▼品質保証体制
当社は,安全を最優先に原子力
発電所の運営に取り組むとともに,
地域社会の皆さまに安心,信頼し
ていただくために,原子力関係情
報の適宜・適切な発信はもとより,
保安活動及び品質保証活動を的確
に行い,原子力発電所の安全安定
運転を徹底しています。
安全管理体制
しかく品質保証活動の取組み
法令の要求事項や民間規格「原
子力発電所における安全のための
品質保証規程」(JEAC4111)の
要求事項に基づき,社長をトップ
とする品質マネジメントシステム
を構築し,保安活動及び品質保証
活動を的確に行うことにより,原
子力発電所の安全安定運転を徹底
しています。
しかく原子力安全文化醸成への取組み
安全文化とは「従業員一人ひと
りの意識及びそれらの総和である
職場の体質及び風土」との認識の
もと,現場主体の業務運営体制と
協力会社も含めた円滑なコミュニ
ケーションにより,良好な職場体
質・風土の形成に努めています。
このため,経営幹部との懇談会
や職場内ミーティング等により社
内のコミュニケーションを活性化
するとともに,本店・発電所間の
活発な人事異動を行っています。
また,協力会社とのコミュニケ
ーションの活性化を図るため,作
業前ミーティングや現場確認を協
力して行うなど,一体感を持って
現場業務を実施するとともに,現
場パトロールや意見交換会,諸行
事等も合同で行っています。
原子力発電設備の維持管理
しかく保守管理ルールに従った適切な
点検・補修
原子力発電所の安全性,信頼性
を確保するため,発電所を構成す
る設備や機器が所定の機能を発揮
しうる状態にあるよう,適切に保
守を行うことが重要です。
このため,法令や民間規格「原
子 力 発 電 所 の 保 守 管 理 規 定 」
(JEAC4209)の要求事項を適切
に反映し,設備の点検・補修内容
や頻度を定め,それに従い点検・
補修を実施するとともに,その結
果を評価し,必要な場合は点検・
補修内容や頻度の見直しを行って
いく活動を着実に実施しています。
安全第一主義の取組み
全ての事業活動の基本として,社会安全確保のための設備対策や技術改善はもとより,公衆安全や作業従事者の
安全確保を最優先するという「安全第一主義」の徹底を図ります。
技術継承への取組み
原子力発電所の安全安定運転を継続するためには,社員の技
術力を維持・継承していくことも重要な課題です。
このため,原子力発電所の運転,保修等に関する技術について,
OJTを基本とした技術力の維持・継承を図るとともに,玄海,
川内原子力発電所の訓練センターに設置している運転シミュレ
ーター,保修訓練設備を有効に活用し,実践的な技術力の維持・
継承にも取り組んでいます。
社長:トップマネジメント・原子力発電本部長・原子力管理部長・原子力監査担当部長:社長の補佐:管理責任者
(実施部門):管理責任者
(監査部門)*2
:本店の原子力品質保証組織と
して
土木部
(原子力グループ), 資材燃料部
(関係グループ)
も参画。
*1:社長指示に基づき
原子力部門の内部監査を実施。
原子力発電所 本店4部 *2川内原子力発電所玄海原子力発電所資材燃料部経営管理室原子力監査担当土 木 部原子力建設部原子力管理部*151九州電力CSR報告書2006原子力発電の安全確保
2006年度の活動項目 2006年度の主な行動計画
しかく予防保全工事の確実な実施
原子力発電所におけるトラブル
の発生を未然に防止するため,国
内外の原子力発電所で発生したト
ラブルの再発防止対策や設備の経
年的な性能の変化等の管理を適切
に行い,それにより得られた知見
に基づく補修・改良工事や主要機
器の更新工事などを確実に実施し,
予防保全対策の徹底を図っています。
放射線管理
しかく放射線作業従事者の放射線管理
原子力発電所では,作業従事者
の被ばく線量を可能な範囲で極力
低減するため,水質管理等による
作業場所の空間線量の低減や作業
時の遮蔽の設置,作業の遠隔化・
自動化を行っています。
放射線作業従事者が実際に受け
ている放射線量は,2005年度実
績で平均1.0ミリシーベルトであり,
法定線量限度の年間50ミリシーベ
ルトを大きく下回っています。
しかく原子力発電所周辺の環境放射線管理
原子力発電所では,発電所周辺
の空間放射線量を連続して監視・
測定するとともに,定期的に海水,
農作物,海産物などの環境試料中
に含まれる放射能を測定しており,
現在まで,原子力発電所の運転に
よる環境への影響は認められてい
ません。
原子力発電所周辺の人が受ける
放射線量は,年間0.001ミリシー
ベルト未満で,法定線量限度の年
間1ミリシーベルト及び原子力安
全委員会が定める目標値の年間
0.05ミリシーベルトを大きく下回
っています。
環境放射線については,当社の
ホームページでリアルタイムにデ
ータを公開しています。
http://www.kyuden.co.jp/nuclear̲real
しかく放射性廃棄物管理
原子力発電所でわずかに発生す
る放射性の気体や液体廃棄物は,
建物内の廃棄物処理装置で適切に
処理し,安全を確認したうえで放
出しており,これによる発電所周
辺への影響は自然放射線の数%以
下です。
また,固体廃棄物は,敷地内の
貯蔵庫に厳重に保管した後,日本
原燃
(株)
の低レベル放射性廃棄
物埋設センターに搬出・埋設処分
され,人間の生活環境に影響を与
えなくなるまで管理されます。
高経年化対策
国の「高経年化に関する基本的な考え方」に基づき,営業運
転開始後30年に到達する玄海原子力発電所1号機の高経年化対
策の検討を行い,長期間の運転を考慮しても安全に運転を継続
することが可能であることを確認し,2003年12月,国に報告
書を提出しました。
国は,2004年3月,当社の報告書について,「高経年化に対
する評価方法は適切であり,長期保全計画を適切に実施するこ
とで問題ない」と評価されました。
当社は,この長期保全計画について,具体的な実施時期を定
め,定期検査等で計画的に実施します。
原子力防災
原子力発電所では,周辺に放射線による災害を及ぼすような
事故がおこることがないように万全の安全対策が講じられてい
ますが,万が一の災害に迅速に対応するため,原子力災害対策
特別措置法や災害対策基本法に従い,国,自治体,事業者それ
ぞれが防災計画を定め,平常時から防災のための体制の充実に
努めています。
また,当社は,佐賀県,鹿児島県の原子力防災訓練に毎年参
加し,発電所内に緊急時対策本部を設置し,通報連絡や緊急時
環境モニタリング等の訓練を行っています。
▼高経年化対策の概要
さんかく
運転開始
さんかく
30年
さんかく
40年
通常の保守管理(運転中の監視,
定期検査・点検等)
10年毎に
(最新知見に基づく再評価)
(運転経過年数)
高経年化対策
・高経年化技術評価
・長期保全計画策定
長期保全計画に基づく保全
再評価
設備の安全確保,作業時の安全確保の
最優先
商品,サービスの安全性向上,
電気安全に対する知識普及
安全と健康に留意した職場環境の確保
しろまる委託先・請負先等の災害防止の徹底
しろまる原子力発電設備の予防保全対策の徹底
しろまる原子力発電所の品質保証活動の充実
しろまる労働安全衛生マネジメントシステムの段階的導入
しろまるメンタルヘルス対策の充実
しろまる過重労働による健康障害防止に向けた諸施策の継続実施
しろまる公衆感電事故防止PR及び設備点検の強化52九州電力CSR報告書2006安全第一主義の取組み 労働安全衛生の取組み
当社は,「災害ゼロ達成と心身
の健康確保及び快適職場の確立」
を安全衛生理念として掲げ,従業
員の安全確保と心身両面の健康保
持増進を図ることを目的として,
全社安全衛生管理方針,目標,計
画を作成し,これに則り,全社を
あげて安全衛生諸活動を展開して
います。
また,安全衛生を最優先した職
場風土づくりを目指して,安全衛
生委員会の活性化を図っています。
災害ゼロ達成に向けた取組み
災害の大半がヒューマンエラー
に起因するものであることや,災
害発生につながる潜在的な危険要
因が依然として見受けられること
から,自己の安全意識を高めると
ともに,危険要因を事前に取り除
く姿勢を持ち続けることで,災害
ゼロの達成を目指してきました。
しかしながら,災害の発生状況
は一進一退を繰り返すリバウンド
傾向が実態であり,意識や姿勢だ
けではなく,潜在的な危険要因の
減少を具体的に図るための新たな
仕組みとして,厚生労働省が推奨
する「労働安全衛生マネジメント
システム」の2006年度導入に向け
て検討を行っています。
そのほか,危険予知活動に重点
を置いた作業前(後)ミーティング
の確実な実施を推進するとともに,
交通事故多発箇所マップ等の活用
による交通災害防止へ向けた取組
み等を実施しています。
心身の健康確保及び快適職場の確立
社会情勢や職場環境の変革期に
おいて,従来からの疾病予防対策
や自主健康づくりの支援に加え,
メンタルヘルス対策の充実や過重
労働による健康障害防止対策など,
幅広い施策を掲げ,ハード・ソフ
ト両面から疲労やストレスを感じ
ることの少ない働きやすい「快適
職場」の実現に向けた諸施策を展
開しており,今後も,適宜,評価・
改善を図りながら,継続的かつ効
果的に取り組んでいきます。
しろいしかく メンタルヘルスにおける予防及
び早期発見のための教育及び相談
体制の充実・強化を図るため,教
育の拡大,ストレス診断システム
の活用,医療スタッフ面談の強化
を行っています。
メンタルヘルス教育については,
外部講師の活用等を含め,事務所
で開催される諸会議・研修の機会
を活用した研修機会の拡大ととも
に,ストレスに対処するための技
法や,相談の受け方・話の聴き方
についての技法の導入など,研修
内容の充実を図ります。
しろいしかく 過重労働による健康障害防止に
向けた諸施策として,産業医や医
療スタッフによる職場への助言・
指導及び対象者への個人面談を実
施しています。
しろいしかく 新VDTガイドラインに沿った
労働衛生管理諸施策を推進するた
め,問診票に基づいた医療スタッ
フによる面談・健診を実施してい
ます。
しろいしかく 職場の喫煙対策については,「健
康増進法」や「職場における喫煙対
策のためのガイドライン」の趣旨
を踏まえ,原則として職場内は禁
煙とし,受動喫煙防止対策を講じ
た喫煙室等を設置しています。
しろいしかく 疾病予防対策の充実を図るため,
各種健康教室を開催するとともに,
自主健康づくりのための諸施策と
して,健康講話の開催などの啓発
活動を実施しています。
(注記)用語解説/*労働災害度数率:延べ100万労働時間あたりの有休災害件数
*労働災害強度率:1,000万労働時間において傷害のために失われる労働損失日数53▼労働災害度数率*・強度率*
度数率
強度率0.150.000.050.10
0.12 0.12 0.12
2002 2003 2004
0.0010.130.017 0.005 0.009 0.0101.770.241.790.31 0.280.160.47
1.78 1.85
2002 200320012001 200420052005
当社 全国全産業平均2.001.000.00▼平成18年度全社安全衛生管理方針
▼業務上災害件数(主たる原因別)
年度 200320022001 2004
物的原因
人的原因
第三者行為
総計322126419427110718213823818632
(件)20050.501.50健康管理諸施策
九州電力CSR報告書2006 安全第一主義の取組み
公衆災害防止の取組み安全第一主義の取組み
お取引先への安全活動の励行促進
従来から,発注者としての責任
を持った,お取引先への積極的な
安全活動の支援・指導を行ってい
ますが,当社発注の委託・請負に
おいて,感電・墜落等の重大事故
が発生しています。このため,お
取引先に対する安全活動の励行を
促進し,災害防止への取組みを強
化しています。
具体的には,夏季安全推進期間
及び冬季安全月間において,お取
引先への安全パトロール等を実施
するとともに,お取引先との事故
防止検討会等,安全に関する各種
会議を開催し,お取引先の安全に
対する意識高揚を図っています。
公衆感電事故防止の取組み
年3回の公衆感電事故防止PR期
間に,土木・建築及びクレーン会社,
教育関係機関,自治体,電気関係
団体等へ公衆感電事故防止の注意
喚起を行っています。
また,新設及び再使用されるお
客さまへの「電気知っ得本」の配
布や,当社のホームページ上への
「電気の使い方Q&A」掲載など
により電気の安全な使い方をPRし,
電気設備の点検による危険箇所の
確認及び安全対策の提案を実施し
ています。
今後も,あらゆる機会を活用し
たPRを行い,公衆感電事故の未
然防止を推進していきます。
<「電気の使い方Q&A」ホームページ>
http://www.kyuden.co.jp/life̲living̲safe̲index
しろいしかく春期公衆感電事故防止PR
3月から5月の3か月間,鯉
のぼりによる公衆感電事故防
止に重点をおいたPR活動を展
開しています。
しろいしかく電気使用安全月間
電気使用の安全に関する理
解を深め,電気事故の未然防止
を図るため,経済産業省の呼
びかけにより8月を電気使用
安全月間に定め,電力各社を
はじめ電気関係諸団体が一体
となって取り組んでいます。
しろいしかく冬期公衆感電事故防止PR
12月から2月の3か月間,た
こあげや建設現場等における
公衆感電事故防止に重点をお
いたPR活動を展開しています。
しろいしかく台風等非常災害時のPR
テレビCMや新聞広告など
により,台風襲来時の公衆感
電事故防止や飛来物による停
電防止などのPRを行っていま
す。
当社CM
「台風時のお客さまへの協
力呼びかけ
(風神)
篇」が
「第45回消費
者のためになった広告コンクール」
で銅
賞を受賞しま
した
(2005年11月)。トピックス
▼春期公衆感電事故防止PRポスター4338244531▼工事委託・請負災害件数
▼公衆感電事故件数02001 2002 2003 2004 200514132(年度)
2001 2002 2003 2004 2005
(年度)
(件数)
(件数)123452030405054
九州電力CSR報告書2006

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