緊急需給調整等対応訓練の様子
電力需要が供給力を上回ると周波数が低下します
が、
発電機は一定範囲の周波数でしか運転できませ
ん。
そのため、
周波数が大きく低下すると、
発電機が
停止し、
最悪の場合には、
連鎖的に複数の発電機が停
止することにより、
突然、
広範囲に亘る大規模な停電
に至る可能性があります。
今夏においては、
こう
した大規模な停電を防ぐために
万が一の場合に備えて、
計画停電の準備を行いました。
電力需要が供給力を上回った場合の問題
〜大規模な停電を防ぐための計画停電の必要性〜
今夏の需給への対応
当社では、
今夏の需給状況が大変に厳しい見通し
であったことから、
社長を総本部長とする
「危機管理
対策総本部」
を設置し、
不測の事態への万全な対応
やお客さま等への迅速・的確な情報提供などについ
て、
全社一丸となって取り組みました。
しかく計画段階で対応可能なあらゆる供給力対策
当社では、
国の方針を受け、
万が一の不測の事態への
最終的な備え
(セーフティネット)として、
計画停電の準備
を行いました。
2012年7月に
「緊急需給調整等対応訓練」
を実施し、自治体や警察などの関係機関に加
え、
一人暮らしの高齢者の方な
ども含めた、
社内外への情報連
絡ルートの確認等を行いました。
くろまる石油火力5台の定期検査を今秋以降に延期
(50万k×ばつ4、
37.5万
k×ばつ1)
くろまる2011年度末に廃止予定であった苅田新2号
(37.5万kW)
の運転再開
くろまる新大分発電所1号系列第1軸
(10万kW)
のガスタービン更新工事の延期
くろまる豊前発電所にディーゼル発電機
(0.4万kW)
を設置
くろまる離島の移動用発電設備
(0.3万kW)
の活用
くろまる他社からの受電 など
電力の供給力確保対策
お客さまへの節電のお願い 不測の事態への準備
しかく電力需要が供給力を上回ると...
[経過時間][周波数]60Hz
数分程度
広範囲停電
全発電機停止
供給不足の発生
(発電機トラブル等)
周波数低下により、
複数の発電機が連鎖的に停止
➡さらに周波数が低下
豊前発電所に設置したディーゼル発電機
一昨年並みの気温となることを想定し、
7月2日
(月)
から
9月7日
(金)
を節電にご協力いただきたい期間とし、
ピー
ク時間帯においては、
一昨年比でさんかく10%程度以上の節電
をお願いしました。
お客さまに対しては、
当社ホームページや広告のほか、
自治体や各種メディアの方々にもご協力いただき、
自治体
のホームページや広報誌、
テレビ・ラジオなどを通じて、
お知らせさせていただきました。
しかく電力需給の状況を踏まえた更なる供給力対策
くろまる他電力会社からの追加の電力融通受電
くろまる電力取引市場からの電力調達 など
特集2 電力の安定供給に向けた取組み
11 九州電力 CSR 報告書 2012
設備の安全・安定運転の徹底
送電線や配電線などにおける停電事故を未然に防
ぐため、
設備巡視による危険箇所の事前把握や対策
の実施などに取り組んでいます。
また、
雷や台風などの自然災害による停電事故を
防ぐための設備強化などにも取り組んでいます。
作業にあたっては、
ヒューマンエラーを防ぐため、
取引先やグループ会社と一体となり、
安全作業の徹
底に努めています。
送電線碍子の取替作業
カラスの巣の撤去作業
【お客さま1戸あたりの年間停電時間・停電回数の推移】
当社では台風や集中豪雨などによる災害時または
災害発生が予想される場合は、
非常災害対策組織を
設置し、
協力会社や行政機関と連携して、
迅速な停電
復旧に努めることとしており、
例年、
台風シーズン前
の7月に「大規模非常災害対策訓練」を実施し、
災害に
備えています。
2012年7月に発生した福岡・大分・熊本における九
州北部豪雨災害においては、
広範囲に亘る河川の氾
濫や土砂災害が発生し、
電柱などの当社設備も大規
模な被害を受け、
各地で停電が発生しました。
復旧作業にあたっては、
被害現場への道路が遮断
されている箇所も多く、
作業員がそれぞれ資機材を担
ぎ、
数時間をかけて、
歩いて現場へ行くこともありま
した。
また、
現場の状況や過去の経験などから、
近くに生え
ている杉を一時的に電柱代わりとするなど、
「一刻も早
く電気を届けたい」という使命を、
協力会社のみなさ
まと一体となって体現することで、
比較的短時間で電
力を供給することができました。
九州北部豪雨災害における停電復旧作業
大型台風の
影響⬇停電時間(分)停電回数(回)1970561(分)3.13(回)
1980 1990 2006 2007 2008 200901002003004005006000.00.51.01.52.02.53.03.52010 20115(分)0.08(回)
(年度)
停電時間
(分)
停電回数
(回)
倒壊した電柱の代わりに杉の木に電線を架線している様子
(熊本県球磨郡)12九州電力 CSR 報告書 2012
2012 Corporate Social Responsibility Report
ヒューマンエラー
用語集
再生可能エネルギーの積極的な開発・導入
当社は、
国産エネルギーの有効活用の観点から、また、
地球温暖化対策面で優れた電源であることから、
風力・太陽光・バイオマス・水力・地熱などの再生可
能エネルギーの積極的な開発、
導入を進めています。
全国における再生可能エネルギーのうち、
当社は
風力:約15%、
太陽光:約20%、
地熱:約40%を占
めており、
九州地域の経済規模
(日本全体の約1割)から考えると、
他の地域より積極的に導入しています。
このうち、
風力及び太陽光については、
2020年度
までに、
設備量であわせて300万kWの導入に向け
て取り組んでいます。
(昨年度計画から+50万kW)
近年の導入実績としては、
2010年11月にメガ
ソーラー大牟田発電所
(3,000kW)
の営業運転を開
始したほか、
2011年12月に鷲 尾 岳 風 力 発 電 所
(12,000kW:当社グループ会社
[鷲尾岳風力発電
(株)])の営業運転を開始しました。
また、
当社グループ会社である(株)キューデン・エコ
ソルが、
大村発電所跡地においてメガソーラー発電所
の開発を進めており、
2013年春に出力13,500kW
の太陽光発電所が完成する予定です。
燃料の長期安定確保への取組み
中国やインドなどの新興国による需要増加などを
背景に、
中長期的にはエネルギー需給のタイ
ト化や、
資源価格の高騰が懸念されています。
エネルギー資
源に乏しいわが国は、
エネルギー自給率が4%と低
く、
大部分を輸入に頼っています。
当社では、
燃料の
長期安定確保のため、
長期契約を基本として、
燃料
の供給源の分散化や、
生産から輸送・販売までのサ
プライチェーンへの関与の強化に取り組んでいます。
また、
燃料を長期安定的に確保するため、
2007年
9月からカザフスタン共和国の新規ウラン鉱山開発・
生産プロジェク
トに参画しているほか、
2011年9月
に豪州の新規LNG開発・生産プロジェク
トへ参画す
るなど、
上流権益の取得も進めています。
メガソーラー大牟田発電所
(福岡県大牟田市:3,000kW)
電力の安定供給に向けた取組み
【風力・太陽光の設備導入量】
【主要国のエネルギー自給率
(2009年)】2007 2008 2010
2009 (年度)
(万kW)30010050150200250056413330403530252020300風 力
(上段) 太陽光
(下段)20117441特集 2イタリア日本ドイツアメリカイギリス中国カナダロシアフランス(%)20010050150016164202940951687872819192144153176183エネルギー自給率
(原子力を国産とした場合)
エネルギー自給率
(原子力を輸入とした場合)
(注記)100%を超えている部分は輸出を表す
出典:ENERGY BALANCE OF OECD COUNTRIES, 2011
ENERGY BALANCE OF NON‐OECD COUNTRIES, 2011
13 九州電力 CSR 報告書 2012
再生可能エネルギー
サプライチェーン
地球温暖化
バイオマス
メガソーラーLNG用語集
水力
火力
原子力
メガ
ソーラー
系統用
蓄電池
風力
工場
再生可能エネルギーの
普及拡大を見据えた
スマートグリッドの研究
長期的に安定した効率的な流通設備の形成・維持
電力流通設備については、
需要動向や供給信頼
度、
設備の安全面や運用面、
コスト等を総合的に勘
案し、
長期的な観点から効率的な設備形成を図って
います。
当社は通常想定される設備の事故や不具合で停電
が生じないことを基本に設備を形成していますが、
大規模な自然災害などで設備が破損しても、
広範
囲・長時間の停電が発生しないよう基幹系統の構築
に取り組んでいます。
2011年6月に北九州幹線が運開したほか、
現在、
大分― 宮崎間を結ぶ
「日向幹線」
の建設に向けた調
査等を進めており、
九州北部〜南部間の2ルート化を
目指しています。
(現在の主要供給設備については、
P96を参照ください。) 太陽光や風力は気象状況によって電気の出力が大
きく変動します。
そう
した出力が不安定な電源が、大量に普及していった場合においても、
電圧や周波数
が安定した高品質な電力を効率的に供給できるよう、
原子力・火力・再生可能エネルギーなど全ての電源
の最適運用を行えるスマートグリッドの構築を目指し
ています。
小丸川発電所は1999年2月に着工し、
2007年7月
の初号機の運転開始に始まり、
2011年7月までに全4台(最大出力120万kW:30万k×ばつ4台)
が運転を開
始しました。
揚水発電は、
電力供給に余裕のある夜間に水を上
部ダムへ汲み上げておき、
電力需要のピークを迎える
昼間に水を放流して発電するものです。
発電機の起動・停止や出力調整を迅速に行えること
から、
大型電源のトラブル発生などの緊急時や需要
ピーク時に対応する電源として開発してきましたが、
今夏の厳しい電力需給では昼間ピーク時の電源とし
て、
重要な役割を担いました。
小丸川発電所
(揚水)
全4台が竣工し、
今夏の電力需給で重要な役割を担いました
▼スマートグリッドのイメージ
太陽光発電の余剰電力への対応例
一般家庭
太陽光
蓄電池
電力量
低圧新型
電子メータ
スマートコミュニティなど
地域内で
電力を調整
一般家庭
一般家庭
送配電線
情 報
電 力
九州全体での
需給調整
24時
0時 12時
太陽光
余剰分を
(蓄電池に充電) 蓄電池に
よる放電
原子力等
再生可能エネルギー
日負荷曲線14九州電力 CSR 報告書 2012
2012 Corporate Social Responsibility Report
再生可能エネルギー
スマートコミ
ュニティ
メガソーラー
揚水発電
用語集

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