと等から、2011年度末の労働生
産性は、
前年度末から3.5%程度低下しました。
また、
労働生産性向上の取組みにあわせ、
変化する経
営課題に対し迅速、
柔軟かつ的確に対応するため、
本部
制の導入拡大や支社・センターの設置など各業務分野
における責任体制の明確化や自律的業務運営の推進に
取り組んできました。
(注記)
Information and Communication Technology
(情報通信技術)の略
▼人員の推移
さんかく3.5%
2007 2008 2010
2009 (年度)
(人)
15,000
12,000
13,000
14,0000(万kWh/人)8005006007000人員 1人あたり販売電力量
12,689
12,553
12,465
12,4666652011
12,831707689664689
これまでの電気料金値下げと原価の現状
TOPICS
当社は、1995年の第1次電気事業制度改革
(電源調達入
札制度導入など)
以降、2008年までに7回の料金値下げを
行い、計さんかく30%程度の低減を図ったことから、電力9社中2
番目に安い水準となっており、他の公共料金と比較しても低
水準で推移しています。
しかし、2008年の料金改定時の料金原価と比較すると、
2011年度の実績では、燃料費や購入電力料が約65%も増
加し、
現行の料金原価を大きく上回っています。修繕費
減価償却費
人件費
その他経費
など
購入電力料
燃料費
2008年の
料金改定時の原価
2011年度実績
(億円)
15,000
10,000
5,000066%
1,233
(1.40)
8,503
(9.67)
3,161
(3.60)
12,900
(14.68)
2,060
(2.41)
8,430
(9.87)
5,202
(6.09)
約65%
上昇
15,695
(18.38)34%54%46%(注)1.( )
はkWhあたり単価
(単位:円)、 は構成比
2. 四捨五入の関係で合計が一致しない場合がある
出典:電力各社の有価証券報告書 (電灯電力料を販売電力量で除したもの。
燃料費調整単価分を含む)
1995 2000 2005 2011
(年度)
九州 電力9社平均
(円/kWh)2120191817160151995電源調達入札制度
(IPP)2000特別高圧
(20kV以上)
小売自由化2004高圧
(6kV以上)
小売自由化
(注記)500kW未満は2006〜
▼2011年度実績における原価構造
▼電気料金
(収入単価)
の推移 116九州電力 CSR 報告書 2012財務ハイライト2012 Corporate Social Responsibility Report
ステークホルダー
再生可能エネルギー
用語集
くろまる2012年度 緊急経営対策の実施
現在、当社では全ての原子力発電所が運転停止中で
あり、
運転再開時期も不透明な状況の中、
火力燃料費等
の増大に加え、原子力損害賠償支援の一般負担金や原
子力安全対策費、借入金増大に伴う支払利息の増加な
どのコスト増が見込まれ、
今後の収支状況は、
更に厳し
さを増すものと考えています。
当社は、
これらのコスト増を踏まえ、
費用・投資につ
いてリスク評価を十分に行い、
安全・法令遵守・安定供
給を確保しつつ、
繰延べなど短期的対策を含む徹底し
た効率化・コスト削減にグループ一体となって取組ん
でいきます。
2012年度は
「緊急経営対策」
として、昨年計画から
1,200億円規模の削減に取組んでいます。
▼2012年度 緊急経営対策の概要
項 目 主な内容と削減額費 用修繕費・ 安全・法令遵守に関するもの及び安定供給
に直ちに影響を及ぼすもの以外についてリ
スク評価の上、
削減・繰延べ
(350億円)
諸経費他・ 業務委託費、
研究費、
電化営業関係費、
広告
宣伝費、
研修費、
寄付・諸団体会費などの諸
経費の削減・ 役員報酬の削減、
福利厚生の見直し、
時間外
労働の削減などの人的経費の削減・ 輸送費低減、
海外重油の受入拡大、
低品位炭
導入などの燃料費低減、及び他社からの購
入電力料低減
(200億円)
費用計 550億円投 資設備投資他・ 安全・法令遵守に関するもの及び安定供給
に直ちに影響を及ぼすもの以外についてリ
スク評価の上、
削減・繰延べ・ その他投資は、燃料の上流権益投資など供
給力確保に関するもの以外は繰延べ
投資計 650億円
削減額計 1,200億円規模
再生可能エネルギー発電促進賦課金
2012年7月より、国の法令に基づき、
「再生可能エネルギーの
固定価格買取制度」
が始まり、再生可能エネルギーにより発電さ
れた電気を電気事業者が買取ることが義務付けられました。
それに伴い、2012年8月分の電気料金から、再生可能エネル
ギーにより発電された電気の買取に要する費用について、
「再生
可能エネルギー発電促進賦課金」
として、電気のご使用量に応じ
てお客さまにご負担いただくことになりました。
なお、2012年6月までの
「太陽光発電の余剰電力買取制度」に基づく太陽光発電の余剰電力の買取に要した費用についても、当面の間
(2015年3月頃までの予定)
「太陽光発電促進付加金」
とし
て、
あわせてご負担いただきます。TOPICS
電気
料金
= + +
基本
料金
電力量料金
(燃料費調整額を含む)
再生可能エネルギー
発電促進賦課金等(注記)
(注記)
「再生可能エネルギー発電促進賦課金」と「太陽光発電
促進付加金」
の合計です。再生可能エネルギー発電促進賦課金=
賦課金単価
(円/kWh)×ばつご使用量
(kWh)
太陽光発電促進付加金=付加金単価
(円/kWh)×ばつご使用量
(kWh)
2012年度の単価
(2012年8月
分〜2013年3月分)
は、
それぞ
れ次のとおりとなりました。
賦課金単価
0.22円/kWh
付加金単価
0.15円/kWh
(注記)いずれも従量制供給の場合▼ 再生可能エネルギー発電促進賦課金のイメージ
(従量制供給の場合)

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